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■切れのある作品を生み出す秘密がここに!スポティスウッド監督のすべて |
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映画、TV、CMとどんなジャンルもこなし、監督、編集、脚本、プロデューサーとして勢力的に活動を続ける才人、ロジャー・スポティスウッド。その上関わった作品ジャンルは多岐に渡る。ドキュメンタリー、シリアスドラマ、アクション、コメディ、スリラー…。『トゥモロー・ネバー・ダイ』('97)でも自身の才能を遺憾なく発揮し、切れのあるアクションで観客の度肝を抜いた。そんな何でもござれのマルチ・ディレクターがスパイアクション映画に続いて挑戦するのは、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の『シックス・デイ』だ。このアクション大作にいたるまでのスポティスウッド監督の全てに迫る! |
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■あの伝説的な作品に携わる!?スポティスウッド監督の修行時代から『007』まで |
43年にイギリスで映画理論家レイモンド・スポティスウッドの息子として生まれる。19歳の時、『Georgy Girl』('66)というコメディ作品で編集者としてデビューした後、イギリスのコマーシャルやドキュメンタリー作品の編集で有名になった。70年にアメリカに移住し、衝撃的なバイオレンス作品であるサム・ペキンパー監督の『わらの犬』('71)や、同じくペキンパー監督、スティーブ・マックイーン主演の『ゲッタウェイ』('72)の編集にも携わる。監督としてのデビュー作は、ジェイミー・リー・カーティス主演のサスペンス映画の秀作『テラー・トレイン』('80)。このほか、『ターナー&フーチ すてきな相棒』('89)やメル・ギブソン主演の『エア★アメリカ』('90)などを監督。編集出身だけに小気味いいテンポの娯楽作を作ることを得意としており、その集大成とも言える作品が、ピアース・ブロスナンがジェームス・ボンド役を演じる『トゥモロー・ネバー・ダイ』だ。テレビドラマでいくつも印象的な作品を残し、『運命の瞬間(とき)/そしてエイズは蔓延した』('93)では94年度エミー賞優秀テレビ映画賞も受賞している。 |
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■ コメディからサスペンス、アクション映画までこなす多芸多彩な監督 |
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■今世紀最後のスーパー・ツイスター・アクション映画を手がけるスポティスウッド! |
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スポティスウッド監督の最新作は、なんとあのシュワルツェネッガー主演のスーパー・ツイスター・アクション映画、『シックス・デイ』だ。『トゥモロー・ネバー・ダイ』で目を見張るようなカー・チェイス、バイク・アクションを見せた監督の技が『シックス・デイ』でも十分見られるぞ!
ヘリコプター・パイロット、アダム・ギブソン(シュワルツェネッガー)が帰宅すると、そこには自分と生き写しの人間が。やがて彼は暗殺チームに命を狙われるようになる。アダムは果たして自分自身を取り戻す事が出来るのか? |
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いまだかつてないストーリー展開、想像を絶するテクノロジー進化の世界、そしてたたみかけるような強烈なアクション!何と『シックス・デイ』には1億2000万ドルという巨額の製作費が投入されている。こんな大作を任されてしまうのだから、スポティスウッド監督の力量がどれほどのものであるか察することができるだろう。これ以外の新作はボブ・ホスキンス主演のヒューマン・コメディ、『Noriega: God's Favorite』('00・TV)と『The Devil's Pale Moonlit Kiss 』('00)。 |
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■作品&コメントに見るスポティスウッド監督の映画テクニック! |
若いときから大物監督の元で修行し、様々なジャンルの作品をこなしてきたスポティスウッド監督。彼は手がける作品が大作であっても小さなものでも、その作品をどうコントロールすべきか知っている監督だ。製作、監督、脚本もこなし、小作品から娯楽超大作までを次々観客に提供しつづける。しかし何と言ってもスポティスウッド監督の作品の持ち味は、若くして培った切れのある編集力にある。
例えば監督デビュー作の『テラー・トレイン』('80)は、極寒の山間部を走る寝台列車に殺人鬼が徘徊するというサスペンス。仮装パーティーというシチュエーションもあいまって、誰が犯人だか分からない徹底した恐怖演出で押しまくり、見る者の不安をより一層かき立てるその演出テクニックには舌を巻く。犯人の意外性もあって、作品の持つテンポの良さと余韻を残すラストが見事な作品だ。 |
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アメリカのTV版アカデミー賞といわれるエミー賞を受賞した、『運命の瞬間(とき)/そしてエイズは蔓延した』('93)では、監督の医学倫理的な考えが作品に顕著に現れた作品だ。現代のペストと言われるエイズを研究しつづけた医者や学術者のコメントをもとに、エイズという未知の病が世界中に広がって行った様子を丁寧に描いたTV映画だ。『トゥモロー・ネバー・ダイ』('97)といったアクション大作も作りつつ、綿密なリサーチをかさねたドキュメンタリードラマも手がける多才な監督なのだ。
ちなみにこの映画にはマシュー・モディーン、リチャード・ギア、アンジェリカ・ヒューストンといった超大物俳優が大挙出演している。こういった重厚な作品でハリウッドスターたちを演出するのも監督のテクニックのひとつといえよう。『シックス・デイ』でも、シュワルツェネッガーを始め、マイケル・ルーカー、ロバート・デュバル、サラ・ウィンターといったそうそうたる役者が出演しており、監督が彼らをどんな演出で見せるのかも楽しみだ。
『シックス・デイ』は、いつものシュワルツェネッガー映画とは違う、とスポティスウッド監督。「これは現代の医学倫理を問う作品なんだ。"自分の複製"は自分とは違う存在なのか?魂はどうなのか?といったことをね」
どんな映画にも意欲的に取り組むスポティスウッド監督。『シックス・デイ』も一口にアクション映画とは括れない、人間ドラマ的な作品に仕上がることは間違いない。そして今後どういった作品を繰り出してくるのか、監督の次の動きにも注目しよう! |
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