ROBERT REDFORD
 俳優、監督、若手育成など、あらゆる分野で才能を発揮する、ロバート・レッドフォードの魅力に迫る!

 長年に渡ってトップ・スターの座をキープし続けてきたロバート・レッドフォード。大人の男の魅力たっぷりに多くの女性たちを魅了してきたことは言うまでもない。70年代からのレッドフォードの俳優としての活躍はめざましく、あらゆる傑作映画に出演、その人気を不動のものにしてきた彼だが、そのほかに、サンダンス・インスティテュートの主催者としても有名である。映画製作や映画の未来を担う若手映画人の育成に力を注ぐなど、映画界全体に関わるキーパーソン的存在になったレッドフォードの多彩な才能に迫ります。
 1936年8月18日アメリカ・カリフォルニア州サンタモニカ生まれ。本名はチャールズ・ロバート・レッドフォード・ジュニア。レッドフォードはまだ幼少の頃に母親を亡くし、牛乳配達からスタンダード石油の重役にまで登りつめた父親(チャールズ)のもとで育つ。仕事に明け暮れる父親の男手一つで育てられた為、レッドフォードは孤独な子供時代を過ごさなくてはならなかった。そしてヴァン・ナイス・ハイスクールを卒業しコロラド大学へ進学したが、一年足らずで中退。その後、絵画を学ぶ為ヨーロッパに渡り、13ヶ月の放浪生活ののち帰国する。そしてヨーロッパ滞在中に出会ったローラ・ヴァン・ワンジメンと58年に結婚した。それから、舞台美術勉強の為、アメリカ演劇アカデミーに入学したが、演技することに興味を持ち役者を志願。59年の「Tall Story」で通行人の役としてブロードウェイの舞台にデビューするが全く売れず、しばらくの間、生活をローラ夫人の銀行勤めに頼っていた。

 レッドフォードの名が売れ出したのは、61年のブロードウェイ「Sunday in New York」で注目されるようになってから。そして62年の『戦場の追跡』で遂に映画デビューを果たす。この映画で知り合ったシドニー・ポラックと意気投合、親友になったレッドフォードは、後に監督に転向した彼の作品『大いなる勇者』('72)や『追憶』('73)などで主役を演じることになる。63年に主演したブロードウェイの「Barefoot in the Park」が成功を収めたことで、同作の映画化の企画が持ちあがり、67年に「Barefoot in the Park」の映画版『裸足で散歩』に出演し、徐々に人気を集めていった。レッドフォードの人気を決定的にしたのは69年の『明日に向って撃て!』への出演である。レッドフォードは、このときの出演料でユタ州コロラドの山中に土地を買いサンダンス・プロを設立、自ら映画製作にも乗り出す。それは後の、映画人育成の為の機関“サンダンス・インスティテュート”の母体である。そして、69年にサンダンス映画第1号となる、レッドフォードの初監督作『白銀のレーサー』を製作するが、こちらはヒットに至らなかった。
 続く70年代は、『お前と俺』('70)、『ホット・ロック』('71)、『候補者ビル・マッケイ』('72)など、多くの作品で主役を獲得、そして73年の『スティング』でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるなど、映画スターとして華々しい時代を送る。同時にサンダンス・インスティテュートの運営にも精を出し、80年には監督を務めた『普通の人々』でアカデミー賞監督賞とゴールデン・グローブ監督賞を受賞、監督としてメジャー・デビューを果たす。その後は、『ナチュラル』 ('84・出演)、『愛と哀しみの果て』 ('85・出演)、『リバー・ランズ・スルー・イット』 ('92・監督/製作総指揮) など多くのヒット作に携り、また94年に監督・製作を勤めた『クイズ・ショウ』でアカデミー賞の監督、助演、男優、脚色の4部門にノミネートされている。それからも『アンカーウーマン』('96・出演) 、『モンタナの風に抱かれて』('97・監督/製作/出演) 、『バガー・ヴァンスの伝説』(00・監督/製作)など、監督/製作と俳優の双方で幅広い活躍をみせる。
 私生活では、ローラ夫人との間にショーナ、エイミー、ジェームス、スコットの二女ニ男をもうけるが、88年に離婚している。


■VIDEO&DVDでチェック!レッドフォードの演技力&演出
大スターであり、また監督の才もあるレッドフォードの演技&演出を作品でチェック!!

 俳優としてのレッドフォードは、常にトップ・クラスに位置付けられてきたが、その一方で映画製作にも力を注いでいる。初監督でアカデミー賞を受賞するという快挙を成し遂げ、以後、監督・制作・制作総指揮にとその才能を惜しみなく発揮するレッドフォードの魅力を作品でチェック!!


■『アンカーウーマン』('96)
 テレビ局を舞台に、キャスターを夢見るひとりの女性が愛と仕事を手に入れていく姿を描く。アンカーウーマン(=女性キャスター)を夢見るタリー(ミシェル・ファイファー)はマイアミの小さなTV局に雑用係として入社する。そこで出会ったプロデューサーのウォーレン(レッドフォード)のもとで、立派なアンカーウーマンへと育っていく。ともに仕事をしていくうちに二人の間に恋も芽生え、すべてがうまく進んでいた。そんな時、ある“ニュース”が飛びこんできて・・・。ミシェル・ファイファーとレッドフォード、この二大花形スターの共演が話題を呼んだラブ・ストーリー。凄腕プロデューサー役を演じるレッドフォードは大人の魅力たっぷり。

発売元:パイオニアLDC
DVD価格:¥6,000(税抜)orレンタル


■『愛と哀しみの果て』('85)
 壮大なアフリカの自然を舞台に、愛と冒険に生きたひとりの女の半生を描いたラブ・ロマンス。シドニー・ポラック監督がアイザック・ディネーセンの「アフリカの日々」を映画化、アカデミー賞7部門を受賞した。スウェーデン貴族と結婚し、アフリカへ移り住んだデンマーク人の令嬢カレン(メリル・ストリープ)だが、結婚生活はうまくいかず、農場経営も滞るいっぽう。そんな中、サファリのガイドを務める冒険家デニス(レッドフォード)と出会い、恋に落ちるが…。シドニー・ポラック監督とは『雨のニューオーリンズ』や『追憶』などでともに仕事をしてきた仲で、十分お互いのことを知り合っているだけに息もぴったり。映画作曲家ジョン・バリーの哀切あふれる音楽とケニアの大自然を背景に、レッドフォードの甘い演技が冴える。

発売元:CIC・ビクタービデオ
ビデオ価格:¥3,689(税抜)orレンタル


■『ナチュラル』('84)
 神童と呼ばれた天才野球少年の姿を描いた野球ドラマ。大リーガーとして将来を期待された少年ロイ(レッドフォード)は負傷の為、遅ればせのメジャー入団を余儀なくされる。弱小チームのニューヨーク・ナイツに入団した彼は代打で素晴らしい活躍を見せ、一夜にしてナイツのスター選手になる。ロイの活躍でナイツは優勝を決めるプレイオフを迎えるが、彼の昔の傷は悪化し、そのうえ八百長試合で負けることを強要される…。高校時代には野球をしていたレッドフォードが、アメリカの夢を体現する素朴で誠実なヒーローを熱演、感動的なラストシーンは見事。

発売元:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
ビデオ価格:\2,980(税抜)orレンタル


■『普通の人々』('80)
 レッドフォードの監督デビュー作。ごく普通の家庭が次々起こる事件によって次第に崩壊していく様子を描いた人間ドラマ。アメリカのとある中流階級の4人家族、事なかれ主義の弁護士の父カルビン(ドナルド・サザーランド)、優等生の兄を溺愛する母ベス(メリー・タイラー・ムーア)、そしてコンプレックスに悩む次男コンラッド(ティモシー・ハットン)。兄の事故死がきっかけで一家はがらりと変わってしまう…。家族のあり方について真剣に考えさせられるシリアスな内容。レッドフォードの人間感情の緻密な描写が好評を得て、初監督にしてアカデミー賞監督賞、ゴールデングローブ作品賞(ドラマ部門)、監督賞を受賞。

発売元:CIC・ビクタービデオ
ビデオ価格:\3,689(税抜)orレンタル


■『スティング』('73)
 『明日に向って撃て!』に続いてレッドフォードが再びポール・ニューマン、ジョージ・ロイ・ヒル監督と組んだ大衆娯楽映画の傑作。マフィアを欺く2人の詐欺師の華麗なテクニックを描いた物語。二転三転するテンポのよいストーリー展開の後には、驚嘆のラスト・シーンが待ち受ける。マフィアに仲間を殺された若い詐欺師フッカー(レッドフォード)は、ベテラン詐欺師ゴンドーフ(ポール・ニューマン)と組み、組織のボス、ロネガン(ロバート・ショー)を相手に一世一代の大仕事を打って復讐を果たす…。名優たちの華麗で巧みな名演技は必見、その年のアカデミー賞を7部門を独占した。レッドフォードは、ポール・ニューマンと再度コンビを組んで大物詐欺師を演じ、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。

発売元:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
DVD価格:¥3,800(税抜)orビデオレンタル


■『明日に向って撃て!』('69)
 レッドフォードの名を世界に広めた、ハリウッド傑作西部劇。1890年代のアメリカの西部を舞台に、2人の強盗の逃亡劇をときにはユーモラスに、ときにはリリカルに描く。監督はのちに『スティング』でも組むことになる、名匠ジョージ・ロイ・ヒル。それまでの映画にあった強く正しいヒーローではなく、精神的にも肉体的にも弱い等身大の人間が主人公になった新しいタイプの西部劇を作り出した。レッドフォードは初共演のポール・ニューマンと共にアウトローをクールに演じる。また、劇中で使われたバート・バカラックの「雨にぬれても」は映画史に残る名曲になった。

販売元:20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント
DVD価格:\3,980(税抜)or ビデオレンタル


■『裸足で散歩』('67)
 ブロードウェイで大ヒットしたニール・サイモンの戯曲「Barefoot in the Park」をジーン・サックス監督が映画化した、新婚夫婦の生活風景をユーモアたっぷりに描くラブ・コメディ。明るくて楽しいことが大好きな新妻コリー(ジェーン・フォンダ)は新婚生活に大張り切り。しかし、真面目で常識的な夫のポール(レッドフォード)にとっては妻のあれこれに振り回されっぱなしのトラブルに満ちた新婚生活だった。レッドフォードは舞台に引き続き映画でも同じ役で出演、売れはじめの頃のレッドフォードの初々しい演技は必見。

販売元:CIC・ビクタービデオ
DVD価格:\4,700(税抜)or ビデオレンタル


■その他のVIDEO&DVD作品
『夕陽に向って走れ』 ('69・出演) 『お前と俺』('70・出演)『候補者ビル・マッケイ』 ('72・出演)『大いなる勇者』 ('72・出演)『追憶』('73・出演) 『華麗なるギャツビー』 ('74・出演)『コンドル』 ('75・出演)『華麗なるヒコーキ野郎』 ('75・出演)『大統領の陰謀』 ('76・出演)『遠すぎた橋』('77・出演)『夜霧のマンハッタン』 ('86・出演)『ミラグロ/奇跡の地』 ('88・監督/製作)『ハバナ』 ('90・出演)『リバー・ランズ・スルー・イット』('98・監督/製作総指揮)『スニーカーズ』 ('92・出演) 『幸福の条件』('93・出演)『クイズ・ショウ』('94・監督/製作)『モンタナの風に抱かれて』 ('97・監督/製作/出演) 『Fカップの憂うつ』 ('98・製作総指揮)『ノー・ルッキング・バック』('99・製作総指揮)『シビル・アクション』 ('99・製作)『バガー・ヴァンスの伝説』(00・監督/製作)


■レッドフォードの新作はブラッド・ピット共演のスパイ・サスペンス!

 レッドフォードの最新作は、トニー・スコット監督によるスパイ・サスペンス『スパイ・ゲーム』。ブラッド・ピットとの夢の初競演がついに実現!この新旧二人の二枚目スターの顔合わせは最高の見もの!
 スパイの世界で生きる男たちの絆を描いたアクション・サスペンス。ワシントンDCでキャリア最後の日を迎えようとしていたCIAの作戦担当官ネイサン・ミュアー(レッドフォード)。そんな彼のもとに、かつて自分が一人前のCIAエージェントに育て上げたビショップ(ブラッド・ピット)が中国の刑務所にスパイ容疑で投獄されたという情報が入る。ミュアーとビショップは仕事上の師弟関係だけでなく、たがいに尊敬し合い、固い友情で結ばれた相手でもあった。ミュアーは、長年の友を救おうと一世一代の救出作戦にとりかかる。果たしてビショップは無事救出されるのだろうか…。
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 ベテラン・スパイを演じるレッドフォード、新米スパイを演じるブラッド・ピットとは8年前の『リバー・ランズ・スルー・イット』監督と俳優として出会っているが、スクリーン上でともに登場するのは今回初めて。世代の違う二人のトップ・スターが共演ということで話題になっている。ハリウッド・スターとして黄金時代真っ只中の若くハンサムなブラッド・ピットと若き頃のレッドフォードが重ねられることもしばしば。それについてレッドフォードは、ルックス先行の人気は演技で頑張っても評価されないことが多くつらいもの、とかつての自分を振り返るように語ったという。『スパイ・ゲーム』では、冷静&冷酷なスパイのスペシャリストを、ベテラン俳優の貫禄たっぷりに演じるレッドフォード。一方、ブラッド・ピットは純粋さを残した若手スパイを熱く演じる。還暦を過ぎても永遠の二枚目スターといわれているレッドフォードと、ルックス抜群のブラッド・ピットだが、演技の方もまた一級品。知的スリルに富むエキサイティングなストーリーの中で繰り広げられるこのふたりの演技対決、“共演”ならず“競演”も見逃せない。

 最新作はほかに、軍事刑務所を描いたアクション『The Last Castle』(01)に主役で出演しているが、日本での公開は現在未定である。


■ここもチェック!? レッドフォードのあれこれ
映画界のキーパーソン、レッドフォードの才能とは?
 レッドフォードはこれまで、俳優・制作・監督にとその才能をフルに使って活躍してきたが、もう一つ忘れてはならないのが、レッドフォードが主催者を務める“サンダンス・インスティテュート”の活動である。レッドフォードが生涯を通じて力を注いでいきたいというサンダンスの活動をコメントでチェック!
 1980年、サンダンス・インスティチュートはインディペンデント・フィルム・メーカー育成のために設立された非営利団体である。商業主義一辺倒のハリウッドに疑問を持ったレッドフォードが、映画界やTV界に新風を巻き起こしたいという思いから設立を決意したという。サンダンスという名前は『明日に向かって打て!』でレッドフォードが主演した役名“The Sandance Kid”(Harry Longbaugh) からつけたもの。ユタ州北部のロッキー山脈の中腹に建つ、大自然に囲まれたサンダンスのメイン・オフィスに、レッドフォードの趣旨に賛同したハリウッドの監督、俳優、プロデューサーたちが訪れ、ボランティアで講義を行っている。その講師の一人、デンゼル・ワシントンは「ハリウッドでの成功は、お金はたくさん稼げるが、時としてアーティストとしての自分自身を見失いかねない。サンダンスに来て若いフィルム・メーカーの手伝いをしていると満足感が得られ、同時にリフレッシュできる素晴らしいところだ」と語る。
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 はじめはこれらのフィルム・メーカー育成のためのワークショップがサンダンスの中心的な活動であったが、85年にはサンダンス・フィルム・フェスティバルを開催、もう一つ別の顔を持つようになった。この映画祭を行うようになった主なる目的として、「第一に新しい才能を育てること、第二に芸術的なコミュニティーを作ること、第三に若いフィルム・メーカーにチャンスを与えること」と語るレッドフォード。実際、サンダンス・フィルム・フェスティバルからは、89年『セックスと嘘とビデオテープ』で脚光を浴びたスティーブン・ソダーバーグ監督をはじめ、クエンティン・タランティーノ監督やアレキサンダー・ロックウェル監督など数々の有名監督を世に送り出してきた。
 87年には日本でも“サンダンス・フィルム・フェスティバル・イン・トウキョウ”が開催されるようになる。95年に『TOKYO FIST』で東京グランプリに輝き、サンダンス映画祭で作品が上映された塚本晋也監督は、サンダンス映画祭について「青田刈りをしにやってくるハリウッドのディストリビューターや、売り込みに必死な若手フィルム・メーカーたちが集まる、アメリカの映画人にとっては夢のような場所ですね」と語る。“サンダンス・フィルム・フェスティバル・イン・トウキョウ”は95年に、NHKが行っている文化事業の一つ“サンダンス・NHK国際映像作家賞”に移行したが、サンダンスの当初の指針である、世界各地の新しい映像作家を発掘し、支援するという目的はそのまま引き継がれている。賞金はなんと1万ドル、資金はないが映画を撮りたいという方にはもってこいである。一度トライしてみては?
 サンダンス映画祭の方は、現在ハリウッドのフィルム・メーカーたちの登竜門になっている。サンダンスはアメリカのインディペンデント・ムービー・シーンに大きく貢献、シーンを担ってきたといっても過言ではないだろう。若手フィルム・メーカーたちの才能を引出し、育てることは、映画の未来を明るくする。そういった点においてもレッドフォードが映画界に与えてきた影響は多大である。映画を愛し、映画の未来を真に考えてきたレッドフォード、今後の彼の幅広い活動に期待しよう!


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