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2008年03月27日
もはや世界共通語?すっかり定着の”Kawaii”
「カワイイっ!」皆さんは本日、何度この言葉を口にされましたか?愛くるしい動物や人物にはもちろん、電子機器や広告媒体など目新しいものにまでついつい出てしまうこの単語。こちらがとうとう、ハリウッドきっての業界紙にも登場しました。我々日本人の日常語がどんな形で紹介されたのか、ちょっと覗いてみましょう。
今回“Kawaii”の文字が飛び込んできたのは、米版「ハリウッド・レポーター」。Variety誌に並ぶ業界人の御用達、映画・TV・音楽業界におけるエンターテインメントニュースがいち早く手に入る専門情報誌です。この度、同誌の電子版に掲載された記事は、NHKの新番組”Tokyo Kawaii TV (原題:東京カワイイ★TV)”について。”Kawaii”とは一体全体何なのか、日本発信の文化がアメリカの若者を始め、世界のセレブリティ達にどのように影響を与えてきたのかについて報じています。
同誌では、”kawaii”を”lovely”と”cute”がミックスしたものと解釈。また、ファッションや流行の最先端にいるセレブリティ達、マドンナからパリス・ヒルトン、グウェン・ステファニー、かのカール・ラガーフェルドまでがこぞって飛びついている、と説明しています。4月2日から始まる新番組では、10・20代の日本人女性が次々に発信していく「新しいトレンド」を各30分、初回シリーズ全19回の放映予定であることを紹介。今、日本の女の子達がどんなものに興味があるのか、その流れがアジアを中心にどのように取り入れられているのか、盛りだくさんの内容に期待が高まっている模様です。
一方、同誌はこれまで「お堅い」イメージだったNHKの変貌に着目。過去3年間に起こった一連のスキャンダルに触れ、ドキュメンタリーやニュース番組一辺倒だった日本放送協会が、ここに来て大幅に変わりつつある、と分析しています。番組プロデューサーのインタビューによれば、過去の騒動は「なぜNHKが、特に若年層の視聴者を失いつつあるのか」を見直すきっかけとなったとのこと。結果として、今回のような完全に若者向けの新番組を制作するモチベーションに至ったと語っています。本記事では触れていませんが、2006年に「サラリーマンNEO」がスタートした当初はその「NHKらしからぬ」スタイルが逆に評判となり、各メディアを通して欧米諸国からも注目を集める番組へと進化を遂げたのは周知の事実。今回の番組も例にならい、新しい視聴層の獲得に乗り出したように見てとれます。
数年前からすでに定着しつつある日本の「カワイイ」文化。筆者個人も、アメリカ人の女性プロデューサーが「ハローキティ好き」を豪語していたり、ドイツ系女性映画監督のお宅に”Harajuku Girls”の完全攻略本が置かれていたりと、目まぐるしい日本文化の進出には度肝を抜かれておりました。ここのところ急増中、思わず苦笑い…の「東京」や「原宿」、ナゼか「金曜日」などとプリントされたお洋服たちを横目に、今後どのような形でハリウッドが”Kawaii”を吸収していくのか、そっと見守りたいと思います。アメリカの映画やドラマに、ごく当たり前のように日本のkawaiiグッズが取り込まれる日もすぐそこかもしれませんね。また、今回話題となっているキャラものやデコ電、食玩グッズなどなどに興味のある方々、そもそもkawaiiって何ぞや?という方々は、ぜひこの春の新番組をチェックしてみてください。
TEXT BY アベマリコ
2008年03月20日
あの人気ドラマのスピンオフ、製作決定!
“24 (Fox)”、”Lost (ABC)”、”Prison Break (Fox)”や”Heroes (NBC)”などを始め、日本でもすっかりお馴染みとなったアメリカン・ドラマ。ここに来て、往年の大ヒットドラマのスピンオフが制作されることになりました。全米のみならず日本をも席巻した海外ドラマの草分け的存在、新シリーズとなって甦るのは一体どのTVドラマなのでしょうか。
「90210」。このZipコードを世界で最も有名な郵便番号にしたのはご存知「ビバリーヒルズ高校/青春白書 (原題:Beverly Hills, 90210)」。1990年の開始より10年間、カルト的人気を誇ったドラマが今回スピンオフの対象となりました。お騒がせ令嬢パリス・ヒルトンがかつて繁殖?させたネズミ達に、本作登場人物の名前をつけていたのはちょっとした小ネタのひとつ。また、今日では芸人なだぎ武さんのモノマネキャラ「ディラン」によって、これまで本ドラマを知らなかった世代にまで浸透、「ビバヒル」ブーム再燃の兆しです。そんな伝説的なドラマのスピンオフが、今春にも放送決定。いよいよ先日、本作のBreakdown=企画書が公開されました。
脚本家は”Veronica Mars (UPN/CW)”などで知られるロブ・トーマス。オリジナル版ビバヒルの中心となった「ウォルシュ一家」は「ミルズ一家」に取って代わる予定です。とあるファミリーがアメリカの片田舎からビバリーヒルズに移り住み、兄妹が現地のハイソサエティーな高校に通う…といった大まかなストーリーはほぼ同じ。しかし、細かな設定はガラリと変わっているようなのです。まず、双子だったブランドン&ブレンダ兄妹に代わり、16歳のディクソン&アニーが主人公となりますが、賢くも問題児なディクソンは養子!一方、ブレンダ同様に女優志望のアニーのみが実子とされています。更に、これまでは核家族だった一家におばあちゃまが登場。70年代に活躍した元映画女優であり、彼女のアルコール問題がきっかけでビバリーヒルズにやって来ることになるとか。その息子ハリー(オリジナル版:ジム)、つまり兄妹の父親がビバリー高校の卒業生という設定も新しく、奥様のセリア(同:シンディ)はナゼかオリンピックのメダリスト、というのも興味深い設定かもしれません。
オリジナル版の放映当時は主なキャラクターが白人ばかり、ということにアメリカ国内では不満の声が上がったようですが、この度の新バージョンではこういった点をリアルに再現。同校は現在約40%の生徒がペルシア系という実情を盛り込み、メインキャラクターとの絡みも考慮されているそうです。また、気になる前キャストの出演ですが、こちらは残念ながら今のところ未定。しかし、シルバー姓を名乗る16歳の女の子とその20代の兄が登場しており、オリジナル版の最終回で結婚したデビット・シルバーとドナ・マーティンに関連しているのでは?といった、ファンの期待をあおるような設定となっています。
先のストライキの影響もあってか、第一回の脚本は未だ執筆中だとか。しかし、その完成を待たずしてキャスティングが始まっているようで、早ければ4月3日より製作に入ることになっているそうです。CWチャンネルにて5月からスタート予定の「ビバヒル」スピンオフ。まだ明かされていないタイトルを含め、新しい情報が入り次第お伝えしていきたいと思います。オリジナル版ファンの皆さんはもちろんのこと、全米がハマりまくった名作ドラマの新作は、未見の方々も要チェックかもしれません。
TEXT BY アベマリコ
2008年03月13日
ハリウッドは今、海外が熱い!
昨年末から今年2月までに渡った怒涛の賞レースも一段落。しかしその間にも、ロサンゼルスでは様々な映画祭が催されておりました。全演技部門をヨーロッパ勢が占めた本年度のアカデミー賞然り、海外パワーが席巻する昨今のハリウッド。そこで今回は、数あるインターナショナル映画祭の中から注目を集めていたものをピックアップしてご紹介します。
↑PAFFロゴ
本年度のPAFF上映作品のひとつ”Cover (原題)”は、いかついスキンヘッド&俳優業もこなすビル・デューク監督の最新作。HIV患者やホモセクシュアルなどセンシティブに扱われがちなテーマを取り込み、撮影前に黒人ゲイ団体から猛抗議にあっていた問題作でもあります。その過激さからか評価はイマイチよろしくありませんが、監督同様に多くのTVドラマに出演している俳優陣の競演は見ごたえありかもしれません。
本年度が初めて、栄えある第1回目の開催となったのはLos Angeles Brazilian Film Festival (LABRFF)。こちらは3月7日から9日まで、ウェストサイド・パヴィリオン内The Landmark Theaterで開かれた本映画祭はタイトル通り「ブラジル映画」のショーケース。ブラジル出身ないしブラジルにゆかりのあるフィルムメイカーが撮った短/長編、ドキュメンタリーやアニメを含む、選りすぐりの約30作品が一挙に上映されました。
今日のブラジル映画は、ハリウッドに影響されたユニバーサルな作品が多くを占めています。しかし、大きく異なるのは各々のテーマ。アメリカ作品のようにストーリーをグラマラスに見せることなく、ブラジル全土が抱える格差・貧困問題や、それが引き起こす悲しい犯罪など、混沌とした日常がむき出しのままに描かれます。こういったスタイルは、1981年の「ピショット (米題”Pixote: The Law of the Weakest”)」に始まり、近年の大ヒット作「シティ・オブ・ゴッド (2002)」などに見られた「ブラジル流リアリズム」を受け継ぐものでしょう。
この度のLABRFFにおける注目作品は”Not By Chance”。前述「シティ・オブ・ゴッド」のTV放映版「シティ・オブ・メン」の監督・脚本執筆に携わった、ブラジルを代表するフィリペ・バーシンスキ監督の最新作となっています。その手法は、メキシコが生んだ奇才アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督のそれと比べられることが多々あり。死をテーマに、メインキャラクター達を平行させて物語るスタイルが両氏の名前を世に知らしめることとなりました。
こうした国際色豊かな映画祭は、その土地の空気を肌で感じているような錯覚に引きずり込んでくれます。ちょっとした旅行気分で、これまで見たことがなかった国籍の映画を鑑賞してみるのも一興かもしれません。また、今月末にはいよいよMade in Japanの作品が集う映画祭も予定されていますので、そちらのレポートもお楽しみに。
TEXT BY アベマリコ
2008年03月07日
あの大御所が宣伝活動:努力の甲斐あって?初登場No.1
多くの課題を残しつつも、どうにか開催へとこぎつけた本年度のアカデミー賞。その会場となったコダック・シアターの目と鼻の先、ハリウッド・ハイランド内の音楽ソフト販売店Virgin Megastoreにて、アメリカを代表する「ディーバ」が驚きのサイン会を開きました。オスカー授賞式のほんの4日後、サンセット大通りに降り立った超ビッグネームとは一体誰だったのでしょうか?
ズバリ、そのお答えはジャネット・ジャクソン。ご存知”King of Pop”ことマイケル・ジャクソンの実妹、子役で芸能界入りして1980年代の歌手デビュー以降、数々の記録を打ち立ててきたアメリカを代表する歌姫です。そんな彼女が、オスカーの興奮冷めやらぬハリウッド・ハイランドにて、ニューアルバム発売記念のサイン会を催したのでした。
ハリウッドでは通常「インストア・ライブ」「シークレット・ライブ」などと称したイベントがそこかしこで開催されているのですが、ジャネットほどの大御所となるとちょっと稀。熱狂的ファンとのトラブルなど、様々な事態を予測してスターの安全確保を第一とするのが通例ですが、今回はアルバムへのサインに加えてファンとの握手付きだったとか。当日参加した知人からこのニュースを聞いたときは、いろいろな意味でスゴイ方だなぁと軽い感動すら覚えました。
この度のサイン会の流れは以下の通り。先月26日に発売のニューアルバム「Discipline」をVirgin Megastoreハリウッド・ハイランド店で購入した先着500名に、リストバンドを配布。これを持っている人のみ、28日に行われるサイン会に参加できました。ネット上では、このリストバンドに数百ドルの値段が付いて売買が行われていた模様。しかし、配布当日が平日でしかも正午スタートということもあってか、集まり具合は予想よりも少なめだったようです。
当日まではサイン&握手会に加えてライブも予定されていたようですが、その日になっていきなりのキャンセルに。予定通り夜9時にジャネットが登場、ひな壇から来場者を見下ろすかたちでアルバムにサイン、握手をしてイベントは終了したとのことです。当初、ABCのレイトナイト・ショー”Jimmy Kimmel Live”にてライブの模様が放映されるはずだったようですが、結局キャンセル理由は謎のまま。しかし、番組自体にはしっかり出演し、最近YouTube上で話題のジミー・キンメル&ベン・アフレックのビデオについてジョークを飛ばしたり、「兄弟いるの?」なんて突っ込まれたりと、楽しげなショーとなっておりました。
彼女の新作アルバムは発売1週間で18万1千枚を売り上げ、ポップ・チャートのトップに躍り出る結果に。これで、彼女にとって何と6度目のアルバム初登場1位だとか。売り上げ枚数では、2006年に発売された「20 Y.O.」の29万6千枚という驚きのセールス記録には及ばず。それでも、今週第2位にランクインしたエリカ・バドゥの「New Amerykah Part One (4th World War)」に5万7千枚の差をつけ、ディーバの貫禄を見せています。この圧倒的な数字を見る限り、仮にサイン会を行わなかったとしても彼女なら堂々の1位になっていたはず。きっと、ファンを大切にする彼女のサービスだったのだろうと思われます。
アメリカ国内のみならず、日本で活躍するアーティスト達にも多大な影響を与えているといわれるジャネット・ジャクソン。歌唱力はもちろん、ダンスにも絶大な評価を受けているのはご存知の通り、サイン会当日は号泣してしまうファンが続出していたというのにも頷けます。近年は、スーパーボウルでの「ポロリ事件」や激太りなどゴシップの標的となっていましたが、勢力的な活動は映画界にも。昨年上映の”Why Did I Get Married? (原題)”でも高評価を得ており、これからも幅広い活躍が期待されます。あのジャネットの手を握り、しかも直筆サインまでも入手した知人。万が一お金に困ってもどうにかなるかも!なんて商魂たくましい発言には笑えますが、今後も様々なイベントFrom Hollywood情報をお送りしたいと思いますのでお楽しみに。
TEXT BY アベマリコ