映画業界紙

 それぞれの業界でその業界内の人々のみが読む“業界紙”と呼ばれるものが存在します。そのような業界紙は当然、映画業界内にも存在し、映画会社や劇場関係者が主な購読者となっています。

 映画の業界紙としては、通称“業界通信”と呼ばれている「文化通信」「合同通信」「連合通信」「共立通信」「映画芸能」「連合ジャーナル」「日刊ジャーナル」「興行通信」などのニュース速報的な瓦版が主なものになっています(つまり製版された冊子状のものではなく、ガリ版刷りのものをイメージしてもらえば分かり易いかと思います)。
 これらはほとんどのものが、月曜日から金曜日まで毎日、日刊のニュース速報的な性格を持っています。一般の方がこういった業界紙を目にする機会はまず無いと思いますので、どのようなことが書かれているのかを簡単にご紹介しましょう。

 まず“公開初日や公開館の決定”“ラインナップ編成”“来日決定”“興行成績”“新作のアメリカでの興行状況”など主に邦画洋画の最新情報が掲載されています。これらの情報は、それぞれの業界通信の記者による取材によるものもありますが、多くは映画会社からの通信発表としてリリースと呼ばれるもの(単純に言うと、紙に公開や来日の決定等掲載して欲しい内容を見出しをつけて、分かりやすくまとめたものです)を一斉にFAX等にて流し、業界通信に掲載されるようになっているのです。

 これらによって、業界内の人たちは誰がいつ来日するのか、公開日がいつに決まったか等々の日々の最新情報をかなり仕入れることが出来ます。インターネットやメールが全盛の現代ですが、業界内の情報は実はこういった業界通信の方が早かったり便利だったりします。一般の方も様々な映画サイト等で映画の最新情報を知ることは出来ると思いますが、業界通信はそれらには掲載されない細かな情報まで掲載されているからです。公開初日が決まったとか、どこでの公開が決まったかということはサイトにはあまり掲載されませんので、大変貴重な資料なのです。
 業界通信の内容は、日刊なので概ねどれも似ているのですが、ひとつだけ異なる性格を持つものがあります。それが「興行通信」と呼ばれる業界通信です。恐らくこの興行通信は業界内でまず読んでいない人はいないであろうという位のメジャーなもので、紙自体も黄色やピンク色の紙を使っているので、他より必然的に目立つのですが、それよりも何よりも中身が他と全然違います。

 毎日、前日の全国九大都市の興行成績(金土日の数字は月曜日に一括で)を作品別に掲載しているのです。この為、業界内の人たちは、自分たちが配給公開している映画以外の他社作品の成績を一目で知ることができ、また非常に参考にしているのです。

 つまり例えば公開を迎えた他社作品の初日・二日の成績がどうだったのかということは、月曜日の朝、興行通信を見ることで、業界内にはヒットしたのか駄目だったのかということが分かってしまうという訳ですね。ちなみにこれらの成績は各劇場から前日の20時ぐらいまでに確定した興行成績を興行通信にFAXされることになっているので、興行通信はそれらを元に成績をまとめるということになっています。

 勿論、皆さんがこの興行通信を直接見るということは無いかと思うのですが、実はその結果を皆さんはどこかできっと目にしていることと思います。よくTVや雑誌など“1週間の公開映画ランキング”などが発表されますが、実はこの順位の元になっているのが興行通信なのです。

 実際よくそのクレジットを見てみる必ず“興行通信調べ”等々ということが入っているのを確認して頂けることと思います。つまり、興行通信しか客観的に全ての映画の興行成績をまとめているところはないということなんですね。もしどこよりも早く公開された映画がヒットしているのか知りたい方、ランキングを知りたい方は、是非下記の興行通信のHPを訪れてみてはいかがでしょうか? トータルではありますが、最新状況を知ることが出来ますよ!
■興行通信ホームページ> http://www.cinemanavi.co.jp/kogyo.html
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