映画館で上映されるシネアドについて

 映画館での本編上映前には、これからの映画の予告編だけではなく、TVで流れているようなCMもまた上映されているのは皆様ご存知のことと思います。中には映画館近くの飲食店などのCMが上映されることもあり、映画館でしか観れないものもあります!このような映画館でのCMは、通称“シネアド”と呼ばれており、いろいろな意味で重要視されています。今回はこのシネアドについてふれてみましょう。
 東宝系直営館の場合には、シネアドはTVでのCM同様に代理店が窓口となって取りまとめて、どの映画の本編上映前に何のCMがいつからいつまで上映されるのか、という線引きをして、それが映画館に通達されています。

 そもそも、映画館でのシネアドCM&予告編の上映時間は概ね約15分程度になります。勿論映画館によってまちまちですが、その中でのシネアド上映時間は長くても約5~6分程度といったところになります。ひとつのシネアドの時間は概ね30秒前後と短いのですが、立て続けに上映されると結構なボリュームに感じることと思います。
 しかもその後に予告編が流れる訳ですから、全体的な印象はとにかくシネアド&予告編上映時間が長いということになってしまうかと思います。東宝系直営館の映画館では“MOVIE NEWS”という邦画予告編集もありますので、尚更そう感じるかもしれません。以前の豆知識の予告編の項でもお話しましたが、事実、夏や正月の超話題作の本編上映前には特に予告編を詰め込みますので、通常よりシネアド&予告編が長い上、更にプラス本編あたまに予告編がついていることも多いので余計長く感じるでしょうね。

 予告編は映画館だけでしか観れないもの(最近はネットでも観れますが)とすれば、TVでもOAされているCMを映画館で上映しても効果はあまり無いのではないか?と思われる方もいるかもしれません。しかしながら映画館のスクリーンに映し出されるシネアドというのは一部のスポンサー企業にとっては、TVでのCMより低コストで実現が出来る上で、それ以上に効果が期待できうる媒体として認識されています。
 何故なら、映画館に来ている観客は特定の映画に興味を持って来ている訳ですので、商品の購入者層に近い客層が集まるであろう映画を選んでシネアドを上映することが出来る上に、TVと違って映画館のスクリーンに映し出されるシネアドは観客が座席について確実に観賞してくれるので効果が期待できるという訳なのです。映画館に若年層が多く来場してきている現状を意識してか、最近多いのは、化粧品系、ゲーム&DVD系、飲料&食品系などのシネアドが多いような気がしますね。

 また、一般に広告というものは絞り込んだターゲット層に確実に届かないとまったく意味をなさないので、そういう意味で客層を選別(セグメント)しやすい映画館という存在は実は企業にとっては、重要な媒体と言えるのです。
 一方で、シネアドを上映する立場の映画館側にとってみれば、各映画会社からあの予告編をかけてくれというリクエストが来ますし、やはり自分たちのその後に直結するという意味でも予告編は重要ですので、シネアドを削って予告編を1本でも多く上映したいというのが本音の部分だと思うのです。でも実はこのシネアドは、観客の入場料しか収入源のない映画館にとっては、数少ない貴重な他の収入源ともなっているので、映画館を運営していく為には無くてはならないものなのです。

 映画館がそれこそ時期に関係なく、いつでも毎回満席という状況であればシネアドは必要とされないでしょうが、現実はそんなことはありえません。勿論シネアドの本数は時期や作品によって増減はしますが、基本的にゼロになることはなく上映されるので大事な存在なのです。映画館にとってはこのシネアドと予告編とのバランス(両立)というのが実は重要なテーマになっていんですね。
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