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　IAIN GLEN

　英国出身のスター、イアン・グレンってどんな俳優？　その魅力を徹底チェック！

　英国出身で、ハリウッドでも活躍している俳優はたくさんいますよね。大御所ではショーン・コネリー、アンソニー・ホプキンスなど、中堅どころでは、ゲイリー・オールドマン、ユアン・マクレガー、ティム・ロス、ヒュー・グラント、ジュード・ロウなど…。でもまだまだ知られていない魅力ある俳優もたくさんいるのです。今回はそんな中でもちょっと渋めの演技派スター、イアン・グレンをご紹介しましょう。

　グレンは1961年６月24日、スコットランド、エディンバラ生まれ。エディンバラ・アカデミーとアバディーン大学を卒業し、ロイアル・アカデミー・オブ・ドラマティック・アート(RADA)でも演技を学んで、1986年に最も優秀な学生に贈られるバンクロフト・ゴールド・メダルを受賞しました。ちなみにこの賞は、シェイクスピア劇などでお馴染みのケネス・ブラナーも獲得しています。舞台ではシェイクスピアはもちろん、ミュージカルなどもこなしました。TV番組などにも出演していますが、特に舞台では数々の賞を受け、評判になった「The Blue Room」のロンドン公演ではニコール・キッドマンの相手役を務めています。

　主な映画出演作は『愛は霧のかなたに』('88)、『愛と野望のナイル』('90)、『ウエルカム・トゥ・サイゴン』('92・TV)、ハーヴェイ・カイテル出演の『プレイデッド』('93) 、東京国際映画祭出品作『マラリア』('98)など。女優のスザンナ・ハーカーと結婚し、息子がひとりいます。

■VIDEO＆DVDでチェック！　イアン・グレンの才能

舞台俳優だからこそ出来る変幻自在な演技！　イアン・グレンの才能をチェック

　舞台俳優として、また映画人として地道に俳優歴を積み重ねてきたグレン。彼の代表作をビデオ＆DVDで確認してみましょう。

■『ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ』('90)

英国で活躍するチェコ出身の脚本家トム・ストッパードの監督デビュー作。シェイクスピアの「ハムレット」に端役で登場し、“ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ”という台詞だけで片づけられるハムレットの学友ふたり(ゲイリー・オールドマン、ティム・ロス)を主人公に据え、「ハムレット」の裏にどんな出来事が起こったかを推測し、奇想天外な物語を展開させていく。ベネチア映画祭金獅子賞を受賞。グレンはハムレット役を演じている。

DVD発売元：ポニー・キャニオン
価格：￥4,700円(税抜)orレンタル

■『愛は霧のかなたに』('88)

アカデミー賞５部門ノミネート作品。絶滅の危機に晒されているマウンテン・ゴリラに興味を持ったダイアン・フォッシー(シガニー・ウィーバー)は中央アフリカに向かう。しかし同行してくれると思っていた博士は他地域へ行ってしまい、ダイアンはゴリラについてはずぶの素人の現地人ガイドと調査を開始する。いくつかの困難に見舞われたものの、ついにはゴリラの研究センターを開設するまでに至る。しかしゴリラ密猟の事実が判明し、密猟者を止めようと過激な行動を取るが、そこで悲劇が起こる…。グレンは本作でハリウッド映画デビュー。

発売元：ワーナー・ホーム・ビデオ

■最新映画でチェック！　グレンの新境地

イアン・グレンの新作は、アンジェリーナ・ジョリー主演のアクション・ムービー！

　グレンの新作は、全世界で2400万本以上の売上を誇る人気同名ゲームの映画化作品、アンジェリーナ・ジョリー主演の全米大ヒット作『トゥームレイダー』(01)。グレンはアンジェリーナ扮するララ・クロフトの宿敵マンフレッド・パウエルを演じ、英国紳士的な物腰だけれど憎々しげな態度でララを執拗に威嚇し、追い詰めて行きます。ナイフなどの刃物を使った激しいアクションもこなしました。

　何を隠そう、グレンはロイアル・アカデミー時代、バレエや歌などよりも剣や刃物に夢中だったそうで、課外活動では自らいろいろな種類の剣を用意していったとのこと。『トゥームレイダー』では、グレンの手にぴったり合ったナイフを作ってもらい、撮影の合間にもスピニング(くるくるまわすこと)をしょっちゅうやっていたそうです。ちなみにララ役のアンジェリーナの趣味は、ナイフのコレクション。ララとは相性が悪くても、アンジェリーナとは趣味があうのかもしれません。

　次回作ではイギリス作品のドラマ『Gabriel & Me』(01)で主役を演じており、英語で製作されるスペインのホラーミステリー『Darkness』(01)では、『ピアノ・レッスン』('93)のアンナ・パキン、『ハンニバル』(01)のジャンカルロ・ジャンニーニ、『蜘蛛女』('93)のレナ・オリンといった多彩な顔ぶれの役者たちと共演しています。

■ここもチェック！？　イアン・グレンのあれこれ

作品やコメントに見る、グレンの俳優人生とは？

　グレンは生粋の英国人俳優で、『トゥームレイダー』以前にもハリウッド作品には出演していますが、あまり大きな作品には出ていません。このマンフレッド・パウエル役でハリウッドに大きく出たといってもいいでしょう。

　しかし彼は演技を大切にしているようで、『トゥームレイダー』に出演したのも、悪役という、俳優ならば演じてみたい役柄のひとつであったのと、彼の好きな“刀”を扱える作品だったからともいえます。インタビューでも、ロイヤル・アカデミーで一緒に学んでいたレイフ・ファインズ(『シンドラーのリスト』('93)、『イングリッシュ・ペイシェント』('96)など)と一緒にしょっちゅう剣の稽古をしていたと語っています。しかしやはり彼の大切なものは演技のよう。そうでなければロイヤルを首席で卒業することはできないでしょう。

　『マラリア』という作品でグレンは主人公マラリアが恋に落ちる相手、地質学者のベルトランを演じました。アントニオ・ベタンコル監督は、「ロンドンでイアン・グレンに会った。彼は地質学者が持つ魅力を全て備えており、しかもロケ地のランサロテに何度も行ったことがあったので、その経験が素晴らしく生きている」と語っています。

　デビッド・ハイマン監督、ビル・ビーチ脚本、ロバート・カーライル共演の『沈黙の叫び』('90)で、グレンは『ドライビング・ミス・デイジー』('89)のモーガン・フリーマンと並んでベルリン映画祭主演男優賞を受賞しました。この作品は、グレン扮するラリー・ウィンタースという実在の終身禁固刑の囚人が、絵画という芸術活動を通して心の落ち着きなどを取り戻す…という内容。実際にグラスゴーで行なわれた実験をモチーフに描かれています。メジャー作品にとどまらず、このように非常に難しくまたやりがいのある役柄をこつこつと演じているのは、生真面目な英国人気質ともいえるのでしょうか。

　グレンは今年の２月にアルツハイマー・スコットランドというエジンバラのチャリティー基金に100,000ポンド(約1,700万円)を寄付しました。こうした活動もふまえて自身の行くべき道をしっかりと踏まえて進んで行くグレン。今後どのような作品に出演するのでしょう。舞台出演作なども興味深いところです。

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