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2006年05月25日

盛り上がっております! カンヌ大映画祭2006

今月17日から南フランスで開催中のカンヌ映画祭。ベネチア、ベルリンと並ぶ世界3大フィルムフェスティバルで一気に映画の街と化したカンヌに、本場映画の都も豊作を携え、多数の作品をエントリーしている。


24日、カンヌ映画祭レッドカーペット。
「マリー・アントワネット」の
ソフィア・コッポラ監督(左)
とキルスティン・ダンスト。
今年で59回目を迎える伝統の映画祭で、まずは開幕を飾ったこの作品。説明のいらないほど話題沸騰のなぞなぞ映画「ダ・ヴィンチ・コード」だ。最高潮の期待の中行われた試写会は、できすぎた原作が原因か、評価はまさかの「失笑」。それでも興行成績は、独走の「M:i:III」を引きずりおろして予想どおりのNo.1御礼を記録した。原作の盗作疑惑や、保守派のローマ・カトリック教徒による公開反対デモもダヴィンチ人気の火に油を注ぐだけ、としてきた本作品だけに、「失笑」も宣伝効果になっているのか?ここまでくれば、ロン・ハワード監督の「見たくない人は見ないで良い」という強気な発言も納得だ。

さて、肝心のコンペティション部門に出品された20作品では、ペネロペ・クルスが出演する「ヴォルヴェール(原題)」が高評価を得た模様。同名のタンゴの名曲に乗せ、3代に渡るスペイン女性の生き様を色彩鮮やかに描いた作品だ。さらに、ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェットらハリウッドのトップに加え、「SAYURI」でも海外からの評価が高かった役所広司がキャストに加わった「バベル(原題)」はスタンディングオベーションの大絶賛を受けた。日本、チュニジア、モロッコ、メキシコを舞台に、一つの銃を巡る悲劇を描いた本作品は、現在のところパルムドール(最優秀作品賞)第一候補と囁かれている。


若き日の奔放な王妃を演じるキルスティン・ダンスト。
映画「マリー・アントワネット」より。
また、今後のスクリーニングでは、ソフィア・コッポラ監督の「マリー・アントワネット(原題)」に期待が集まっている。フランス革命の「引き金」といっても過言ではないほど大変な浪費家だったフランス王妃の伝記は、これまで幾度となく映画化されてきたが、女性監督が描くマリー像はこれが初。キルスティン・ダンストが演じる、無垢が故に不幸への一途を辿った、若き日の王妃の素顔が垣間見れる作品となっている。衣装面では、ファッション界から「マノロ・ブラニク」がシューデザインを手がけるなど、目にも美味しいパリ社交界がスクリーンに再現されるという。

ファッションといえば、各映画祭恒例のレッドカーペットのドレスにも視線が集まった。前述のペネロペやキルスティンを始め、「X-メン 3」のハル・ベリーらが着こなしのセンスとザ・ハリウッドなプロポーションを披露。すっかりゴシックスタイルから卒業したアヴリル・ラヴィーンは、ドレッシーな装いで「ファスト・フード・ネーション(原題)」のお披露目を行った。

カンヌ映画祭は、今月28日まで開催予定。

TEXT BY 尾崎佳加

投稿者 eigafan : 19:38 | トラックバック

2006年05月19日

ヨーダやエイリアンやアスランに会える! アカデミー賞のリアルモンスター展

この夏、映画ファンなら絶対「行き!」のイベントがビバリーヒルズで開催されている。その名も「生きてます!スクリーンからやってきたCGアニメたち」。そう、あなたの好きなあのキャラクターが、実写版となって展示されているのだ。

アカデミー賞でおなじみの映画芸術科学アカデミー(AMPAS)が主催するこの展示会には、哀愁をおびた初期のCGキャラから、最新の技術が生んだスタイリッシュなクリエーションまで、人気の高い架空の生物が大結集。懐かしの「グレムリン」や「狼男アメリカン」から「エイリアン&プレデター」まで、様々な架空の生物が実寸のキャラクターとなってハリウッドに蘇った。

今回の展示では、映画の中ではCGによって作られた、実在しないキャラクターもある。つまり、今回のイベントのためにわざわざ実物が作られたというわけなのだ。



ヨーダ御大とPerformFXのキャラクターデザイナー、
ブルース・ラノイル(左)とデイブ・バークレイ(右)。
ハリウッドのトップCGデザイナーらにより命を吹き込まれた各作品は、下書きデッサンから試作品、完成品にいたるまでが写真や映像と共にディスプレイされている。コアな映画ファン泣かせのラインナップはさながら「モンスター博物館」といったところか。オリジナル時代から「スター・ウォーズ」のファンという映画好きが、実際に等身大のヨーダ御大を目の当たりにしたときの興奮は想像に難くない。



アカデミー賞特殊メイクアーティストの
ハワード・バーガー(左)と グレゴリー・ニコテロ。
間にお疲れ気味のアスランご老公。
また、ハリウッドの特撮がどのように行われるかを知るにも良い機会だ。ハリウッドでは、CGはもちろん、最新のメカトロニクスを駆使した機械じかけの動物や、その道数十年のベテランによる操り人形などのトラッドな技術も使われている。コンピュータ仕掛けのゴリラの表情がリアルに変わるのは必見だ。映画ファンだけでなく、技術者の方にも是非見ていただきたいイベントである。

スクリーンの中のみ存在していた生物たちを直に見ることができるまたとないチャンス。開催期間は8月までと余裕があるからなおさら逃す手はない。この夏のハリウッド観光の
メインアトラクションとしてプランに入れておこう。

■リアルモンスター出身作品ラインナップ



監督、脚本、ディレクターのジョン・ファサーノと
エイリアン3のフィギュア。
「102 ワンオーツー」、「エイリアン3」、「エイリアン vs プレデター」、「狼男アメリカン」、「ビートルジュース」、「キャッツ&ドッグス」、「ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女」、「ダーククリスタル」、「ドリトル先生」、「ジャングル・ジョージ」、「ゴーストバスターズ」、「グレムリン」、「ハリーとヘンダーソン一家」、「銀河ヒッチハイク・ガイド」、「ラビリンス 魔王の迷宮」、「リトルショップ・オブ・ホラーズ」、「ジュラシック・パーク」、「メン・イン・ブラック2」、「マイティー・ジョー・ヤング」、「プレデター」、「ロボコップ2」、
「サンタ・クロース リターンズ」、「ショート・サーキット」、「スノー・ドッグ」、「スパイダーマン2」、
「スター・ウォーズ エピソードⅤ 帝国の逆襲」



「リトルショップ・オブ・ホラーズ」で
特殊視覚効果賞にノミネートされた
ライル・コンウェイと人食い花のオードリーII。
イベント名:It’s Alive!: Bringing Animatronic Characters to Life on Film
開催期間:2006年5月12日(金)~2006年8月20日(日)
時間:火-金 午前10時~午後5時、土日 午後12時~午後6時
場所:The Academy of Motion Picture Arts and Sciences
8949 Wilshire Boulevard, in Beverly Hills
問い合わせ:(310) 247-3600
ウェブサイト

(c) Academy of Motion Picture Arts and Sciences


TEXT BY 尾崎佳加

投稿者 eigafan : 11:06 | トラックバック

2006年05月11日

セレブリティーハンター、パパラッチくん

映画の都、ハリウッド。けた外れの強運と実力の持ち主だけが君臨するショウビズ界で、ハイエナのごとくそのおこぼれをせっせと集めて回るコレクターがいる。著名人専門ハンター、パパラッチくんだ。

彼らが今、一様に狙いを定めている獲物がアフリカ、ナンビアに身を隠している。まもなく誕生するアンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットの第一子だ。 そのファーストショットは、買値数百万ドルとも囁かれている。これを我先にスクープしようと多くのパパラッチがナンビア入りし、静かなる戦いが繰り広げられているのだ。決定的な写真を撮る事が出来れば巨万の富が転がり込むのだから、埋蔵金の発掘よりも現実的だ。

標的にされるセレブリティーからは忌み嫌われている彼らだが、モラルをおいて評価するなら、その労力は相当なものである。ホテルの従業員やレストランのウェイターなど、買収できる情報には先行投資を惜しまない。テクノロジーを駆使して、郵便番号、自動車のナンバープレート、飛行機のテールナンバーなどなど、あらゆるデータで獲物を追跡する。“その瞬間”を捉えるために全てを捧げ、刑事のごとく現場に張り込み、目的が果たされるまで数日間でも離れない。もちろん、その瞬間が必ず来るとは限らない。一か八かのスクープにかけて気が遠くなるような時間を車中で過ごすのだ。これを執念と言わずなんと言おう。獲物となるセレブの気持ちなどこれっぽっちも考えていない奴らだが、その努力はあっぱれである。

パパラッチくんでも勝ち組クラスになると立派なセレブといえよう。業界で最も有名なバウアー・グリフィンは会社を起こし、世界のゴシップ誌に画像を提供し、がっぽがっぽ儲けている。ジェニファー・アニストンとヴィンス・ボーンの熱愛を「発覚」させたのは彼なのだとか。一方、パパラッチくんとは一線を画して活躍するプロフェッショナルもいる。セレブリティー・フォトグラファー、ケビン・メイザーはエゴイスティックな仕事はしない。撮る前に必ず許可をもらい、写りが気に入らないと言われれば処分する。一貫した姿勢と腕の良さで信頼を得た彼は、レッドカーペット上での撮影を許される数少ない写真家だ。この間、パパラッチくんは柵の向こうから腕を伸ばしてバチバチやっている。

行き過ぎた報道は芸能リポーターのみならず、マスコミ全般の悪いくせ。同じプロフェッショナルなら誇れる仕事をしてもらいたいものだ。

TEXT BY 尾崎佳加

投稿者 eigafan : 20:28 | トラックバック