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2007年08月30日
良質の短編映画が目白押し!パームスプリングス映画祭
2007年、日本は各地で最高気温を記録する猛暑に見舞われたようですが、それを上回る酷暑がロサンゼルスから車で約2時間のパームスプリングス。砂漠のリゾートとして知られるこのエリア、夏季は日中45度!を超える灼熱の地としても有名です。そんな炎天下8月23日から29日まで、市内のキャメロット・シアターにて「パームスプリングス国際短編映画祭」が開催されました。以前、本コラムが独占で紹介した短編映画も見事に入選しています。↑会場となったCamelot シアター
1995年の開始から、延べ53本ものショートフィルムがアカデミー賞・短編部門にノミネートされるという実績を誇っており、アメリカ国内で最も有名かつ大規模な短編映画祭のひとつに数えられています。選ばれた作品の上映方法は至ってシンプル。各作品のテーマごとにグループ分けをして、1グループが90分前後になるようにスケジュールが組まれます。恋愛・SF・アニメーション・ドキュメンタリーなどに分けられているので、興味のあるジャンルを一度に見られることも、この映画祭の魅力かもしれません。
また、本フェスティバルでは短編映画の上映に加え、映画業界の著名人を迎えてのパネルディスカッションやワークショップも開催。今年は、マット・デイモンとエドワード・ノートンが競演した「ラウンダーズ(邦題)」、レイ・リオッタ主演の「アンフォゲタブル(邦題)」などを監督したジョン・ダール氏、オスカーに2度もノミネートされているインディー・アニメーター、ビル・プリンプトン氏らが壇上に上がりました。更に、映画祭と平行して催されるフィルム・マーケットも大盛況。配給会社の買い付けやプレスに向けて、フェスティバルに寄せられた2200本もの新作ショートフィルムを紹介。こちらの会場は、シアターに程近いヒルトンホテル内に併設されています。まるで図書館のような受付でDVDが貸し出され、その場での閲覧が可能。新人監督の発掘に目を光らせるバイヤーや、作品のプロモーションにいそしむプロデューサーの面々、他の作品が気になる監督達で賑っていました。
↑積み上げられた作品のフライヤー
↑気温は40度を軽く超える…
【Palm Springs International Festival of Short Films 公式サイト】
TEXT BY アベマリコ
2007年08月23日
最新パワーリスト:「ハリウッドの女性100名」
毎年、アメリカでは「最も~な人々」といった様々な「番付表」が数多く発表されます。各界の著名人を含むTIME誌の「最も影響力のある100名」は”TIME 100”として知られ、恐らく世界で一番有名なパワーリストとされていますが、他にもFHM誌が選ぶ「最もセクシーな女性100名」、People誌の「最もセクシーな俳優100名」、Forbes誌による「最もパワフルな女性100名」と「最も有益な俳優100名」、そしてHollywood Reporter誌が選ぶ「エンタメ業界で最も有力な女性100名」などなど、ビジネス業界から芸能界に至るまでの「スゴイ人々」が年々選び出されています。そういったパワーリストの最新版が、先日Premiere誌によって発表された「ハリウッドの女性100名」。その気になる面々を覗いてみましょう。まず、2007年度のナンバーワンを飾ったのは、ソニー・エンタテインメントの共同会長エイミー・パスカル女史。2006年には、「ダ・ヴィンチ・コード(邦題)」や「幸せのちから(邦題)」などを含む12作もの全米第一位の映画を生み出した功績が称えられています。ちなみに彼女は、ここ数年のパワーリストTop3の常連です。
ハリウッド関係者に混じって堂々3位の
J.K.ローリング
そして、3位に付けたのはご存知J. K. ローリング。ハリー・ポッターシリーズの著者として世界中で知られるようになり、しばしば「歴史上最も稼いだ作家」と紹介される彼女。細腕ひとつで育児と執筆活動を両立、ベストセラーを生み出したローリングは、作家としてだけではなくひとりの女性としても尊敬を集めているようです。
その後に続くのは、大御所の女優達。ジュリア・ロバーツ、リース・ウィザースプーン、ニコール・キッドマン、アンジェリーナ・ジョリー、ケイト・ブランシェットなど、ハリウッドの第一線で活躍する女性達ばかり。その次に名前が挙がっている若干22歳のキーラ・ナイトレイがちょっぴりかすんでしまう?ほどの、堂々たるラインナップです。
今回の番付では多くのエージェント、マネージャー、インディペンデント映画の女性監督らも名を連ねていますが、やっぱり強いのはアクトレス達。上記の面々に続くのは、ジョディー・フォスター、サンドラ・ブロック、ケイト・ウィンスレット、メリル・ストリープ、キャメロン・ディアス、ジェニファー・アニストン、ナタリー・ポートマン、ハル・ベリー、そしてクイーン・ラティファなどの大スター達。…こうして並べてみると、本当にハリウッドはスゴイ場所なのだと思わされます。
今回のリストで意外だったのが、女優・監督、そして昨今はプロデューサーとしても活躍するサルマ・ハエックが55位だったこと。昨年より数々の賞レースを総ナメにしてきた「アグリー・ベティ(邦題)」も製作を指揮しています。本コラムでも度々紹介している筆者イチオシのこのドラマは、日本でも今秋から放送が決定している模様。BSに加入している方々は一見の価値ありです。大活躍のわりに、55位というのは低すぎるのでは? また、ここのところアルコール&ドラッグ絡みでゴシップ誌を賑わせているリンジー・ローハンは74位。そして、今やトム・クルーズ夫人となったケイティ・ホームズはギリギリ95位にランクイン。この微妙な順位では、Mr. ハリウッドの旦那様は面白くないかもしれません。
本年度のPremiere誌が選ぶ「ハリウッドの女性100名」は以上のような結果に。これが他誌による「セクシー部門」などになって来ると、ガラリと変わるのもまた一興です。これからの露出度やスキャンダルで、来年度のパワーリストを占ってみるのも良いかも?
TEXT BY アベマリコ
2007年08月17日
堂々のBoxoffice No. 1!”The BourneUltimatum”の強さに迫る
日本では11月の公開が待たれる”The Bourne Ultimatum (邦題:ボーン・アルティメイタム)”。アメリカでは一足早く8月3日の公開でしたが、たった3日間で6900万ドルを叩き出す大ヒットに。夏の大作映画がデッドヒートを繰り広げる中、余裕のBoxoffice第一位を記録しました。前々作の「ボーン・アイデンティティー(邦題)」や前作の「ボーン・スプレマシー(邦題)」で固定ファンをガッチリと掴んだ「ボーン・シリーズ」は、第3章にきて過去の作品をしのぐ出来栄えだと評判に。辛口で知られる評論家達までもが舌を巻く「ボーン・アルティメイタム」の人気の秘訣、そのこだわりと見どころに迫ってみましょう。主人公ジェイソン・ボーンが、いかに殺人兵器に仕立て上げられたのか?いよいよ本作では、政府による陰謀の謎解きが展開されます。「ボーン・シリーズ」の根強いファンをうならせる理由のひとつは、まずそのストーリー設定。最愛の女性を失ったボーンの「目的」がより明確になり、逃げる立場から追い詰める側へと逆転しています。今まで以上にスリリングに、そして綿密に練られたプロットが、息もつかせぬクライマックスへと一気に突入。まるでジェットコースターに乗っているような感覚が、観客を病みつきにさせる原因かもしれません。
また、ボーン・シリーズの特徴とも言える、広範囲に渡るロケーションは本作でも健在。ニューヨーク、モロッコのタンジールと、世界を又に掛けてボーンの追跡が続きます。驚いてしまうのは、スタジオのセットなどを使わず、ほぼオールロケーションで撮影していること。それを証明するかのように、各都市で行われるチェイスシーンではそれぞれの街並みがこと細かに映し出されています。近代的なメトロポリスと古代都市が不思議とマッチするこのシーンは、スピードに負けないように背景を凝視する価値あり。プロデューサーのパトリック・クローリー氏曰く、タンジールは撮影にかなり好意的だったとか。全米でも極めて規制が厳しいとされるニューヨークであれば一蹴されてしまうような要求も、タンジールではOKだったそうです。
ひとつに絞るのは難しすぎる見どころは、まずマット・デイモンのパフォーマンス。半分人間、もう半分は殺戮マシーンというキャラクターを、自在な表情とセリフ回しでリアルなものにしています。先日、フォーブス誌が発表した「最も確実に稼げる俳優」の第一位に選ばれただけのことはありますね。日本でも大ヒット間違いなしの本作品、前作を上回る出来に仕上がっています。
【ボーン・アルティメイタム公式サイト】
【おすすめ新作】
11/10(土)、日劇1ほか全国ロードショー
(C) 2006 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
TEXT BY アベマリコ
2007年08月10日
アカデミーからの「お触れ書き」:No More CDs!!
来年度のアカデミー賞に向け、すでにキャンペーンを進めているハリウッドの各スタジオ。そこに、イヤ~なムードが立ち込めてしまうこと間違いなしのニュースが飛び込んで来ました。毎年オスカーを主催する映画芸術科学アカデミー(AMPAS:Academy of Motion Picture Arts and Sciences)がこの度、アカデミー会員に向けたサウンドトラックCDの郵送を全面的に禁止する意向を発表。エグゼクティブ達が頭を抱えてしまうような状況になっています。この動きは、オスカーシーズンを前にアカデミー会員の元に大量に届く「心付け」を受けてのもの。メンバーには、サウンドトラックCDのみならず、映画本編そのもののDVDや脚本のコピー、キャラクターグッズまでもが無料で送られます。こうした大金を注ぎ込む戦略は昨今のトレンドであり、各スタジオにとっては当たり前のものとなっていましたが、今回アカデミーが待ったをかけたのは音楽部門。映画音楽がどのように本編で使われているのか、いかに映像とコラボレートしているのかが審査の基準となるべきであり「CDプレーヤーやカーステレオで、音楽だけを聴いても意味ないじゃん!」というのが、AMPAS側の主張のようです。また今回の新ルールによると、サウンドトラックCDだけではなく、ミュージックビデオや楽譜すらも配布禁止の対象になるとか。とにかく、映画本編に挿入される音楽すべてを「単独」で宣伝活動させないというのが、アカデミーの姿勢となっています。
この速報に、映画音楽の関係者は当然のことながら猛反発。ジョン・ウィリアムズ、ハンス・ジマー、ハワード・ショアなど世界的にも著名な映画音楽の作曲家をクライアントに持つ広報は「失望した」とコメントしています。また「作曲家は映画を仕上げる最後のライターである」という作曲家の誇りを冒涜するルールだとする声や、脚本家はスクリプトを送ってアカデミー会員達と文字で作品を分かち合うことが出来るのに、どうして作曲家は音符を通してシェアしてはいけないのか?という疑問も。一方、CDを送ることで本編に使われたどの曲が誰の手によるものなのかを明確にできるとし、サウンドトラックは宣伝活動だけではなく著作権をクリアにする面でも有効だという意見も挙がっています。
この新ルールは、AMPASが今年6月に行った会議で可決されていたそうですが、発表は今週まで見合わされていました。そんな突然のニュースに、映画業界はてんやわんや。それでもアカデミーは、この方針を本年度より実施していく構えのようです。各スタジオからは悲嘆の声が聞こえてきそう…。この動きが、音楽部門の審査にどのように影響するのでしょうか?2008年度で第80回を迎えるアカデミー賞は、2月24日にコダック・シアターにて開催の予定。来年は、今までの主要部門に加えて最優秀作曲賞、最優秀歌曲賞からも目が離せません。
TEXT BY アベマリコ
2007年08月06日
もはや「オタクの聖地」を越えた!Comic-Con International
アメリカ最大のコミックイベント、Comic –Con International=通称「コミコン」。今年は7月26日から29日まで開催され、文字通り大盛況!のうちに幕を閉じました。ロサンゼルスから車で南へ約2時間のサンディエゴは、マンガ・SF・ファンタジー・ゲーム…などなどのファン達でごった返すことに。太陽カンカン照りの暑さに負けないくらい、熱気ムンムンだったイベントの模様をお伝えしていきます。今や、アメリカのGeeks=オタク達にとって聖地とも言える「コミコン」が誕生したのは、1970年。サンディエゴのダウンタウンにあるホテルで、来場者は300人程度という小規模なコミック展として産声を上げました。それが時を経て、広大な敷地を持つコンベンションセンターがホームとなり、2006年には12万3000人のファンで賑わう一大イベントに成長。今年は、目玉にあたる土曜日のチケットが前売りで完売という異例の事態となり、現段階で確認できるだけでも、4日間で15万人以上という過去最高の来場者があったそうです。
人気の秘密は、その豪華なラインナップ。有名監督やプロデューサー、出演者達によるパネルディスカッションに始まり、コスプレ(英語では”Cosplay”という造語に!)、アートショーやサイン会、アニメ・映画の上映会や新作ゲームの実演ブース、そしてもはや元祖ともなったコミックブックの販売やフィギュアなどのキャラクターグッズを扱うショップがズラリ。各界のセレブも多数来場し、マニアックなファンのみならずエンタメ好きなら誰もが楽しめるイベントが目白押しとなっています。
それでは、会場で人気を集めていた今年の注目作品を、まずは映画から。アメコミ出版社の最大手マーベル・コミックの”Iron Man” (原題)が、いよいよ2008年に実写化されます。原作の人気はもとより、ロバート・ダウニー・Jr.、グウィネス・パルトロウ、テレンス・ハワード、ジェフ・ブリッジス、サミュエル・L・ジャクソン、ヒラリー・スワンク…といった豪華なキャストも話題になっています。また、来年公開予定の「インディアナ・ジョーンズ(邦題)」や「スタートレック(邦題)」の新作は、旧作のファンだけでなく若者にも人気の兆しです。また、ロバート・ゼメキス監督待望の最新作、”Beowulf (原題)”はいよいよ今年の秋公開予定。そして、コメディ”Good Luck Chuck (原題)”のブースには、出演者のジェシカ・アルバも。大人気女優の登場に、ひときわ大きな人だかりができていました。
本年度、特に大当たりだったのがTVシリーズ。日本でもお馴染みの「LOST」や「24」はもちろんのこと、昨年から始まった”Heroes (原題)”が最も華やかな目玉のひとつとなりました。メインキャスト達やクルーが来場し、ファンはとにかく大興奮。開始から一年足らずでエミー賞を始め数々のアワードを獲得、固定ファンをガッチリ掴んだ本作は、日本でも今秋からCSで放送予定とのこと。この特殊能力を授かった人々を描いたSF物語、実は東京も舞台になります。ちょっと間違った日本描写など、日本人だからこそ突っ込めるネタも満載。ちなみに、主演のひとりであるマーシー・オカさんの「やったぁー!」というセリフは、こちらではちょっとした流行語になりました。
まるで、オモチャ箱をひっくり返したような賑わいとなったComic-Con。来年も、同じ会場で7月24日から27日までの開催が決定しています。来場者の多くは自身のブログを持っていて、翌日にはイベントの映像がアップされます。こうした宣伝効果を狙って、映画やTV界のエグゼクティブ達はすでに躍起になっているとか。「コミコン」の更なるパワーアップが期待されます。興味を持たれた方々は、くれぐれも予約をお忘れなく。下記のホームページから詳細がチェックできます。
【Comic-Con International 公式サイト】
TEXT BY アベマリコ