■アカデミー賞をも受賞したコメディエンヌ、ハントの才能を徹底分析!
 人気TVドラマ『Mad About You』('92~)でコメディエンヌぶりを発揮し、97年にジェームス・L・ブルックス監督の『恋愛小説家』で、『タイタニック』のケイト・ウィンスレットを押さえてアカデミー賞主演女優賞に輝いたヘレン・ハント。その後、様々な話題作に出演し、いまや押しも押されもせぬ女優のひとりとして引っ張りだこ状態だ。数々の映画賞にも輝く才気溢れる彼女の魅力に迫る!

 63年6月15日、カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。本名ヘレン・エリザベス・ハント。父は演出家のゴードン・ハント。9歳の頃から子役としてTVシリーズなどに出演。映画デビューは77年の『ジェット・ローラー・コースター』。その後、『ペギー・スーの結婚』('86)、『君がいた夏』('88)、『ウォーターダンス』('91)、『オンリー・ユー』('91)、『ボブ★ロバーツ』('92)、『死の接吻』('95)、『ツイスター』('96)などに出演。アメリカNBC局の大ヒット・コメディドラマ『Mad About You』のジェイミー・ブックマン役が高く評価され、エミー賞主演女優賞を4回獲得、ノミネートも合わせて7度を数える。この作品では自らプロデューサー、監督も経験した。続いてジャック・ニコルソンと共演した『恋愛小説家』でアカデミー賞主演女優賞を獲得。この作品では、ゴールデングローブ賞、映画俳優ギルド・アワード、アメリカン・コメディ・アワードなども受賞した。新作は『キャスト・アウェイ』(00)、『ペイ・フォワード 可能の王国』などがある。99年に、アニメ『ザ・シンプソンズ』('89~)で声の共演をしたハンク・アザリアと結婚するも、00年12月に離婚した。

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■最高の笑顔を振りまくコメディの女王、ヘレン・ハントの出演作は?
 コメディエンヌとして最高の笑顔を見せてくれるハント。このコーナーでは、そんな彼女の意外な一面も見られる出演作品を徹底的にチェック!

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■メル・ギブソンと夢の共演!ハントのコメディエンヌぶりがじっくり堪能できる!!
 ハントの新作は、メル・ギブソンと共演した『ハート・オブ・ウーマン』。ハントがコメディエンヌとしての才能を遺憾なく発揮している作品だ。ハントが演じるのは広告代理店で働くキャリア・ウーマンの役。仕事をバリバリこなすワーキング・ウーマンの切ない心の内を繊細に演じている。どんな話なのかストーリーをちょっぴり紹介しよう。

 シカゴのとある広告代理店。ライバル社から引き抜かれてきたダーシー(ハント)に切望していたポストを奪われたニック(ギブソン)は、ちょっとした事故がきっかけで全ての女性の心の声が聞こえるようになる。それによって、目下最大のライバルであり他人に絶対弱みを見せないダーシーの思いを聞いてしまったニックは、驚くほどに純粋で繊細な彼女の本当の姿を知ってしまう。一方、ニックの能力のことなど知らない彼女は、不思議なほど自分の気持ちを分かってくれる彼に惹かれ始めるが…。 この作品は2月2週目現在も、全米興行成績で7週連続トップ10入りしている超話題作だ。
 この他のハントの新作には、トム・ハンクス主演のアドベンチャー・ドラマ、『キャスト・アウェイ』('00)、ケビン・スペイシー、ハーレイ・ジョエル・オスメントと共演の心温まる物語、『ペイ・フォワード 可能の王国』('00)、ロバート・アルトマン監督のロマンス・コメディ、『Dr. T and the Women』('00)、 ウディ・アレン監督の『The Curse of the Jade Scorpion』('01)、アン・へシュ、マイク・マイヤーズと共演したコメディ、『Timepiece』('01)などがある。

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■これまでの経験とコメントを通して、ハントの女優人生を探る
 小さい頃から芸能界に親しみ、TV作品も映画も同様に役を楽しむハントは、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、エミー賞など、映画、TVの最高の栄誉ある賞を総なめにしたラッキーな女優。そんな彼女だが、実際目の前にすると、控えめでどこにでもいる普通の女性に見えるという。しかしひとたび演技をすればどんな役柄にもたちまちぴたりとはまってしまう、素晴らしい才能の持ち主なのだ。 オスカー受賞女優だからといって心おごる事もなく、今までとは違う難しい役にも挑戦している。コメディエンヌとしての印象が強いハントだが、『ペイ・フォワード 可能の王国』では、ストリップ劇場のウェイトレスをし、いつもきついメイクをしているアルコール中毒の母親アーリーン役を演じている。なんと彼女は実際にストリップ劇場にリサーチに行ったそうだ。こうしたリサーチ重ねることによってアーリーンの心の奥深くにあるものを理解し、複雑な心境の役柄を演じることができたと言う。

 強い信念をもちながらも悩みは尽きず、傷つくのが恐いけれど愛されたい…。『恋愛小説家』のキャロル役も、『ハート・オブ・ウーマン』のダーシー役も、微妙に揺れ動く女性の心理を的確に捉えた演技で人々の心をグッとつかんだ。ハントが演じる役のリサーチを決して怠らないというのもうなずける。まるでその役の人物がハントそのものであるかのように思えてくるから不思議だ。しかし、時に彼女はそのリサーチをあえて捨て、まっさらの状態で演技にのぞむこともあるという。一緒に演技をする相手に対して、実は何の飾り気もない状態で対峙するのが役者としてベストなのではという考えもあるからだ、と語る。リサーチは必要だが、ハントのようにそれをあえて捨てることによって役にリアルさが増すのは間違いない。なぜなら人間は心や感情を無理やり作りだして生きているわけではないからだ。彼女はそれを証明した。

 『恋愛小説家』のジェームズ・L・ブルックス監督はハントのことを、将来、様々なタイプの女性を演じ分けられるキャサリン・ヘプバーンのような女優になる、と手放しで誉めている。次回作はいったいどんな役を演じるのだろうか。彼女の更なる活躍に期待したい。



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