James Cromwell
 仔ブタと共演して一躍脚光を浴びたジェイムズ・クロムウェルの魅力

 ハリウッドに名バイプレイヤーは数知れず。しかし仔ブタとともにダンスを踊り、50代半ばで一躍脚光を浴びた俳優といえば?そう『ベイブ』('95)の大ヒットで注目され、たちまち売れっ子になったジェームズ・クロムウェル。善良で暖かい人柄から冷酷で悪辣な人間まで、どんな役でも演じる彼のその素顔は?
 1940年1月27日、ロサンゼルス生まれ、ニューヨーク育ち。父ジョンは映画監督組合の初代会長、母ケイ・ジョンソンは女優というショウビズ一家の出身。コンピュータ・サイエンス・テクノロジーで有名なカーネギー・メロン大学で演劇を学ぶが1年でドロップアウト。その後70~80年代は『M*A*S*H』『スタートレック』『ナイトライダー』『トワイライト・ゾーン』など数多くのTVに出演。映画デビューは81年の『Nobody's Perfekt』。

 バイプレーヤーとして、長いキャリアを持つ彼が一躍その名を広く知られるようになったのは、世界的なヒットとなった95年の『ベイブ』。無口で無骨な農場主ホゲットで、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、一気に脚光を浴びるようになった。
 それからの彼は『ラリー・フリント』('96)、『L.A.コンフィデンシャル』('97)、『グリーンマイル』('99)将軍の娘/エリザベス・キャンベル』('99)など次々と話題作に出演し世界的に名バイプレイヤーの名を定着させた。そのかたわら舞台にも出演。最近では、またTVドラマへの出演も多く人気シリーズ『ER』へもゲスト出演している。そのかたわら舞台にも出演。サンフランシスコのアメリカン・コンサバートリー・シアターで『愛の創造』のA.E.ハウスマン役を演じた。


■DVDでチェック!J・クロムウェルの名脇役ぶり

『スペース カウボーイ 特別版』(00)
宇宙パイロットとして挫折した4人の男たちが、人工衛星の修復という任務を受け、40年後に再びチームを組んで自らの夢だった宇宙に挑む。クリント・イーストウッド監督・主演作品。かつて空軍に伝説的なテストパイロットチームがあった。技術、頭脳、そして度胸と三拍子揃った4人の男たちは、人類初の宇宙飛行士に選ばれるのは確実と見られていた。だが、土壇場になって宇宙プロジェクトが空軍からNASAに移行、結局宇宙へ行ったのは一頭のチンパンジー。それから40年、チームの一員だったコービン(C・イーストウッド)のもとにNASAから衛星修復の依頼が来た……。それぞれ別の人生を歩んでいた4人のチームが結集し、再び夢の実現に向かう。クロムウェルは、このプロジェクトの責任者であり、40年前4人の宇宙行きをキャンセルしてチンパンジーを代役に立てたNASAの高官ボブ・ガーソン役を憎たらしく演じた。

発・販売元:ワーナー・ホーム・ビデオ
価格:\1,500(税抜)<期間限定生産>
『グリーンマイル』('99)
 フランク・タラボン監督&スティーヴン・キング脚本コンビが放つ感動作。処刑室へ送られる受刑者が、最後に歩む緑色のリノリウムの廊下、グリーンマイル。そこは、生と死の分かれ道だ。1935年、大恐慌時代のアメリカ、ジョージア州のコールド・マウンテン刑務所で看守を務めていたポール(T・ハンクス)のもとに、死刑囚コフィー(マイケル・クラーク・ダンカン)が送られてくる。二人の少女を殺した罪で投獄されたコフィーは、その巨体に似合わず臆病で物静かだった。そして彼は不思議な癒しの力で、人生の光と陰を照らし出すことが出来た。ポールたちは、まるで神様の贈り物のようなこの男に次第に引きつけられ、コーフィの無実を信じて彼を救おうとする。だが、なす術もなく、時は無情に過ぎていき、死刑執行の日が訪れる…。クロムウェルは、温情に厚い刑務所長のムーアズを演じた。アカデミー作品賞ノミネート。

発・販売元:ポニーキャニオン
価格:\2,500(税抜)


■『 ヒマラヤ杉に降る雪』('99)
 第2次世界大戦からの復興が進む1954年冬、しんしんと雪が降り積もるワシントン州サン・ピエドロ島。漁に出た男が溺死し、日系人カズオ・ミヤモトが殺人容疑で逮捕される。裁判所で新聞記者イシュマエル(イーサン・ホーク)は、カズオの妻ハツエ(工藤夕貴)の姿を見て声をかけようとするが、冷たく拒絶するハツエ。実は二人は幼少時を共に育ち、密かに心を通わせた過去があった。やがてイシュマエルは裁判を左右する意外な真相を探り当てる。しかし、いまだにハツエに対する思いをつのらせるイシュマルは、複雑な思いでその真相をすぐに明るみには出せずにいた・・・。美しい自然の情景をバックグラウンドに繰り広げられえる人間ドラマ。クロムウェルは、冷静にして公正な判決を引き出す判事フィールディング役を演じた。

発・販売元:SPE
価格:\2,500(税抜)<2002年10月31日まで期間限定特別価格>


■『ベイブ 都会へ行く』('98)
世界一の牧羊豚を目指し、けなげに活躍した仔ブタのベイブ・シリーズ第2弾。今度はベイブが、大都会で路頭に迷う動物たち相手に大活躍。コンテストで優勝したベイブは、ある日ホゲットおじさんのお手伝いをしていて、あやまっておじさんに大怪我をさせてしまう。そんな折、経営困難の牧場が売りに出されることに。そこでエズメおばさんは、ベイブをTVショーに出演させる一大決心をし、都会へと旅立つ。ところがとんだハプニングが起き、おばさんとベイブは目的地への飛行機に乗り遅れ、見知らぬ大都会で路頭に迷うハメに。途方にくれるおばさんが辿り着いたホテルには、怪しげなサルたちや猫のコーラス隊、犬グループらが謎めいた生活をおくっていた・・・。クロムウェルの出世作『ベイブ』('95)ともども見逃せない作品のひとつ。動物にやさしいホゲットおじさん役は、クロムウェルに一番近い存在かもしれない。

発・販売元:SPE
価格:\2,500(税抜)<2002年7月31日まで期間限定特別価格>
※8月末まで販売
L.A.コンフィデンシャル ('97)
 縄張り争いが激化する'50年代のLA。暗黒街を支配するコーエンが脱税容疑で逮捕され、ボス不在によるマフィアの抗争と思われる連続殺人が発生した。また街のコーヒーショップで元刑事を含む6人の男女が惨殺される事件が発生した。殺された刑事の相棒だったバド(ラッセル・クロウ)が捜査を開始。殺された女と一緒にいたブロンド美人リン(キム・ベイシンガー)に接近する。同じ頃、ベテラン刑事のジャック(ケビン・スペイシー)がマフィアの組織を追っていた。また野心家の若手刑事エド(ガイ・ピアース)も事件を追い、容疑者を射殺。事件は解決したかに見えたが・・・。鬼才ジェイムズ・エルロイが描く50年代のロサンゼルス、その退廃と虚栄を見事に映画化し絶賛を浴びた作品。キム・ベイシンガーが、妖艶な演技でアカデミー助演女優賞に輝いた。又、脚本もアカデミー脚色賞を受賞している。クロムウェルは、いかにも善人風を装いながら、実は警察内部で巨悪を操るダドリー警部役で、その演技派ぶりをいかんなく発揮した。

発売元:日本ヘラルド映画
販売元:ポニーキャニオン
価格:\4,700(税抜)
 その他の出演作は『2つの頭脳を持つ男』('83)『エクスプローラーズ』('85)『夢を生きた男/ザ・ベーブ』('91)『蜘蛛女』('93)『ディープ・インパクト』('98)『将軍の娘/エリザベス・キャンベル』('99)など。


■新作でチェック!米大統領を演じるJ・クロムウェルの魅力!

 全米2週連続No.1ヒットを記録し、各メディアが絶賛した『トータル・フィアーズ』でアメリカ大統領を演じたジェームズ・クロムウェル。ロシアのチェチェン攻撃と、ボルチモアの核爆発。2つの局面でアメリカの運命を左右する決断を迫られる合衆国大統領ファウラーを演じる。アメリカを代表するパワフルな存在でありながら、人間くさい側面も垣間見せるキャラクターで、この映画にリアリティを加えている。
 単なる悪者や善人という“役柄”を演じるということではなく、より本物の人間らしさを引き出すことを目的としているというクロムウェル。ステレオタイプとしての“大統領”ではなく、彼によって現実的で人間らしい米大統領が登場した。

 この映画のセットに入る直前まで、TVドラマ『Citizen Naines』を撮影していたというクロムウェルだが、ホワイトハウスを訪問したり、アル・ゴア前副大統領に会ったりしてこの役柄を固めていったという。
 またクロムウェル自身は核兵器のボタンを押そうとする役だが、結果的にふたつの国が闘いを中止するという映画の結果に満足しているし、実際にボタンを押そうなんていうヤツがいたらどうかしてるとも。映画の中のキャラクターと違って実際には温和で冷静なクロムウェルだからこそ、パニック気味になる米大統領を批判的に演じることができたのだろう。

 その他は、ドリームワークスの野生馬を主人公にしたアニメーション『スピリット~スタリオン・オブ・シマロン』(02)に声の出演。またネイティブ・アメリカン・ラコタのクリス・アイアー監督によるサンダンス映画祭への出品作も企画中だという。


■ジェームズ・クロムウェルと環境保護運動

 俳優としての活動のほか、クロムウェルは環境保護運動に深く携わっている。ブタや羊や牛も他のぺットと同様保護すべきだと主張する彼は、徹底した菜食主義。2001年夏には、ファースト・フード・チェーン店の前でボイコット運動を行って逮捕されるなど、困難な状況に立ち向かいながらも様々なキャンペーンを行っている。

 またサウス・ダコタに居住するネイティブ・アメリカン・ラコタの居住区が、巨大な養豚場の設置により環境破壊の憂き目に会っていることを知った彼は、ラコタをサポートするため、彼らの歴史や文化の保護し、子供たちの教育を援助する機関を設立した。
 ラコタの人々の視点は世界を感知し、スピリチュアルで慈悲深く、自然である。またラコタの文化が危機にさらされているということは、我々の文化もまたそうなるであろうという警鐘であるとクロムウェルはいう。

 運動のかいあってサウス・ダコタの養豚場は閉鎖された。クロムウェルの功績はアカデミー賞よりも大きいだろう。素顔のクロムウェルは、ベイブのホゲットおじさんよりも、もっともっと動物や自然と仲良しなのである。


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