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2007年05月31日
リアリティーTV:人気番組の気になる結果は?
先週もお伝えしたように、現在アメリカではリアリティー・ショーが大人気。アイドル、ダンサー、シェフ、デザイナー…などなど、ありとあらゆる職業の「No. 1決定戦」が各局で放送されています。中でも今クールで人気だったのが、もはや老舗となった”アメリカン・アイドルAmerican Idol (Fox)”と”ダンシング・ウイズ・スターズ Dancing with the Stars (ABC)”の2シリーズ。5月22日は、先週お知らせしたスティーブン・スピルバーグが製作総指揮を務める”On the Lot (Fox)”のプレミアが参戦。Fox勢が”Dancing with the Stars”の最終回を潰しにかかる作戦に出ました。そこで今回は、フィナーレを迎えた各人気リアリティーTV、「アメリカン・アイドル」と「ダンシング・ウイズ・スターズ」の結果をお伝えしていきたいと思います。まずは、全米No.1の視聴率をキープし続ける大ヒット番組、”American Idol”。歌手のケリー・クラークソンを産んだこの番組ですが、第6回を迎えてネタ切れ、というささやき声もチラホラ。そこに突如登場したのが、17歳のサンジャヤ・マラカー少年でした。回を重ねるごとに、目まぐるしく変わる彼のヘアスタイルやファッションの奇抜さが話題となり、お世辞にも上手いとは言えない歌唱力とは裏腹に毎回生き残り続けます。「なぜ彼は落ちないのか?」という素朴な疑問の影には、国内に蔓延する「アメリカン・アイドル症候群」に反対する人々の地道な投票活動があったのだとか。アイドルらしかぬアイドルを誕生させてしまおう!というイタズラ心だったようです。結果、彼がファイナリストとなることはありませんでしたが、エキセントリックなサンジャヤに病みつきになった視聴者も少なくなかったのでは?そして決勝は、ジョーディン・スパークスとブレイク・ルイスの2名が残りました。栄えある「Winner」となったのはガールズ・パワー炸裂のジョーディン。若干17歳の新星歌姫が、「アメリカン・アイドル」の称号を持ち帰ることになりました。第1回優勝者であり、今ではティーンに大人気のシンガーへと成長したケリー・クラークソンのようなディーヴァとなるのか?今後の活躍に注目が集まりそうです。
そして、一方の”Dancing with the Stars”は今クールで4回め。全放送期間を通してトップの視聴率を獲得した今回は、各界から集められたスター達が話題になりました。この番組のユニークな点は、出演者がセレブだということ。一般人は登場しません。俳優、シンガー、スーパーモデル、ボランティア活動家にアスリート。以前にもこのコラムでご紹介したように、ありとあらゆるジャンルから集められたスターによる贅沢な競演は、視聴者達を釘付けにしました。義足というハンディを持ちながらの参加が注目されたポール・マッカートニーの前妻、ヘザー・ミルズも参加して話題を呼びました。残念な事に中盤で脱落してしまいましたが。そして、本命と見られていた「ビバリーヒルズ高校・青春白書」のスティーブ役でお馴染み、アイアン・ジーリングは惜しくもセミファイナルで会場を去ることに。最終的にファイナルへと勝ち進んだのは、アメリカの伝説であるモハメド・アリの娘で女性プロボクシング王者のレイラ・アリ、現在は活動休止中の’NSYNC(インシンク)のメンバーであるジョーイ・ファトーン、そしてオリンピック金メダル保持者のスピードスケート選手、アポロ・アントン・オーノの3名。優勝者に送られる、摩訶不思議な「ミラーボール型」のトロフィーを持ち帰ったのは、父親が日本人であるオーノ。辛口で知られる審査員3名から、今大会において最初の30点=満点を受けたのも彼でした。お騒がせ審査員であり、やたらとパフォーマンスを映画にたとえたがるブルーノ・トニオーリから「君達のダンスはハッピー・フィートを観てるみたいだ」と云わしめた、プロダンサーのジュリアン・ハフとオーノのペアが持つChemistry=相性は、画面を通して見ていてもひときわ圧巻。彼のアスリートとしての身体能力の高さはもちろんのこと、ジュリアンのユニークな振り付けも合わせて、ベストコンビで勝ち取った優勝だったように映りました。
国民的な人気を誇ったリアリティー番組の2本は、とりあえずの一休みに入ります。この間、新しく始まった”On the Lot”などを含め、どの番組がTV視聴者をとりこにするのでしょうか。脚本家を必要とせず、制作費も安価。そして何よりも、笑いと涙と感動が一挙に詰め込まれたリアリティー・ショー。今後もしばらくは、この「リアリティー熱」が上昇していく気配です。下記のホームページから、多くのアメリカ人達が愛して止まない各ショーの詳細と盛り上がりぶりをご覧下さい。
“American Idol” ホームページ:http://www.americanidol.com/
“Dancing with the Stars” ホームページ:http://abc.go.com/primetime/dancingwiththestars/index
TEXT BY アベマリコ
2007年05月25日
リアリティーショー・ラッシュ!新たな番組は「Movie」
現在のアメリカは、今シーズンのリアリティーショーにおける結果発表で大賑わい。第6シーズンを迎えた”American Idol (Fox)”の優勝者は?そして、第4シーズンにて過去最高の視聴率を記録した”Dancing with the Stars (ABC)”のトロフィーは誰の手に?こちらの結果はまた後日お伝えしたいと思いますが、とにかく今はリアリティーショーが熱い!そしてついに、映画ファンが待ちに待ったリアリティーショーがもうすぐスタートします。自称「American Idolファン」を名乗る映画界の巨匠が参戦して、新しく始まる「未来の映画監督」発掘番組。今回はその詳細をお伝えします。その巨匠映画監督とは、ご存知スティーブン・スピルバーグ。映画界ではすでに重鎮のひとりとなっていますが、実はTV映画 ”Duel” (1971) の監督としてブレイクしたのが今日の名声を得るきっかけでした。そんなスピルバーグ監督が、ブラウン管にカムバック。それも、映画のディレクターやプロデューサーとしてではなく、リアリティーショーのエグゼクティブ・プロデューサーとしての登場です。新番組のタイトルは”On the Lot ”。「アメリカン・アイドル」を国民的人気番組に育てたFoxが、満を持して送り出す新感覚のリアリティーショーとなっています。リアリティTVの先駆けである”Survivor (CBS)”などを仕掛けた敏腕プロデューサー、マーク・バーネットとドリームワークス社が手を組んで、次世代のスティーブン・スピルバーグを探し出す番組。果たして、Mr. Movieの跡取りは見つかるのでしょうか?
番組では、最終選考を勝ち抜いた参加者が、チームに分かれて短編映画を製作します。週ごとに、コメディ、スリラー、ドラマ、ロマンス、SFなどの様々なジャンルによる「お題」が出されます。そのテーマに沿って、各チームの中から責任者=ひとりの監督を選出。監督は、他のメンバーとの共同作業を通し、限られた時間の中でショートフィルムを製作しなければいけません。完成作品は、会場に集められた観客達が見守る中、スタジオのエグゼクティブ達や映画評論家から成る審査員チームのジャッジを受け、毎週一人がElimination=脱落していきます。この工程が、最終的に2名のファイナリストに絞られるまで繰り返されます。最終的には、TV視聴者の電話・インターネットによる投票で生き残りを賭けるかたちになります。”American Idol”や”Dancing with the Stars”同様、週2回(月曜・火曜)の放送を予定。作品紹介をする月曜日を「Film Premiere(試写会)」、脱落者が決まる火曜日を「Box Office(売り上げランキング)」と名付け、参加者たちの横顔や撮影風景などと合わせて紹介していくことになるようです。
この番組の正式なスタートは6月に入ってからとなっていますが、今週はその準備段階として、50人の予選通過者による熾烈な争いが放送されます。1万2千もの応募の中から勝ち抜いて来た精鋭達は、ロサンゼルスに到着して最終バトル中。映画の本場、ハリウッドで働くプロフェッショナル達の助けを借りて、予選最後となる課題「24時間で映画を作れ」という過酷な試練が課されています。たったの1日で、1ページ分のシナリオを撮影、編集とアレンジをして1本のショートに仕上げる。不可能にも感じるこのプロセスを勝ち抜き、”On the Lot”の初代メンバーに加わるのは誰なのか?かなり楽しみです。
スピルバーグ監督はあくまで「製作総指揮」の立場であり、番組にはほとんど登場しないのだとか。彼に直接会えるのは、最後まで勝ち残った者のみ。優勝のあかつきには、ドリームワークス本社にオフィスが与えられ、本格的に映画監督デビューへの道が開かれることになります。番組の行く末はまだまだ謎ですが、人気があればシリーズ化される可能性も。アメリカ国外からの応募も受け付けていますので、我こそは!という日本の映画クリエイター達にとってチャンスかもしれません。また、作品に参加する俳優達も随時募集中。監督のみならず、アクターにとっても門戸が開かれている”On the Lot”。未来の大監督・映画スターがここから生まれるかも?今後も、この新しいリアリティーショーの動きを追っていきたいと思います。
“On the Lot” オフィシャルサイト:http://www.thelot.com/
TEXT BY アベマリコ
2007年05月17日
次世代のHollywood艶男:今から要チェック!
ブラッド・ピットにジョニー・デップ、はたまたレオナルド・ディカプリオ…。かつ てはアイドル的な存在で一躍ブームを巻き起こした彼らも、今ではハリウッドを代表 するような大スターとなりました。バツイチ子持ちのブラピ、ジャック・スパローこ とジョニデのふたりは同い年の43歳、童顔のレオ様も今年で33歳。そんな彼らをも う「アイドル」とは呼び難くなって来た今日この頃、すでにハリウッドでは次の世代 を担う若手俳優の発掘が始まっている模様です。若き即戦力を求める最大の理由は、俳優に与えられるギャラの高騰。現在の主役級ス ターには一作品につき2000万ドル、20億円以上が支払われており、制作費のほとんど が主要キャスト達へ…なんてこともザラ。「映画は出演者で決まる」というセオリー も根付いてはいますが、ちょっと高すぎるというのが製作者の本音なのかも。そんな うなぎ登りのギャラに対する回避策として、安値で配役出来る新人俳優の育成が始 まっているわけなのです。
そんな中でメキメキと頭角を現しているのが、シア・ラベオウフ(20)。先日公開さ れた主演映画、”Disturbia (原題)”は、オープニング週で2200万ドルを叩き出す快 挙に。同時期に公開されている43歳のニコラス・ケイジ、35歳のマーク・ウォルバー グ、52歳のブルース・ウィリスらの主演作を押さえ込む数字となりました。また、こ の夏の話題となりそうなマイケル・ベイ監督の”Transformers (原題)”でも主演。 実は、ベイ監督にこの新人を推薦したのはあのスティーブン・スピルバーグ監督だそ う。来年公開予定となっている彼の最新作”Fourth Installment of the Indiana Jones Adventure (原題)”、あの「インディー・ジョーンズ」シリーズにもすでにキャスト済みとのこと。名匠達も惚れ込む この若手俳優、実はスタンダップ・コメディの舞台にも立っていたほどの話術の持ち主で、かなりの面白キャラらしいです。演じて良し、喋って良し、見てるだけでも良しのラベオウフは、これからの若手ナンバー ワンの呼び声が高くなっています。
オーストラリア出身のサム・ウォーシントン(30)は、「タイタニック(邦題)」以 来、劇場版の映画からちょっとご無沙汰しているジェームズ・キャメロン監督の最新 作、2009年公開予定の”Avatar (原題)”の主役に大抜擢。新星のごとく現れたかの ように見えますが、実はこの俳優「007 カジノ・ロワイヤル(邦題)」でダニエル・ クレイグと新ジェームズ・ボンドを競い合った実力者。たくましい身体つきと哀愁を 漂わせるような横顔を持つ彼は、次世代のラッセル・クロウとも言われる注目株で す。
イギリスからは、28歳のジェームズ・マッカヴォイ。主に英国やアメリカのTVシリー ズで活躍してきた彼ですが、2005年の「ナルニア国物語(邦題)」や昨年の話題作 「ラストキング・オブ・スコットランド(邦題)」での好演で注目を集めることに。 本国ではすでに大人気のようですが、来年公開予定の”Wanted (原題)”ではアカデ ミー俳優のモーガン・フリーマン、アンジェリーナ・ジョリーとの共演が決まってお り、ハリウッドのニューフェイスとなるのも時間の問題かも。
最後に、ロサンゼルス出身の22歳、エミール・ハーシュ。10代の頃から演劇の世界に 足を踏み入れている彼は、その演技に対する評価が絶大。今までのところでは出世作 と呼べるものはありませんが、演技派と呼ばれるショーン・ペン監督の最新作、今秋 に公開予定の”Into the Wild (原題)”では主演を努めています。また、日本で60年 代に人気を博したアニメ「マッハGoGoGo」の実写版、ウォシャウスキー兄弟が監督す る2008年公開の”Speed Racer (原題)”でも主役を奪取。リバー・フェニックスを彷 彿とさせる言われる憂いをおびた瞳は、世界中の女性を魅了してしまうかも。
現在、各スタジオが求めている新しい逸材のターゲットは、ミレニアム・ジェネレー ション=1978年から2000年の間に生まれた若者達だとか。もうすぐ45歳になるトム・ クルーズの子供だとしてもおかしくない世代を魅了するには、男っぽさと端麗な容 姿、そして確かな演技力が必要とされるようです。同性にとっては友達になりたい、 異性にとっては彼氏にしたい男性。そんな俳優達がどんどんスクリーンに登場してく るのが楽しみです。今回フィーチャーした俳優達が気になる方々は、下記のリンクか ら写真などの各情報をGetしてみてください。ハリウッドスターになる寸前の彼ら、 今から押さえておいて損はないはず!
シア・ラベオウフ:http://www.imdb.com/name/nm0479471/
サム・ウォーシントン:http://www.imdb.com/name/nm0941777/
ジェームズ・マッカヴォイ:http://www.imdb.com/name/nm0564215/
エミール・ハーシュ:http://www.imdb.com/name/nm0386472/
TEXT BY アベマリコ
2007年05月11日
WGA発表:2007年度の「脚本家白書」
アメリカは人種の坩堝、なんて良く言われていますが、なかでもハリウッドは、様々な国籍、人種の人々がせめぎあってエンタテインメントを創造している場所です。特に昨今は、白人以外の俳優、監督の台頭が目覚しく、かつての白人オンリーのイメージはすっかり消えています。しかし、脚本家の世界に目を向けると、まだまだ各人種に門戸が開かれているとは言えない状況。今回はそんな脚本家の世界を覗いてみましょう。今週の火曜日、全米脚本家組合(Writers Guild of America:WGA)西海岸支部が、2007年度の報告書を発表しました。WGAとは、アメリカで活躍する映画・TVの脚本家が加入するユニオンのこと。SAG(Screen Actors Guild:全米俳優組合)やDGA(Directors Guild of America:全米監督組合)などと並ぶ、映像業界で働く人々の為の労働組合となっています。この度発表されたレポートによって、女性やマイノリティ作家に対する歴然とした格差が明るみに。彼らの地位向上が、今後の課題として挙げられました。
↑SAG(Screen Actors Guild:全米俳優組合)ロゴ
このレポートは、2005年の一年間を通しての雇用状態と収入格差を性別・人種・年齢に分けて検証したもの。
社会学とアフリカン・アメリカン学の権威であり、2000年度のSAG報告書にも携わったダーネル・ハント氏が作成しました。彼の調査によれば、女性を含めたマイノリティライター達による地位向上は未だ「乏しい」と言わざるを得ない状況だとか。今日では、アメリカの全人口のうち30%以上が白人以外=マイノリティ人種であるのに対し、WGAに在籍している有色人種の作家は、TV部門で全体の10%にも満たないとの統計が出ました。更に、映画界においてはほんの6%未満と、ごくごく一部といった数字となっています。
人種別年収:
マイノリティ作家 v.s. 白人作家(女性を含む)
TV部門・中堅クラス
・マイノリティ作家:$78,107
・白人作家:$97,956
映画部門・中堅クラス
・マイノリティ作家:$66,666
・白人作家:$77.537
性別年収:
男性作家 v.s. 女性作家
映画部門・中堅クラス
女性作家:$50,000
白人男性作家:$90,000
年齢別割合:
TV部門
40-50代:35%
31-40代:37%
31歳以下:7%
上記は主要部門の値ですが、他にも女性の雇用率はTV・映画業界を合わせて全体で25-27%、現在会員である映画脚本家のうち55%は40歳以下、若手脚本家が健闘しているなどの数字が出ています。
SAG代表のヴェローン氏は、これらの数字がアメリカのTV界やハリウッドにおいて意思決定権を持つ人々への警鐘になれば、と話しています。この時期(特にTV業界では雇用シーズン)に今回のような報告をすることで、今からでも女性やマイノリティ達の脚本により一層目が向けられるようになれば。また、組合員みんなが平等な機会の下で競争がすることが出来れば、とも語りました。女性ならではの観点、マイノリティの背景から生まれる国際色豊な発想。業界内でのチャンスが公平になることで、我々に届く作品の幅も更に広がっていくのではないでしょうか。スクリプト採用などの決定権を持つのは、最終的にはやはりエグゼクティブ達。彼らが今回のレポート結果を前向きにとらえてくれることを期待します。
TEXT BY アベマリコ
2007年05月08日
アジアを発掘するハリウッド
2003年の「ラストサムライ(邦題)」に始まり、「SAYURI(邦題:2005)」や昨年の「バベル(邦題)」、「父親たちの星条旗(邦題)」、そして「硫黄島からの手紙(邦題)」などなど。ここ数年で、日本やアジアをテーマにした”From Hollywood”の映画が多く見られます。そして今回、我々にとってちょっと耳寄りなニュースが舞い込んで来ました。アメリカの大物プロデューサーが、アジア映画市場の開拓に力を注いでいくと発表。その気になる詳細をお伝えしていきます。ハリウッドを揺るがすニュースを持ち込んだのは、アメリカの有名プロデューサー兄弟として知られる、ボブ(弟)&ハーヴェイ(兄)・ワインスタイン。ニューヨーク出身の彼らが設立した映画会社が、後にMiramaxとなったのは有名なお話です。今までに彼らがプロデュースして来た作品として「トゥルー・ロマンス(邦題:2003)」、「パルプ・フィクション(邦題:1994)」、「ジャッキー・ブラウン(邦題:1997)」、「キル・ビル(邦題:2003)」などの、同社の看板であるクエンティン・タランティーノ監督の作品や、世界中をとりこにした「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズがあります。他にも、彼らによるヒット映画は枚挙にいとまがありません。ワインスタイン兄弟は、タランティーノ監督も含めて、新進気鋭の映画制作者を発掘するのに力を注いでいることでも知られていますが、一方で「ギャング・オブ・ニューヨーク(邦題:2002)」のマーティン・スコセッシ監督のような大物監督達の作品もあります。そんな売れっ子のワインスタイン兄弟が2005年に設立した「ワインスタイン・カンパニー」が、今回のお話の主役。この度、アジアの要素を持つ映画に2億8500万ドル(約330億円!)もの基金を投資することを明らかにしました。
アジアの象徴チャイニーズシアター
最新情報によると、どの作品もアジアがテーマとなっている様子。俳優はアジアンを中心にキャストしていき、製作や撮影から各ストーリーが展開する場所に至るまで、ほとんどアジア国内になるであろうとのこと。彼らはとことん「アジア」を追求している模様です。また、今のところ候補に挙がっているとされている作品は、カンヌ映画祭でオープニング上映されたばかりの新作、ウォン・カーウァイ監督の”My Blueberry Nights (原題)”。また、1966年に香港で製作されたアクション映画”Come Drink with Me(洋題)”が、タランティーノ監督によってリメイクされる企画も進んでいるようです。
今回のワインスタイン・ブラザーズによる新たな計画によって、アジア映画の更なる可能性が広がっていくことになりそうです。ネタ切れが囁かれるハリウッドの住人達にとって、アジア諸国はエキゾチックな「宝の宝庫」なのかもしれません。今まで以上に、日本人俳優が世界のビッグ・スクリーンを彩る日も近いかも?今後も、彼らの動きから目が離せなくなりそうです。
TEXT BY アベマリコ