ビデオ&DVDの初回発注

 ビデオ&DVDレンタルとDVDセルをリリースする場合、大抵のメーカーでは全アイテムが一斉に店頭に並ぶことがほとんどなので(※2~3週程度、タイミングが異なるところもある)、発注に関しても全てが一括で来ることになります。

 弊社の場合を例に挙げれば、大手チェーンや卸し問屋などからの注文を元に集計された数量が、販売契約をしている販売会社より発売元である弊社に報告されてきますので、その数量を元に、ビデオ・DVDセル&レンタルの各製造を行なうということになっています。
 この初回発注は少しでも発注数を多くする為にも、発売日の約1ヶ月前程度というギリギリのところに設定されているのですが、それもそのハズでこの初回発注(イニシャル・オーダー)の状況で、そのビデオ&DVDが成功するのかどうなのか?ということが判別出来てしまうのです。ですから、その数は非常に重要なものになります。

 特にDVDセルに関しては、ビデオ&DVDレンタルと違い直接ユーザーが購入するもので、その数量もレンタルとは比較にならないほど多く、ユーザーの初動を良くするためにも、まずは商品として「初回限定版(初回生産分のみといった意味)」といったことを銘打った特別な装丁なものを用意し、店舗では予約特典も用意する、などの工夫が見られます。
 この初回発注数、特にDVDセルに関しては、劇場公開時の興行収入というものとリンクしているように私は感じています。まあ確かに劇場公開時に大ヒットした作品は知名度が高いので、それに伴い商品認知度も高くなり、逆にパッとしなかった作品は知名度も低く、商品認知度も低くなるという関連性はあって必然なのですが、より具体的にいうと、興行収入が例えば10億円の映画であれば、10万本というような目安をつけることが出来ると思うのです(最終的にはそれよりも増減がある場合もありますので一概には言えないんですが)。弊社の最近の例で言うと『ターミネーター3』の興行収入が80億円で、DVDセルの発注数(出荷数)が80万枚でしたしね。他社でも、やはり『ハリー・ポッター』シリーズなど、興行収入が100億円を超えるようなものは、やはりDVDセルにおいても、100万枚以上の出荷枚数になっているので、目安という意味では“興行収入”が重要な意味をもっています。
 またこの初回発注はメーカーにもよりますが、基本的にある程度の在庫分も見越していますので(※予約状況などはあくまでも見込みのため、実数は発売日以降にならないと分からない)、初回発注数(出荷数)が必ずしも実売数とイコールという訳ではありません。従ってほとんどの場合には、在庫分でまかなえてしまい、初回発注以降にはもうあまり追加発注(バックオーダー)というものは入らないことが多いのです。

 ですが、敢えて初回発注を抑えめにした作品や、息の長い人気作品などはコンスタントに追加発注が入ってくるものもあります。弊社の例で言いますと『トゥームレイダー』、『チアーズ!』、『山の郵便配達』の3作品はほぼ毎月のように追加発注が入ってきていますね。我々はそのような部分でしか、市場の状況を分析することが出来ませんが、発売してからかなり時間が経っているのに動きがあるというのは、やはりそれぞれの作品が持つ「力」なのだろうな、と追加発注が入る度に感じています(動きが無いタイトルはトコトン動きがありませんから尚更そう感じるのです)。
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東宝東和株式会社