SIMON WEST
 ドラマもアクション映画もお手のもの! サイモン・ウェスト監督のすべて
 若干36歳にして、ハリウッド・メジャー作品を演出したサイモン・ウェスト監督。ニコラス・ケイジ主演の『コン・エアー』('97)や『将軍の娘 エリザベス・キャンベル』('99)などのヒット作を生み出している気鋭の監督です。今回の「ちょっと気になるこのスター」コーナーでは、新作『トゥームレイダー』(01)の演出も手掛けたイギリス出身のサイモン・ウェスト監督を紹介します!
 1961年、ウェスト監督はイングランドのハートフォードシャイア出身。1981年からロンドンのTV局BBCで4年間の活躍を経て、フリーの監督として独立します。この間に手掛けた作品はドキュメンタリー・シリーズの『Strangeways Prison』やドラマシリーズ『Black House』などがあり、この2つの作品はBAFTA(英国アカデミー・フィルム&テレビジョン・アワード)賞に輝いています。1985年、ウェスト監督は急成長を遂げたイギリスのポップ・ビデオCM会社“ライムライト・ロンドン”で活躍。1987年、スイスで行なわれたモントルー・ミュージック・フェスティバルで最優秀ビデオ賞を獲得しました。
 これを機にアメリカ、ヨーロッパで引く手あまたのCM監督のひとりとなったウェスト監督は、1991年ロサンゼルスに移り、翌1992年、パイロット・ピクチャーズに移籍してCM界で活躍。毎年ニューヨークで行われる国際的なCMコンクールであるクリオ賞や、カンヌ映画祭金獅子賞を受賞。1993年にプロパガンダ・フィルムズに入り、マクドナルド、フォード、ミラー・ビール、バドワイザーといった有名企業のコマーシャルを次々と演出。1997年にハリウッド入りし、ニコラス・ケイジ、ジョン・マルコヴィッチ、ジョン・キューザックらが出演したアクション大作『コン・エアー』で映画デビューを飾りました。ジョン・トラボルタ主演の『将軍の娘 エリザベス・キャンベル』('99)の演出も果たし、それぞれアメリカ国内だけでも1億ドル以上の興行成績を超えるヒットに導いています。


■VIDEO&DVDでチェック! ウェスト監督の才能
CM界で実力をつけ、ハリウッドに進出したウェスト監督の才能とは?
 イギリス時代からTV番組やCM界で活躍し、全米のみならず世界中にその才能を知らしめてきたウェスト監督。彼の才能を過去の作品から探ってみましょう!


■『コン・エアー』 ('97)
97年アカデミー主題歌賞(ダイアン・ウォーレン“How Do I Live”)、音響賞ノミネート作品。妻(モニカ・ポッター)を守るために誤って殺人を犯してしまった軍人のキャメロン・ポー(ニコラス・ケイジ)。8年の刑期を終え、晴れて愛する妻と子の待つ家へ向かう彼に新たな悪夢が襲いかかる。乗り合わせた連邦保安局の護送機“コン・エアー”が、史上最悪の凶悪犯によってハイジャックされたのだ。地獄と化した機内で、キャメロンの命を賭けた懸けた孤独な闘いが始まる…。ジョン・キューザック、ジョン・マルコヴィッチ、スティーヴ・ブシェーミ共演。

発売元:パイオニアLDC
価格:¥4,700(税抜)orレンタル


■『将軍の娘 エリザベス・キャンベル』 ('99)
ネルソン・デミルのベストセラー小説「将軍の娘」をジョン・トラボルタ主演で映画化。ジョージア州陸軍基地で、女性士官の全裸絞殺死体が見つかった。被害者は次期大統領候補とも言われているキャンベル将軍(ジェームズ・クロムウェル)の娘エリザベス(レスリー・ステファンソン)。事件は内部の犯行と思われ、軍犯罪捜査部の捜査官ポール・ブレナー(トラボルタ)とサラ・サンヒル(マデリーン・ストウ)は捜査を開始、犯人を追う。しかし次第にエリザベスの「もうひとつの顔」が見え始め、やがて基地の中の意外な事実も明るみに…。


発売元:CIC・ビクター・ビデオ
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■最新映画でチェック! ウェスト監督の新境地
サイモン・ウェスト監督の新作は、アンジェリーナ・ジョリー主演の全米No.1ヒット作品
 サイモン・ウェスト監督待望の新作は、全世界で2,400万本以上の売上を記録している人気ゲームの映画化『トゥームレイダー』。世界最強のサイバー・ヒロイン“ララ・クロフト”が活躍するアクション・アドベンチャーで、ララに扮するのは『17歳のカルテ』('99)でアカデミー助演女優賞を受賞した、今もっとも注目度の高い女優アンジェリーナ・ジョリー。
 監督は始めこの作品を演出するのを断ったそうですが、アンジェリーナがララ役をやると聞いて、彼女が引き受けるならと、監督する意思を固めたといいます。ユーモアとウィットに富み、才能豊で正義感の強いララという役を演じられるのはアンジェリーナしかいないと考えた監督の考えは的中しました。彼女は今までにないほどハードなトレーニングを積んで、監督の要求する厳しいアクション・シーンに応えています。
 また、極寒のシベリアのシーンは、実際はアイスランドで撮影されたとのことですが、監督の好きな箇所のひとつだそう。光が反射する広大な氷河で撮影するというのがお気に入りと語っています。ただ、船が転覆するというアクシデントに見舞われ、ウェスト監督は「まるでタイタニック号のようだった」と感想を述べています。そんなきわどいところもあった撮影ですが、CGIもふんだんに使ったカンボジアでの戦闘シーンは「リアルな感じでしょ?」と満足げです。
 ウェスト監督の新作は、SFミステリー作品『The Prisoner』(02)など。プロデュース作品には、リドリー・スコット監督、ジョシュ・ハートネット、ユアン・マクレガー、トム・サイズモア共演の戦争ドラマ『Black Hawk Down』(02)が待機中です。


■ここもチェック!? ウェスト監督のあれこれ
作品などに見る、ウェスト監督の才能とは?
 リドリー&トニー・スコット、ガイ・リッチー、ダニー・ボイル…。イギリス出身の彼らは、本国でめきめきと頭角を現し、ハリウッドに進出していった監督たちです。『リトル・ダンサー』(00)がヒットし、アカデミー監督賞にもノミネートされたスティーヴン・ダルドリー監督も、次回作でメリル・ストリープ、ニコール・キッドマン、エド・ハリス、トニ・コレットら、そうそうたるメンバーとともに作品を作るまでに至っています。
 そんなイギリス出身の監督の中でも、最もハリウッドらしい作品を撮り続けているのがサイモン・ウェスト監督でしょう。『トゥームレイダー』はニコラス・ケイジ主演の『コン・エアー』に勝るとも劣らない激しいアクションの連続! ウェスト監督の観客を飽きさせない演出テクニックは一体どこから来ているのでしょうか?
 CM界で才能を開花させたウェスト監督。日本でもそうですが、CMは短い時間の中でインパクトのある映像を凝縮して伝えるという大前提があります。実際のCM撮影はかなり大掛かりで、携わるスタッフも大変多いのが特徴です。監督は自分の演出意図をスタッフや演技者に的確に伝え、短い時間でそれをまとめる能力が必要とされます。ウェスト監督がこの能力に長けていることは、CMの世界で何度も賞を取っていることをみてもお分かりいただけると思います。この才能をハリウッド映画の世界で試そうと思うのも当然でしょう。
 ベストセラー小説を映画化した『将軍の娘 エリザベス・キャンベル』では、一筋縄ではいかない米軍内部の殺人捜査の展開を、ツボを押さえた演出によってじわじわと確かめていく…といった一級のサスペンス作品に仕上げることに成功しました。

 新作の『トゥームレイダー』では、始めに書かれた草案をもっと良くするために様々なアイデアを出したというウェスト監督。今までにないような新しい映画として“ララ・クロフト”を生み出したかったとのことですが、どんなアイデアが盛り込まれているのかは映画を観てのお楽しみ。 もちろん、今後ウェスト監督がどういった作品を作るのかも期待大! ですね。


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