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2009年06月25日

夏の到来!恒例のLAフィルムフェスティバル開幕

毎年6月下旬に開催されるロサンゼルス・フィルムフェスティバル。2009年度も、すっかり夏めいてきたLAに世界各国の長編/短編映画、ミュージックビデオが勢揃いしました。この夏の大作から、なかなかお目にかかれないインディーズ作品まで、ありとあらゆる映画をガッツリ堪能できる11日間。プレミア上映作品のラインナップなどを含め、特報をお届けしていきます。



 LAFF告知ポスター

今年で15回目を迎えるLAフィルムフェスティバル(LAFF)は、6月18日から28日までの開催。ウエストLAに位置するウエストウッド・ヴィレッジを本拠地に、アメリカ発信の大型作品はもちろん、30カ国以上から集められた計200本以上の短長編映画 (フィクション・ドキュメンタリー) /アニメーション/ミュージックビデオが一挙に上映されます。もともと、LAFFは「ロサンゼルス国際映画祭 (LAIFF)として1995年にスタート。ハリウッドのDGA (全米監督協会)本部にてわずか5日間のみ行なわれていた当イベントは、2001年より今日の主催元であるNPO団体Film Independentが運営を担っています。地元紙Los Angeles Timesや大手百貨店チェーンTarget協賛のもと、そのスケールは年々拡大しており、開始当初は2万人弱であった観客動員数は今や8万人を越える規模になりました。


世界中からエントリーされた4600作品より厳選された作品群に並び、LAFFはとにかく見どころ満載。映画上映のみならず、豪華ゲストを招いたパネルディスカッションや各ショーケース、屋外無料スクリーニングやバンドの生ライブまで行なわれています。近年では、高校生が作ったショートフィルムの上映や、小さなお子さんと一緒に楽しめるような家族向けイベントも目白押し。また、世界プレミアやアメリカ初上陸タイトルも多く、日本が最速上映地となった『トランスフォーマー/リベンジ (邦題)』よりマイケル・ベイ監督、シャイア・ラブーフ、ミーガン・フォックスが、世代別ギターヒーローを描いたドキュメンタリー”It Might Get Loud (原題)”からは、ジャック・ホワイト(ホワイト・ストライプス)とジミー・ペイジ (レッド・ツェッペリン)が来場。ところ狭しとセレブリティがやって来るあたり、さすがは大映画祭といった貫禄です。


本年度のオープニング・ガラ上映作品”Paper Man”も、堂々のワールド・プレミア上映。妄想作家にまつわるコメディ・ドラマに、ロバート・ダウニー・Jr. 夫妻やクリスチャン・スレーター、クリスティーナ・リッチらも足を運んでいます。センター・ピースと題して開催期間の真っ只中にプレミア上映されたのは、フィルム・ノワール風の話題作”Public Enemies”。レッドカーペットを彩った主演のジョニー・デップ、クリスチャン・ベール、マリオン・コティヤール、ロザリオ・ドーソンは、熱狂的なファンの歓声に包まれておりました。そして、28日のクロージング・ナイトには、ご存知『崖の上のポニョ (洋題: Ponyo)』がトリの大役に。英語吹き替え版にはケイト・ブランシェット、マット・デイモン、ティナ・フェイ、リーアム・ニーソンといった顔ぶれに加え、マイリー・サイラスの妹ノアちゃん、ジョナス・ブラザーズの小さな四男坊フランキー君も声優デビューを果たしました。世界中いたるところにファンを持つ宮崎駿監督作品、当日のチケット完売は必至です。


アメリカ国内の映画祭では最高額の賞金5万ドルが授与されるTargetフィルムメイカー・アワードとTargetドキュメンタリー・アワードや、各観客賞が選ばれるインターナショナル・ショーケース (日本からは『歩いても 歩いても (洋題: Still Walking)』がエントリー) など、コンペティション部門も充実しているLAFF。結果が出揃う来週は、そちらのレポートをじっくりとお送りしますのでお楽しみに!これまでの模様や出展作品リストは、以下のホームページよりご覧ください。

【LAFF公式HP】





TEXT BY アベマリコ


投稿者 eigafan : 16:21 | トラックバック

2009年06月18日

潜入レポート!映画学校AFI/2009年度卒業式

アメリカでは、主に6月が卒業シーズン。全米屈指の映画学校American Film Institute (AFI / アメリカ映画協会) コンサバトリーにおいても、先週10日に卒業セレモニー/学位授与式が行なわれました。映画業界の生ける「伝説」が続々と来場した当日の模様をお伝えしていきます。


 スピーチ中のクリント・イーストウッド
ハリウッドを見下ろすグリフィス・パークに隣接したAFIコンサバトリーは、1967年設立のAFI/アメリカ映画協会が1969年に併設した映画制作専門の付属大学院。ジョン・カサヴェテス、テレンス・マリック、デヴィッド・リンチといった蒼々たるフィルムメイカーを輩出しており、今日ではコロンビア大、NYU、USC、UCLAの映画学科に並ぶ5大名門フィルム・スクールに数えられています。




校内の卒業セレモニー特設ステージ
 6つの学科 (監督/製作/撮影/編集/美術/脚本) には例年数千人もの出願者が集いますが、どの専攻の枠も30人以下という少人数制。狭き門をくぐり抜けた合格者達は、AFIが誇る著名な講師陣のもとでプロ顔負けの映画制作を学びます。入学1年目の「サイクル・プロジェクト」では、20分以内の短編フィルムを年間で3本製作。それらの出来栄えによって、AFIの基準に満たない生徒は退学を命じられることもある厳しさです。そして2年目を迎えることが出来た生徒のみ、卒業制作となる「シーシス作品」に着手。こちらは本場ハリウッドと同様、こと細かな業界ルールと制約に縛られながらプロダクションが進められ、上限6万5千ドルの制作費も学生達によって集められます。ホッとひと息つく暇さえ無さそうな、怒涛の2年間。こうしてフィルムメイキングにどっぷりと浸かった彼らは、今後のハリウッドを担う精鋭としてAFIから巣立っていきます。



式典後に挨拶を交わすシャーリーズ・セロン
1989年より、映画界の功労者に授与されているAFI名誉学位の歴代受賞者には、シドニー・ポラック、ジーナ・ローランズ、ジョン・ウィリアムズ (作曲家)、ロジャー・エバート (映画評論家)といった豪華な面々が名を連ねています。本年度の受賞者は、俳優業はもちろんのこと、監督/製作に加えて作曲家としての地位をも築いたクリント・イーストウッド。約2時間の式典では終始リラックスした様子で、壇上からフランク・ピアソン (脚本家/「暴力脱獄 (1967)」「狼たちの午後 (1975)」)やジョン・アヴネット (映画監督/脚本家/製作者/「フライド・グリーン・トマト(1991)」「88ミニッツ (2007)」) らゲストとともに、卒業生達にはなむけのスピーチを贈っています。また、一般来賓席にはアカデミー賞獲得女優、シャーリーズ・セロンの姿も。ラフなジーンズにほぼスッピンでありながら別格の「美人オーラ」を放っており、来場者の視線が集中していました。どうやら、今期卒業生の中に知人がいた模様です。


編集学科の講師より卒業証書を受け取る加藤閑さん
そして当日の主役=120余名の2009年度AFI卒業生の中に、唯一の日本人生徒を発見!名古屋出身の加藤閑 (のどか) さんは、コロラド大学を卒業後に日本の某局にてエディターとして活躍されていました。再度の渡米を志した2007年には、音楽業界の重鎮であり、ハリウッド/日本映画業界に強い影響力を持ちながらAFIにも多大な貢献をされている依田巽氏より奨学金を獲得。同年8月末に、晴れてAFI編集科への入学を果たしています。編集専攻の1年目は他科と違い、サイクル・プロジェクト6本!に参加しなければならないのだそう。初年度は身体的に、2年目は精神的な苦労が多かったと振り返っていらっしゃいました。それでもやはり、学科の講師や卒業作品のメンター /アドバイザー、学友達との共同作業を通して培ったものは、掛け替えのない収穫だとか。今年いっぱいはAFIに在籍して、エディターとポストプロダクション・スーパーバイザーを兼任するシーシス作品、”TAKEO (オマール・サマド監督/原題)”に携わっていくそうです。

 
また、先日東京にて行なわれたShort Shortsフィルムフェスティバル&アジア2009において、優秀賞ジャパン部門/東京都知事賞に輝いた「ハーフケニス /Half Kenneth」の落合賢監督、プロデューサーの兼原麻耶さんもAFIの卒業生であり、本作はお二方のシーシスになった短編映画でした。世界選りすぐりのフィルムメイカー達が肩を並べる学び舎、AFI出身の皆さん。今後も、活躍の場がよりいっそう広がっていくこと間違いなしです。

毎秋ハリウッドにて開催される映画祭AFI Festや、1998年よりアメリカ映画生誕100周年記念にスタートした「AFI 100 Years…」シリーズに並び、今週19日には第37回ライフ・アチーヴメント・アワードの模様が放映されるAFI/アメリカ映画協会。これからも、AFIコンサバトリーからは卓越したフィルム・アーティスト達が生まれていくことでしょう。
今回のセレモニー/CommencementやAFIの概要は、下記のリンクからご覧下さい。

【AFIホームページ】

 
 
TEXT BY アベマリコ


投稿者 eigafan : 11:29 | トラックバック

2009年06月04日

歓声?悲鳴?が飛び交ったMTV ムービー・アワード2009

5月31日、ユニバーサル・シティのギブソン・アンフィシアターにて行なわれたMTVムービー・アワード。厳粛な印象のオスカーやゴールデン・グローブとは打って変わって、ティーンの黄色い声援と大爆笑に包まれた賑やかな映画祭となりました。2008年にアメリカの若者達を魅了した映画、彼らがこの夏に期待するサマームービーがまる分かりのレポートをお届けします。


ウエストLAに構えるMTVネットワーク
ポップコーンが詰まったバケツ型トロフィーで有名なMTV ムービー・アワードは、早18回目。音楽チャンネルとして知られ、現在では多数のリアリティ・ショーを擁するMTV局の主催で行なわれており、そのユニークな各賞は他の映画祭と一線を画したラインナップを誇ります。本年度の目玉は、最多7部門にノミネートされた『トワイライト~初恋~ (邦題)』と、6部門に名を連ねていた『スラムドッグ$ミリオネア』の一騎打ち。フタを開けてみれば、前者が作品賞を含む5部門を制覇するなど、空前の『ロバート・パティンソン・ブーム』を見せつけました。彼が登壇する度に、ましてや大画面に映っただけでも、会場は女の子達による絶叫の嵐。本作で麗しのヴァンパイアを熱演した23歳の英国俳優パティンソンは、向かうところ敵無しの佇まいです。


本年度の司会に大抜擢されたアンディ・サムバーグは、長寿コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ (=SNL / NBC)』等、多方面で活躍中の若手コメディアン。昨年の話題作を盛り込んだオープニング・クリップには、SNLでも共演済みのジャスティン・ティンバーレイクとともに登場しました。その後、Hip-Hop調で来場セレブを紹介してみたり、SNLの大先輩ウィル・フェレルや『スター・トレック (2009)』の監督J. J. エイブラムスと大作映画の爆破シーンを茶化したりと、要所でやりたい邦題。緊張を見せない彼のホストっぷりは、常に笑いを巻き起こしておりました。

そんな中、今年の話題をさらったのは、ゲストパフォーマンスに登場したエミネム。残念ながら、注目を浴びたのは彼のステージではなく、新作”Bruno (原題)”の役柄に扮したサシャ・バロン・コーエンとの「絡み」でした。Tバックを身につけたキューピッド姿で天井から吊るされていたコーエンは、何と剥き出しのお尻からエミネムに「不時着」。マジかよ!とFワードを連発しながらSPに助けられたエミネムは、怒って席を立ってしまいました。これは台本なのか、それともガチのドッキリ…?と大きな反響を呼びましたが、エミネムの怒声を拾っているマイクといい、立ち去る彼を追うカメラのポジションといい、どう見てもお膳立て通り。しかし、周りのセレブが半笑い且つ騒然となった会場の模様は、視聴者を存分に楽しませてくれました。

以下は、本年度の受賞者一覧。プレゼンターにはシャイア・ラブーフ、ミーガン・フォックス、マイケル・ベイ、サンドラ・ブロック、シエナ・ミラー、キャメロン・ディアス、キーファー・サザーランド、デンゼル・ワシントンらが続々と登場して、アワードに華を添えています。

・作品賞:『トワイライト~初恋~』
・女優賞:クリステン・スチュワート (『トワイライト~初恋~』)
・男優賞:ザック・エフロン (『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』)
・ブレイクスルー女優賞:アシュリー・ティスデール (『ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー』)
・ブレイクスルー男優賞:ロバート・パティンソン (『トワイライト~初恋~』)
・悪役賞:ヒース・レジャー (『ダークナイト』)
・コメディ賞:ジム・キャリー (『イエスマン/”YES”は人生のパスワード』)
・ベストファイト賞:ロバート・パティンソンVS. キャム・ギガンデッド (『トワイライト~初恋~』)
・ベストキス賞:クリステン・スチュワート&ロバート・パティンソン(『トワイライト~初恋~』)
・歌曲賞:”The Climb”/マイリー・サイラス (“Hannah Montana: The Movie”)
・WTFモーメント賞 (新設カテゴリー/スラング”What the F**k?” =「何てこった!」の頭字語):エイミー・ポーラー (『ベイビー・ママ』にて、キッチンのシンクで用を足したシーンに)
・MTVジェネレーション賞:ベン・スティラー

盛りだくさんの2時間に加えて、この夏の新作『トワイライト~新月~ (仮)』、『トランスフォーマー:リベンジ』、『ハリー・ポッターと謎のプリンス』といった独占公開の予告編を一挙に放映するなど、ティーン大喜びの内容となったMTV ムービー・アワード2009。さりげなく歴代のSNL出演者をプッシュしながら、プレゼンターに今夏公開予定の映画出演者をごっそり呼び込むなど、宣伝活動も怠らないあたりはさすがMTV!といったところでしょうか。夏休み目前、この若い勢いに乗って映画界がますます活性化されていくことを祈ります。アワードの詳細や当日の模様は、下記のホームページからどうぞ。

【MTV Movie Awards 2009】

TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 20:32 | トラックバック