メイン | 2006年04月 »

2006年03月30日

未来の映画はあなたが主役?

1位スパイダーマン 2位ハリーポッターと秘密の部屋 3位スパイダーマン2  4位ハリーポッターと賢者の石 5位スターウォーズ 6位キングコング… さて何の順位でしょう?原作の売り上げ? DVDのレンタル回数? 「ゲームソフトの売り上げ順位だな」と気付いたあなた、もしかするとゲームオタク?

そうなんです。これは映画を元にして作られたゲームの売り上げ。数字を見てみると、トップのスパイダーマンは440万枚、続くハリポタが350万枚、スターウォーズ200万枚、キングコング130万枚と、それぞれかなりの数。これだけオイシイ数字が残せるゲーム、映画製作者にとっては興行収入やDVDの売り上げ・レンタルと並んで重要な収入源だ。今や大作映画はゲームの企画と同時進行で作られる時代に突入しているのだ。巨額の制作費を投じて作られた「キングコング」は、監督のピーター・ジャクソンが自ら監修したバージョンを発売。タイトルもわざわざ「ピーター・ジャクソンのキングコング」とする念の入れようである。

ここまで過熱すると、ゲームのクォリティーもかなり高いものを要求される。かつては有名な映画のゲーム版ならどれもそこそこの数字が残せた。しかし最近は、「いくらメジャー映画のゲーム化でも、面白くなければ見向きもされない」と、あるゲーム関係者。最近のゲーマーは目が肥えているのだ。更にゲームの製作費もうなぎのぼり。一般的なゲームは、今のところ4億円から5億円の制作費で、これはちょうど独立系映画の制作費と同じ金額だ。だが、プレイステーション2やXBOXの登場で、ゲームの質は向上したものの更に莫大な制作費がかかるようになった。近いうちに10億円から15億円のゲームが登場すると予想されている。

大ヒットした映画のゲーム化作品
大ヒットした映画のゲーム化作品

こうなってくると、映画よりもゲームの制作費の方が大きい、なんていう本末転倒も起こりかねない。実際、製作期間については映画とゲームの間で、既に逆転化が起こっている。映画は大体、撮影と編集だけだなら上手くやれば半年くらいでまとめる事が出来るが、ゲームはやたらと時間がかかる。1年以上かかって完成した作品にバグがあって発売延期、なんて事もしょっちゅう。こうなってくると、映画とゲームのプロジェクトを同時進行させるのは不可能で、ゲームを先に開発しなければならない。こうなってくるとどちらが主役か分からない。

すでに主役はゲームの方、という作品も登場している。有名なのはアンジェリーナ・ジョリーの「トゥーム・レイダー」だが、このパターンは今後ますます増えそうだ。現在進行している企画がヴィン・ディーゼルの「ホイールマン」。「ワイルドスピード」の主役ですっかりスピード狂のイメージが定着したヴィン・ディーゼルだが、実はものすごいゲームオタク。それも無類のカーレースゲーム好きだそうで、このゲームの監修にも関わっている。この「ホイールマン」ゲームの発売に合わせて“映画も”作られる予定だ。

更に、過去の名作のゲーム化というのも大流行している。以前このコラムでも取り上げたゴッドファーザーのゲームは発売されるや大ヒット、人気ゲームの一つになった。ゴッドファーザーのストーリーについては皆さんご存知と思うが、主人公のマイケル(アル・パチーノ)が敵対するマフィアと戦いながらのし上がっていく話。ゲーム版では、プレイヤーがマイケルになり、知恵を絞って対抗勢力と戦っていく。当然オリジナルとは異なるストーリー展開もありで、こうなるといわゆるインタラクティブ映画である。これは今後の映画の主流とは行かないまでも、一つの形として盛んになっていくだろう。 過去の名作をゲーム化しようという動きは加速するばかりだ。 現在、ゴッドファーザーと並ぶパチーノの代表作「スカーフェイス」のゲーム版の開発が進んでいるし、クリント・イーストウッドの名作バイオレンス「ダーティー・ハリー」もゲーム化される予定。こちらはイーストウッド御大の声の出演も検討されている。「GO AHEAD, MAKE MY DAY」の名セリフが本人の声で聞けちゃうのだ。

さて、こうなってくると映画は「観るもの」から「参加するもの」に変化していくのかもしれない。自分が参加することでストーリーが変化し、自分だけの物語が出来上がっていくわけだ。そう遠くない将来、「あの映画観た?」ではなくて「あの映画やった?」なんて事になるのかも?

投稿者 eigafan : 14:40 | トラックバック