ジーン・ハックマン/Gene Hackman
 年齢を重ねるごとにますます魅力とパワーが炸裂!

 もうすぐ74歳だとはまったく信じられないジーン・ハックマン。今回は、年齢を重ねるごとにますます魅力に磨きがかかっていく名優ハックマンの魅力を探ります。
 1930年1月30日、米カリフォルニア州生まれ。16歳で海兵隊に入隊。除隊後、イリノイ大学でジャーナリズムとテレビ製作を学んだのち、俳優をめざしてパサディナ・プレイハウスに入学し、演技を学ぶ。このときの同窓にダスティン・ホフマンがいた。

 その後、ハックマンはニューヨークへ移り、ホフマンもハックマン夫妻の小さなアパートに転がり込み、バスルームの隣のキッチンに寝泊りしたという。ふたりは、ハックマンは引越し屋、ホフマンはメイシーズ(デパート)でオモチャの実演販売などのバイトをして生計をたてながら舞台の仕事を探した。
 当時を振り返ってハックマンは映画の仕事をするとは、考えてもいなかったと語る。役者はみんなスタジオと契約し、男優にもある特定のルックスが求められたからだ。映画出演はありえないので、舞台で精一杯のことをしようと頑張ったという彼は、サマー・ストックやオフ・ブロードウェイの舞台に出演して、役者としてのキャリアを重ねていく。

 映画デビューは1961年『機関銃を捨てろ』。転機が訪れたのは1964年、ブロードウェイでの好演が認められ、『リリス』に出演した時のこと。この作品で共演したウォーレン・ビーティの推薦で出演した『俺たちに明日はない』('67)で、アカデミー助演男優賞候補に。その後は映画界の名バイプレイヤーとして『父の肖像』('70)でも同賞にノミネート。
 さらにその後は脇役におさまらず、『フレンチ・コネクション』('71)では、同主演男優賞を受賞し、ニュー・シネマ以降のアメリカ映画を代表するスターの座についた。

 その後、『ミシシッピー・バーニング』('88)でもオスカー候補になり、クリント・イーストウッド監督の『許されざる者』('92)では助演男優賞のオスカーを得ている。他の代表作は、『スケアクロウ』('73)『カンバセーション…盗聴…』('74)『スーパーマン』('78)『追いつめられて』('87)『クリムゾン・タイド』('95)『エネミー・オブ・アメリカ』('98)など。全米で来年2月公開されるコメディ『WELCOME TO MOOSEPORT』では、大統領役に挑戦している。


■ハックマンの魅力を出演作でチェック!

■『ボニーとクライド/俺たちに明日はない』 ('67)

不況時代のアメリカ30年代に実在した男女二人組の強盗、ボニーとクライドの凄絶な生きざまを描いた、アメリカン・ニューシネマの先駆け的作品。ウォーレン・ビーティの推薦で出演したこの作品で、ハックマンはアカデミー助演男優賞候補となり一躍脚光を浴びることになる。まるでゲームのように強盗をを楽しむボニーとクライドの姿は、60年代末期の若者たちに大きな影響を与えた。
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■『フレンチ・コネクション』〈特別編〉('71)

ウィリアム・フリードキン監督による刑事ドラマの大傑作。原作は実在の麻薬課刑事の体験に基づくノンフィクション小説。マルセイユとニューヨークを結ぶ麻薬取引のルート“フレンチ・コネクション”を背景に、ハックマン演じる“ポパイ”ことドイル刑事が麻薬組織壊滅に執念を燃やす姿を描く。リアリティを追求した徹底したドキュメンタリー・タッチが作品の要となり、ハックマンにアカデミー主演男優賞をもたらした。そのほかアカデミー作品・監督・脚色・編集賞に輝く名作。
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■ポセイドン・アドベンチャー ('72)

大晦日の夜、パーティで賑わう豪華客船ポセイドン号が、突然発生した大津波によって転覆。生存者たちは、船内からの脱出に挑む。70年代のパニック映画のさきがけとなったアクション巨編。オールスター・キャストによる人間ドラマも見応えたっぷりで、ハリウッド・エンタテインメントの真髄を見せてくれる。ハックマンは、生き残った人々を助けようと奔走する主人公スコット牧師を熱演。アカデミー特撮賞および主題歌賞受賞作品。
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■許されざる者('92)

クリント・イーストウッドが製作、監督、主演を務め西部劇に挑戦し、アカデミー作品・監督賞を勝ち取った「男の映画」の傑作。かつて冷酷な強盗殺人者だったマニー(クリント・イーストウッド)は亡妻によってすっかり人が変わり、今では残された二人の子供とともに牧場で豚を追う生活。そこへ賞金稼ぎの話が持ち込まれ、子供の将来の資金のために、昔の相棒ネッド(モーガン・フリーマン)ととも再び銃を取り、悪徳保安官(ジーン・ハックマン)がいる町へ悪人征伐に向かう。最初は乗り気ではなかったこの悪徳保安官ビル役で、ジーン・ハックマンはまたしてもアカデミー助演男優賞を獲得。西部に生きるアウトローたちの戦いの虚しさを描くが、人間ドラマを静謐なタッチで描いている。
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■リプレイスメント 特別編 (00)

プレイオフ出場まであと一歩という時に、選手たちが昇給を訴えてストライキに入ってしまったフットボール・チーム。オーナーは、かつての名監督マクギンティー(G・ハックマン)に代理選手によるチームづくりを依頼する。マクギンティーが声をかけたのはかつて学生フットボール界の花形と謳われながらシュガーボールでの惨敗を最後に引退したファルコ(キアヌ・リーブス)。才能がありながらもプレッシャーに弱いファルコら代理選手たちは、マクギンティー監督の激しい練習のもといよいよ試合に臨むが・・・。キアヌ・ファンのみならず、ハックマンのファンも熱血監督役を楽しめるはず。
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■ザ・ロイヤル・テネンバウムズ (01)

かつて“天才ファミリー”と脚光を浴びながら、いつしか家族崩壊してしまった一家テネンバウムズ家。家出をしていた父親(ジーン・ハックマン)の計略で、一家は再びひとつ屋根の下に暮らすことになるが・・・。ニューヨー・タイムズ紙が2001年度ベスト・ムービーにあげるなど、各マスコミでも絶賛された、滑稽で感動的な異色コメディ。ハックマンのほか、出演者はアンジェリカ・ヒューストン、ベン・スティラー、ダニー・グローヴァー、ビル・マーレイ、グウィネス・パルトローら個性派がずらり。監督は鬼才ウェス・アンダーソン。この作品の一番重要な役割を担うハックマンは、ゴールデン・グローブ(コメディ/ミュージカル部門)男優賞に輝いている。
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■新作で観るジーン・ハックマンの魅力!

 巨匠ジョン・グリシャム原作の法廷ドラマ『ニューオーリンズ・トライアル』で、勝利のためなら手段を選ばない陪審コンサルタント、ランキン・フィッチを演じるハックマン。彼はこの役を演じることについて、またフィッチ役について次のように語っている。
「私はこの無節操なキャラクターをとても楽しく演じることができた。やり過ぎてしまったところもあるかもしれないが、ほとんど何でもありで演技が出来るところが気に入っていっている。法廷ドラマという面ではなく、フィッチの性格の面で。フィッチにとっては、“金”という言葉がキーワードなんだ。彼は争い事やゲームが好きで、そのゲームは彼に大量の金を運んでくる。彼にはモラルがない代わりにニーズがある。そして、そのニーズを満たすためにゲームで人を痛めつけることを、彼は何とも思わない人間なんだ。存在感があり、憎いけれども憎みきれないキャラクターに映っていることを願うよ。」
 この作品の監督フレダーは、手ごわい陪審コンサルタントのフィッチにはジーン・ハックマン以外の役者は考えられなかったという。単純な悪役ではなく、悪事にモチベーションを感じる男として、ハックマンは見事にフィッチというキャラクターを作り上げた。監督がハックマンに要望した「アオザメのように行動する、機敏で能率的で几帳面な男」フィッチの存在感を、ぜひ『ニューオーリンズ・トライアル』で確認しよう。
■『ニューオーリンズ・トライアル』公式サイト> http://nt.eigafan.com/
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