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2009年11月26日
あなたはもう観た?「イングロリアス・バスターズ」:豪華SAGスクリーニング
来年1月に開催されるSAG Awards (全米映画俳優組合賞)に向けて、アメリカ主要都市ではホリデイ・シーズンを前に随時スクリーニングを開催中。賞レースに絡むこと必至の各タイトルが続々と上映され、作品に携わった監督・プロデューサー・俳優陣らがQ&Aを行なっています。そして今回は、中でもその豪華ゲストから異例ともいえる長蛇の列を作った「イングロリアス・バスターズ」の試写会の模様を潜入リポート。もちろん「あのスター」も駆けつけました。来年1月31日の開催を予定しているSAG (全米俳優組合: Screen Actors Guild)主催のSAG Awardsは、今回で第16回目。同業者である俳優達がその年最も優れたパフォーマンスを行なったアクターを選出するアワードとあって、数ある賞レースの中でもとりわけファンが多く、特別な意味合いを持っていると言えます。
このSAG Awardsに先駆けて、アメリカ国内では多くのスクリーニングを実施中。今年すでに封切られている作品や今後オープンする年末の話題作など、各上映会にはその作品の監督やキャストらが来場して、会場の観客らとのQ&Aディスカッションを設けています。特にその日のゲストが俳優陣となると、さすがは「同志」を目の前にしているとあって、スター達が興奮気味に撮影風景を振り返ることもしばしば。もちろん筆者はアクターではありませんが、SAG俳優の知人の「+1」として登録して頂き、この絶好のチャンスを堪能している真っ最中です。
ロランの話に聞き入る仲が良さそうなゲスト達。
恐らく全員とも私服のリラックス・モードです。
拍手と笑い、時には息を呑む音さえ響いた本編の上映が終わると間髪を入れず、途中参加したファスベンダーを除く7名が一気に登壇。割れんばかりのスタンディング・オベーションに答えながら着席すると、マシンガントークで知られるタランティーノ監督が即座にマイクを握りました。通常のQ&Aでは「モデレーター」と呼ばれる司会者がディスカッションを進行しますが、この日は監督が同役を兼任。こちらも見どころのひとつであり、湧きに湧いた観客を前にご満悦の表情をみせていた監督は、Fワードもバンバン飛び出す程のエキサイトっぷりでした。
今回のQ&Aでは、やはりSAGスクリーニングということもあってか話題はアクティングに集中。絶妙な配役に話が及ぶと、監督は米・仏・独それぞれのキャスティング・ディレクターを配した為に最高のキャストが揃ったとの自信をみせていました。ちなみにキャスティング当初、クルーガーはその流暢な英語からドイツ出身だと信じてもらえなかったそう。アクセントを減らすレッスンを受けたのが裏目に出たと笑うなど、お茶目な一面が見られました。
何よりも監督と働けたことが光栄だと繰り返していたロランは、ユダヤ人の祖父がセットに訪れたという談話を披露。孫娘がナチスに復讐劇を繰り広げると聞いて「お墨付き」をもらったとのことです。また、後半の見せ場となる「アップ」のシーンでは、監督の気遣いでセットに入るスタッフが最小限になったと明かしていました。そして劇中にて圧倒的な存在感をみせたヴァルツは、監督じきじきに配役決定の電話を受けた時はバケーション中だったと回顧。何とも不思議な、最高の瞬間だったと語りました。そしてキャスト陣ならびに観客から彼の名演技について触れられると、全ては共演者との相乗効果から生まれたものであるとして、特にブラッド・ピットとのシーンでは多大なる影響を受けたと話していました。
友人のハーレーより拝借。ロゴはデフォルトだそうですが、 ピットのバイクに間違えられる模様。
すでに本作を4回も観たと語る観客から劇中数々のオマージュを挙げられると、思わず「My Friend!」と叫んでいたシネ・フィル=映画通なタランティーノ監督。キャラクター達の無駄話とも言える会話や同時進行していくプロットと絶妙なBGMをシグニチャーに、生粋の映画ファンならではの新作を完成させています。本作の最終地点となる日本では、今月20日より公開中。今回ご紹介したこぼれ話を踏まえて、未見の方々はもちろんのこと、すでに鑑賞済みの皆さんも、噛めば噛むほど味が出る「名誉なき野郎ども」をぜひじっくりと堪能してみてはいかがでしょうか?
【イングロリアス・バスターズ 公式サイト】
全国大ヒット上映中!
TEXT BY アベマリコ
2009年11月19日
新記録が続々!カントリー音楽の祭典CMAアワード
ゾロ目の11月11日に行なわれたCountry Music Association Awards: CMAsは、本年度で43回目。ウエスタンやカントリー音楽の発祥の地とされるミュージック・シティ=テネシー州はナッシュビルにて、華やかに開催されました。今日のカントリー音楽シーンを牽引する顔ぶれをご紹介していきます。毎年恒例のCMAsは、1958年にナッシュビルにて発足されたCountry Music Associationが67年よりスタートしたカントリー・ミュージックの祭典。今年4月にラスベガスにて開催されたACMsと名前も内容も酷似しておりますが、そちらはAcademy of Country Music (ACM) の主催。当CMAsと並び、2大カントリー・ミュージック・アワードとして知られています。
2009年度CMAsの司会を務めたのは、若手カントリー・スターのブラッド・ペイズリーと「American Idol (原題/FOX)」シーズン4の覇者キャリー・アンダーウッドのペア。そのフレッシュな顔ぶれに、ABC局にて放映された本セレモニーは4月のACMs (CBS) に並んで好視聴率をマークしています。
通常、これら2大カントリーの祭典においては受賞者の顔ぶれが一貫しているのが特徴。実際に、CMAsでは過去43年間のアワードにおいて、ACMsは過去45年間でそれぞれ男性23名/女性24名が年間ヴォーカル賞を連続受賞ないし分け合う結果となっています。しかし、本年度のCMAsでは番狂わせの連続に。お馴染みのアーティストの「お株カテゴリー」を奪うニューカマーの活躍に、各紙が沸くこととなりました。
天使のような美貌も人気のテイラー・スウィフト
Photo by kittysocks on Flicker
国内の初週売り上げが約60万枚を記録したセカンドアルバム”Fearless”を含む過去3年間の世界総売り上げ枚数は、驚きの1000万枚越え。昨年比より89%アップしたカントリー・ジャンルのセールスにおいて「スウィフト人気」の貢献度は絶大と言えるでしょう。ちなみに、今年9月開催のMTV ビデオ・ミュージック・アワードにて、女性アーティスト・ビデオ賞を獲得した彼女のステージにカニエ・ウェストが乱入&意地悪コメントをしたのは既報のとおり。同じ音楽界で生きるアーティストらしく、人気と実績で堂々の「リベンジ」を果たしたスウィフトに、心から拍手を贈りたいと思います。
その他の本年度CMAs受賞者として、ホストを務めた「イケ面」ブラッド・ペイズリーが3年連続で男性ヴォーカリスト賞を獲得。更に、奥様ニコール・キッドマンとともに会場を訪れたキース・アーバンとのコラボ”Start A Band”でも、年間音楽イベント賞を持ち帰っています。また、不動の人気を誇るシュガーランドも、年間ヴォーカル・デュオにおいて3年連続受賞を果たしました。
その一方で、ロックバンド”Hootie & the Blowfish”のリーダーを兼任するダリウス・ラッカーが新人賞を獲得。ソロアルバム”Learn to Live”やシングル曲”Alright”などでヒットを連発している彼は、CMAsの同カテゴリーにおいてアフリカ系アメリカ人初の受賞者となりました。
CD売り上げが伸び悩む昨今で、特に勢いを見せているカントリー・ミュージック。覚えやすいメロディと気付けば口ずさんでいるような情緒ある歌詞から、ポップスが主流の人気LAラジオ局などでも耳にする機会が多くなっています。ぜひ下記掲載のウェブサイトより、2009年度CMAsの全受賞者や曲目をチェックしてみてください。
【第43回CMAアワードHP】
TEXT BY アベマリコ
2009年11月12日
新作&話題作が盛りだくさん!AFI Fest / American Film Market 2009
毎年秋ごろに共同開催されるAFI Fest とAmerican Film Marketが、今年も大盛況のうちに閉幕。現在はそれぞれの会場でフィーチャーされた近日公開を控える新作ラインナップ、来年のトレンドを占う話題作がハリウッドを席巻しています。毛色の違う「フェスティバル」と「マーケット」ではありながら、やはり主役となるのは「映画」。中でも特に注目を集めていた作品群をご紹介していきます。AFI Festのスクリーニングが多く行なわれるArclight Hollywood
Photo by pinkfish13 on Flicker
AFMよりひと足お先に10月30日から11月7日まで開催されていたAFI Festは、本年度で23回目。アメリカが誇る映画制作訓練校「AFI: American Film Institute」が主催する本映画祭は、世界各国から集められた珠玉の作品を一挙に上映することで知られています。2009年のラインナップは、延べ32カ国から届いた54本の長編フィクション、13本の長編ドキュメンタリー、27本の短編からなる計94作品。 スタジオ大作映画からインディーズ映画まで、大人も子供も楽しめる作品群が勢揃いしました。
今年のオープニング上映に選ばれたのは、ウェス・アンダーソン監督の”Fantastic Mr. Fox (原題)”。こちらのアニメーション作品の声優陣はジョージ・クルーニー、メリル・ストリープ、ビル・マーレイやオーウェン・ウィルソンと超が付く豪華さであり、上映当日は監督とともにマーレイも会場に駆けつけています。また、今年のAFI Festが世界プレミアの場となった”Everybody’s Fine”では、カーク・ジョーンズ監督の応援にキャストのロバート・デ・ニーロ、ケイト・ベッキンセール、ドリュー・バリモアらが来場。そして堂々のセンター・ピース作品であり、故ヒース・レジャーの遺作となった”The Imaginarium of Doctor. Parnassus”の会場にはテリー・ギリアム監督が、ガラ上映に選ばれた”Precious”のスクリーニングには出演者一同はもちろんのこと、プロデューサーを務めたオプラ・ウィンフリーも会場を訪れています。そして、最終日を飾ったクロージング作品”A Single Man”においては、ファッション界の重鎮トム・フォードが初メガフォンを執ったとあって、コリン・ファースらキャスト陣に加え、元トップモデルのシンディ・クロフォードらもフラッシュを浴びていました。
AFMのメイン会場LoewsホテルのパティオエリアPhoto by Maschinenraum on Flicker
その一方、AFI Festを追うように開幕したAFM: American Film Marketは、海辺の街サンタモニカにて11月4日から11日までの開催。IFTA: Independent Film & Television Allianceが1981年より主催しているAFMは、ほんの8日間で約800万ドル以上!が動くとされるアメリカ国内で最大規模の映画マーケットです。例年、世界70カ国以上から8000社を超える映画関連企業が参加しており、製作会社、配給元、エージェント、監督や作家からプロデューサーまで、映画業界に携わるありとあらゆるジャンルの人々が一堂に会しています。世界的に著名なベルリン/カンヌ/ヴェネチアなどの映画祭ではマーケットとフェスティバルが同時開催となりますが、こちらのAFMはあくまでビジネス・オンリー。メイン会場となるLoewsホテル周辺にて新作スクリーニングが随時行なわれながら、完成・未完成/有名・無名を問わず、それぞれ製作側と配給サイドが商談を重ねる場となっています。
本年度のAFMにおいての注目作品としてご紹介するのが、”Paranormal Activity”が空前のヒットを記録しているオーレン・ペリ監督の次回作”Area 51”。まさに「パラノーマル現象」とも言える費用対効果を生み出した彼の長編第2作目はSF作品となっており、前作に続けとばかりに米国バイヤーが殺到したと伝えられています。また、女性新人監督アニエシュカ・ヴォイトヴィッチ=ヴォスルーの長編デビュー作、リーアム・ニーソン、クリスティーナ・リッチ、ジャスティン・ロングらが競演した超自然スリラー”Afterlife”も話題沸騰中。短編処女作”Pate”がサンダンス映画祭などで脚光を浴びた彼女のフィーチャー作品とあって、こちらも注目株のひとつです。そして3D映画人気が高まっている今日、いよいよ初の非米国3D作品のひとつとして登場している”StreetDance: 3D (UK作品)”も、ちょっとしたニュースに。文字通りストリートダンスを題材にした本作はその迫力に定評があり、さまざまなTVダンス番組が人気を博しているアメリカではヒットを呼ぶ可能性大だと報じられました。
年末公開の映画は、どれも賞レース狙いの作品ばかり。AFI FestやAFMが終わると、良作が次々と封切られる映画のベストシーズンと言えます。今後は映画館通いに忙しい毎日となりそうですが、気になる作品や注目株を続々とご紹介していきますので、どうぞご期待ください。
TEXT BY アベマリコ
2009年11月05日
It’s Party Time! ハロウィーン・イベント’09
去る10月31日は、年に一度の大仮装パーティ「Halloween」。一般的にはコスチュームに身を包んだキッズ達が”Trick - or - Treat!”とご近所にスイーツをおねだりして回るイベントとして知られていますが、 当地では老いも若きも思いっきりコスプレを楽しんじゃう1日となっています。そしてここハリウッドにおいては、本年度もLGBTによるド派手なカーニバルを開催。すっかりLAハロウィーンの風物詩となった巨大パレードの模様に合わせて、セレブなパーティの「タレコミ情報」もご紹介していきます。ハロウィーンといえばパンプキン!スーパー店内もご覧のとおり
今日知られる「ウエスト・ハリウッド・ハロウィーン・コスチューム・カーニバル」の元祖は、遡ること70年代にLGBT(Lesbian/Gay/Bisexual/Transgender)と称される人々のコミュニティ内でスタート。以降は開催の日付を変えながら、近年は10月31日にサンタモニカ大通りに交差するドヘニー・ドライブからラ・シエネガ通りまでの区間にて行なわれています。この1日の為に、アメリカ国内はもちろんのこと世界中から多くの観光客が訪れ、ここ数年では40万人近くの人々を集めるモンスター級のイベントに大成長。待ってましたといわんばかりに着飾ったドラァグ・クイーンのお姉さま達に加えて、それぞれ仮装をしたカップルや学生達、家族連れなど様々な年齢層の人々でごった返しています。通りではユニークなコスプレが鑑賞できる目玉パレードと合わせ、DJによるライブやアート・パフォーマンスなども同時開催。右を見ても左を見てもクレイジーなコスチュームだらけ、ストレートもLGBTもみんな一緒に楽しめる巨大なハロウィーン・イベントです。
通りはドラァグ・クイーンでいっぱい
ハリウッドとビバリーヒルズの両エリアに挟まれる恰好のウエスト・ハリウッドは、世界有数のゲイタウン。その3分の1がLGBT人口であり、レズビアンの生活を描いた人気ドラマ「Lの世界 (Showtime / 邦題)」なども当地が舞台となっています。また、ハロウィーン・シーズンのみならず年間を通して観光客が多いことで知られ、その規模は近年の不況にもかかわらず年々拡大しているとか。アップスケールなショップやレストランが建ち並び、オシャレ嗅覚の鋭いゲイ・コミュニティや若者達を惹きつけています。更には、映画やテレビ番組の製作会社も点在している土地柄から、セレブに遭遇する可能性も大。エンタメ業界をテーマにしたHBO局のヒットシリーズ「アントラージュ★オレたちのハリウッド」も、たびたび撮影が目撃されている1本です。
中にはこんなに気合いの入ったコスプレイヤー達も
そんなウエスト・ハリウッドに人の波が押し寄せていた同日、ビバリーヒルズにそびえ建つ「プレイボーイ・マンション」においてもホットなパーティが大盛況だった模様。Playboy誌発刊者、かのヒュー・ヘフナー氏が有するお屋敷では、こちらも毎年恒例のハロウィーン・ナイトが催されておりました。ひょんなことから当パーティに参加していた知人の話によれば、ボディ・ペイントのみ!をまとったボムシェル・ボディのプレイメイト達がズラリと勢揃いしていたそう。チラッと写真を拝見しましたが、あまりにも刺激が強かった為に掲載は断念します。…が、こちらの模様はヘフナー氏の新ガールフレンド3人とともにリニューアルされたリアリティ番組”The Girls Next Door (E! / 原題)”にて、近日放送の予定。ケーブル局のショーとはいえボカシが入ることは必至ですが、興味のある方々はぜひチェックしてみてください。
最近は日本国内でもポピュラーになってきているHalloween。パーティに参加されたという方々も少なくないかと思います。普段はなかなかコスプレに縁がないというのが大半の意見かもしれませんが、この日くらいは思いっきりはじけちゃうのもまた一興。来年のコスチュームは何にしようか、今からすでに楽しみです。
TEXT BY アベマリコ