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2007年07月27日

アメリカの国民的アニメ「シンプソンズ」がコンビニをハイジャック!?

アメリカのTVアニメ史上、最長寿として知られる”The Simpsons (邦題:ザ・シンプソンズ)”。黄色いボディーと大きな目を持つ、賑やかなシンプソン一家を中心にしたTV番組です。アメリカ人なら知らない人はいない!と言っても過言ではないほど人気のこのシリーズ。うだつの上がらないサラリーマンのホーマー、しっかり者の奥さんマージ、成績優秀、天才少女のリサ、典型的なワルガキバートの一家が織り成す物語は、20年近くもアメリカ人に愛されてきました。皆さんも、登場するキャラクター達を衛星放送やコマーシャル、キャラクターグッズなどを通して一度は目にしたことがあるのでは?そんな人気番組が今週末より、放送開始から18年の時を経てスクリーンに登場。それに先駆けたプロモーションの一環として、アニメに登場するコンビニエンスストア”Kwik-E-Mart”(クイッキー・マート。恐らく「Quickie=早い」を文字ったネーミング)が、アメリカ大手チェーンのセブンイレブンを乗っ取ってしまいました。

↑セブンイレブンの看板もこの通り
お馴染みのセブンイレブンが突然クイッキー・マートと化したのは、6月の終わり頃から。北米の11店舗とカナダの1店舗が、アニメの世界からそっくりそのまま再現されています。計12ヶ所のうち、映画関係者が特に集まるロサンゼルス近郊には2店舗がお目見え。ひとつは、映画スタジオやプロダクション会社が多数立ち並ぶバーバンク地域、そしてもう一軒はUCLAに程近いウエスト・ロサンゼルスエリアに登場です。

このプロモーションの面白いところは、外観だけでなく中身もクイッキー・マートになっている点。店内にキャラクターのパネルや直筆のイラストが飾られるのみならず、番組に登場するさまざまな商品が、実際に店内で販売されています。ちなみにこれらの商品は、クイッキー・マートになっていない通常のセブンイレブンでも販売中。シンプソン好きにはたまらないラインナップは、以下のようになっています。

↑母マージの買い物姿パネル。壁まで黄色に塗ってます

●Buzz Cola:バズ・コーラ。特に、シンプソン一家の長男バートが愛飲しているコーラ飲料です。キャッチコピーは「砂糖2倍・カフェイン2倍」。どう考えても身体に悪そうなフレーズは、ブラックでシニカルな笑いが頻繁に登場する本番組ならではかも。

●KrustyO’s:クラスティー・オーズ。主に子供番組で活躍するコメディアン、クラスティー・ザ・クラウンが箱に描かれたコーンフレーク。彼は前述のバートが心から崇拝する人物であり、キッズの人気者でもあり、またアメリカでは保守的とされる共和党員を名乗っていますが、実は相当なポルノマニアという裏の顔が。

●Squishees:スクイッシーズ。通常のセブンイレブンでも「スラッピー」の名前で売られているドリンク。こちらも、ジャンクフード世代のバートのお気に入り。シェイクのような、シャーベットのような、そして妙にカラフルな色をした飲み物です。日本でも、行楽地などで見かけます。筆者の地元では「アイシー」と呼ばれていたような…。余談ですが、水色が好きでした。


↑シンプソンズ特製砂糖たっぷりのドーナツとコーラ。
口に運ぶのには勇気が要ります
●Pink Doughnut:ピンク・ドーナツ。どぎついピンクのコーティングに、カラフルなチョコレートのトッピングが散りばめられたドーナツで、最も登場頻度の高いアイテム。バートの父、ホーマーが愛して止まない一品として知られています。好き過ぎて、このドーナツの為に魂まで売るというエピソードも。バーバンク店では、7月に入って5万7500個も売れたそうです。

このユニークな企画は、今月いっぱいの予定。登場から1ヶ月近く経った今でも客足は伸びる一方で、すでに先月比300%の売り上げを達成した店舗もあるとか。コンビニ前には長蛇の行列ができ、どうやらプロモーションは大成功。各界の著名人がこぞって声の参加を快諾する「国民的アニメ」の底力を見たような気がします。夏休み映画が火花を散らす今、気になる本編の行方は?来週のBox Officeに注目してみましょう。

TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 18:50 | トラックバック

2007年07月20日

映画界でもっともリッチな18歳?

何から何まで桁外れのライフスタイルのヤングセレブ、略してヤンセレ。巨額のギャラを貰うのに年齢は関係ないわけでして、普通の人が一生かかって稼ぐ金額の10倍くらいの金額を、まだ成人式を迎える前のお子様たちが平然と稼いでしまっているのです。こういう許せないガキども、じゃなくてうらやましいティーンセレブたちのランキングが発表されました。

まず、日本ではあまり馴染みのないヘイデン・パネティエリ17歳がいきなり5位にランクイン。テレビシリーズ、「アリーmy Love」の、アリーの娘役、マディーを演じた子役と言えば、おぼろげに覚えている人もいるかも。2006年から始まったNBCのTVシリーズ「ヒーローズ」の主役で大ブレイクしている彼女、日本でも人気が出るのは間違いないでしょう。ちなみにこのヒーローズ、空中浮遊、瞬間移動、予知能力などを持ったティーンが集まって世界を救うという、サイキックSFヒーローもの。昨年スタートするや大人気となっています。で、主役のヘイデンちゃん、ドラマが当たっちゃったもんだから、主演映画は予定されるわ、来年CDが発売されるわで、去年の年収が2億5千万円。ちなみに彼女がもっともお金を使うのはフェイシャルケアだそうです。まだそんな年でもないでしょうに。。。。。

3位にランキングされたのは弱冠13歳のダコタ・ファニング。去年稼いだ金額が3億6千万円。今回登場の中の最年少ですが、演技のうまさはナンバーワンかも。「アイ・アム・サム」の名子役と言えば、ああ、あの子ね、と思い出す人も多いでしょう。スピルバーグの「宇宙戦争」にも出ていましたね。その演技のうまさは、名優デンゼル・ワシントンに激賞されたほど。評論家賞その他、各賞を総なめ、将来オスカーにもっとも近い役者と言われています。

2位はおなじみヒラリー・ダフ、19歳の約15億円。出世作の「リジー・マグワイア」はもう4年も前になるんですね。このメンツの中ではお姉さんですが、風貌ももうすっかり大人。自分のファッションブランドも立ち上げて、CEOに納まっています。自らの名を冠した香水「ヒラリー・ダフ」がティーンの間で大ヒット、ビジネスのセンスもなかなかのもの。ちなみに彼女の今までの年収は、2003年が約9億円、2005年約18億円、2006年15億円。順調にお稼ぎになっています。

んでもって、注目の第一位。今月、7月23日に18歳になったばかりのハリー・ポッターじゃなくてダニエル・ラドクリフ。約23億円で堂々、ダントツ、ぶっちぎりのトップ。現実の世界でも魔法並みにお稼ぎになっているダニエル、懐にはいるお金はこれだけじゃないのです。今後に製作されるハリー・ポッターシリーズのギャラが60億円ほど入る予定。18歳がこんなに金もってどうすんだ?という感じですが、ダニエルは意外と冷静。“車に凝ったりするのは好きじゃないし、パーティーでバカ騒ぎもやらないし”本を読んだりスポーツをするのが好きなんだそうだ。イギリスの新聞のインタビューで“お金は僕のものの考え方をまったく変える事はできないよ”とのたまわれたというからなんと可愛くねえガキ、じゃなくて…うらやましい出来た若者だと思いませんか?

とまあ、今回は若くして大金を懐にしてしまった若者たちを特集してみましたが、はああ、とため息をついてしまったアナタ、ワタクシも同じ気持ちです。頑張って生きていきましょうね~。

TEXT BY 岩下慶一

投稿者 eigafan : 20:52 | トラックバック

2007年07月18日

マイケル・ベイ監督がマジ切れ!?大ヒット映画の裏事情

マイケル・ベイ監督の「トランスフォーマー(邦題)」が話題を呼んでいます。先頃お伝えしたLAフィルムフェスティバルにて全米プレミア上映された本作は、SF超大作として好調なすべり出しを見せていますが、この作品の裏事情がベイ監督自身によって暴露され、ハリウッドはちょっとした騒ぎになっています。発端はベイ監督が自身のブログに書いた「暴露日記」。

ことの始まりは6月29日、夜11時を回った頃。マイケル・ベイ監督が自身のブログに「いくつかの事実を正してみよう」と題した日記を掲載しました。

文字にして3500字以上、単語で900語余りに及ぶベイ監督の長文は、ファンに向けての完成報告から始まります。本作では主なキャラクター達がロボットの為、いかに撮影が困難だったか、また、作品のプロモーションに2週間で3万6000マイルを旅したこと、そして世界中の人々に本作を鑑賞してもらうのがとても楽しみだ等、サポートしてくれた人々への感謝の気持ちから始まります。

更に日記は、最終的に1億5000万ドル(当初の予算から500万ドルのオーバー)で本作を撮り終えたと報告し、実際に他の大作と比べ半分のコストで仕上がったことを誇りに思う、と続きます。やや熱の入ってきた?ベイ監督は、スタジオ側からコスト削減のためにカナダやオーストラリアでの撮影を薦められていたことを告白。「アメリカを描くアメリカの映画は、アメリカで撮るべきだ」という自論を展開し、自らのギャランティーを30%カットして国内撮影を実現させたと明かします。そして他のプロデューサー達にもギャラのカットをお願いしてみたところ、イアン(・ブライス)とロレンゾ(・ディ・ボナヴェンチュラ)らは快諾したにもかかわらず、トム・デサントとドン・マーフィーはこれを拒否した、と実名入りで暴露。「彼らは自分の収入を、より良い映画作りに当てたいとは思っていない」と批判しました。

そしてここから、本格的な打ち明け話が展開していくことに。マスコミからやたらとデサントやマーフィーとの「共同制作」について聞かれ、監督はかなり違和感を覚えたそうです。デサントとは1年前にほんの1時間ちょっと行ったミーティングで「意見の相違」を感じ、以降は挨拶程度しか言葉を交わしておらず、またマーフィーとはクリエイティブな話は一切していないと告白。にもかかわらず、ポストプロダクション(撮影後の製作過程)に入った段階で、脚本家のアレックス(・カーツマン)とボブ(ロベルト・オルチ)から慌てふためいた電話が入り、デサントが脚本家としてのクレジットを申請しようとしていると聞いたそう。もちろんこれはWGA(全米脚本家組合)が阻止したようですが、数日後ベイ監督は更に信じられない光景を目の当たりにすることに。今年5月に行われたサターン・アワードの会場で、デサントが本作をあたかも自分の作品のように語っていたのだとか。監督は、その時のプレス用上映までデサントは本編を見てもいなかったと述べ、彼が器用に嘘を並べ、質問の答えをでっち上げていく様に激しい怒りを覚えたと告白しています。

監督は暴露記事の最後を「以上が本当のことだ」と延べ、「馬鹿馬鹿しいオモチャ映画」だった原案をあきらめずに練り上げて完成させた彼らには敬意を表する、と皮肉まじりに書いています。マスコミまで利用してクリエイティブ・クレジットを得ようとした彼ら。あまりに多くのクレジットが何もしてない人々に与えられること。そして、映画作りについて何も知らない投資家が、いきなり大プロデューサーになってしまう事実。これらについて監督は「それがハリウッドでまかり通っていることなんだ」と結びました。

全米プレミアを終え、後は一斉公開を待つばかりという時に、監督自らの手によって綴られた裏事情。よっぽどムカついたんだろうな…というのが率直な印象です。それにしても、ここまで赤裸々で絶妙なタイミングでの告白日記は前代未聞。これを機に、プロデューサー達の姿勢が改めて見直されることを願わずにいられません。何はともあれ、手塩にかけた我が子が満員御礼となったマイケル・ベイ監督。少しは腹の虫も治まってきたのでしょうか?


TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 16:19 | トラックバック

2007年07月10日

高額賞金は誰の手に?続報:LAフィルムフェスティバル

7月4日はアメリカの独立記念日。こちらの祭日は、スーパーマーケットさえお休みとなる為、きっと街中は閑散としておごそかな雰囲気に…と思いきや、大音量のパーティー・ミュージックとともに、そこかしこからバーベキューの香りが漂ってきています。そんなお祭りムードに染まったロサンゼルスから、先日大盛況のうちに幕を下ろした「第13回LAフィルムフェスティバル」の受賞作品や詳細をお伝えしていこうと思います。
本フェスティバルの目玉とも言える最優秀長編・ドキュメンタリー賞。この映画祭の主要スポンサーである大手マーケット「ターゲット」より、各受賞監督に5万ドルの賞金が送られます。気になる本年度の受賞作品は、何と長編、ドキュメンタリー双方の監督にとって長編デビュー作という快挙となりました。

まず、最優秀長編賞を受賞したのはクリス・エスカ監督の”August Evening (原題)”。養鶏場でひっそりと暮らす中年男ジェイム。義妹のループとともに、疎遠になってしまった彼の子供たちを捜しにテキサス中を旅するロードームービーです。沈黙の中にちりばめられた繊細な心理描写と人間関係、そして親子のきずなとそれぞれの責任を問いかける物語に、本フェスティバル最高の栄誉が贈られました。

一方、最優秀ドキュメンタリー賞に輝いたのは、ジェニファー・ヴェンディッティ監督の”Billy the Kid (原題)”。彼女はサンダンス映画祭で最優秀短編賞を獲得している”Bugcrash (原題 / クリス・カーター監督)”のキャスティング・ディレクターを勤めましたが、その時に発掘した逸材、15歳のビリーをメインキャラクターに据えた長編ドキュメンタリー作品となっています。彼の苦痛に満ちた幼少期や初恋の思い出、アウトサイダーとしてメイン州に生きる日々をインタビュー形式で綴った本作は、ティーンの葛藤を真っ直ぐ赤裸々に表現した傑作として評価を受けました。

そして、先週にお伝えした「スピリット・オブ・インディペンデンス賞」受賞のクリント・イーストウッド監督を迎えた表彰式には、華やかなセレブリティが続々と登場。「ミスティック・リバー (邦題)」に出演したケヴィン・ベーコン、「父親たちの星条旗 (邦題)」で主演を努めたライアン・フィリップ、イーストウッド氏が製作者として名を連ねる2008年公開予定のドキュメンタリー映画”Tony Bennett: The Music Never Ends (原題)”より、シンガーのトニー・ベネット、そしてアメリカが誇る名優、ダスティン・ホフマンも駆けつけました。ベーコンは、撮影時の逸話を披露。いかにイーストウッド監督の演出が最小限で、且つ俳優のモチベーションを最高潮に持っていくのかを語りました。また、ホフマンは壇上で監督のプライベートな人柄を暴露。「僕を使ったことないよね!」と茶目っ気たっぷりに話す姿に、会場は爆笑。ハリウッド史にその名が刻まれたふたりの競演、実現してしまうのでしょうか?

UCLAの学生達もビックリしてしまうほど、ウエストウッドエリアに多くの人出と賑わいをもたらした「LAフィルムフェスティバル」。来年もここを本拠地として、数々の映画を上映、またまた地域一帯を席巻してしまう予感大です。本フェスティバルでは、毎年アメリカ国外からの参加も受け付けていますので、来年こそは!という映像クリエイターの方々は、今から準備を始めても早すぎることはないはず。以下のホームページから応募の詳細、また数々の映像や写真も合わせてお楽しみください。

Los Angeles Film Festival 2007 ホームページ:http://lafilmfest.com/



TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 11:49 | トラックバック