皆さんはアカデミー受賞作品と聞いて、どんなことを思い浮かべるでしょうか。『風と共に去りぬ』('39)や『タイタニック』('97)などの作品?それともスティーブン・スピルバーグなどの監督?「話題のビデオ&DVをチェック」コーナーは、今回からもう少し幅が広がります!まずは2001年に74回目を迎えるアカデミー賞受賞作品の中からお薦めの作品をピックアップ。皆さんがよく知っている作品はもちろん、へーっと思うような意外作なども詳しく紹介していきますので、乞うご期待!! | ||||||||
■初めてオスカーを与えられた栄誉ある作品『つばさ』を徹底紹介! | ||||||||
毎年、華麗に着飾ったスターたちが押し寄せ、アメリカ映画界最大のイベントとなっているアカデミー賞、一体いつ創設されたか知ってますか?記念すべき第1回目のアカデミー賞授与式は、今からさかのぼって73年前の27年5月11日に行われました。その当時はテレビ中継もなく、今もハリウッドの大通りにあるルーズベルト・ホテルで、プライベートなディナー・パーティーのような形式でわずか200人だけが集まり、授賞式はたったの4分22秒で終わってしまいました。しかし、第25回からはテレビ中継もされるようになり、今ではアカデミー会員数も5000人を越え、最も華やかな映画祭として世界中から注目されています。
その晴れある第1回目のアカデミー作品賞受賞が、ウィリアム・A・ウェルマン監督の『つばさ』です。この作品は若い男女の恋のさやあてを軸に、第一次世界大戦下のヨーロッパ戦線で闘う米空軍の勇姿を描いた航空映画の大作。当時の人気役者が多数出演し、ヒロインのメアリー役クララ・ボウの魅力あふれる演技や、後に大スターとなるゲイリー・クーパーの端役出演、シルヴィア役のジョビナ・ラルストンが、この映画の相手役リチャード・アーレンとのちに結婚するなど、話題には事欠かない作品です。 田舎町育ちのジャック(チャールズ・"バディ"・ロジャース)は土地の富家の娘シルヴィア(ジョビナ・ラルストン)に恋するが、隣家のメアリー(クララ・ボウ)の彼への思いには気付かない。シルヴィアは実は名家の御曹子デヴィッド(リチャード・アーレン)と相思相愛の仲。やがてアメリカは参戦、奇しくも恋を競うこの好敵手同士が同じ飛行機隊に入った。共に戦う同志として友人関係を深めた2人はヨーロッパ戦線へ。やがて撃墜王として知られるようになった両者は、勲章を授与され、休暇でパリに出かける。ジャックはそこで自動車部隊に加わって彼を追ったメアリーに遭遇。が、したたか酔ってメアリーとは気付かなかった。前線に戻り、再びシルヴィアのことで仲違いしたジャックとデヴィッドはそのまま出陣するのだが……。彼らの運命はいかに?若い男女の恋の鞘当を軸に、第一次世界大戦下のヨーロッパ戦線で闘うアメリカ空軍の勇姿を描いた大作。 |
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■ウィリアム・A・ウェルマン監督の残した偉業とは? | ||||||||
ウェルマン監督は、社会性をもったメロドラマや、力強い活劇の佳作を作り続け、当時の映画界でも"一流"と言われる地位につきました。監督自身、第一次大戦ではパイロットとして従軍しており、その体験が強く反映された迫力の空中戦は見ごたえ十分。また、原作のジョン・モンク・ソーンダーズも元航空兵で、本作のアイデアを直接パラマウントに売り込んだとのこと。『つばさ』以後、ウェルマン監督は『空行かば』('28)、『翼の人々』('38)、『紅の翼』('54)といったいわゆる航空映画を得意とする作家としても認められています。本作は効果音と音楽が入った"サウンド版"無声映画で、上映の際、スペクタクル画面になると、スクリーンの両端が左右に開いてワイドスクリーン化する"マグナスコープ"が用いられています。
ウィリアム・A・ウェルマン監督プロフィール:1896年2月29日マサチューセッツ州ブルックリン生まれ。デビュー作は『命を的に』('23)、 代表作は『G・Iジョウ』('45)、『戦場』('49)、『スタア誕生』('54)、『特攻決死隊』('58)など。合わせて80本以上の作品を残した。75年12月9日カリフォルニア州ロサンゼルスにて死去。 |
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今さら人に聞けない名作 アーカイブ 『つばさ』