画格(画面サイズ) |
だいぶ前の回で、映画のスクリーンサイズに関して触れたことがありました。現在上映されている映画は“シネスコ”か“ビスタ”のいずれかのスクリーンサイズで収録されており、それがその映画のオリジナル画格と呼ばれるものになる訳です。 映画館のスクリーンで観賞する時には、スクリーンサイズを映画、映画で変化させているので、観客は特にスクリーンサイズというものをそれほど意識せずその映画に適した大画面スクリーンで映画を見ることが出来る訳ですが、それが家庭用のテレビでの視聴となると、いろいろな制約が出てきます。 |
まずビデオで考えれば、現在出ているものはほとんどすべて「スタンダード版」と呼ばれる画格のものになっております。これは通常テレビ(プラズマのような16:9画面を持つワイドテレビではない、昔からの4:3画面のものです)で画面一杯に映像が表示されるようにトリミング(調整)されたもので、視聴者はテレビ画面をフル活用して映像を観ることが出来るので、番組感覚で映画を観ることが出来ます。 しかしながら、この場合その映画の左右端の部分はトリミングされてしまっているのでオリジナル画格で本来そこに移っているはずの風景だとか人や物が見えなくなってしまっているということになっているのです(勿論、そこに重要な人や物が移っている場合もあるでしょうから単純に左右端をバッサリとトリミングしているという訳ではないんですが)。一般の方はあまり、このトリミングに関して意識をすることはないかもしれませんが、映画好きな方からすれば映画館で観たものと同じ画格で映画を観たいというニーズが当然あると思いますので、このようなニーズを満たす為に過去には「ワイド版」と呼ばれるものも存在しておりました。これは要するにレターボックス形式(画面の上下に黒い部分が入っているもの。非常に単純に言えばシネスコなら黒い部分の割合が多く、ビスタならば割合が少ないというところですね)で映像が収録されたもので、これであれば画面一杯に映像は表示されませんが、少なくともオリジナル画格のまま映画を収録することが出来て、左右端がトリミングされてしまうことがない訳です。但し、テレビ画面では映像表示部分が少なくなるので、見辛くなってしまうとも言えますが。 |
一方DVDにおいては、基本的に16:9画面で表示するのにもっとも適した形で映画が収録(これはスクイーズ収録という方式で横長の映像を縦長に圧縮(スクイーズ)し、通常のテレビサイズで収録しておき、テレビ画面で表示する時には左右を伸ばしてオリジナル画格に戻すという収録方式のこと)されていますので、ワイドテレビ上では画面一杯に映像が表示されます。尚、4:3の通常テレビ上ではどうなるのかといいますと、レターボックス形式で表示されることになるのです(プレーヤーの画面サイズ切換え操作によって16:9画面上に4:3画面を表示させた場合も同様)。 そもそも前述のようなことは“オリジナル画格を保持するのかどうなのか?”というコンセプトに基づいてそれぞれの場合において変化してしまうことですので、当然放送上においてもそれは異なってきます。WOWOWなどの有料放送の場合には「オリジナル画格で放送する」というコンセプトがあるので、映画はすべてレターボックス形式で放送されています。また地上波の民放各局での映画放送でも場合によっては、冒頭の数分間だけレターボックスで放送しておいて、残りはすべて4:3フル画面に切り替えるということもよくありますね(さすがに最初から最後までということは深夜枠での放送等以外ではないと思います)。しかしながら12月からスタートする地上波デジタル放送においては16:9画面一杯に映像を表示するというコンセプトがあるらしいので、恐らく本放送が開始されれば、16:9画面一杯を使用した映画が放送されることになるはずです。これは一見するとDVDのスクイーズ収録と同じように見えますが、イコールではなく4:3画面でのトリミングと同様に16:9画面で画面一杯に映像が表示出来るようトリミングが行なわれたトリミング版ということになるのです。 映画ファンとして完璧なものを求めるのであれば、迷うことなくオリジナル画格というところでしょうが、さて皆さんは、どちらの方が好きでしょうか?実は結構好みが分かれるところだったりすると思うのですが。 |
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