プログラム(パンフレット)

 皆さんは映画館で観た際にプログラム(パンフレット)を購入されますでしょうか?
なかには映画館に行ったら必ず購入するという人もいれば、気に入った作品の時だけ、あるいはいまいち訳がわからなかった映画の時だけ内容補足用として購入するという人が多いかと思います。
 このプログラムは、東宝の場合には映像事業部の出版部門が担当し、発行、管理を行っています。よって各劇場は映像事業部に必要な部数を映画公開前に発注して、納品してもらうようになっています。その上で日々売上数と在庫数を照らし合せて在庫が足りなくなりそうであれば、追加発注をするようにしています。

 ただ、このプログラムというものは売れないときはほとんど売れない(1,000部位?)のですが、やはり映画の動員に比例して超話題作の場合にはそれこそ飛ぶように売れて(10,000部以上?)、あっという間に在庫が尽きそうになってしまいます。そういうこともあるので、劇場側としては管理には気をつけないといけないものなのです。

 何故なら、印刷所に在庫が多数あるものならば何の問題も無いのですが、人気作品の場合、印刷所にも在庫が無くなってしまっていて増刷が必要となる事態もあり、納品まである程度の日数を要することもあります。おまけに映画の初日・二日は土日ですので、印刷所が休みで在庫はあっても搬出できなかったりするので、常に売上と在庫の状況には目を光らせていなくてはいけません。
 大変悪い例ですが、私が過去某劇場でプログラムの管理担当をしていた時には、売れ行きや在庫状況の読み間違えから、土曜日の時点で在庫が尽きそうになってしまい、慌てて苦肉の策として近隣の関係劇場からプログラムを借用する為に奔走して急場を凌いだという苦い記憶もあります(笑)。それもこれも、プログラムが“売り切れ”というのは劇場にとっては観客へのサービスとして決して許されるものではないからです。それでも不慮の事態により、売り切れになってしまうということもあるかもしれませんが。

 尚、現在はどうなっているのか分からないのですが、3~4年前当時は、観客への付加サービスとして、プログラムに観賞劇場名が入ったものを“館名入り”(そのままですが)と呼んで発売しておりました。ただこの館名入りのプログラムを印刷するには最低部数として3,000部のプログラムの発注が条件でしたし、売れ残ってもムーブオーバー劇場などの他劇場で流用することができないので、なるべく売れ残らないように確実に売上げが見込める数で注文する必要性がありました。

 つまり基本的には大きな劇場(東宝系で言えば日劇チェーンならまず間違いないですね)で、夏休みや正月に上映される大作であればまずこの条件をクリアできるので、優先的に館名を入れていた訳です。また先々行や先行オールナイトが実施される映画も、プログラムが通常よりは売れる可能性があるので、館名入りプログラムが優先的に制作されておりました。
 つまりすべての作品で館名入りプログラムが制作される訳ではありませんし、制作されたとしても“限定”のものなので、公開最初の方(先々行&先行オールナイトが実施される作品はその時点で無くなってしまうこともあります)に行かないと、館名入りは売り切れてしまって無いということが多かったのです。そういう意味では、ある種のプレミア性があったことは間違いないですね。従って、敢えて館名入りプログラムを熱望される方も多かったように思いますが、お渡しできないことが結構あったの覚えています。今はこのような館名入りプログラムの存在自体、知らない方も多いかもしれませんね。

 前述のように現在は、館名入りプログラムを以前のように制作しているのかどうなのか詳細が分からないのですが、少なくともゼロではないようですね。『サイン』(02)では発売していたようです。(下記アドレス参照)

 もし劇場でそのようなプログラムを見つけるチャンスがあれば、是非観賞の記念に購入されることをお勧め致します。中身が良いかどうかまでは保証できませんが(笑)。尚、現在でも通用するかどうかは分かりませんが、熱望されるお客様用に、過去には何部か館名入りプログラムの予備を別に残しておくということもありましたので、表には館名入りが無くても、劇場に館名入りの有無を確認してみるという手もありかもしれませんね。
■『サイン』プログラムに関して> http://www.toho-a-park.com/gekigen/psigns.html
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