DVDの仕様に関して(1)

 以前の項目の中でチラリと触れたこともありますので、このコラムを読んで頂いている方であれば、ご存知かもしれませんし、またDVDを良く観る方であれば当然のこととして知っていることばかりかもしれませんが、最近プレーヤーを購入して初めてDVDを観たという方も多いかと思いますし、ちょうど先週『ターミネーター3』のDVDが発売されて実際問い合わせもありましたので、あらためてここでDVDの基本的な仕様というものに関して主だったものをご説明しておこうかと思います。これらを知っておいて頂ければ、それが“仕様”によるものなのか、それともいわゆる“不具合”と呼ばれるものなのか、冷静に判断して頂けるのではないかと思いますので。
 まずお問い合わせで一番多いと思われるのは、“レイヤーチェンジ“部分に関するものだと思います。DVDソフトには必ず「片面一層」なり「片面二層」という表記がパッケージ裏面もしくはレーベルに記載されておりますが、片面二層のソフトの場合には(現行発売されているDVDソフトの殆どがこれに該当)、内部的に収録データの一層目から二層目への切り換え(レイヤーチェンジ)が本編再生中に行なわれることになるので、その時に“一瞬、画面がフリーズしたような現象”がどうしてもDVDならではの仕様として起きてしまうのです。

 これはイメージ的には、古いですがLD(レーザーディスク)が片面に本編すべてを収録することが出来ず、途中でもう片面の再生を自動あるいは手動(取り出してLDを裏返す!!)で行なうというものと似ています。勿論、DVDの収録データ量はLDの比ではないのですが、DVDは単純に本編だけを収録する訳ではなく、複数の音声や字幕を収録したり、特典映像を収録したりするのでトータルのデータ量を考えると一層だけでは収まりきらず(無理に押し込んだ場合には、それこそ画質・音質に影響がある上、動作も不安定になる可能性があります)、二層という形での収録となる訳です。
 よって本編再生中に、この一層から二層目の切り換えのタイミングを迎えた際には当然そこで切り換えが行なわれるので、その際の一瞬のタイムラグが画面のフリーズという形で表れます(レイヤーチェンジは、本編内の場面チェンジの部分にあわせるようにしています)。しかし面倒なのは各社プレーヤーによって微妙にその切り換えの処理時間に違いがあったりするので、フリーズが長く感じるものもあれば、ほとんど感じないぐらいのものもあるというように違いが出てきてしまうのです。またこのような場合には意図的に暗い背景のシーンだったり、人物が映ってないシーンだったりとフリーズをより感じにくい場面の場合が多いはずです。

 このように、DVDで本編を観ていて、どこかで(多くは本編中盤ぐらい)画面が一瞬だけフリーズするようなことがあれば、基本的には「ここが、レイヤーチェンジポイントだな」と認識して頂ければ間違いないと思います。レイヤーチェンジというものがあることを知っておいて頂ければ、単純にフリーズ=不具合という判断をせずに済むという訳です。ちなみに『ターミネーター3』DVDにおいては、チャプター18で、あの“シルバーマン医師”が出てきて話をしているところがレイヤーチェンジポイントになっています。
 ただ、このフリーズが異常に長かったり、というよりも本当にフリーズしたままになってしまうようであればそれはそのDVDソフトもしくはご使用のプレーヤーに本当の不具合がある可能性があるので、そういう症状(現象)の際には一度販売店もしくは、ソフトメーカーへの問い合わせをされた方が良いかもしれません。

 次回では、今回お伝えしきれなかった“DVDプレーヤーとの相性”ということに関して触れたいと思います。よろしくお願い致します。
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