« 2008年10月 | メイン | 2008年12月 »

2008年11月27日

今年の主役は女性?36th American Music Awards

アメリカのThanksgivingシーズンが近付くとやって来る、音楽の祭典「AMA: American Music Awards」。去る23日、LAダウンタウンのNokia Theatreにて華々しく催されました。受賞結果はもちろん、これでもかと言わんばかりに集められた豪華アーティストの面々、史上最高となった計19組によるパフォーマンスなど、様々な角度からお伝えしていきます。





LAの新名所、ノキアシアター。




LAダウンタウンの地域開発事業「L.A. Live」の複合施設内に構えられたノキア・シアターは、2007年秋にオープンしたばかり。昨年、AMAが式典としてのこけら落としを務めてから早一年、2008年度も同じステージに帰って来ました。ホストは昨年に引き続きジミー・キンメルが登場しましたが、19組ものステージがあった為か出番は少なめ。それでも、当日のパフォーマー達をいじくりまくるなど、ガッチリ仕事をこなしています。





本年度のAMAは、若手アーティスト中心といった印象。ティーンに爆発的な人気を誇るアイドルや、国民的スター発掘番組”American Idol (FOX)”出身者らが票を集めました。昨年より開始した「楽曲の売り上げ総数とラジオ放送回数によって選出された候補者から、一般インターネット投票」といった方式で受賞者が決まるとあって、よりパソコンに慣れ親しんだティーン世代の好みが色濃く反映されたのかもしれません。その一方で、エアロスミスよりスティーヴン・タイラーとジョー・ペリーが揃ってプレゼンターとして登場するなど、渋めのチョイスも見られました。






赤絨毯が引かれ、あとはセレブの登場を待つばかり



AMA2008の目玉となった、怒涛のパフォーマンス×19。うち13組は女性陣と、ウーマンパワーが炸裂しています。オープニングにメドレーで登場のクリスティーナ・アギレラや、トリを務めたアリシア・キーズ、クイーン・ラティファ、キャスリーン・バトルの3名など、女性で始まって女性で終わる構成となっていました。





【AMA 2008 パフォーマー】


豪華絢爛な顔ぶれの中でもひときわ好評だったのが、ピアノの弾き語りを披露したアニー・レノックス。「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 (2003・邦題)」においてアカデミー歌曲賞を獲得するなど、長年に渡る音楽活動に特別功労賞が贈られています。レノックスには及ばずともすでにベテランの風格漂うマライア・キャリーは、堂々の名誉賞をゲット。また、こちらも大御所ふたりとのコラボレーションを魅せたアリシア・キーズは、最新アルバム”As I Am”でベストアルバム賞2部門を獲得しています。同じく2部門でベスト女性アーティストを受賞したのは、瞬く間にスターダムに上り詰めたリアーナ。そんな彼女のダーリンと言われるクリス・ブラウンは、ステージこそありませんでしたが、本年度のAMAで最多となる3部門を制覇。年間アーティスト賞に加え、ハニーとお揃いでベスト男性アーティスト賞2部門を仲良く持ち帰っています。


【AMA 2008 受賞者】


また、色々な意味で期待通りだったのが、普段着と見紛うスタイルで登場したカニエ・ウェスト。ラップ/ヒップホップ部門ベストアルバムの受賞スピーチでは「人に何と言われようと、俺はエルヴィスになりたい」と高らかに宣言。更には、同部門のベストアーティスト受賞で再び登壇すると「本当は去年もらうべきだったから、これはリル・ウェインにやる」と言い放つなど、着々と「カニエ語録」を増やしています。一方、今年に入って再結成した往年のボーイズ・バンド「ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック」のステージには、酷評が集中してしまった模様。今頃すでにママになっているような年代のアメリカ人女性なら、必ずやお気に入りメンバーがいたハズなのに…。移り行く時代&業界の厳しさを見せつけられた気がします。

豪華な顔ぶれとパフォーマンスが目一杯詰まった、第36回American Music Awards。感謝祭前のお祭りムードを更に高めてくれるような、賑やかな3時間となりました。関係者曰く、今年はアーティストへの出演依頼ほとんどに即OKが出たとか。昨今の音楽業界ではCDの売り上げが芳しくないようで、みんな宣伝目的?なんてオトナの事情も囁かれていたりしますが、我々としては華やかなことは何より。来年もより一層ド派手なセレモニーに期待したいと思います。


TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 15:16 | トラックバック

2008年11月20日

自己最高を更新!「Top Chef」第5シーズン

先週水曜日より待望の新シーズンがスタートした「Top Chef: Season 5」。ベスト料理人を決めるリアリティーショーの初回放送が、自己最高の視聴率を叩き出しました。

一度観ると病みつきになってしまう人々が続出中の当番組。今回は、ケーブル局で最も人気の「お料理系番組」をご紹介します。





“包丁”がトレードマークのCHEFF
On Flickr By bensonkua

ケーブル局BRAVOで放映中の「Top Chef」は、今期で第5シーズンに突入。サンフランシスコ、LA、マイアミ、シカゴに続き、この度の決戦の舞台はNYになりました。

これまでもアメリカンTVの祭典=エミー賞にノミネートするなどかなり人気のシリーズでしたが、ここに来て番組史上最高となる視聴率を獲得。11月12日のシーズンプレミアは、延べ270万人が視聴しました。この数字は、今年3月に放映された第4シーズンの初回放送より19%も上昇しています。アメリカのケーブルTVは多くのチャンネル数を誇り、スポーツ・映画などとジャンル分けされていることはザラですが、料理専門チャンネルFood Networkにおける各シリーズをも凌ぐ「Top Chef」の数字は、総合エンタメチャンネルBRAVOの看板番組のひとつと呼ばれる所以です。あまりの人気に、キッズが競い合うジュニア版、一流シェフが出演するマスター版といったスピンオフの製作も発表されました。



当番組の構成はいたってシンプル。自薦/他薦から事前に選ばれた「シェフ志望」の精鋭達が毎週ひとりずつ脱落していき、最後に残った一人に「Top Chef」の称号が与えられます。1時間枠のうち主に2部構成になっており、まず挑戦者達は”Quickfire Challenge”と呼ばれる予選に参加。ここではテーマに沿った一品料理を作ったり、包丁使いといったテクニックや料理の知識が問われるクイズが出題されるなど、個人の基本的な技量が試されます。ここでの勝者は、次の”Elimination Challenge”=脱落者決定戦において、脱落免除など何かしらの特典を獲得。そして、メインとなる決定戦では、まず予算内&制限時間内で食材の調達を済ませ、個人ないしチームでコース料理などを作ります。ここでのレギュラー/ゲスト審査員(有名シェフや料理批評家など)による評価で、脱落者が決定。決まり文句「Please Pack your Knives and Go=包丁を片付けて帰って!」が告げられ、共同宿舎から出て行くことになります。



番組進行を務めるのは、元モデル/女優/料理本作家のパドマ・ラクシュミと、シェフ兼レストラン経営者であるトム・コリッキオの2名。彼らが挑戦者達にお題を告げ、更には両チャレンジの試食と評価も務めます。「最も美しい女性」ランキングなどの常連であるラクシュミ曰く、当番組の撮影期間中は5~6キロほど太ってしまうとか。ため息が出るほどの美貌からは想像できないエピソードですが、中盤以降はワンサイズアップの衣装を着て撮影に挑んでいると語っています。ちなみに彼女は、述べ4期を続投中。第1シーズンの司会だったケイティ・リー・ジョエル(かのビリー・ジョエルの3人目の妻)は、進行のイマイチさから即降板に至りました。



多岐にわたるであろう人気の理由は、まず挑戦者達のテクニック。チャレンジャーと言えども、すでにレストランでキャリアを積んでいる人ばかりで、多くが創造力豊かな一皿を披露してくれます。また、どのリアリティーショーにもいえることですが、出場者が一般人であるがゆえ、時に強烈キャラが登場する辺りも見どころ。敵対心むき出しの一匹狼や、他を蹴落とそうと画策する人がいたりと、かなりヨゴレな部分もハマっちゃう要素と言えそうです。これまでには、宿舎で暴力沙汰を起こして脱落させられたメンバーも。今シーズンでは現在のところ、口の悪いヨーロッパチームと、ゲイ・レズビアンから成るレインボーチームに注目が集まっている模様です。個人的には、日本の食材が「旬」として扱われる点がお気に入り。我々が普通に接している味噌やみりんといった調味料、柚子やシイタケの出汁などがオシャレ感いっぱいで取り込まれるのを見てほくそえんでいる次第です。ちなみに、それぞれの単語はMisoなどと日本語のまま使われております。



「Top Chef」の称号に加え、賞金10万ドル/仏アルプスへの食旅行/高級システムキッチン一式などの、超豪華特典を目指して凌ぎを削る挑戦者達。初回放送ではすでに2名が脱落、現在は15名に絞られました。これから約3ヶ月間は、多くの視聴者が唾を飲み込みながら見守ること必至。誰がトップに君臨するのか、今後の行方が楽しみです。お料理好きの方々は、レシピも満載の下記ホームページをチェックしてみて下さい。





【Top Chefホームページ】

TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 21:29 | トラックバック

2008年11月13日

続報: AFI Fest / 各受賞作品が明らかに

先週お伝えした第22回AFI Festが、11月9日をもって惜しまれつつの閉幕を迎えました。最終日に行なわれたクロージング・ガラから各アワードの受賞作品まで、その様子を一気にご紹介。また、ほぼ同時期に開催されていたアメリカ最大級の映画マーケット「AFM」の横顔も合わせてお伝えしていきます。




AFIポスター

10月30日より11日間、多くの観客で賑わいをみせたAFI Fest。サンセット大通りに面したメイン上映会場Arclightを中心に、本年度は第1回アカデミー賞が行なわれた老舗ホテル「ハリウッド・ルーズベルト」を本部に据え、更には上映シアターが新たに増設されるなど、例年を上回る規模で開催されました。オープニング上映作品”Soloist (原題)”のドタキャンといった波乱含みのスタートを切りましたが、終わりよければ全て良し?と思いきや、クロージング・ガラでもちょっとしたハプニングが勃発しちゃいました。

2008年度のAFI クロージング作品に選ばれたのは、第二次世界大戦下のポーランドが舞台となる”Defiance”。9日に満を持してのワールド・プレミアを迎えましたが、上映開始から約1時間後に本編がプッツリとストップ。ざわめく観客席に流れたアナウンスによれば、防災装置の誤作動による自動停止だった模様です。予期せぬ10分間の小休止後、安全が確認されてから無事の上映。関係者はヒヤヒヤもののアクシデントですが、当のエドワード・ズウィック監督は、後のパーティにて「本来インターミッションを入れるべきだったのかもね」と一笑に付しております。当初の予定だった全米公開12月12日が、アカデミー賞対象作品となる日程ギリギリの同月31日に延期されるなど、奇しくも”Soloist”と似たような道を辿っている本作。両方とも実話に基いたストーリだったりと、妙にカブってしまいます。




                  AFMメイン会場のLoewsホテル


最終日には、AFI Festアワード受賞作品も一挙発表。各審査員賞は、コンペに選出された短編・長編・ドキュメンタリー部門の中から決まり、それぞれの監督にはフィルムストックが贈られます。また、観客の人気投票により最も獲得数が多かった作品が、その名の通り「観客賞」受賞となっています。





*長編部門

・審査員賞 “Acne” / 監督: Federico Veiroj / ウルグアイ・アルゼンチン・スペイン・メキシコ合作

・観客賞 “A Necessary Death” / Daniel Stamm / アメリカ

*短編部門

・審査員賞 “The Legless Boy Cannot Dance” / Michael Lipkes / メキシコ

・観客賞 “Busco Personas” / James Lee / コロンビア

*ドキュメンタリー部門

・審査員賞 “Kassim the Dream” / Kief Davidson / ウガンダ・アメリカ合作

・観客賞(同率2作品) “The World We Want” / Patrick Davidson / アメリカ
 
“Kassim the Dream” / 同上




AFMポスター


 一方、AFI Fest期間中の11月5日から1週間、ロサンゼルスの海沿いに位置するサンタモニカでは「AFM: American Film Market」が行なわれていました。こちらは、いわば映画のショッピングセンター。世界中から集った目利きバイヤー達と各国の映画制作会社/権利元とが膝を突き合わせ、版権や配給権利などが売買されます。業界関係者によると、今年のマーケットは著名な俳優や監督がアタッチした「独立系映画」が人気を集めていたとか。



更には、世界的な経済不安とあいまってか、良作を抱える権利元とそうではない会社との売れ行きに明暗がハッキリと分かれる年になったようです。また、バイヤー向けの試写会の中で特に話題に上ったのが、”Paranormal Activity (2007) ”。オーレン・ペリ氏が監督・脚本・製作・編集を兼ねたホラー作品に、AFMの初日3日間で配給権やリメイク権を含む30以上ものオファーが殺到した模様です。本作は氏の初作品であり、第2の「ブレア・ウィッチ・プロジェクト (邦題 / 1999)」現象?との呼び声が高くなっています。

 

多人種が入り混じるロサンゼルスは、異文化や世界情勢に敏感な人々が特に多い街。世界中の映画を楽しめるAFI Festは、アートの秋にピッタリなイベントです。ハリウッドの業界人や映画ファンには大忙しとなった10&11月ですが、ホッと息つく暇もなく年末の大作ラッシュが到来。今後も注目映画や話題作など、どんどんご紹介していきますのでお楽しみに。2008年度AFI Festの詳しい模様や出展作品の全リストなどは、下記のホームページよりご覧下さい。

 

【AFI Fest 2008 公式HP】




TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 18:13 | トラックバック

2008年11月06日

映画ファン待望!AFI Fest 2008

「第44代アメリカ大統領バラック・オバマ」が誕生して国内が沸く真っ只中、ハリウッドではこちらの映画祭も大盛況。アメリカ屈指のフィルムスクールAFI主催の「AFI Fest 2008」が、10月30日に開幕しました。世界中の映画が堪能できる、11日間の贅沢な国際映画祭。今回は、こちらの中間レポートをお送りします。

世界384カ国から集められた映画が一堂に会する「AFI Fest / AFI LA International Film Festival」は、今年で22年目。回を重ねるごとにパワーアップして、2008年度は短編・長編・ドキュメンタリーを含む148本が揃いました。映画制作訓練校AFI (American Film Institute) が毎年開催している本映画祭は、開催時期を近年より春から秋へと移動した為に、出品作の多くがアカデミー賞に絡んでくることでもより一層の注目を集めています。

今年のAFI Festは、ちょっぴり波乱の幕開けとなりました。当初、オープニング・ガラ (Gala=目玉作品) に選ばれていたジェイミー・フォックス主演の“Soloist (原題)”が、何と開催直前に出品辞退。年内の公開予定も来年3月に延期されるなど、急なゴタゴタがありました。しかし、その救世主となったのが、ジョン・パトリック・シャンリー監督の”Doubt”。主演のメリル・ストリープやエイミー・アダムスら豪華キャストらが来場して、観客の喝采を浴びています。その他、スクリーンを彩るガラ上映は、スティーブン・ソダーバーグ監督の新作”Che”、ミッキー・ロークが主演を務めた”The Wrestler”、主演ダスティン・ホフマンが役に惚れ込んだと語る”Last Chance Harvey”の3本。更に、クロージング・ガラにはダニエル・クレイグ主演の”Defiance”が選ばれています。


「世界の映画を一挙公開」が売りのひとつであるAFI Festとあって、もちろん日本からの出品も。今年は、計4作品がはるばる海を渡りました。「ガチ☆ボーイ (洋題: Gachi Boy Wrestling with a Memory)」は、個性的なラインナップが並ぶALT Cinema部門にエントリー。特別試写となった日・独・韓合作の「TOKYO! (同) 」は、ミシェル・ゴンドリーとレオス・カラックス、ポン・ジュノら3監督による話題のオムニバス作品です。カンヌ映画祭にてある視点部門に招かれた「トウキョウソナタ (Tokyo Sonata)」は、本映画祭においては追加上映作品に。そして、ヴェネチア映画祭でコンペ出品となった世界のKITANO監督による「アキレスと亀 (Achilles and the Tortoise)」は、北米プレミア上映となりました。

数々のパネルディスカッションに加え、AFI Festでは特別イベントも随時開催中。まず本年度のトリビュートには、ともにイギリス出身の奇才ダニー・ボイル監督と昨年のオスカー女優ティルダ・スウィントンが選ばれ、それぞれの最新作”Slumdog Millionaire”と”Julia”を紹介しに会場を訪れる予定。また、マイルストーンと称したショーケースでは、今年に入って亡くなった映画監督・俳優を追悼する上映会が催されました。ポール・ニューマン主演のご存知「ハスラー (邦題・1961)」やチャールトン・ヘストンがリチャード・ハリスと共演した「ダンディー少佐 (1965)」、シドニー・ポラック監督「ひとりぼっちの青春 (1969)」など往年の名作から、アンソニー・ミンゲラが監督を務めた「リプリー (1999)」やヒース・レジャー主演の「ケリー・ザ・ギャング (2003)」といった比較的近年の作品まで、AFI選りすぐりの5作品が登場。映画史に名を刻んだ彼らの遺作が、大画面で余すところなく堪能できるスクリーニングとなりました。

ハリウッドの大型マルチプレックスArclightをメイン会場に行なわれているAFI Festは、今月9日までの開催。これからは後半を迎え、各コンペ出展作品から選ばれる最優秀長編・短編・ドキュメンタリー、観客賞などの発表を控えてますますの盛り上がりを見せてくれそうです。全ラインナップの紹介や豪華ゲスト達の顔ぶれは、下記のホームページから。
また、本映画祭では毎年一般からの作品も募集していますので、我こそは!という映画制作者の方々も詳細を要チェックです。

【AFI Fest 2008 公式HP】

TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 11:44 | トラックバック