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2010年01月28日

選りすぐりアクターが大集結!第16回SAGアワード

先週お伝えした両セレモニーを皮切りに、ここハリウッドでは華やかな授賞式が続々と行なわれている真っ最中。去る23日には「アクターの祭典」、米映画俳優組合 (SAG:Screen Actors guild) によるSAGアワードが開催されました。
数あるセレモニーの中でもひときわファンの多い本授賞式の模様を、各受賞者/作品と合わせてお伝えしていきます。


 仮面を掲げたアクター像がまぶしいSAGアワードの
 告知バナー

本年度で16回目を数えるSAGアワードは、米映画俳優組合に在籍しているメンバーが昨年度の映画/テレビシリーズより「最も優れたパフォーマンス」を選出する授賞式。今日12万人を誇る会員の中からランダムに選ばれた委員が各部門の候補者を選び、全メンバーがそれに投票するかたちで受賞者/作品が決まります。アクターが選ぶアクターということで、その顔ぶれや作品群はいわば同業者による「お墨付き」。際立ったアクティングやキャスト同士のケミストリー(=相性) をあらためて堪能できる絶好の機会です。

先週土曜日、LAのシュライン・オーディトリアムを会場にケーブル局TNTとPeople誌の協賛で行なわれた本セレモニーでは、プレゼンターの俳優達がリレー形式でホストを兼任。各候補者はもちろん、近年俳優業の活躍も目ざましいジャスティン・ティンバーレイク、ベテラン勢のフェリシティ・ハフマン、シガニー・ウィーバー、ウォーレン・ベイティらが華を添えています。


 SAG会報誌「Screen Actor」特別号の
 表紙を飾ったベティ・ホワイト。

本年度の生涯功労賞に選ばれたのは、テレビ/映画界にて65年以上のキャリアを誇り、動物愛護活動にも多大な貢献をしているベティ・ホワイト。御歳88歳とは思えないほどの軽やかな足取りで登壇するや、会場の熱いスタンディング・オベーションに包まれました。プレゼンターのサンドラ・ブロックとジョークを交えつつ「まだやることがいっぱい!」と語った彼女。今後も幅広いフィールドにて、あのチャーミングな笑顔にお目にかかることが出来そうです。

テレビ部門では「30 Rock (邦題/NBC)」や「マッドメン (AMC)」が例年通りの強さを見せる中、新顔のミュージカル・ドラマ”Glee (原題/FOX)”がコメディ部門アンサンブルを受賞。また、ガン闘病を明かさないまま撮影を続行していたマイケル・C・ホール(「デクスター 警察官は殺人鬼 (Showtime)」)は、ゴールデン・グローブ賞に続くTVドラマ部門主演男優賞を持ち帰っています。

映画部門においては、各賞レースにて総ナメ状態が続く主演/助演の男女4名が揃ってSAGアクター像を獲得。そして、当セレモニーの前日に20局以上でCMフリーの同時放映、全米8300万人の視聴者と5800万ドル以上のハイチ被災者救援募金を集めたテレソン「Hope for Haiti Now」の発起人であるジョージ・クルーニーがトリのプレゼンターとして登場、年間作品賞に該当するアンサンブルは「イングロリアス・バスターズ」のキャスト総勢16名に贈られています。「ブラッド・ピットのような世界的大スターだろうと、映画に出演したことがない俳優であろうと、タランティーノ監督がふさわしいと思えばその役はあなたのものだ。」キャストを代表したイーライ・ロスのスピーチは、会場に駆けつけた同監督への賛辞とともに、多くのアクター達を鼓舞するメッセージとなりました。

2010年度SAGアワード全受賞者/作品リスト

<映画部門>
アンサンブルキャスト賞: 「イングロリアス・バスターズ」
主演男優賞: ジェフ・ブリッジス “Crazy Heart”
主演女優賞: サンドラ・ブロック「しあわせの隠れ場所」
助演男優賞: クリストフ・ヴァルツ「イングロリアス・バスターズ」
助演女優賞: モニーク「プレシャス」
スタントアンサンブル賞:「スター・トレック」

<テレビ部門>
ドラマ部門アンサンブルキャスト賞: 「マッドメン (AMC)」
コメディ部門アンサンブルキャスト賞: “Glee (FOX)”
ドラマ部門主演男優賞: マイケル・C・ホール「デクスター 警察官は殺人鬼 (Showtime)」
ドラマ部門主演女優賞: ジュリアナ・マルグリーズ “The Good Wife (CBS)”
コメディ部門主演男優賞: アレック・ボールドウィン「30 Rock (NBC)」
コメディ部門主演女優賞: ティナ・フェイ「30 Rock (NBC)」
TV映画/ミニシリーズ主演男優賞: ケヴィン・ベーコン “Taking Chance (HBO)”
TV映画/ミニシリーズ主演女優賞: ドリュー・バリモア “Grey Gardens (HBO)”
スタントアンサンブル賞: 「24 (FOX)」
生涯功労賞: ベティ・ホワイト

どの業界においても、同業者の目が一番厳しいとされるもの。「最もタフな批評家」が選ぶSAGアワードの受賞は、アクターにとって最高の栄誉と言えるでしょう。 得てして今回の結果に左右されるであろうアカデミー賞のノミネート発表は来たる2月2日、オスカー授賞式は3月7日に予定されています。その間も数々のアワードや関連ニュースをレポートしていきますので、どうぞお見逃しなく!

TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 15:56 | トラックバック

2010年01月21日

セレモニー続々!クリティックス・チョイス・ムービー・アワード&ゴールデングローブ賞

1月も中旬に入り、いよいよ各賞レースの「本番」がスタート。先週15日に放送映画批評家協会 (BFCA: Broadcast Film Critics Association) が主催するクリティックス・チョイス・アワードが先陣を切り、翌々日となる17日にはハリウッド外国人記者協会 (HFPA: Hollywood Foreign Press Association) によるゴールデングローブが開催されました。
今週は2つの授賞式を一挙に「オイシイとこ取り」でご紹介していきます。

先週の金曜日、サンセット大通りに位置する劇場「ハリウッド・パラディアム」にて行なわれたクリティックス・チョイス・ムービー・アワード (以下BFCAアワード)は、本年度で15回目。ケーブル局VH1の独占放映となった今回は、女優/歌手として知られるクリスティン・チェノウェスを司会に迎えています。彼女とともにオープニングに登場したのは、2009年度を派手に彩った奇才クエンティン・タランティーノ監督。本アワードにて10のノミネートを重ねた「イングロリアス・バスターズ」のパロディを披露した後に、堂々のオリジナル脚本賞を獲得しております。
壇上では、監督が試行錯誤を重ねたセリフを見事に演じたと語り、会場のキャスト達に感謝。そんな彼らは栄えあるアンサンブル賞を獲得しており、さらには本年度の各賞レースを総ナメ状態&受賞を確実視されているクリストフ・ヴァルツにおいては、劇中でのハンス・ランダ大佐役で「満場一致」と見られる助演男優賞を持ち帰ることとなりました。


 メリル・ストリープ主演『恋するベーカリー』は2/19(金)公開!
 (C) 2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

そして今年のBFCAアワードにおいて最も注目が集まったカテゴリーは、2名がタイとなった主演女優賞。2009年度にそれぞれ3本ずつの作品に参加したメリル・ストリープ (「ジュリー&ジュリア」”Fantastic Mr. Fox (原題/声優)”「恋するベーカリー」) とサンドラ・ブロック (「あなたは私の婿になる」”All About Steve”「しあわせの隠れ場所」) が、同賞を分け合っています。


先に登壇したストリープが全出演作になぞらえて「演技も仕事も食べ物もセックスも大好き!」とスピーチすると、会場のブロックは満面の笑みでガッツポーズ。その後に自身の名前が呼ばれると、ステージに上がるやストリープの唇を奪う「Lip Lock」を見せてくれちゃいました。主演すれば必ずやヒットを記録させている彼女達、今日のハリウッドに欠かせないふたりによる思いがけない「豪華ワンシーン」を実現させています。

BFCAアワード: 主要部門受賞結果
作品賞: 「ハート・ロッカー」
監督賞: キャスリン・ビグロー「ハート・ロッカー」
主演女優賞: メリル・ストリープ「ジュリー&ジュリア」/
        サンドラ・ブロック「しあわせの隠れ場所」<タイ受賞>
主演男優賞: ジェフ・ブリッジス “Crazy Heart”
助演女優賞: モニーク「プレシャス」
助演男優賞: クリストフ・ヴァルツ「イングロリアス・バスターズ」
アンサンブル賞: 「イングロリアス・バスターズ」
脚本賞: クエンティン・タランティーノ「イングロリアス・バスターズ」
脚色賞: ジェイソン・ライトマン&シェルダン・ターナー「マイレージ、マイライフ」
コメディ作品賞: 「ハングオーバー」
ジョエル・シーゲル賞 (名誉賞): ケヴィン・ベーコン


 街中に登場したGG賞バナー

続いて17日に行なわれた第67回ゴールデングローブ賞 (以下GG賞)は、本年度もビバリー・ヒルトンホテルでの開催。ホストは英国俳優のリッキー・ジャーヴェイスが務めていますが、3時間の長丁場とあってか、もはやお決まりになった「グラス片手」のリラックスモードは何だかお疲れ気味。NBC局にて全国放送された視聴率は昨年度より200万人増加の1690万人とアップしつつも、過去最高となった2004年度の2690万人には遠く及ばない数字で終わっています。

BFCAアワードとは異なり、映画はドラマ部門/コメディ・ミュージカル部門に細分化され、テレビ部門も同様に設けているGG賞では全25カテゴリーを駆け足で発表。
全体的には前出のヴァルツ (「イングロリアス・バスターズ」)、ストリープ (コメディ・ミュージカル映画部門「ジュリー&ジュリア」「恋するベーカリー」でWノミネート)、ブロック (ドラマ部門「しあわせの隠れ場所」コメディ・ミュージカル部門「あなたは私の婿になる」でWノミネート)など、BFCAアワードの結果と多くが重なっておりますが、ドラマ映画部門の作品賞と監督賞は「アバター」に。
「元夫婦対決」はジェームズ・キャメロン監督へ軍配があがっており、その他では最多6部門にノミネートされていた「マイレージ、マイライフ」は脚本賞のみ、それを5部門で追っていたミュージカル作品「Nine」が無冠に終わるなど、今後オスカーを含む各セレモニーにおいては票が割れる「混戦」となりそうな予感です。

GG賞: 主要部門受賞結果
<映画部門>
ドラマ部門作品賞: 「アバター」
監督賞: ジェームズ・キャメロン「アバター」
コメディ・ミュージカル部門作品賞: 「ハングオーバー」
ドラマ部門主演女優賞: サンドラ・ブロック「しあわせの隠れ場所」
ドラマ部門主演男優賞: ジェフ・ブリッジス “Crazy Heart”
コメディ・ミュージカル部門主演女優賞: メリル・ストリープ「ジュリー&ジュリア」
コメディ・ミュージカル部門主演男優賞: ロバート・ダウニー・Jr. 「シャーロック・ホームズ」
助演女優賞: モニーク「プレシャス」
助演男優賞: クリストフ・ヴァルツ「イングロリアス・バスターズ」
セシル・B・デミル賞 (功労賞): マーティン・スコセッシ
<テレビ部門>
ドラマ部門作品賞: 「マッドメン (AMC)」
ドラマ部門主演女優賞: ジュリアナ・マルグリーズ “The Good Wife (CBS)”
ドラマ部門主演男優賞: マイケル・C・ホール「デクスター (SHOWTIME)」
コメディ・ミュージカル部門作品賞: “Glee (FOX)”
コメディ・ミュージカル部門主演女優賞: トニ・コレット “United States of Tara (SHOWTIME)”
コメディ・ミュージカル部門主演男優賞: アレック・ボールドウィン「30 Rock (NBC)」
助演女優賞: クロエ・セヴィニー “Big Love (HBO)”
助演男優賞: ジョン・リスゴー「デクスター (SHOWTIME)」

いよいよ出揃った各受賞作品ですが、まだまだ賞レースは序盤。今週土曜日には映画ファン垂涎の米俳優組合 (SAG: Screen Actors Guild)によるSAGアワードも待機しており、ますます目が離せなくなりそうです。そちらの模様もじっくりとご紹介していく予定ですので、ぜひご期待ください。

TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 12:48 | トラックバック

2010年01月14日

いよいよ始動!「アメリカン・アイドル」第9シーズン

2009年度の総決算=各賞レースを前にして沸きに沸きまくっている全米に、国民的リアリティ・ショーの名を欲しいままにしている人気TVシリーズがカムバック。今期のAIこと「アメリカン・アイドル」は、ジャッジの顔ぶれも新たにフレッシュスタートを切ろうとしています。


  ソックリ!サイモン・コーウェルの蝋人形
  atマダム・タッソー蝋人形館inラスベガス
  Photo by Cliff1066 on Flickr

今週火曜日にプレミア放送を迎えた「アメリカン・アイドル (邦題 / FOX)」は、本年度で第9シーズンに突入。2002年夏の初回放送より、ケリー・クラークソン (シーズン1)、キャリー・アンダーウッド (シーズン4)、デヴィッド・クック (シーズン7)、そして前シーズン覇者のクリス・アレンらと、ごくごく一般人であった「金の卵」たちをスターダムへと押し上げ、そのモンスター級の視聴率で「全米ナンバーワン公開オーディション番組」の座に君臨してきました。12日にオンエアとなった第9シーズンの初回放映は、ボストンにて行なわれた地方予選の模様からスタート。翌日のアトランタ予選を経て、今後はシカゴやオーランドでのオーディション風景が放送される予定となっており、2月9日からは各地予選を勝ち抜いた精鋭達がここハリウッドに集結。ファン待望&注目の「ハリウッド・ラウンド」に突入することになります。



今期のAIは開始前より、オーディション外での話題に事欠きませんでした。昨年秋頃には、これまで全シーズンにて審査員を務めていたポーラ・アブドゥルが、契約金の折り合いが付かないことを理由に降板。その後は多くの名前が挙がっていましたが、最終的にはTVホスト/コメディエンヌのエレン・デジェネレスが空席を埋めています。自身の冠トークショーでエミー賞などを獲得している彼女は、自他ともに認めるAIファン。アブドゥルと比較して音楽フィールドでの経験が無いと指摘されてはいますが、視聴者ならびに購買層の目線から番組を盛り上げていきたいとのコメントを寄せています。
彼女は、来たるハリウッド・ラウンドからの登場予定。その間はボストン予選に参加したヴィクトリア・ベッカムに並び、メアリー・J・ブライジ、シャナイア・トゥエイン、クリスティン・チェノウェス、ジョー・ジョナス、ニール・パトリック・ハリス、ケイティ・ペリー、アヴリル・ラヴィーンら8名が各週のゲスト審査員を務めることになります。

そして年始早々に飛び込んで来たのは、AIの顔とも言える審査員サイモン・コーウェルまでもが降板とのニュース。今週スタートを切った第9シーズンを最後に、AIを去ることになりそうです。2007年に世界的センセーションを巻き起こしたポール・ポッツ、昨年末の紅白出場を果たしたスーザン・ボイルらが彗星のごとく現れた「Britain’s Got Talent (英ITV)」や「Pop Idol (英ITV)」などでも、出演者を辛辣にジャッジする姿がお馴染みとなっている彼。なんでも2011年秋に向けて、本国イギリスにてナンバーワンヒットを記録した自身の製作番組「The X Factor (英ITV)」の米国版を出演/プロデュースする為の降板となる模様です。
過去にレオナ・ルイスらを輩出した当番組は、AIと同様に新人アーティストを発掘するシリーズとして人気ですが、各週がショー形式であるAIとは異なり、グループごとの合宿生活や審査員からの直接指導など「舞台裏」に密着した作り。一般参加者同士がぶつかり合うリアリティ・ショーが飽和状態であるアメリカにてヒットするかどうかは未知数ですが、コーウェルの辛口コメント見たさにAIにチャンネルを合わせていた米視聴者も少なくないハズ。彼の「AI最終章」として今期の盛り上がりに期待が寄せられると同時に、来年以降の行く末を案じる声も上がっているようです。

2006年辺りから視聴率が下降気味だと囁かれてはいるものの、2夜連続放送であるAIの2日目=リザルト・ショーは、常時平均2700万人以上が固唾を呑んで結果を見守っているとのこと。アメリカを代表するリアリティ番組は、まだまだCash Cow (=金のなる木)であると言えそうです。サイモン・コーウェル、ランディ・ジャクソン、カーラ・ディオガルディ、エレン・デジェネレスら4名のメイン審査員に並び、8名の予選ゲスト・ジャッジや人気パフォーマーの出演にも期待が高まる「アメリカン・アイドル/シーズン9」。今後もさらなる展開を続々とレポートしていきますので、ご期待ください。

TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 13:49 | トラックバック

2010年01月07日

2010年賞レース: まずはこの作品を要チェック!

あけましておめでとうございます。旧年に引き続き、Eigafan.com / From ハリウッドでは最新のエンタメ情報を盛りだくさんで配信して参りますので、どうぞご期待ください。そして2010年度1発目となる今週は、お正月ムードをもろともせずに過熱中の賞レースを大特集。2009年の代表作より厳選して、特に抜きん出ている「顔ぶれ」に迫ります。


昨年12月中旬に出揃ったゴールデングローブ賞 (HFPA: Hollywood Foreign Press Association / ハリウッド外国人映画記者協会)、米映画俳優組合賞 (SAG: Screen Actors Guild)、NY / LA映画批評家協会賞 (NY / LA Film Critics Association)、AFI年間映画賞 (AFI: American Film Institute / アメリカ映画協会)などの各候補に加え、今月5日には米映画制作者組合 (PGA: Producers Guild of America) によるノミネート者/作品が発表されたばかり。多少のバラつきは見られるものの、やはり「強い映画」は一目瞭然であり、どのアワードにもその名を連ねています。


 (c) 2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
まず圧倒的な強さを見せているのは、ご存知クエンティン・タランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」。アカデミー賞前哨戦として名高いゴールデングローブ賞において、作品賞ドラマ部門、監督賞、助演男優賞 (クリストフ・ヴァルツ)、脚本賞の計4部門にノミネートされながら、各批評家協会賞やPGAアワードなどでも続々と候補に上がっています。

さらに特筆すべきは、観る者を釘付けにしてしまう「圧巻の悪漢」、ハンス・ランダ大佐に扮したクリストフ・ヴァルツ。カンヌ映画祭コンペ部門を皮切りに、NY / LA映画批評家協会賞などにおいて助演男優賞を次々と総ナメにしており、現在オスカーに最も近いサポーティング・アクターとの呼び声が高くなっています。その一方、俳優の誉とされるSAGアワードでは、ヴァルツとアンサンブル部門に並び、ダイアン・クルーガーも堂々の候補に。「未だかつてない、そして今後も現れることのない」今世紀最大の衝撃作と評された本作、未見の方は今すぐ劇場へ!

そしてアクターの好演繋がりとなれば、まず外せないのがメリル・ストリープ。2009年度は
“Fantastic Mr. Fox (原題)”での声優を含め、伝説のお料理ホストに扮した「ジュリー・アンド・ジュリア」、現在アメリカにて絶賛公開中の「恋するベーカリー」と、3本の映画でベテランの風格を漂わせています。2008年は「マンマ・ミーア!」と「ダウト–あるカトリック学校で–」といった相反するキャラクターを熱演し、賞レースに出ずっぱりだったのが記憶に新しいところ。そしてこの度も「恋するベーカリー」でゴールデングローブ賞の作品賞ミュージカル/コメディ部門、同主演女優賞、脚本賞の3部門にノミネートを果たしました。


(c) 2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
その見どころは、何と言っても豪華キャスト陣。ストリープを筆頭に、エミー賞やゴールデングローブ賞では常に負けなしの人気ドラマ「30 Rock (NBC)」で主演を務めるアレック・ボールドウィン、お笑いも涙も何でもござれの名優スティーブ・マーティンらが顔を揃えており、すでにナショナル・ボード・オブ・レビュー賞にて栄えあるアンサンブル賞を獲得しております。そんな彼らが出演を決めた作品となれば、映画ファンなら必見の1本であることは間違いなし。女性/家族/仕事/幸せとは何かに迫った感動のハートフル・コメディは、2月19日より日本全国公開予定となっています。

続いては、制作費約1100万ドルと米国内では小規模作品ながらも高評価を獲得中の「ハート・ロッカー」。NY / LA映画批評家協会賞における作品/監督賞を受賞、名門AFIが選ぶ年間トップ10映画にもピックされており、ゴールデングローブ賞では作品賞ドラマ部門、監督賞、脚本賞の3部門にノミネートされています。ダイナミックな映像と手に汗握る緊張感は、女性監督キャスリン・ビグローによるもの。ちなみに彼女は、現在「アバター」で自身の「タイタニック (1997)」で築いた最高興収記録に迫る勢いを見せているジェームズ・キャメロン監督の元奥様だったりします。

そしてジョージ・クルーニー主演の「マイレージ、マイライフ」も、怒涛のノミネートを重ねている真っ只中。1年の大半を出張に費やす独身貴族を描いた本作は「サンキュー・スモーキング (2005)」や「ジュノ (2007)」で知られる若手監督ジェイソン・ライトマンとタッグを組み、ゴールデングローブ賞6部門の候補に。LA映画批評家協会賞にて脚本賞、NY映画批評家協会賞では主演男優賞を獲得、更にはAFI年間トップ10入りも果たしました。ストリープと声の共演を果たした“Fantastic Mr. Fox”、コメディ作品“The Men Who Stare at Goats”と、2009年も順当にキャリアを重ねたクルーニー。「現代のMr. ハリウッド」の貫禄十分といったところです。

オスカー作品賞のノミネート数が10本に変更されるなど、混戦が予想されている2010年度の賞レース。今回ご紹介した作品のほか、まだまだ見どころ十分&受賞の可能性大の作品が目白押しです。今後も映画/賞レース関連はもちろんのこと、アメリカンTVやセレブリティ達の最新ニュースをお届けしていきますので、そちらもあわせてお楽しみに!

TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 15:20 | トラックバック