Luis Guzman/ルイス・ガスマン
 個性的なルックスと演技力でひときわ異彩を放つラティーノ俳優

ルイス・ガスマンという名前を聞いてピンとこないひとも、その印象的な風貌だけは絶対に忘れることができないでしょう。
 白人優勢のハリウッド界ですが、映画をよりリアルにみせるための多彩な人種構成は必要不可欠。中でも、ガスマンが演じるラティーノ・キャラは、彼の個性的なルックスと演技力でひときわ異彩を放っています。今回は、そんなルイス・ガスマンの魅力について探ってみましょう。

 1957年1月1日、プエルトリコで生まれ、NY、マンハッタンのローワー・イースト・サイドで育つ。ルイスが役者としてはじめて舞台に立ったのは、ハイスクール時代。その後シティ・カレッジを卒業した彼は、ソーシャルワーカーの職につき、青少年のためのカウンセーラーとして働きながら、地元の劇団に所属し演技の地盤を築く。77年、インディーズ・フィルム『Short Eyes』に出演したのが映画デビュー。
(C)BUENA VISTA PICTURES DISTRIBUTION and SPYGLASS ENTERTAINMENT GOUP,LP
 84年にシナリオライターの友人のアドバイスにより『マイアミ・バイス』のオーディションを受け、メジャー・デビューのチャンスを得たことをきっかけに、数々のTVドラマに脇役やゲストとして出演。映画では、大ヒット・シリーズ『クロコダイル・ダンディー2』やリドリー・スコット監督『ブラック・レイン』('89)に出演し、着実にショービズ界での地位を確立させていく。

 数々の出演作の中で、アル・パチーノと共演した『カリートの道』('93)、デンゼル・ワシントンと共演した『ボーン・コレクター』('99)などのクライム・サスペンスでのルイスの活躍は特に目覚しい。しかしながら、現在上映中の『モンテ・クリスト伯』では文芸大作に挑戦。モンテ・クリスト伯に尽くす従者ヤコポを演じ、コスチューム劇というかつて出演したことのないジャンルでも、その際立った個性を発揮している。
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 ちょい役や小作品を含めると50作ほどの作品に出演しているルイス・ガスマン。今後はぜひ主役としても作品に登場してもらいたいものだ。
■『モンテ・クリスト伯』公式サイトはこちら > http://www.eigafan.com/mc/


■ガスマンの出演作をDVDでチェックしてみよう!

□『トラフィック』(01)

いわずとしれたスティーブン・ソダバーグのオスカー4部門制覇作品。ゴールデン・グローブ賞では、最多受賞を果たしている。マイケル・ダグラスとキャサリン・ゼタ=ジョーンズの夫婦初競演も話題に。アメリカの裏社会に根深く浸透し、巨大な陰の経済を掲載する麻薬密売ルート。その中でも、アメリカとメキシコを結ぶ巨大な麻薬コネクション“トラフィック”をめぐって、様々な欲望や陰謀に満ちた事件が繰り広げられる。じわじわと暴かれていく、その“闇”の実態に果敢に挑んでいく男たちのドラマだ、ルイス・ガスマンはドン・チードルとチームを組む麻薬捜査官レイ・カストロ役を好演。

発売元 日本ヘラルド映画
販売元 東宝ビデオ
価格:\6,000(税抜)
□『ボーン・コレクター』('99)
NY市警のライム(デンゼル・ワシントン)は、全米でも有数の犯罪学者だった。しかし職務遂行中に致命的な損傷を負い、全身麻痺となって現在はベッドの上で生活を送っている。一方、異動を目前に控えたパトロール警官アメリア(アンジェリーナ・ジョリー)は、最後のパトロールで、タクシー客の連続殺人事件の犯罪現場に出くわしてしまう。冷静な判断で証拠を残したアメリアを信頼したライムは、彼女を手足として捜査に挑む。しかし犯人は次々と犯行を繰り返し、現場に難解な手がかりをメッセージ として残していく…。NYを舞台にスリリングな展開で突き進む第一級のサイコ・スリラー。 ルイスは、公私共にライムをヘルプする検証官エディ役。ラティーノ・ファミリーの暖かさを垣間見せている。

販売元:(株)ソニーピクチャーズ・エンタテインメント
価格:期間限定特別価格\2,500(税抜)
□『カリートの道』('93)
ブライアン・デ・パルマ&アル・パチーノのコンビによるハードボイルド・ギャング映画。NYを舞台に、麻薬王として君臨した男の血塗られた生涯を描く。かつて街を牛耳り麻薬の帝王として君臨したカリート・ブリガンテは、1975年に30年の刑期を5年で終えて出所。昔の恋人とよりを戻し、今度こそ堅気の生活を送ろうと心に決める。そんな折り、出所に尽力してくれた恩人でもある弁護士クラインフェルドからある依頼を受ける。何よりも仁義を大切にするカリートは彼の頼みを断り切れず、夢の実現までもう一歩というところで絶体絶命の一線を越えてしまう…。 デ・パルマ&

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価格:期間限定特別価格\2,500(税抜)


■監督たちに愛されるガスマンの魅力

 ルイス・ガスマンの魅力は、様々な監督たちが何度も繰り返し彼を起用していることからも伺い知ることが出来る。

 たとえば、『ファミリービジネス』('89)、『Q&A』('90)『ギルティ/罪深き罪』('92)といったシドニー・ルメット監督作品に立て続けに起用され、ショーン・コネリー、ダスティン・ホフマン、ニック・ノルティ、ドン・ジョンソンら大物と共演。

 スティーブン・ソダーバーグ監督が『アウト・オブ・サイト』('98)『イギリスから来た男』('99)『トラフィック』(00)とやはり立て続けにガスマンを起用。
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 また、毎回同じ顔ぶれの役者を好んで登場させ、独自の世界を繰り広げるポール・トーマス・アンダーソン監督も『ブギーナイツ』('97)『マグノリア』('99)といった代表作に彼を登場させている。もちろん同監督が2002年第55回カンヌ国際映画祭最優秀監督賞に輝いた『パンチドランク・ラブ』(02)にもガスマンは出演。コメディアンにして名優アダム・サンドラーの脇を固める重要なキャラ、ランス役でまたもや味わい深い演技を見せている。
 これらアンダーソン監督作品は、ラティーノ・キャラが必ずといっていいほど登場するギャング・クライム映画とは異なるタイプの人間ドラマだ。ガスマンを登場させることによって、よりリアルでカラフルな作品となっている。ちなみにアンダーソン監督も1月1日生まれで、ガスマンとは縁が深いのかも。

 ルイス・ガスマンは、いわゆる通好みの監督たちにとって、なくてはならない存在のようだ。
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