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2010年02月25日

バンクーバー冬季五輪: ライバルは「ニューメディア」と「アメリカン・アイドル」


  バンクーバー冬季オリンピック2010の聖火
  Photo by iwona_kellie
2月12日に開幕、来週28日まで開催中の第21回冬季オリンピック。現在金メダル数トップを独走しているアメリカでは、多くの視聴者が雪上/氷上の戦いを見守っています。
そしてテレビ業界に目線を移してみると、ここでも熾烈を極めるバトルが展開中。今期のオリンピック独占放送権を獲得しているNBC局にとっては、インターネットなどのニューメディアならびに人気オーディション番組AIこと「アメリカン・アイドル (FOX)」の放送日と重なる火曜&水曜が「脅威」となっている模様です。

隣国カナダで開催中のバンクーバー冬季オリンピックは、アポロ・アントン・オーノ (男子スピードスケート)やショーン・ホワイト (男子スノーボード)、男子アイスホッケー・チームらアメリカ勢の大健闘も手伝って、連日のヘッドラインを飾っている真っ只中。今月12日に行なわれた開会式においては、平均3260万人がチャンネルを合わせる結果となりました。
これは2002年に自国ソルトレイクシティにて記録された歴代トップとなる4560万人に次ぐ数字。2012年のロンドンまでオリンピック放映権を持つNBCにとっては、まず幸先の良いスタートとなりました。


  次期ロンドン大会までオリンピック独占放送権を持つNBC

現在、NBC局ではゴールデンタイム枠の3時間前後に凝縮してメイン競技を放送中。その他の種目は同系列のケーブル局や他局のハイライトでも放映されていますが、結果が夜まで待てないスポーツファン達は、インターネットやストリーミング放送などで速報をチェック。時にはFacebookやTwitterなどのSNSを介して、同局よりも早く情報配信されることもしばしばです。
各局が種目ごとに放送権を持つ日本から見れば、このアメリカの「独占放送権」は不思議な形態かもしれません。人気の高い種目を一挙に放映してまとまった視聴層を獲得、合わせて広告収入を得るのがネットワークの狙いとされていますが、オンタイムで見られない…との不満も多く、ニューメディア化が進む今日ではオリンピック放映方法の見直しと改善を望む声が上がっています。

そんな中、先週16日に放映された「アメリカン・アイドル (邦題/FOX)」第9シーズンは、1970万人が視聴したNBCオリンピック放送をかわす2360万人で視聴率トップに。男女12名ずつの本戦進出Top24が出揃いながら、昨年の同時期に比べると8.3%ほど数字を落としてはいますが、人気リアリティ・ショーが「世界的イベント」を凌ぐ結果となりました。
しかしその翌日となる水曜日の放送分では、アルペンスキー女子滑降のリンゼイ・ヴォンが金メダルを獲得して、オリンピック放送は3010万人でトップに返り咲き。その日のAIは、1840万人の視聴率で終わっています。
今週の火曜日は世界的にも花形種目とされるフィギュアスケートの女子シングルフリーとバッティングしており、まだまだNBC vs. FOXの視聴率対決から目が離せなくなりそうです。

先々週にお伝えしたスーパーボウルと同様に、高い注目度&視聴率を叩き出しているバンクーバー冬季五輪。残すところ数日間となってしまいましたが、開会式と同じくカナディアン・フットボールリーグのBCライオンズ本拠地のドーム競技場にて行なわれる閉会式にも期待が寄せられています。

大型イベントの視聴率がうなぎ登りの昨今、開催まで2週間を切ったアカデミー賞でも高い数字をマークすることが出来るのでしょうか?

TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 16:24 | トラックバック

2010年02月18日

毎年恒例!アカデミー主催のランチョン・パーティ

今週月曜日、プレジデンツ・デイの祝日に催された映画芸術科学アカデミー (AMPAS: Academy of Motion Picture Arts and Sciences)によるランチョン・パーティ。
2009年度の映画を代表するAリストスターが続々と来場、テーブルを囲みながら3月7日に迫るオスカー本番に向けての「レクチャー」を受けました。


  黄金に輝くオスカー像は誰の手に?

バレンタインデー翌日となる15日に、近年ゴールデングローブ賞のホームグラウンドとなっているビバリー・ヒルトンホテルにて行なわれたアカデミー・ランチョン。オスカーを主催するAMPASが全ノミネート者を招いた豪華昼食会は、その年のオスカーの顔ぶれを改めておさらい出来る恒例のイベントです。先の各賞レースにて度々顔を合わせているノミニー達は、ランダムに振り分けされた座席にてゆったりと歓談。各テーブルを回って挨拶を交わす人々もいれば、テーブルでじっくりと話し込む姿なども見られ、緊張のアカデミー賞授賞式を前にして束の間の「同窓会」となった模様です。

こちらのランチョン・パーティでは、まずそれぞれの候補者にノミネーションの証明書を授与。逆アルファベット順に次々と名前が呼ばれ、彼らはまるで卒業式さながらにステージへと上がります。そこでは最多9部門にノミネートされた「アバター (邦題)」と「ハート・ロッカー」の両監督、偶然にも元夫婦揃っての候補となったジェームズ・キャメロンとキャスリン・ビグローや、「イングロリアス・バスターズ」によって堂々の8部門ノミネートで彼らを追うクエンティン・タランティーノ監督が登壇するや、ひときわ大きな歓声が上がったと伝えられています。

ランチョン会場では昨年までのビル・コンドン&ローレンス・マークのコンビに代わり、本年度アカデミー賞のプロデューサーを任されているアダム・シャンクマンとビル・メカニックが、各ノミネート者に向けて受賞スピーチでの「Tip (=心得)」をアドバイス。ここ数年挙がっているトピックではありますが、長丁場となるセレモニーにおいてスピーチは手短に、また近年の流行とも言えるThank You Note (=感謝を向けた人々を列挙したメモ)を持ち込む場合には、その人数を最小限にするよう指示がありました。一世一代の場面において時間制限される彼らにはちょっとお気の毒ではありますが、そもそもメモの持参に関しては「獲得する気満々でした!」と言わんばかりに見えてしまう上に、家族やキャストはおろか個人エージェントにまで名前が及ぶと、一般視聴者としては食傷してしまいがち。筆者個人的にも、メモの短縮には大賛成です。
なお、バックステージには「Thank You カム」と呼ばれるカメラが設置され、その映像は後日アカデミーのホームページにアップされるとのこと。大興奮の”Thank You!”の数々は、そちらで閲覧できることになりそうです。


  主演女優賞ノミネートのメリル・ストリープにダブル司会の
  アレック・ボールドウィンとスティーヴ・マーティン共演!
  『恋するベーカリー』はいよいよ明日2/19より公開です!

そして本年度の昼食会にてとりわけ注目が集まったのは、アカデミー賞ノミネート数でまたも歴代/自己記録を塗り替えたメリル・ストリープ。アメリカン・クッキングの母と呼ばれるジュリア・チャイルドに扮した「ジュリー&ジュリア」での主演女優賞候補によって16度目!のノミネーションを数え、それぞれ12度の記録を持つキャサリン・ヘプバーンとジャック・ニコルソンを大きく引き離すかたちとなりました。1979年の「クレイマー、クレイマー」での助演女優賞、1982年の「ソフィーの選択」による主演女優賞獲得で計2つのオスカー像を持ち帰って以来、近年はしばらく受賞からご無沙汰してはおりますが、前出のヘプバーンは1933年の「勝利の朝」での主演女優賞獲得より、実に34年ぶりに「招かれざる客 (1967)」で同賞を再受賞。
奇しくも、当時60歳であったヘプバーンと同様に、ストリープも現在ちょうど60歳を迎えています。そんな彼女の最新作、今週金曜日の日本公開が待たれる「恋するベーカリー」からは、キャストのアレック・ボールドウィンとスティーヴ・マーティンが本年度セレモニーの共同司会に大抜擢。心強い助っ人を得ながら、大先輩にならって「還暦の再受賞」のジンクスは叶うのでしょうか?

ホストが2名にパワーアップ、作品賞候補枠が10作品に倍増されている第82回アカデミー賞。会場となるコダック・シアターでは準備が着々と進んでおり、本年度は1930年代のアール・デコ末期をモチーフにした曲線のステージ・デザインが検討されているようです。
またつい先日には、アメリカを代表する料理人のウルフギャング・パックが総料理長を務める晩餐会のお品書きを披露。24Kの金粉オスカー像チョコレートや800匹のロブスター、黒トリュフを散りばめたポットパイなど、豪華メニューが目白押しとなりそうです。

本番まで残すところ3週間足らず、授賞式の模様に並んで「本物の」オスカー像の行方が気になります。

TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 15:38 | トラックバック

2010年02月12日

米TV歴代視聴率を更新!スーパーボウルXLIV

去る日曜日は、アメリカンフットボール・プロリーグNFL (National Football League)の優勝決定戦が行なわれた「スーパーボウル・サンデー」。
アメリカ最大のスポーツイベントとして知られるスーパーボウルですが、2010年度は米歴代最高値をマークする驚異的な視聴率を叩き出すことになりました。


  優勝への立役者、MVP賞を獲得した
  セインツQBのドリュー・ブリーズ
  Photo by ian_ransley

アメリカ国民の大半が、ピザやホットウィングを片手にテレビに釘付けとなるスーパーボウル。公式の祝日ではないものの、この日を前にした1週間は「スーパーボウル・ウィーク」と呼ばれ、当日は家族や友人達と大騒ぎしながら試合を観戦するのが通例となっています。今年の頂上決戦はフロリダ州マイアミのサンライフ・スタジアムにて、本戦初出場となるニューオーリンズ・セインツとインディアナポリス・コルツの一騎打ち。結果は31-17のスコアでセインツに軍配があがり、第44回 (XLIV)スーパーボウル王者として歴史にその名を刻みました。

そして勝者はセインツのみならず、プレ・プログラムや本戦の模様を全米放映したCBS局が、過去の歴代記録を塗り替える視聴率を樹立。アメリカ国内で45%、平均1億650万人、合計で1億5340万もの人々がチャンネルを合わせる結果となりました。これは1983年より米TV視聴率のトップに君臨してきたドラマ”M*A*S*H (原題/CBS)”の最終話が打ち立てた平均視聴数1億597万人を超える数字。テレビ業界がインターネットなどニューメディアの脅威に晒されている昨今、27年の時を経ての快挙には驚きと喜びの声が上がっています。またスーパーボウルのライブ中継中には、SNSのFacebookやTwitterへのアクセス数も激増したとのこと。視聴者によってリアルタイムで情報発信&シェアが行なわれたことも、視聴率のアップに貢献したと見られています。

続いてスーパーボウルと言えばメインとなる本戦はもちろんのこと、豪華ゲストによるパフォーマンスも見逃せないところ。今年はオープニングの国歌斉唱にキャリー・アンダーウッド、ハーフタイム・ショーには英ロックバンドのザ・フーが登場しています。
その一方、例年高視聴率を誇る当イベントでは、この日の為に製作されるユニークなCM達もお楽しみのひとつ。本年度は、30秒のスポットが2億5000万~2億8000万ドルで取り引き&完売したと伝えられていました。「1秒でお幾ら?」と下世話にも計算したくなる新スポットの中でもひときわ注目を集めたのは、まず日本でもお馴染みの製菓スニッカーズのCM。ともに現在88歳のベティ・ホワイトとエイブ・ヴィゴダがフットボール・プレイヤーに派手にタックルされる姿は、強烈なインパクトを残しています。
そしてCBS局の自社スポットとしてホストのデイヴィッド・レターマンが登場した”Late Show with David Letterman”のCMでは、2007年度スーパーボウルでも共演を果たしたオプラ・ウィンフリーに加え、同じく冠ナイトショーを持つジェイ・レノが登場。こちらのレノは現在、自身の”The Jay Leno Show (NBC)”の時間変更によって、その後番組”The Tonight Show with Conan O’Brien”のホストであるコナン・オブライエンを事実上の降板に追い込んだ…とする騒動の渦中にあり、更にはレターマンとの過去の確執疑惑なども相まって、話題性ナンバーワンのスポットとなりました。ちなみに十余年ぶりに再会したとされる2人は、それぞれが後日になって「わだかまりが解けた」と語っていたりします。


  アカデミー賞ダブル司会の
  アレック・ボールドウィンとスティーヴ・マーティン

驚くべき数字を記録した2010年度のスーパーボウル。先に行なわれたグラミー賞は前年比35%アップ、同じくゴールデングローブ賞も14%の上昇と、アメリカが誇るイベントの数々は今年に入って視聴率をグングン伸ばしています。
そこで気になるのは、来たる3月7日に開催予定の第82回アカデミー賞。総合司会にはヒット作「恋するベーカリー」よりアレック・ボールドウィンとスティーヴ・マーティンのコンビに決定しており、この勢いに乗って高視聴率は必至と言えそうです。残すところ1ヶ月を切ったオスカー、すでにカウントダウンは始まっています!





TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 15:54 | トラックバック

2010年02月04日

音楽プラスαの祭典!第52回グラミー・アワード開催

映画関連の賞レースが大詰めを迎える中、先の日曜日に行なわれたのは第52回グラミー賞。2009年度に最もアメリカおよび世界各国でヒットを飛ばしたアーティスト達が、ここLAに集結しました。
栄えある音楽の祭典にてグラモフォン(蓄音機)型のトロフィーを持ち帰ったのは、一体どんな顔ぶれだったのでしょうか?当日の豪華パフォーマンスと合わせてお伝えしていきます。

去る1月31日に行なわれたグラミー賞は、近年のホームグラウンドとなっているLAはステープルズ・センターでの開催。最多10部門にノミネートを数えたビヨンセは怒涛の6部門を受賞、それを8部門の候補で追っていた若干20歳のテイラー・スウィフトは史上最年少となる最優秀年間アルバム賞を含め、堂々の4冠を制覇しています。

本年度グラミー賞の見どころは、何と言っても豪華アーティスト達によるド派手なコラボレーション。オープニング・アクトを務めた新星レディ・ガガは、かのエルトン・ジョン卿とのシアトリカルな競演で観客を魅了し、もはやベテランの風格を誇るグリーン・デイにおいては、彼らの代表曲”American Idiot”のブロードウェイ・ミュージカル版キャストと”21 Guns”を披露しました。


 トリビュートが行なわれたMJの激似ソックリさん!
 「This Is It」DVD発売イベントにて。

またプリンス君とパリスちゃんも駆けつけた故マイケル・ジャクソンへのトリビュートでは、セリーヌ・ディオン、スモーキー・ロビンソン、アッシャー、ジェニファー・ハドソン、キャリー・アンダーウッドら豪華面々がMJの名曲”Earth Song”を熱唱。こちらはグラミー授賞式初となる3D放映(要3Dグラス)となっています。

更に、ハイチ被災者に寄せられたサイモン&ガーファンクルの名曲”Like a Bridge Over Troubled Water”は、メアリー・J・ブライジとテノール歌手のアンドレア・ボチェッリが異色のデュエットを実現。
そしてヒップホップ界のコラボにおいては、俳優/歌手として活躍中のジェイミー・フォックスとT-ペインのコンビに元ガンズ・アンド・ローゼズのスラッシュが参加、エミネムとドレイク、リル・ウェイン、ブリンク182のドラマーであるトラヴィス・バーカーら4名も圧倒的なパフォーマンスで舞台をジャックしちゃいました。

その他、名実ともに「歌姫」の貫禄十分なビヨンセは堂々たるソロで登場すると、ヒット曲”If I Were a Boy”とアラニス・モリセットの”You Oughta Know”で観客を圧倒。同じく受賞ラッシュとなったテイラー・スウィフトは、シンガー・ソング・ライターの大先輩であるスティーヴィー・ニックスと並んで自身のメドレーを歌い上げています。


 本年度グラミー賞の特大ポスターには、
 ブラック・アイド・ピーズが登場。

また本年度グラミー賞ポスターの顔となったブラック・アイド・ピーズは、2009年度のベスト・パーティソングのひとつ”I Gotta Feeling”で会場を上げまくり状態に。そして20年以上のキャリアを誇るボン・ジョヴィが歓声に包まれて登壇すると、直前のファン投票で選ばれた懐かしの名曲”Livin’ On a Prayer”を熱唱しました。
その一方、”Glitter in the Air”を引っさげて現れたピンクにおいては、昨年秋のMTVビデオ・ミュージック・アワードを彷彿とさせるシルク・ドゥ・ソレイユ張りの「宙吊りパフォーマンス」を披露。前回よりも更にパワーアップしたズブ濡れの空中回転によって、会場に集まったゲスト達の目を釘付けに&彼らの一張羅を水浸しにしております。

CBS局にて3時間半に渡って全国放映された本年度のグラミー賞は2600万人前後が見守り、約35%の視聴率を獲得。練りに練られたステージと華やかなゲスト達が功を奏したのか、近年比では圧倒的なナンバーを残しています。
ここ数年はTV視聴者の「アワード離れ」が懸念されていましたが、昨年度のオスカーは前年に比べて13%のアップ、先のゴールデングローブ賞は14%、エミー賞は8%の上昇と、着実に数字を上げて来ている模様。
来月に授賞式を控えるアカデミー賞も、この流れに乗ることが出来るのでしょうか?

2010年度グラミー賞の各候補/受賞結果は、下記のホームページより。

第52回グラミー賞全受賞リスト

当セレモニーの翌々日には、いよいよアカデミー賞ノミネート作品/候補者が発表され、あとはセレモニー本番を待つばかりとなりました。
映画ファンはもちろんのこと、音楽ファンも必見のオスカー授賞式は3月7日の開催予定。
近日中には出揃った顔ぶれをじっくりと考察していきますので、そちらもお楽しみに!


TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 17:03 | トラックバック