私的録画補償金(後編)

特別に、2回に分けてお届けする「私的録画補償金」制度。後編は、制度や技術のこれからについてお話しします。前編は、第120回をご覧下さい。
 現在の地上波放送はまだアナログがメインの放送ですが、ご承知の通り2011年までには完全にデジタル放送に移行されます。既に一部地域では地上波デジタル放送での各局番組を受信することも出来るので、映画もデジタル(ハイビジョン)でも放送されています。

 我々の作品で最近テレビで放送されたものなどもそのほとんどが、アナログと同時に実はデジタル(ハイビジョン)でも放送されました。ハイビジョンの画質は現行最上位のものですので、当然画質で言いますとDVDソフトのものより良いということになります。

地上波デジタル放送では、それをフリーで観れてしまう訳ですから、結構凄いことです。そしてそれを1回限りであれば録画することまでも認められています。「コピーアットワンス」といって、CPRM(Content Protection for Recordable Media)という著作権保護技術に対応したDVDメディア<DVD-RAM・DVD-RW>であればその後のコピーは出来ませんが、最初の1回に限って録画出来るのです。
 ただしハイビジョンを現行のDVDメディアではそのままの画質で収録することは出来ませんので、お間違いないの無いように。DVDに録画は出来ても100%のクオリティではありません(ちなみに“D-VHS”というVHSの最上位規格であれば、専用デッキ&テープが必要になるものの、ハイビジョン放送のクオリティを落とすことなく録画出来るそうです。ただし今後は間違いなくメディアはテープからディスクへと完全移行してしまうのではないか?と思われますのでその普及度合は未知数ですが)。

そうなると、その点からも俄然注目されるのが豆知識でも何度も取り上げているBDとHD DVDの次世代大容量DVDメディアになるという訳なんですね。それはこれらの次世代DVDメディアであれば、映画ソフトとしてだけではなくハイビジョン放送をそのままのクオリティで録画出来るディスクメディアでもあるからです。
 ですが、それらが主流になる際には、コピーアットワンスもそうですが新メディアでの新しい著作権保護技術も必ず盛り込んでもらわなくてはいけませんし、私的録画補償金制度も含めて、かなりしっかりとしたものを再検討しなくてはいけないと思います。

でないと我々のような映像著作権者は、自分で自分の首を絞めるような事態にもなりかねないからです。それほどデジタル技術が進んでしまってきていますからね。映画ソフトと、ハイビジョンでの映画放送との差別化をどのようにしていくのか?など今後様々な問題が出てくる可能性があります。

 技術の進歩はいろいろと便利なことを我々にもたらしてくれますが、著作権者側からするとその権利をきちんとプロテクトしていくのが大変ですね。そんな意味でも今回のテーマの私的録画補償金制度のようなものが、今後もっと大事になってくるのかもしれません。

★参照HP
私的補償金制度に関する公式ページ
http://www.sarvh.or.jp/
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