日米の公開時期

 日本で公開されるアメリカ映画は基本的に当然ながら、本国での公開後に日本で公開されることになります。但しその期間に関しては、まちまちで早いものでは日米同時公開(その差がほぼ同日から~1週間ぐらいのもの。最近の作品例:『バイオハザードⅡ アポカリプス』など)、そして大半は本国公開後1~3ヶ月後ぐらいというもの(最近の作品例:『コラテラル』など)が多いですね。大きな作品だと全米で夏に公開した作品を日本で正月公開するというように約半年あいだが空くもの(最近の作品例:「ターミナル」など)もありますし、逆に小さい作品だと1年間以上、間が空くというケース(最近の作品例:弊社「クライモリ」など)もあります。
 ネット全盛の現在では、アメリカでの公開状況などは誰でもすぐに分かりますので、大ヒットした話題作などは出来る限り、勢いがあるうちに日本で公開する必要があります。あまりにも全米公開から間が空いてしまうと、その話題性からくる観客の早く観たいというニーズの一番旬な時期を逃してしまうからです。しかし逆に良くも悪くもある程度の宣伝期間が必要だと思われる作品であれば、あまりにも早く公開するのは準備不足となり問題ですね。それは興行的にも決して良い結果には繋がらないので、意図的に公開時期をずらすこともあります。
 また以前お話したように幾らそれぞれの映画会社が日本でこの時期に公開をしたいと考えていても、映画館のブッキングスケジュール的に空きがなければ必然的に公開することが出来ないので、そのブッキングスケジュールに合わせなければならず、公開時期を止むを得ず半年ぐらい遅らすという事情もあります。ブッキングスケジュールは直前に急遽決まる要素も多々ありますが、その大枠は半年~1年前には既にほとんど決まっているものなんです。
 現在全米で大ヒット中のジョン・トラボルタ、ホアキン・フェニックス出演の消防士の物語『LADDER49(原題)』<東宝東和配給作品>が日本では来年春休み以降の公開(予定)となるのも、そのような日本でのブッキングスケジュールによります。また逆に日本で来年の正月第2弾公開作品(2005年1月)としてブッキングされていた、ジャパニーズホラー「仄暗い水の底から」のハリウッドリメイク作品『ダーク・ウォーター』は、先日急遽全米での公開延期(宣伝展開規模を拡大することになり、2005年夏に)が決定した為にそれを受けて日本での公開も併せてやはり来年夏以降ということになりました。我々としては、公開に向けて準備の真っ最中だった訳ですが、こればかりは仕方が無いので、一旦仕切り直しということになります。さすがに全米公開前に日本で公開する訳にはいきませんからね。
 尚、日本で公開するにあたっては、当然日本語字幕制作作業、そして作品によっては吹替版制作作業などが発生するので物理的な面から言っても、多少の公開間隔は必要です。従ってタイミング的にはバッチリの日米同時公開といった場合などは、その裏側はかなりギリギリの中でプリントの手配などを行なっている場合が多いようです。字幕翻訳からその確認、そしてプリントを数百本焼くのにも時間がかかりますので。

 最後に、アメリカ映画に関しては、上記の通りですがそれ以外の国でつくられる映画のアメリカ公開に関しては、当然ながら日本の方が先に公開されるということはあります(最近の作品例:香港/中国映画『HERO』。日本では昨年8月公開だが、全米では今年公開。ちなみに週末興行成績第一位となりました)。こういう場合は、何か不思議な感じがしますよね。まあそれもこれも世界の映画界がアメリカを中心として回っている?と思うが故なんでしょうが……。
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