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2007年11月30日
絶好調!「Dancing with the Stars」注目のフィナーレ
今年の9月に再開、これで第5シーズン目となる「Dancing with the Stars (ABC/月・火2夜連続放送)」が、今週いよいよファイナルを迎えました。週を追うごとに軒並みアップしていた視聴率は、前回樹立された歴代最高を上回る結果に。平均2,100万人、最終週は2,500万人が見守ったモンスター番組の栄えある優勝者はもちろん、その強さの秘訣と当番組がABCにもたらした「ご利益」もレポートしていきます。
3月と5月にご紹介した人気リアリティーショー「Dancing with the Stars(以下DWTS)」。各界の著名人がプロダンサーとペアを組み、社交ダンスを競い合う当番組は、前回あたりからキャスティングを強化。その結果、高視聴率をマークしてきました。第5シーズン注目の出場者は「スパイス・ガールズ」のメンバー、子供の認知問題で俳優エディー・マーフィーともめた事でも記憶に新しいメルBことメラニー・ブラウン。また、前回のアイアン・ジーリング同様「ビバリーヒルズ高校/青春白書(邦題)」に出演、ケリー・テイラー役で知られるジェニー・ガースも満を持してのエントリーです。スポーツの世界からは、インディ500などで活躍するカーレーサーのエリオ・カストロネベスらが参戦。音楽界からは「ミスター・ラスベガス」の異名を持つウェイン・ニュートンも登場しました。ユニークなところでは、アメリカIT業界の億万長者マーク・キューバンの姿も。こうした、社交ダンスとは全く無縁の人々が、No. 1ダンサーの称号を目指すのが当番組の大きな見どころとなっています。
今回、視聴率がうなぎ登りとなった理由のひとつは、度重なるハプニング。出演者である女優ジェーン・シーモアの自宅に山火事が迫ったり、マリー・オズモンドがオンエア中に卒倒した瞬間の映像は、他局のニュースでも取り上げられるほどの騒ぎに発展。また、シーズン真っ最中にシーモアは92歳の実母、オズモンドは90歳だった実父の悲報に接しました。こうした出来事に加え、優勝候補と見られていたアイドルグループ「チーター・ガールズ」のぽっちゃりさん、サブリナ・ブライアンが予想外の敗退をしてしまったのもファンを騒がせました。次々と巻き起こるハプニングに、より多くの観客が弾き付けられたようです。
そんなノリノリのDWTSは、他の番組達を悩ませている「WGAストライキ」すら味方に付けてしまいました。もともと脚本が必要ない等番組は、ストの影響を受けません。リラックスモードのアドリブ司会が好評なトム・バージェロンやジャッジを務める3名、英国紳士レン・グッドマン、日本人の血も入っているキャリー・アン・イナバ、毎度ハイテンションなブルーノ・トニオーリらの掛け合いと辛口なコメントは、リアルで面白いと抜群の評価。各番組が次々と再放送となっていく間に、彼らから繰り出されたのは臨場感あふれる気の利いたセリフの数々。マンネリ化した台本通りの番組に飽きていた視聴者すらも巻き込んでしまったようです。
こうした「DWTS旋風」の中、オイシイ思いをした番組も。DWTSの月曜版=ダンス披露日の後番組として10月から始まったシットコム、クリスティナ・アップルゲイト主演の”Samantha Who? (ABC)”が、新作コメディでの最高視聴率をマーク。DWTSの後、そのままチャンネルを変えない視聴層をゲットした、という見方がされています。ドラマ自体の面白さも然ることながら、最高のスロットで好スタートを切った「サマンサ」。ABCの関係者は笑いが止まらない状態。
それではいよいよ、火曜日に発表されたばかりの気になる決勝の行方をご紹介。まず、ベスト4に甘んじたのは「ビバヒル」のジェニー・ガース。そして、最終的にファイナルまで駒を進めたのは、メルB、オズモンドとカストロネベスの3名でした。日本で言うなら上沼恵美子さん的?存在のオズモンドは、テクニック不足ながらも主婦層からの絶大なる支持で決勝まで残りましたが、結局は3位敗退。残されたイギリス出身のメルB、ブラジル出身のカストロネベスという外国人対決の軍配は…、無邪気な笑顔で会場を沸かせたエリオ・カストロネベスに!これで彼のプロパートナー、若干19歳のジュリアン・ハフは第4シリーズに続いての2連覇。もし次回のDWTSにも出場するのなら、実力派でキュートな彼女のお相手に視線が集中しそうです。
これまでは、オバサマ方のお気に入り!という印象が強かったDWTSですが、路線変更によって幅広い世代を惹き込むことに成功。話題性に加え、DWTSの2日目=落選者発表日にやって来るゲストも、当時は妊娠疑惑の渦中にあったジェニファー・ロペスや新曲発売直後のアヴリル・ラヴィーンなど、ティーン世代にアピールするゲストの選択も功を奏したのかもしれません。1月からはジャッジのトニオーリ&イナバによる新しいオーディション番組 ”Dance War”も開始予定。DWTSはしばらくお休みとなりますが、ダンスブームは治まりそうにありません。DWTSが気になる方々はもちろん、女性陣の過激な衣装が見てみたい殿方は、下記の公式サイトからどうぞ。また、YouTubeにも多くの動画がアップされているようなので、DWTSもしくは原題でサーチしてみてください。
【「Dancing with the Stars」公式サイト】
TEXT BY アベマリコ
2007年11月27日
今年は初めてがいっぱい!AMA:American Music Awards
感謝祭(今年は11月21日)を間近に控え、お祭りモードのロサンゼルス。先週の日曜日、恒例となっている音楽の祭典「American Music Awards:AMA」が行われました。これぞエンタメ天国アメリカ!と言わんばかりの派手&豪華なスター達が続々と登場。更に今年は、新たな会場と投票システムで心機一転を図っています。当日起こったハプニングやゴシップなども交え、式典の模様と各受賞者をご紹介していきます。
本年度で第35回目を迎えるAMA。今年は、LAダウンタウンにお目見えしたばかり、7000もの座席数を誇るノキア・シアターにて開催されました。この施設は、総工事費に約25億ドル、以前より着々と工事が進んでいる地域開発プロジェクト「L.A. Live」内に建てられたビルのひとつ。今後2年以内に、レストランやボーリング場、TV/ラジオ専用のスタジオ、クラブや54階建ての店舗/住居用タワーも出来上がる予定となっており、ロサンゼルスの新たな観光スポットになりそうです。ちなみに、本シアターでの式典開催はAMAが初。今後も、こちらがメイン会場となるのでしょうか。
今回の司会進行は、AMAでも4度のホスト経験を持つジミー・キンメル。先日お伝えしたWGAストライキは2週間が経った今なお続行中で、放送作家がいない為に彼のトークショーは再放送ばかり。AMA用の台本は間に合っていたようですが、辛口な時事ネタを得意とする彼とあって、事前には不安の声も寄せられていました。しかし蓋を開けてみれば、ストライキそのものをネタにしたり、ソウルジャーボーイのデビュー曲”Crank That”のサビ部分を本人と一緒に踊ってみたり、9月に行われたMTV アワードでの「キッド・ロック乱闘事件」をこれまた本人と即興コントにしたりなどの大サービス。スト真っ只中という苦境をはね返す司会っぷりでした。
各賞の候補者は従来どおり、全国の売り上げ総数とラジオにおける放送回数を集計して選出されましたが、今年からは携帯電話・インターネットを通じての一般投票で受賞者を決定。視聴者の声が直接反映された結果となったようです。主要部門は以下のように。
本年度の注目は、最優秀新人賞/最優秀アダルト・コンテンポラリー/最優秀ポップ・ロックアルバムなどを持ち帰ったドートリー。ヴォーカルを務めるクリス・ドートリーは「アメリカン・アイドル」第5シーズンに出場し、セミファイナルで惜しくも敗退。その後2006年、自身の苗字をバンド名にデビュー、今年に入ってビルボード第1位の快挙を成し遂げています。映画「ドリーム・ガールズ(邦題)」のジェニファー・ハドソンと同様、国民的オーディション番組の敗者がスター街道まっしぐら!というパターン。今後は、当番組から去って行く人々も要チェックかもしれません。
音楽祭と言えば、やっぱりパフォーマンス。本年度は、17に上る豪華絢爛なステージが繰り広げられました。オープニングを飾ったファーギーは、最優秀ポップ・ロック女性部門を獲得。その歌唱力もさることながら、ミニドレスから伸びた美脚に釘付けでした。一方、日本でも人気のアヴリル・ラヴィーンは、黒のTシャツにシルバーの膝丈スカート、スニーカーという式典らしかぬ衣装で登場。上下とも異素材という着こなしに、違った意味で釘付けになった気がします。また、ティーンに大人気の兄弟バンド「ジョナス・ブラザーズ」のヴォーカル担当ジョーは、ステージに群がった若い女の子達の目の前で突然の転倒。何事も無かったかのように歌い出す若干18歳に、プロ意識を垣間見たような。他にも、音楽業界で屈指のモテ男アダム・レヴィーン率いるマルーン5、MTVアワードでもレベルの高いダンスを見せたクリス・ブラウンや、宇多田ヒカルとのコラボ曲が話題となったニーヨが、歌姫リアーナと共に登場しました。そんな彼らの大先輩にあたるベテラン勢では、公に姿を見せるのはお久しぶりのレニー・クラヴィッツ、ラスベガスでのショーが人気のセリーヌ・ディオン、イギリスが誇るデュラン・デュラン、映画など活躍が多岐に渡るクイーン・ラティファらがステージに上がりました。また、プレゼンターとして登場した各界著名人も超が付く豪華さ。音楽業界はもちろんのこと、AMAが放映されたABCチャンネルにて放送中の”Grey’s Anatomy”、””Samantha Who?”や”Dancing with the Stars”などの出演者、先日の流出写真騒動が記憶に新しい”High School Musical”シリーズのヴァネッサ・ハジェンズも登場しました。そんな彼らも含めた出演者の一覧は、下記のリンクからどうぞ。
なにかと不評だった9月のMTVアワードに比べ、音楽祭らしい音楽祭だったと言える今年のAMA。先のブリトニー・スピアーズの復帰ライヴのような目玉はありませんでしたが、人気シンガーらによる競演、各世代にアピールする出演者のラインナップは見応えがありました。今月末には、アメリカ音楽の一大祭典グラミー賞が開催予定。AMAでの結果を参考に、次の受賞者を占ってみるのも面白いかもしれません。
TEXT BY アベマリコ
PHOTO BY 岩下慶一
2007年11月15日
11月恒例!AFI International Film Festival
今年も、LAの映画ファン達がシアターに入り浸ってしまう時季が到来。11月1日からの11日間、AFI Los Angeles International Film Festivalが開催されました。話題の新作はもちろん、日本からのエントリーや各受賞作品もご紹介していきます。
本年度で第21回目を迎えたAFI Festは、北米最大級との呼び声が高い映画祭。全米でも指折りのフィルムスクールAmerican Film Institute: AFIが主催、ハリウッド映画のみならず、世界各国から選りすぐりの長編・短編・ドキュメンタリー・アニメーションが一挙に上映されることで知られています。AFI Festの前身は、1971年から83年まで行われていたFlimex映画祭。その関係者達が発足したNPO団体American Cinemathequeによって、映画の発展/向上を目指すスピリットが受け継がれて来ました。20年以上が経った今日では、AFIに加えAFM(American Film Market)なども協賛、アウディーやLA Timesを始めとする数々のスポンサーが付いた一大祭典へと成長。アメリカで最も歴史ある映画祭として、近年は6万5千人以上もの来場者を惹き付けています。
例年、AFI Festで”Gala”=目玉作品としてフィーチャーされる映画の多くは、アカデミー賞に絡んで来ます。まず今年のオープニングを飾ったのは、本フェスティバルが北米プレミア上映となった”Lions for Lambs (原題)<邦題:「大いなる陰謀」>”。監督としても定評のあるロバート・レッドフォードがメガホンを取り、トム・クルーズやメリル・ストリープらと競演した話題作です。アカデミー会員が好みそうな社会派、アフガニスタン紛争をテーマに用いた本作ですが、作品自体に対する意見は賛否両論の様子。むしろ、仮面夫婦疑惑がささやかれるトム&ケイティ・クルーズ夫妻が来場した模様の方が、より目立っていた印象です。先週末のBox Officeでは初登場4位。今後、巻き返しとなるのでしょうか?
続いて、注目作品に選ばれたのは「サンキュー・スモーキング(邦題/2005)」などで知られるジェイソン・ライトマン監督の”Juno”。片田舎に住むティーンエージャー、ジュノが予定外の妊娠から出産を決意、まだ見ぬ子供の里親を探すコメディドラマです。ローマ国際映画祭でグランプリを獲得した本作は、多感なジュノの台詞に大爆笑。現実的な問題ながら、コミカルかつ感動的に仕上がっています。共に80年代後半生まれではありますが、子役からの芸歴は長いエレン・ペイジ、マイケル・セラの若手ベテランコンビにも注目です。
そして、最終日のクロージング作品として登場したのが”Love in the Time of Cholera”。「モナリザ・スマイル(2003)」や「ハリー・ポッターと炎のゴブレット(2005)」などで知られる英国人監督マイク・ニューエルの新作は、コロンビアを代表する作家ガブリエル・ガルシア=マルケスの同名小説の映画化です。メインキャストには、米国アカデミー賞にもノミネートされたスペインの名優ハビエル・バルデム。2004年の「海を飛ぶ夢」における彼の名演技に、滝のような涙を流した方々も少なくないはず。そんな彼が、最愛の女性を50年以上も想い続ける悲恋の主人公に挑んでいます。
日本からは長編2作品がエントリー。1本目は「働きマン」や「ハッピーマニア」などで知られる安野モヨコ原作、蜷川実花初監督の「さくらん (洋題:Sakuran)」。舞台は江戸吉原の遊郭、花魁の成長と愛憎劇を描いた本作。豪華絢爛な着物はもとより、従来の「日本」のイメージを覆すような色彩と音楽の融合に話題が集中していました。もう一方の作品には、吉田大八監督による「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」が登場。当人は気付いていないけれど、傍から見れば「面白過ぎる」傍若無人な人物を客観視してしまう、ユニークな視点が印象に残ります。個性的なタイトルと凄まじい内容には、LAの観客も大ウケでした。そして、上映時には監督ご本人も来場。洋題 “Funuke, Show Some Love You Losers!”に「腑抜け」を残された理由を、今日ではあまり使われなくなった日本語を、”Tsunami”などと同様に世界共通語にしたかったからだと説明されていました。また、観客からの質問に「準備中」とだけ語った次回作にも期待が高まります。
毎年、審査委員会のメンバーによって選出される審査員特別賞。本年度の最優秀賞は以下のようになりました。各監督には5千ドル相当のコダックのフィルムや編集用ソフト一式が贈られています。
★最優秀短編賞:”Spider”/ナッシュ・エドガートン監督
★最優秀長編賞:”Munyurangabo”/リー・アイザック・チュン監督
★最優秀ドキュメンタリー賞(本年度は2作品タイ):
”Afghan Muscle”/アンドレア・モル・ダルスガード
“Operation Filmmaker”/ニナ・デイヴェンポート
また、お客さん達の票が集計された観客賞作品にも編集用ソフト一式が贈られました。
★短編部門:”Kids + Money”/ローレン・グリーンフィールド監督
★ドキュメンタリー部門:”Spine Tingler! The William Castle Story”/ジェフリー・シュワルツ監督
★長編部門:”The Diving Bell and the Butterfly”/ジュリアン・シュナベル監督
大盛況のうちに幕を閉じた第21回AFI Fest。100を優に超える上映作品の中に、2007年度を代表することになる名作が潜んでいるかもしれません。こちらでは書き切れなかった特別上映作品や生涯功労賞、各ワークショップなどの様子は下記のホームページからご覧下さい。
TEXT BY アベマリコ
2007年11月08日
いよいよストライキ決行!脚本家 V.S. エグゼクティブ
全米脚本家組合(Writers Guild of America: WGA)と全米映画/テレビ製作者連合(Alliance of Motion Picture and Television Producers: AMPTP )の間で、長期に渡って対立していた手当て問題。正当な報酬を要求する脚本家側と、うなぎのぼりの制作費を出来るだけ抑えたいプロダクションの間の綱引きは、一向に決着がつきませんでしたが、去る11月4日、とうとう交渉が決裂してしまいました。WGAサイドは翌月曜日より、交渉成立まで無期継続の本格的なストライキに突入。多くのエンターテイメント会社が建ち並ぶロサンゼルスでは、組合員達による大規模なスト活動が始まっています。
事の起こりは先の日曜日。今年7月より行われていた交渉は、この日ウェスト・ハリウッドにて10時間以上にも渡る会議の末、合意に至ること無く物別れに。現地時間の夜9時過ぎに、1万人以上とされるWGA組合員に向けて一斉メールが送信され、月曜日からのストライキ決行が告知されたのでした。
WGAの主な要求は、まず家庭用ビデオ/DVD販売における二次使用料の増額。ひとつの媒体(ビデオ/DVD)が販売される毎に5セントの使用料が脚本家に発生する、と制定されたのは1985年ですが、その値段が20年以上も据え置きとなっていることにWGA側の不満が噴出。家庭用ソフトの販売は当時と比べて著しく成長した分野であり、その普及率や重要性から脚本家としては相当の増額を希望しています。しかし、AMPTPサイドはこれに猛反発。現在、組合員に支払われている使用料の総額は、西海岸だけでも年間6000万ドル以上に上ることから、これ以上の増額は難しいという判断が出されています。
もうひとつの要求は、番組のインターネット閲覧や携帯電話/iTunesなどでのダウンロードに対する使用料。現状では1セントも支払われておらず、WGAはこれに対しオンライン上では1.2%、ポッドキャストなどのダウンロードには5セントずつの使用料を請求しています。一方のAMPTPとしては、これらの収益は脚本家やプロデューサー達の為の企画・開発費に割り当てられていると説明。これが使用料として個人に吸収されれば、組合などで保護されていない裏方やアシスタントらの首が飛んでしまうとの危機感をあらわに。また、新しいテクノロジーの分野がどれだけ拡大していくのかが未知数である為、決断に踏み切れないとの意見も上がっています。
こうした双方が一歩も譲らない「無理難題」が長期に渡って討議され、今回のストライキに至ることに。現在、ロサンゼルス一帯に点在する各スタジオ前には、数千人規模の組合員達が集まっています。アカデミー受賞作品「チャイナタウン (1974)」などで知られるロバート・タウンや、「クラッシュ (2004)」や「硫黄島からの手紙 (2004)」などを執筆、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのポール・ハギスも参加中。しかし、中には今回のストには不参加、懐疑的な組合員も。週給25万ドルと噂されるハギス氏のような人物は別として、彼らの多くは収入が不安定。普段からアルバイト生活を余儀なくされている人々が、今回のように時間もお金も体力も消耗してしまう活動をしていては、今後の生活に支障が出るというのが本音のようです。また、運動や日光には縁遠い脚本家達が、どれだけストを粘れるのか?というちょっと笑える見解も飛び出しています。
遡ると、WGAが最後にストライキを行ったのは1988年。その際は22週間にも及び、業界内の被害総額は5億ドルに上ったと言われています。それが現代に起これば、10億ドルの被害は下らないだろうという見方も。今日のハリウッド/TV産業による経済効果は、ロサンゼルス郡全体の7%、年間約300億ドルを支えています。もし今回のストライキが長引けば、少なくとも25万人の関連業者に影響が出てしまうと懸念されています。
一般視聴者への影響ですが、映画の脚本に関しては来年分のほとんどが執筆完了、撮影の段階に入っているので大きな問題は無いと予想されています。TVドラマは、多くが年内分は入稿済みのようですが、中にはストが12月に入ってしまうとマズイ番組もあるとか。一方、すでに危険視されているのがレイトナイト・ショーと呼ばれる深夜のコメディ番組。旬のネタ満載の脚本が日毎に必要なので、冠番組を持つジェイ・レノ、ジョン・スチュワート、デヴィッド・レターマンらは、作家不在の為に新エピソードの収録延期を発表しています。
いつまで続くのか見通しが立たないストライキに、各テレビ局は穴埋め用の再放送番組など「在庫探し」に大わらわだとか。また、WGAに対する活動支援はセレブリティー達にも飛び火。来年の大統領選を控えたヒラリー・クリントンやバラック・オバマ、ジョン・エドワーズの各民主党候補は、すかさずスト中の組合員に対し応援コメントを発表しました。また、上記のジェイ・レノが彼らに大量のドーナツを持参したのを始めとして、ドラマ”Medium (NBC)”のパトリシア・アークエットがペストリーを、”Desperate Housewives (ABC)”のエヴァ・ロンゴリアはピザ、トーク番組の司会者ジミー・キンメルはブリトー、などの軽い差し入れ合戦も繰り広げられている模様です。
キーボードから離れ、太陽の下で特製パネルを握り締めている組合員達。彼らと製作者側の行く末を見守りつつ、来年に起こり得るSAG(全米俳優組合)のストライキにどのような形で影響するのかにも注目です。
TEXT BY アベマリコ
2007年11月01日
Halloween到来:今年はホラー映画マラソン!
街中が黒とオレンジで飾られ、大小彩りも様々なカボチャ達がお店に並ぶ季節がやって参りました。映画館でもホラー満載となるこのシーズン、今週のBox Officeを見てみると”Saw IV (原題)”が第一位に踊り出ています。公開前から話題騒然だった”30 Days of Night”は第3位に着け、”The Nightmare Before Christmas”のリバイバル上映は、1993年公開作品にも関わらずトップ10入り。そんな根強い人気の怖~い映画が、映画館のみならずテレビにも続々と登場しています。ハロウィーンを楽しみたいけど、お菓子をもらいに行く年齢でもないし、平日ど真ん中にコスプレパーティーもキツイ…なんて筆者のような人々の味方が「ホラー映画マラソン」なのです。
普段はSFものが満載のSci Fiチャンネルでは「13 Days of Halloween」と称し、ありとあらゆるホラー映画を放送中。日本では「バイオハザード」として知られる”Resident Evil (2002)”や大作”Jeepers Creepers (2002)”、「クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア(邦題/2002)」などが登場する中、B級ムービーとの呼び声が高い「フロム・ダスク・ティル・ドーン2(1999)」や”Dagon (2001)”などもしっかりと押さえられています。他に”Thir13en Ghosts (2001)”や”Night of the Living Dead (1968)”、Sci Fiチャンネルで放送されたホラー系リアリティーショーの”Ghost Hunters (2004)”もまとめて再放送されています。
ABCファミリーチャンネルでは、20本のホラー映画を厳選して放映中。気になるラインナップは、スティーブン・キング原作の一度見たら忘れられない”It (1990)”や、1976年の「キャリー」で有名になった女優シシー・スペイセクがキーファーの父、ドナルド・サザーランドと共演した”An American Haunting (2006)”など。加えて、ホラー/コメディの名作として愛されるティム・バートン監督の「ビートルジュース(1988)」やストップモーション・アニメが素晴らしい「コープス・ブライド(2005)」も選ばれています。また、家族向けチャンネルだけあって、子供と一緒に楽しめる作品も多数。キッズに大人気となった「キャスパー(1995)」などが入っています。
随時映画を放映しているAMCチャンネルでは「AMC Monsterfest」を開催。10月22日から31日までの10日間、文字通りノンストップでホラー映画を上映しています。ホラー/サスペンスの教科書といわれるアルフレッド・ヒッチコック監督の「鳥(1963)」や「サイコ(1960)」を始め、ホラーものと言えば必ず名前が挙がるジョン・カーペンター監督の「ザ・フォッグ(1979)」も入っています。もちろん、彼のオリジナル版”Halloween (1978)”も。ハロウィーンと言えばこの映画を思い浮かべる方々も多いのではないでしょうか。更に、こちらもスティーブン・キング原作の”Children of the Corn (1984)”や「スクリーム」シリーズ、ピーター・ジャクソン監督によるお笑い系”The Frighteners (1996)”、アンソニー・ホプキンス主演の”Magic (1978)”など、ざっと思いつくかぎりのホラー/スリラー映画が網羅されています。
普段はあまりホラー映画が得意ではない筆者ですが、この季節になるとついつい見てしまうのは「ハロウィーン・マジック」なのかもしれません。名作に思いっきり脅かされるのも、BC級のお粗末モンスターに爆笑するのも、ホラージャンルならではの楽しみ方。今回ご紹介したタイトルはほんの一部ですが、気になる作品や見逃していた映画、もう一度見たいなんて作品があれば、これを機会にご家庭でホラー映画マラソン!なんていうのも面白いかもしれません。
TEXT BY アベマリコ