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2007年03月29日
春の訪れとともに… ABC・社交ダンス番組で快挙!
3月21日は春分の日。全国的に穏やかな陽気につつまれたようですが、皆さんはいかがお過ごしでしたでしょうか?一年を通して温暖なロサンゼルスでも、春のお花が顔を見せ始めています。そんな春の到来を感じつつも、特にこの時期は日本へ帰りたくなる季節。ここ数年、満開の桜を見逃し続けている筆者なのですが、ちょうどお花見替わりになりそうな新番組が登場しました。
チャンネルABCで放送を再開した”Dancing with the Stars”が、第4シーズンを迎えて過去最高視聴率を記録。月曜日のナイト・フットボールの放送権を失った今、ABCにとって新たなモンスター番組となりそうです。そこで今回は、およそ2億1800万人が見守った計算となる初回放送・3月19日分の模様をお伝えしていきます。
この”Dancing with the Stars”とは、イギリスの”Strictly Come Dancing”という人気番組をライセンス化したTVショー。男女ともにいわゆる「セレブ」を迎えての社交ダンスバトルで、異性のプロダンサーとコンビになり、全11組で競います。日本でも「芸能人社交ダンス部」なる番組が人気を博しているようですが、そのアメリカ版だと説明すれば分かりやすいかもしれません。実のところ、今までの各シーズンはいまひとつパッとしなかった本番組。ハッキリ言ってしまうと、思わず「…誰?」と首をひねってしまいそうになる有名人が出演していました。いよいよ第4シーズンを迎え、ゲストが以前より格段と華やかに。これが、今回の高視聴率の理由だと思われます。
まずは、イアン・ジーリング。この名前から誰だか分かったするどい方々は、間違いなく”Beverly Hills, 90210”(邦題:ビバリーヒルズ高校白書/青春白書)のファンなはず。スティーブ・サンダース役で人気を博した彼は、現在TVシリーズやブロードウェイを中心に活躍中。それでもやっぱり、アメリカにおいても「ビバヒル」のスティーブとして定着しています。あの歴史的人気ドラマの誕生から10年以上経った今でも、ちっとも変わらないジーリング。性格の良さがにじみ出ているスマイル&トークと、キレの良いダンスのテクニックに魅了されてしまいました。
続いて、元NBAの一流スター選手、クライド・「グライド」・ドレクスラー。NBA界ではもちろん、1992年のバルセロナオリンピックにおけるドリーム・チームの一員としても活躍した彼が、今度はダンサーとなってTVに登場です。201センチというダイナミックなサイズで社交ダンスに挑む姿は、意外にも超シャイ。パートナーに気を使うかのように少し身をかがめて踊る様子が、とっても可愛らしく映りました。
他の男性陣では、人気アイドルグループ「’N Sync」のメンバーであるジョーイ・ファートン。アイドル時代があったとはまず信じられない程にぽっちゃりしてしまった彼ですが、ダンスに置いてはさすがの一言。持ち前のリズム感を発揮して、今回のお披露目では1位通過となりました。現在は活動休止中のイン・シンクの中ではジャスティン・ティンバーレイクばかりに注目が集まっていた昨今ですが、今後ファートンがどれだけ魅せてくれるかに期待が集まります。
一方の女性陣の中で、最も話題となっているのがヘザー・ミルズ。あのポール・マッカートニーと離婚協議の真っ只中にいる女性と言えば、日本でも有名かもしれません。元モデルの彼女は現在、ボランティアやチャリティーの活動家として知られています。1993年に交通事故に遭い、左足の膝下を切断。義足での本番組出場者は彼女が初めてで「障害があってもダンスを楽しめることを伝えたい」と語っています。
他にも、モハメド・アリの愛娘で女性プロボクサーとして活躍するライラ・アリや、元祖スーパーモデルのポーリーナ・ポリスコヴァ、オリンピックの金メダリストで現役スピードスケート選手であるアポロ・アントン・オーノも気になります。名前からもお察しのように日本の血を引くオーノに加え、審査員のひとりであるキャリー・アン・イナバも日系人。何だか、日本人としても余計に応援したくなる番組になりそうです。
まるで本物のダンス大会のように広い会場、大勢の観客、クレーンなども交えて何台あるのか分からないほどのカメラと、シンガーやバックバンドによる生演奏に乗せての社交ダンス…。と、どれをとっても派手!の一言に尽きるこの番組。ペア同士の熱いハグや、ダンスの素人とはまず思えない余裕の表情、そして(かなりの目立ちたがり屋さんが多い)プロダンサー達のパフォーマンスも見どころです。FOXの人気番組「アメリカン・アイドル」と同様に、視聴者の電話・メールによる投票で毎週一組ずつ落選するシステムとなっており、月曜日にパフォーマンス、火曜日に脱落ペアが今後10週間に渡って放送されていく予定です。最終的に、どのコンビが優勝となるのか?皆さんも、下記のホームページから参加者達の横顔をチェックしてみてください。
“Dancing with the Stars”公式ホームページ
TEXT BY アベマリコ
2007年03月22日
今年は「猛暑」の予感?”ShoWest” 速報
アメリカのエンターテイメント天国・ラスベガスで「ShoWest(motion picture industry convention)」が開催されました。このイベントは、映画館のオーナーと各スタジオの重役達が一堂に会し、夏の映画商戦に向けて作戦を練る大型の集会。つまりは「映画のトレード・ショー」なるものなのです。今年で第33回を迎えるこのショー、2007年度は3月12日から15日まで行われました。何でも、この夏は映画ファンにとってかなり「熱い」ものになりそうだとか。現時点ではまだ途中経過ですが、本年度の傾向と合わせて「ShoWest」からの速報をお伝えします。ShoWestが行われたフラミンゴホテル
そして、気になる今年の夏。本年度は、人気作品のSequel=続編が次々と登場してくる模様。”Pirates of the Caribbean: At World’s End” “Spider-Man 3” “Shrek the Third”(全て原題)などが目玉作品だとか。いかにもハリウッド!な映画がお好きな方々からは、喜びの声が聞こえてきそうなラインナップです。一方で、主にヨーロッパの観客からは「続編ものやCG映画ばかりではなく、ストーリー・内容重視で映画を観たい」という声が多く上がっているとか。2006年度を振り返ってみると「リトル・ミス・サンシャイン」のような、優れたストーリーの映画が大ヒットしています。今年はこうした傾向が強まるかもしれません。
今のところ、2007年度の本命は家族揃って楽しめそうな ”Shrek the Third”だとか。スタジオ側も「ShoWest」の1週間後には、カリフォルニアで上映会を予定しているそうで、まずは子供のハートをガッチリ掴むのが大きなポイントとなっているようです。ちなみに昨年の本イベントでは、多くの参加者が “Over the Hedge”(邦題:森のリトル・ギャング)を大本命と読んでいたようですが、結果はいまいち振るわずに1億5500万ドルの収益。また、多くの関係者が劇場で眠りこけたと言われた “Cars”(邦題:カーズ)は、2億4400万ドルの大当たりになっています。むしろ、オーナーの子供達をショーケースに連れて行ったほうが確実なヒット作を読めるのでは?と思ってしまうほど、大人にとっては何が起こるか分からないというのが現状のようです。
日本では冷夏といわれた2006年の夏。ロサンゼルスには熱波が襲うなど、気候が読めない昨今。本年度は一体どのような夏になるのでしょうか。少なくとも、映画館は例年以上に「猛暑」が見込まれている2007年。少し気が早いかもしれませんが、夏のスケジュールは映画鑑賞のために数日空けておく必要がありそうです。
TEXT BY アベマリコ
2007年03月09日
NAACP Image Awards:速報!!
オスカー・ウィークも過ぎて、ちょっと一段落…と思っていた矢先。3月2日の夜にハリウッドの「Shrine Auditorium」にて、第38回NAACP映像賞が開催されました。日本ではまだあまり馴染みが無いかもしれませんが、アメリカ国内では「イメージ・アワード」として親しまれています。主催は、全米有色人種地位向上協会(NAACP: National Association for the Advancement of Colored People・1909年創立)。彼らは、アメリカ国内で「マイノリティー」と称されることの多い人種、アフリカ系・アジア系・ヒスパニック系・ユダヤ系、そしてネイティヴ・アメリカンに対しての差別撲滅目的とした団体で、その歴史はアメリカにある市民権活動団体の中で最も由緒あるものとなっています。今年で38回目となるNAACP映像賞は、エンターテイメント業界、主に映画・TV・音楽で功績を残したマイノリティーを表彰するというもの。アカデミー賞とは一風変わった受賞者達が壇上に迎えられます。そこで今回は、多数の人種が集って暮らすUnited Statesならではのアワードをお伝えしていきたいと思います。まず、最優秀主演男優賞・映画部門。こちらは、堂々のオスカー受賞者となったフォレスト・ウィテカー(「The Last King of Scotland」:原題)がまたも受賞。独裁者として名を馳せたウガンダ元大統領、アミン氏を演じた今作において、これで何と19個目のトロフィーとなりました。そして、同じくアカデミーの仲間入りを果たしたジェニファー・ハドソン(「ドリームガールズ」:邦題)も、最優秀助演女優賞を獲得しています。「絶対、絶対にあきらめないで。そして、あなたが何かを出来ないだなんて誰にも言わせては駄目。もし、誰かがあなたには出来ないと言うのなら、それは彼らがあなた程の大きな夢を見られないってことなんだから…」ハドソンの才能を見出してくれた母親に捧げたコメントでした。以上の2名が、オスカーと共にイメージ・アワードのトロフィーも持ち帰っています。
そしてここから、先に行われた各授賞式とはガラッと変わった面々が登場。最優秀主演女優賞・映画部門には「Akeelah and the Bee:原題」からキキ・パルマー。驚くことに、若干13歳!とは言っても、特にTV界では多くの作品に登場しています。本作では、サウス・セントラル(前回お伝えした、フォレスト・ウィテカーも出身のLA危険地域)に住む、単語のスペリングが得意な少女を好演。サントラ盤がスターバックス各店に置かれるなど、音楽も人気の作品です。彼女のまだあどけない笑顔でトロフィーを手にする姿が、とてもかわいらしく映りました。
最優秀助演男優賞には、「ブラッド・ダイヤモンド:邦題」よりジャイモン・ハンスゥ。オスカーを含め、数々の賞で助演候補として挙がっていた彼が、念願のトロフィーを手にしました。ベナン共和国で生まれ、パリでのスーパーモデル経験を持つハンスゥは、南アフリカやモザンビーク等での映画普及に取り組む活動家としても知られています。
そして、最優秀作品賞には「幸せのちから:邦題」。「ドリームガールズ」ではなかったことが、多くの人々を驚かせることになりました。また、ウィル・スミスが演じる主人公の元となったクリス・ガードナーは、最優秀執筆賞・自叙伝部門を受賞。出演者やスタッフ達と壇上に立ったガードナーは「ウィル・スミスと一緒に仕事をしたことを誇りに思うよ。君は世界で一番ビッグなムービースターかもしれないけど、家の中では3番目の俳優だよね」とコメント。ウィル・スミスの妻で、女優でもあるジェイダ・ピンケット・スミス、息子で本作にも登場のジェイデン・クリストファー・スミスをほのめかしての、茶目っ気たっぷりのスピーチでした。
TV部門では、大人気の”Grey’s Anatomy” (ABC) が、最優秀作品賞・ドラマ部門、最優秀主演男優賞・ドラマ部門(イザイア・ワシントン)、最優秀助演女優賞・ドラマ部門(チャンドラ・ウィルソン)を獲得。今、全米で最も人気のあるドラマ・シリーズとなっているこの作品。アメリカのドラマらしく、かなり入り組んだ恋愛模様が人気で、毎週木曜の夜は絶対に帰宅!(アメリカでの放送時間により)といった人々も少なくありません。”LOST” (ABC) のように、日本でも一大旋風を巻き起こすのではないでしょうか?そして、筆者も超お気に入りドラマ、”Ugly Betty” (ABC) 。最優秀主演女優賞・コメディ部門にアメリカ・フェレラ、最優秀脚本賞・コメディ部門にシルヴィオ・ホルタ、最優秀助演女優賞・コメディ部門にヴァネッサ・ウィリアムスが獲得しています。このドラマこそ、日本でも放送されれば良いのに…と思ってしまう今日この頃。フェレラの「ステレオタイプという仮面を剥ぎ取って、全ての人々を人間とした作品」というスピーチは、ホンジュラス出身の両親を持つ、LA出身の彼女の特別な思いが込められているような気がしました。
今年のNAACP映像賞のクライマックスでは、世界の貧困や不平等と戦うミュージシャン、U2のボノが登場。元スーパーモデルのタイラ・バンクスより、委員会特別賞を受け取りました。世界規模で、ボランティア活動を行うボノ。彼のスピーチは、まるでNAACPの意義や目的を代弁したかのようなものでした。「今日、世界は再度NAACPを見ている。人権について考えさせられる市民権、というものを世界に教えてくれたこのコミュニティーが我々には必要。これはチャリティーではなく、正義と平等ということなんだ」
TEXT BY アベマリコ
2007年03月05日
Happy Oscar!気になるオスカー像の行方は?
待ちに待った、第79回アカデミー賞!去る2月25日、例年通りコダック・シアターにて華やかに開催されました。映画通の皆さんは、もうすでに結果をご存知のはず。TVの前で、固唾を呑んで見守った方々も多いかもしれません。ショーあり、コントあり、特別ゲストも多数招かれた、年に一度の映画の大祭典。それでは早速、気になるオスカーの行方とセレモニーの模様をお伝えします。喜びのスコセッシ監督
(C)Academy of Motion Picture Arts
and Sciences
まずはいきなり、メインの最優秀作品賞。ご存知、香港の名作「インファーナル・アフェア」(2002:邦題)をリメイクした”野郎”映画、「ディパーテッド」(邦題)に栄冠。また、最優秀監督賞も、同監督であるマーティン・スコセッシの元へ。昨年の波乱をよそに、監督・作品賞合わせての受賞となりました。「タクシードライバー」(1976:邦題)や「レイジング・ブル」(1980:邦題)、「グッドフェローズ」(1990:邦題)などの名作を送り出して来たスコセッシ監督ですが、今まで一度も最優秀監督賞を獲っていなかったことに驚き。「6度目の正直」なる念願の初受賞です。長年の監督仲間であるフランシス・コッポラ、スティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ルーカスから受賞をアナウンスされたスコセッシ監督は「もう一度確認してくれないか?」と余裕のジョーク。「多くの人々が何年も、この賞を僕に…と願ってくれてたんだ」と饒舌に語りました。最終的に「ディパーテッド」は、最優秀脚色賞・最優秀編集賞を合わせた計4部門を獲得しました。
主演男優賞のフォレスト・ウィテイカー、感動ものの演説
(C)Academy of Motion Picture Arts
and Sciences
もう一方の最優秀主演女優賞には、「クイーン」(邦題)のヘレン・ミレン。こちらも、極めて納得の受賞です。それにしても、彼女のスピーチはいつ見ても堂々たるもの。カンニングペーパーを持ち込む受賞者が多い中、真っ直ぐカメラを見つめ、ジョークを交えてのコメントはまさに「女王」の風格そのもの。クリスチャン・ラクロワによるシャンパン・カラーのドレスをまとったミレンは、とてもチャーミングでした。「エリザベス女王は50年以上もの間、彼女の威厳、義務、そしてヘアスタイルを維持して来た。地面にしっかり足を着けて、帽子もしっかり身に着けて、ハンドバッグを小脇に抱えて、幾度も暴風にさらされて来ました。もし彼女がいなかったたら、私は間違いなくここにいないでしょう」ミレンによって高々と掲げられたオスカー像、エリザベス女王もご覧になっていたのでしょうか?
そして、混戦が予想された最優秀助演男優賞。「ドリームガールズ」(邦題)からの強豪、エディ・マーフィーを抑え、筆者一押しの「リトル・ミス・サンシャイン」(邦題)のアラン・アーキンが受賞しました!恐らく、個人的に最も興奮した一瞬だったと思います。恐ろしいまでに毒舌で、ドラッグに手を出すも「俺はもう歳だからいいんだ!」などと言い訳してしまう、強烈なキャラクターのおじいちゃんを演じたアーキン。「何よりも、我々の小さな映画が広く受け入れられたことに、深く感銘を受けました」とコメント。忘れかけられていた家族の絆や無邪気な冒険心、人間の成長を描いたこの作品は、最優秀脚本賞も合わせて獲得しています。未見の方々は是非!
我らが日本代表である菊地凛子さん(「バベル」:邦題)も参戦したカテゴリー、最優秀助演女優賞。ここでは下馬評通り、ジェニファー・ハドソンがオスカー像を持ち帰ることに。「信じられない!受賞するなんて思ってなかった」と涙のスピーチ。「もし祖母がここにいてくれたなら…。彼女が私の最大のインスピレーションです」と締めくくりました。人気TV番組「アメリカン・アイドル」落選を経て、782人の候補者から本作のエフィー役を射止めた彼女。25歳のディーヴァ=歌姫の、今後の活躍が気になります。また、セレモニー内のパフォーマンスもお見事。歌手・女優として先輩に当たるビヨンセ・ノゥルズとの共演はとても華やかでした。最多8部門にノミネートしていた「ドリームガールズ」は、最優秀音響賞と合わせて2冠となっています。
地球まるごとを巻き込んだ、ハリウッドの一大祭典。本年度のアカデミー賞は、歴代で最も国際色に富んだものとなりました。日本では秋の公開が待たれる、メキシコ・スペイン・アメリカ合作の”Pan’s Labyrinth” (邦題:パンズ・ラビリンス)は、最優秀撮影賞・最優秀美術賞・最優秀メイクアップ賞を獲得の大健闘。 日本からも、助演女優賞にノミネートの菊地凛子さん、特殊メイクアップ賞にノミネートした辻一弘さんや、50周年となる外国語作品賞のメモリアル・モンタージュを紹介し、仏大女優のカトリーヌ・ドヌーヴをエスコートして登場の渡辺謙さんが来場。皆さんの笑顔がカメラにキャッチされる度に、筆者もワクワクしてしまいました。個人的な2006年度のナンバー・ワン映画「硫黄島からの手紙」(邦題)は、最優秀音響編集賞を受賞。今後も、日本人俳優や技術者、関連作品が世界にアナウンスされていく期待大です。さて、2007年は果たしてどんな映画が登場するのでしょうか?今後も、EIGAF@N.COMで最新の映画情報をお楽しみ下さい!
オスカー受賞者・全リスト
TEXT BY アベマリコ