| メインビジュアルの豆知識 |
以前の豆知識でも少しお話をしたことがありましたが、今回は劇場のポスターやビデオ＆DVDのジャケットに使われるメインビジュアル(キーアート)に関して、お話をしたいと思います。 |
| 劇場版のメインビジュアルに関しては以前お話した通り、アメリカに親会社を持つ大手メジャーの配給会社(UIP､WB､SPE､FOXなど)は、アメリカで使用されたメインビジュアルをそのまま使用することがほとんどです。しかし独立系のインディペント配給会社(東宝東和､ヘラルド､ギャガなど)は、もしオリジナルが日本での宣伝の方向性に合わない場合には、日本独自のメインビジュアル案を作成して、アメリカ側にアプルーバルと呼ばれる承認を求めます。そしてOKが出れば、日本独自のものがポスターになることもあります。事実、東宝東和は過去、多くのメインビジュアルを作成してきました。 |
| ただアメリカのメインビジュアルが、有名スターが大きく使われているものだったり、監督の意向が強く出たものだと変更が許されないことが多いので、インディペント系の配給会社でも、アメリカのものをそのまま使用せざるを得ないということになってしまいます。また、日米ほぼ同時公開の場合、メインビジュアルを日本用に変更してアプルーバルのやりとりで時間を費やすなんてことも、宣伝できる期間を考えれば勿体無いので、オリジナルで進行することが大半です。 |
| 予告編等の動画で初めて新作のことを知る人も多いでしょうが、やはり映画のイメージを決定づけるこのメインビジュアルは、映画への入口というか顔になる訳ですから、慎重にならなくてはいけないのと同時に、いち早く人目につかなくてはいけないのです。 |
| さて、それらの劇場時のメインビジュアルは、当然劇場で大ヒットすれば、そのままビデオ＆DVDのパッケージとしても使用されることになります。何故なら、劇場時に多くの人が目にしているメインビジュアルであれば、ビデオ＆DVDになってもすぐに認知して貰えて、どんな内容の映画かも分かって貰えるので効果的だからです。弊社『トゥームレイダー』(01)のアンジェリーナ・ジョリーのメインビジュアルは、まさにその例ですね。 |
| しかし、ヒットしなかった映画のメインビジュアルや、劇場時にはそのメインビジュアルしか許可されなかった場合、アメリカ側のアプルーバルでOKを貰った上で、劇場時とは全く異なる新しいビデオ＆DVDパッケージとして、メインビジュアルを作成することがあります。劇場の時以上に、ビデオ＆DVDはお客さんと近いメディアなので、メインビジュアルはより分かり易いものでなければならないからです。 |
| 最近の弊社の例では、『スパイ・ゲーム』(01)公開時のメインビジュアルが、２大スターの顔が使われている為か、アメリカ版メインビジュアルの変更が許可されず、結局アメリカと同じモノクロ調のものを日本でも使用することになりました。勿論誰が出ているかということはすぐに分かるクールなビジュアルでしたが、どんな内容なのか？ということ、そしてモノクロ調の為にどうしても他作品と比べると地味な感じのメインビジュアルでした。 しかしアメリカ版のビデオ＆DVDに使われたメインビジュアルは、使われている写真やデザイン構成こそ似ているものの、カラーになっているという大きな変更がありました。そこで日本でもアレンジしてビデオ＆DVD用メインビジュアルを作成して、アプルーバルを申請したところ見事ＯＫが取れ、劇場時とはまったくといって良いほど雰囲気が違うメインビジュアルが出来ました。どんなメインビジュアルなのか是非７月店頭で確認して頂ければと思います。 |
| このようにアメリカと日本の劇場公開時のメインビジュアル、そしてアメリカ版と日本版ビデオ＆DVDのメインビジュアルは、勿論すべてが同じパターンということもありますが、それぞれの宣伝方針によって、微妙にあるいは大幅にデザインが違っていることもあります。見比べてみると新たな発見があって、結構面白いかと思います。興味のある方はUSのサイト“The Internet Movie Database”などを使えばすぐにアメリカのメインビジュアルを観ることが出来るので、アクセスされることをお勧め致します。 |
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■The Internet Movie Database＞ http://www.imdb.com |
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