次世代DVD

 ようやく皆様の家でもDVDプレーヤーは専用プレーヤーとなり、PS2やX-BOXなどのゲーム機やPCなど、様々な形式でDVDを当たり前のように観られるようになってきたと思います。その証拠にDVDソフトはかなり売れていますし、TSUTAYAやGEOなどの大手チェーンでのDVDレンタルコーナーも日々拡大されていっているように思います。

 また、記録メディアとしてのDVDも最近のDVDレコーダーの普及に伴い、併せて需要が伸びているところだと思います。そうなると将来的に音楽用のテープがMDへと変わっていったように、ビデオテープがレンタル店からも、家庭での録画メディアからも消滅してしまうという日もそう遠くないのかもしれませんね。
 さてそんな現状の中、既にDVDは次の規格を巡って二大陣営が熾烈な競争を始めています。それは主にソニーが中心となってその他多くのメーカー(計9社)が参加する“Blu-ray Disc”(ブルーレイディスク)陣営と、そこから抜けた東芝が中心となってNECと立ち上げる“HD-DVD”(ハイディフィニション-DVD)陣営ということになり、既にかつてのVHSとβや、LDとVHDのような規格争いの様相を呈しています。
 ともに大きな特長としては、現行のDVDよりも約6倍の記憶容量を備えていますので、今まで複数のディスクに分けざる負えなかったものが1枚にまとめられるということになります。さらに、一番重要なのはHDマスターやそれを使用したHD放送での画質をほぼそのまま記録出来るということです。HDマスターとは現状のDVD収録用のマスター素材よりも遥かに格上の画質を持つもので、映像素材としては最高のクオリティを保ちます。よって画質を落とさず記録するとなれば、莫大な情報量をそのまま記録しなければいけないので、現行DVDメディアではまず不可能だったのです(もっともハイビットシリーズのように一切の特典映像や余分な音声を排せば、画質にかなりの情報量を割けるので近いものは出来ます)。このHDを収録できるということは、これから本格的に一般に普及するであろう「地上波デジタル放送」(HDマスターでの放送が基本になります)を録画する際のメディアに最適ということになる訳です。
 ただそれ以外の細かな点に目を向けると、両者にはかなりの違いがあります。まずそのメディア形状でいうと、Blu-ray DiscがMDやMOのようなカートリッジ形式なのに対して、HD-DVDは現行のDVDとまったく同じといっていい形状をしています。従って、Blu-ray Discは傷がつきにくいというメリットがありますが、専用プレーヤーを使用しなくてはいけなくなり、現行DVDとの互換性がほとんどないということになっています。しかしながらHD-DVDは、その形状もあり現行DVDとのいわゆる下位互換が可能なので、ユーザーにとっては今までコレクションしたDVDをHD-DVDプレーヤーで観ることが出来るという非常に有り難い、大きなメリットがあるのです。これはメーカーにとっても、工場において現行DVDの製造ラインをそのまま流用することが出来て、新規での設備投資を最小限に抑えられるということをも意味しています。
 当初は参加メーカーの数もあり、Blu-ray Disc陣営が圧倒的かと思われましたが、DVDの規格を制定する“DVDフォーラム”という業界最大手団体がHD-DVDを次世代DVD規格に採用すると決まったこともあり、ハリウッドのメジャー各社もこのHD-DVD規格を採用するような動きを見せ始めております。この両陣営の規格をめぐる闘いは、今後激化していきそうな気配です。あくまで個人的な予想ですが、もしかしたらPCやその他からの現行メディアを上回る大容量バックアップメディアとしてBlu-ray Discが主に使われ、映画ソフトなどではHD-DVDが使用されていく、といった棲み分けが進んでいくことになるのかもしれません。
 ちなみにHD-DVDはまだ製品化されていませんが、Blu-ray Discは既に製品化されて発売されています。勿論大々的に宣伝している訳ではないので、ほとんどの方は全く知らないことでしょう。1年後そしてその先にはどうなっているのかまったく予想出来ませんが、両陣営から一般普及を目的とした価格モデルのものが発売されるまで、そしてその後しばらくの動向を、とにかく静観あるのみといったところでしょうね?過去の例を考えると二大規格が共存していくことはなかなか難しいですから。
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