映画のレイティング(2)

 最近の劇場公開映画には、結構「R-15」指定<15才未満(中学生以下)入場禁止>を受ける作品が増えてきているように思います(日本における映画のレイティングの種類や内容に関しては以前の項目(第30回)でお話ししましたので、詳細はそちらをご覧下さい)。

 さて、この「R-15」に指定されるか否かを判断するのは“映倫”が行います。映画会社からすれば、一人でも多くの観客に映画館まで足を運んで欲しい訳で、「R-15」に指定されれば観客を制限されてしまい、興行的にかなり重要な問題になってきます。しかしながら最近報道される少年犯罪の低年齢化、凶悪化、といった実情を考えると決して杞憂ではないと思います。何でもかんでも規制するのは良くないことではありますが、映画というものの社会的影響を考慮すると(業界側の自主規制策としては)、やむを得ないというところでしょう。
 尚、この「R-15」が指定される際の条件としては、①主に露骨な性描写が一瞬でもある ②過激な暴力描写がある ③激しい残酷描写がある、などといったシーンが本編中に含まれている映画が指定を受けることになります。従ってイメージ的にも実際にも「ホラー映画」が真っ先にその対象になることは確かです。現に現在公開されている『テキサス・チェーンソー』は「R-15」指定ですし、弊社がこれから公開する『ドーン・オブ・ザ・デッド』も「R-15」指定を受けることになりました。

 まあ、ホラー映画に関しては、「R-15」指定を受けることはある意味で怖さが格付けされたとも言えるので、表現はあまりよくありませんが、良いことなのかもしれません。
また1ランク下のレイティングである「PG-12」とのボーダーラインというのも結構微妙で、同じ暴力・残酷描写でも、人間が人間に対して行なう描写(血が飛び散ったり、切断シーンなどがあると厳しいよう)というのが一番マズイらしく、それ以外は、ケース・バイ・ケースで判断が下されるようです。
 しかしながら、一見まったく意外な作品が「R-15」作品の指定を受けることもあります。実は弊社がこれから公開する『コールド マウンテン』は本編中の一部の性描写並びに暴力描写のために非常に意外ですが、「R-15」指定を受けた作品になっています。

 「R-15」指定を受けても、該当シーンの削除や編集などを行なうことによって、レイティングを下げてもらうということは可能です。しかしオリジナルには一切手を加えることなく、そのまま公開するというのが観客にとっても、映画会社にとっても望ましいことのはずですから、不本意なことはせず、大抵の場合はそのままレイティングを受け入れて公開をしているように思います(『コールド マウンテン』もそのまま公開します)。
 とはいえ、「R-15」指定を受けた映画でも、劇場公開後ビデオ&DVD化されてしまえば、特に規制なく普通に観ることが出来てしまう訳ですし、未公開映画でビデオストレートのものなどはそれこそ映倫審査など行なわれもしないので、実質上レイティングの意味というか効力はあくまで劇場公開時点だけのものでしかない訳です(そう考えると結構、中途半端ですよね)。

 ついては表現の自由ということは勿論あるのですが、皆さんも映画館で何か作品を観る時にもしも「R-15」というロゴを見つけたならば、何故(どこが)R-15なのか? ということを良く考えて観てみて下さい。きっと、人それぞれ何かしら考えるところがあるはずですから。
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