ダスティン・ホフマン/Dustin Hoffman
 ハリウッド最高の演技派の魅力を探る
 これまでに2度のアカデミー主演男優賞でオスカーを手にしたほか、多数の賞の栄誉に輝くダスティン・ホフマン。ハリウッド最高の演技派ホフマンの魅力を探ってみよう。

 1937年8月8日、米カリフォルニア州生まれ。医者を目指していたが、演技の道に進むことを決意してパサディナ・プレイハウスに入学。当時の同窓にジーン・ハックマンがいた。ニューヨークへ移って下積み生活をしながら名門アクターズ・スタジオのリー・ストラスバーグに師事し、1960年頃よりオフ・ブロードウェイ、ブロードウェイの舞台に出演。66年にはオビー賞で主演男優賞に輝き実力を発揮していく。
 67年に『The Tiger Makes Out』の端役で長編映画にデビュー。同年、マイク・ニコルズ監督による『卒業』の主役に抜擢され、アカデミー主演男優賞にノミネート。一躍ニュー・タイプのスターとして脚光を浴びた。新卒生を演じて映画デビュー2作目に出演した彼は、そのとき30才間近だった。

 その後はアカデミー賞候補の常連となり、『真夜中のカーボーイ』('69)『レニー・ブルース』('74)でノミネート。実際にオスカーを手にしたのは、1979年『クレイマー、クレイマー』の父親役だった。初ノミネートの12年後のことである。のち88年に『レインマン』で自閉症の男の役を演じ、二度目の受賞に輝く。『トッツィー』('82)『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』('97)でも候補にあがっっている。
 今後アメリカで公開予定の作品に、ジョニー・デップ共演の『J.M. Barrie's Neverland』、ジュード・ロウ共演の『I Heart Huckabee's』などがある。今度はいつオスカーを手にすることになるのか、今後の活躍ぶりに注目していたい。


■ホフマンの魅力を出演作でチェック!

■レインマン('88)

自由奔放に生きる弟と自閉症の兄が、父の死をきっかけに、次第に心を通わせていく姿を描く心暖まるロードムービー。リアルに自閉症の兄役を演じたホフマンが、2度目の主演男優賞でオスカーを手にしたほか、作品賞、監督賞、脚本賞がアカデミー賞に輝いた名作。事業に失敗して破産寸前のチャーリー(トム・クルーズ)のもとに、絶縁状態だった父の訃報が届く。莫大な遺産を目当てに帰郷するチャーリーだったが、すべての遺産は、存在さえ知らなかった自閉症の兄、レイモンドの元へ。なんとか遺産を手にしたいチャーリーは、施設にいるレイモンドを誘拐まがいに連れ出し、ロスに戻ろうとするが…。
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■トッツィー('82)

 実力はあるが頑固すぎて役に恵まれない俳優マイケルは、ふとしたきっかけで女装してTVドラマに出演し、人気女優ドロシーとして大ブレイク。しかしマイケルは、ドロシーに友情を抱く共演女優のジュリーに恋してしまい…。社会派シドニー・ポラック監督と演技派の名優D・ホフマンがコメディに挑戦し、大ヒットした80年代初期の傑作。ホフマンの主演男優賞を含め、全部で8部門のアカデミー賞にノミネートされ、共演のジェシカ・ラングは助演女優賞でオスカーを手にした。名優ホフマンの芸達者ぶりが、女装で炸裂して大成功を収めた作品。
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■クレイマー、クレイマー('79)

 女性の自立、離婚、養育権など、70年代後半のアメリカ社会を浮き彫りにした感動のヒューマンドラマ。ダスティン・ホフマンが初のアカデミー主演男優賞を手にしたほか、作品賞、監督賞、助演女優賞、脚色賞の4部門でオスカーの栄誉に輝いている。妻(メリル・ストリープ)に突如家出をされた仕事人間のテッドは、慣れない家事と育児に奮闘しながら、息子ビリーとのきずなを深めていく。しかし、再び姿を現した妻が子どもの親権を主張、法廷で争うことになるが…。 親子の絆がニューヨークの街を背景にきめ細やかに綴られている家族ドラマの傑作。
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■真夜中のカーボーイ('69)

 ジゴロとしての成功を夢見てNYへやってきたカウボーイのジョー(ジョン・ヴォイト)。しかし現実はうまくいかず、孤独感に襲われる日々の中で、彼はラッツォ(ダスティン・ホフマン)という肺病を病み足が不自由な小男と出会う。やがて奇妙な友情で結ばれていく2人だったが、ラッツォの病状は日ごとに悪化。ジョーは、太陽の光がふりそそぐマイアミへ行きたいというラッツォの夢をかなえようとする…。 J・シュレンシンジャー監督が都会の孤独と男同士の友情を描き、アカデミー作品賞ほか、監督賞、脚本賞を受賞したアメリカン・ニュー・シネマの秀作。ボイトとホフマンは、二人そろってアカデミー主演男優賞へノミネートされた。
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■卒業('67)

 M・ニコルズがアカデミー監督賞に輝き、サイモン&ガーファンクルの主題歌とともに世界的にヒットしたアメリカン・ニュー・シネマ時代の傑作。大学を卒業したベンジャミンは、そのお祝いのパーティーでロビンソン夫人と知り合い、誘惑に負けて関係をもつ。一方彼は、両親のすすめでロビンソン夫人の娘、エレーヌとつき合う。エレーヌに次第に心惹かれていくベンジャミンに、嫉妬する夫人は、娘に自分とベンジャミンの関係をバラしてしまうが…。 若き日のダスティン・ホフマン主演で贈る青春映画の名作。そのほかの出演は、アン・バンクロフト、キャサリン・ロスら。
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発・販:東北新社
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■新作にみるダスティン・ホフマン

 1月31日(土)公開の『ニューオーリンズ・トライアル』にて原告側の弁護人、ウェンドール・ローアを演じるダスティン・ホフマン。銃社会と訴訟社会という、アメリカを象徴的に物語るふたつの問題を切り口に描かれたこの作品で、陪審員工作をはかる非情な陪審コンサルタント、フィッチによって不利な立場に追い込まれていく正義のベテラン弁護士を見事に演じている。
フレダー監督と共に、何時間もかけてローアの論理とモラルについて話しあったホフマンは、この役について「最近のプロに欠けている気風がある男」と説明する。

「彼は、『アラバマ物語』でグレゴリー・ペックが演じた弁護士のように、ある種の高尚な人間だ。フィッチが、絶対に勝負に勝ち、成功し、大金を手にすることを自分自身のガイドラインにしているのに対し、ローアは時代遅れな人間で、正当な戦いを今だに信じている。が、そんな彼も、仕方なく時代の流れに乗ることを余儀なくされていくんだ」
 またこの作品で、非情な陪審員コンサルタント、フィッチ演じるジーン・ハックマンとは、映画界入りする以前の新人時代にルームメイトだったこともある親友同士。本作は、彼らにとって、30数年ごしの共演の夢をかなえる記念すべき作品ともなった。ハックマンとの共演についてホフマンはこう語っている。

「今回一緒に仕事をしていちばん感動的だったのは、おたがいが初めて出会ったころとちっとも変わっていないことを再確認できたことだ。僕たちは、いまでも忠実な俳優でいたいと頑固に思い、同時にどこかに不安感を抱いている。46年前に演技のレッスンを受けていたころと同じように、僕たちはいまもセットに入ると緊張し、崖っぷちに立たされたような気分になるんだ」

、裁判の裏と表でデッドヒートする激烈な頭脳戦を、疾走感あふれるタッチで描写したリーガル・エンタテインメント『ニューオーリンズ・トライアル』で、ダスティン・ホフマンの魅力を味わいつくしたい。


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