DVDの制作&製造(1) |
DVDを日本で制作&製造して商品化するという作業は、ビデオのそれに比べて数倍以上、手間も時間もかかる作業になります。今回は、そんなDVDの制作&製造の流れを弊社の場合を例にして、2回に渡ってご紹介したいと思います。 |
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■日本版DVD仕様の決定 |
まず、日本版DVDの制作のベースとなるのは、当然のことながらUS版DVDになります。US版DVDを観た上で、基本的にUS版DVDの特典素材は全て収録する方向で検討し、メニュー画面に関しては、よほどチープでない限りにおいては、まずその全てを日本版に流用するように致します。むしろ最近のUS版のメニュー画面は、非常に凝った作りでクールなものが多いので、日本版DVDのほとんどのメニュー画面は、US版の流用と考えても良いと思います。もしUSのものがあまり良くない場合には、日本で独自メニュー画面をデザインします。 また、US版の特典には、PCでの再生を目的としたDVD-ROMと呼ばれるものが入っていることも多く、これを日本版にも収録するメーカーもあります。しかしながら、PCでのDVD再生は不具合が起きることも多く、基本的にメーカー推奨の再生環境ではないので、弊社では保証が出来ないということもあって、DVD-ROM特典を日本版では収録しないことがほとんどです。 |
その上で、その代わりといっては何ですが、日本版独自の特典として何かプラスアルファを収録するかどうかを検討して、日本版DVDの仕様というものが固まってきます。ここでよく日本版独自の要素となるのは、2枚組仕様だったり(USではほとんど全てが1枚です)、DTS音声の収録、日本版予告編&TVスポット映像の収録といったものになりますね。 とにかくまずはこの仕様を決めないと制作作業が何も出来ないので、これを早急に決定するようにして、同時にメニュー画面の素材、特典映像の素材、本編の素材などをUSから早めに取り寄せないといけません。これが無いと、これまた何も動けないのでこれらに関しては特に早めに動き出すことになるのです。 |
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■エンコード&オーサリング |
そして決定した日本版DVD仕様を元に、DVD制作を行なうラボで、まずメニュー画面の日本語化や、必要があれば日本独自の追加ページ等々のデザイン作業が行なわれます。デザイン的な要素は、この部分のみになります。その後、DVD制作の要であるエンコードとオーサリングと呼ばれる作業が行われることになります。エンコードとは、DVDに収録する本編や特典の映像、そして本編の複数音声を圧縮してデータとして収録していく(取り込む)作業になります。 この時のデータは、DVDの規格であるMPEG-2と呼ばれるデータ形式で圧縮収録され、当然圧縮比率が低いほどデータ量は増えて収録できるデータが少なくなりますが、その分映像や音声のクオリティはアップします。逆に圧縮比率が高いほど、データ量がコンパクトになり収録できるデータは多くなりますが、映像や音声のクオリティを多少犠牲にするということになります。 |
最近よく日本版DVDが2枚組で発売され、特典映像のみを本編とは別ディスクで収録するのは、豪華感を出すという販促戦略によるところも多少はありますが、むしろ本編の映像や音声のクオリティをなるべく損なわないようにという配慮からによるところの方が大きいのです。特典映像などが多い場合や本編が長かったり、DTS音声を収録したりすると、データ量はもの凄い量になってしまいますから。 一方でエンコードされ収録された映像や音声データをDVDとしてきちんとプレーヤーで再生して観れるようにする為には、エンコードされた映像・音声データそしてメニュー画面をうまく編集・整理して道筋を整えなくてはなりません。 |
例えばメニュー画面で、このボタンからどこへジャンプするのか?どの映像が流れるのか?プレーヤーでこのボタンを押したらどう処理されるのか?といったメニュー画面構成・ボタン構成・映像&音声を割り当てて、ひとつのDVDソフトとして再生できるようにしていくという訳です。この作業をオーサリングと呼んでいます。ですのでオーサリングの際にもし誤った割り当てをしてしまうと、DVDを再生した時におかしな動作をしたりする原因になりますので、非常に重要かつ重大な作業になります。 こうしてエンコード&オーサリング作業がなされると、市販されるDVDのほぼ原型が完成となり、それは「DLT」と呼ばれるメディアに記録されます。このDLT版ではDVDのディスクの体裁をしてはいませんが、実際のDVDと同じようにメニュー画面が操作・そして本編が再生できるようになっています。このメディアを使って動作・操作が正常に行なわれるかどうかを確認チェックすることが出来るのです。 ☆次回は後半として、確認チェックから製造(プレス)されるまでを説明させて頂きます。 |
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