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2010年09月30日

ネットワーク激戦!この秋、新シリーズの勝者は?

9月の第4週に一挙お目見えした、アメリカンTV待望の新シリーズ。そして明けた今週には、各局の視聴率バトルの結果が出揃っています。一体どのチャンネルが「祝杯」を上げることが出来たのか、米4大ネットワークそれぞれの新作ドラマをご紹介しながら振り返ってみましょう。


  LA市内をジャックした
    「Hawaii Five-0」ポスター/スコット・カーン版

いよいよキックオフを迎えることとなった「アメリカンTV秋の陣」。プレミア・ウィークの初日となった20日月曜には、先週ご紹介したDWTSこと”Dancing with the Stars (ABC/原題)”の初回放送が2130万人もの高視聴数を叩き出しておりました。しかし、出揃った総合ランキングの頂点に君臨していたのは、新旧作ともに好調であったCBS局。中でもスタート前から注目されていた新シリーズ、1968年より12シーズンに渡って製作された人気刑事ドラマ「ハワイ5-0 (邦題)」のリメイク版となる”Hawaii Five-0”が、今期のドラマシリーズ最高値となる1420万人の視聴者を獲得、その他既存の番組と合わせた週間トップテンのうち6本をCBSが制覇するなど、平均1250万人でトップを飾っています。

平均視聴数960万人で次点に着けたのは、前出のDWTSが変わらず絶好調なABC局。新作ドラマ枠では姉妹の関係を描いたコメディ・シリーズ”Better with You”が、まずまずの成績を残したようです。そして視聴率バトルの3位に食い込んだのが、同じく新コメディ”Outsourced”が週間ランキングの25位にランクインしたNBC局 (820万人)。インドのオフィスが舞台となる本作のような、毛色の違ったシリーズで健闘しました。また「NCIS ~ネイビー犯罪捜査官~ (CBS)」や「The Mentalist メンタリストの操作ファイル (CBS)」といった古株の刑事ドラマが高視聴率を獲得している中、ジェイソン・リッターやブレア・アンダーウッドが競演する新犯罪スリラー”The Event”で対抗、平均1120万もの数字獲得に成功しています。

そして、残念ながら最下位となってしまったのが、平均視聴数650万人を数えたFOX局。エミー賞獲得のヒット・シリーズ”Glee”第2シーズンの初回放送で高視聴率を獲得しながらも、新作が不発という理由によって残念な結果を迎えてしまいました。特に、テキサスの色男詐欺師を描いた新シリーズ”Lone Star”に至っては、たった2エピソード!で打ち切りという憂き目に。今期初のキャンセルといった不名誉な称号を受け取ってしまいましたが、いかに今日のネットワークの台所事情が厳しいかを物語っていると言えるでしょう。

今回の数字はあくまでもリアルタイムの視聴数であり、各ネットワークからはDVRなどの録画機能を使ったタイムシフト・ビューイング (=時間差視聴)の増加が報告されています。現在はアメリカ全土38%の世帯がDVR機器を所有しており、その数は前年比33%アップだそう。更には、各局のウェブサイトから新作がまるごと視聴出来るフルエピソード・ビューイングや、携帯機器におけるシリーズ本体のダウンロード視聴数が前年の同時期より63%も上昇しており、テレビ番組の定義が「お茶の間に集まって」から「好きな時に/携帯しながら」に徐々ではありながらも推移している模様です。

2010年度秋の視聴率バトルはCBS局に軍配があがりましたが、これからWord-of-Mouth (=クチコミ) によって人気が上下していくことは必至。今後も気になる話題作をリアルタイムでご紹介していく予定ですので、どうぞご期待下さい!



TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 10:01 | トラックバック

2010年09月24日

最新シーズンも好調!Dancing with the Stars: Season 11

今年5月に幕を降ろした第10シリーズに引き続き、早くも新シーズンが到着。今週月曜日に鳴り物入りでスタートを切った芸能人社交ダンスバトル番組「Dancing with the Stars」は、他を寄せ付けない好調なすべり出しを見せました。「最もワイルドなキャスト」との呼び声が高い今期のDWTS、その出演者の面々をご紹介していきます。


  DWTSのイベントにて、初回放送よりホストを務めているトム・バージェロン。
    Photo by lilszeto on Flickr

イギリス版”Strictly Come Dancing (BBC/原題)”を元祖に、これまで日本を含む世界各国にてリメイクされている当番組は、各界のセレブリティ達が社交ダンスに挑みながら勝ち抜きスタイルで頂点を目指す…といった内容のリアリティ番組。アメリカではABC局にてDWTSこと” Dancing with the Stars”のタイトルで2005年よりスタートして以来、今日まで着実に視聴者を増やしながらシリーズ化されています。今期の司会進行を務めるのは、前回からニューペアとしてタッグを組んでいるトム・バージェロンとブルック・バークのおふたり。そして、審査員にはバージェロンと同様に第1シーズンからの「皆勤賞」、すっかりお馴染みとなったレン・グッドマン、ブルーノ・トニオーリ、キャリー・アン・イナバの3名が揃っています。ちなみにアメリカを代表する人気リアリティ・ショー繋がりとして、今週水曜日に”American Idol (FOX)”の新しい審査員が発表されたばかり。DWTSと異なりジャッジが入れ替わり立ち替わり状態のAIですが、来期からは唯一の続投者となったランディ・ジャクソンに並び、ご存知エアロスミスのリード・ボーカルであられるスティーヴン・タイラー、そして「ディーヴァの中のディーヴァ」JLOことジェニファー・ロペスの名前が発表されています。辛口コメントが賛否両論であったサイモン・コーウェルが去った今、これからの動きに視線が集まりそう。現在AIは次回の第10シーズンに向けて、全国オーディションが始まっております。

今期のDWTS出演者の中で最も「異例のキャスティング」として話題を呼んでいるのが、ブリストル・ペイリンその人。名前からすぐにピンと来る方々は少ないかもしれませんが、元アラスカ州知事であり2008年の米大統領選における副大統領候補となったサラ・ペイリンの実娘と言えばご存知でしょう。現在19歳のティーン・エイジャーである彼女は、母親が副大統領候補として活動していた矢先に18歳で未婚の母となったことで、政界さえにぎあわせ、タブロイドの標的に。そして無事に長男を出産した後は、お相手であるリーヴァイ・ジョンストンとの婚約と破棄を繰り返しながら現在に至っています。また、数々のヒット曲も持ちながら2006年に死者を出す自動車事故を起してしまって以来、お茶の間から遠ざかっていたブランディが公のシーンに復帰。そして、80年代に「ナイト・ライダー (邦題)」や「ベイウォッチ」などのTVシリーズで一斉を風靡、その後はアルコール中毒を患いながらもタレント発掘番組”America’s Got Talent (NBC)”のジャッジに参加していたデヴィッド・ハッセルホフに至っては、いきなり翌日火曜に行なわれた1週目のリザルト・ショーに登場、しかもあっさり脱落する結果となってしまいました。

『Dancing with the Stars 第11シーズン: 出演者リスト (アルファベット順)」 マイケル・ボルトン (シンガー・ソングライター) ブランディ (シンガー・ソングライター/女優) マーガレット・チョウ (コメディエンヌ/女優) リック・フォックス (元NBAプレイヤー) ジェニファー・グレイ (女優/ダンサー) デヴィッド・ハッセルホフ (俳優/歌手) *第1週敗退 フローレンス・ヘンダーソン (女優/歌手) カイル・マッセイ (俳優/ラッパー) ブリストル・ペイリン (ティーン活動家) オードリナ・パトリッジ (「ザ・ヒルズ (MTV)」出演者) マイク “ザ・シチュエーション” ソレンティーノ (「Jersey Shore ~マカロニ野郎のニュージャージー・ライフ~ (MTV)」出演者) カート・ワーナー (元NFLプレイヤー)

ゲスト・パフォーマーとして登場したサンタナとクリス・ドートリーのコラボも観られたDWTSは、初回放送の視聴数平均が1770万人と他局の追随を許さないトップに君臨。人気リアリティ・ショーに出演中のパトリッジやザ・シチュエーションといった濃い面々や、DWTS出演とは意外や意外のボルトンやペイリン、唯一のアジア枠に食い込んだ放送ギリギリ?のチョウなど、確かに「ワイルド」な顔ぶれに期待が持てそうです。強力なライバル”American Idol”がオーディション・シーズンの今、DWTSの視聴率独占は必至かも。これからますます面白くなっていきそうです。



TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 09:37 | トラックバック

2010年09月16日

あのハプニングから復活: The 27th MTV Video Music Awards

昨年の「カニエ事件」から早1年、今年もこの一大イベントの季節が到来。先の日曜日に行なわれたMTV Video Music Awardsは、去年の出来事も相まって例年以上の盛り上がりを見せることとなりました。コメントが期待されていたカニエ本人はもちろん、次々と奇抜なお色直しを見せたレディ・ガガの一挙手一投足まで、今年のVMAsをまるごとお伝えしていきます。


  計8部門をさらった今年の主役はレディ・ガガ 
    Photo by NaomiLir on Flickr

音楽専門チャンネルとしてスタート以来、今や多数のヒット・シリーズを抱えるMTVが毎年主催しているVMAsことMTV Video Music Awards。その年に発売され最も人気のあったミュージック・ビデオを讃えるセレモニーとして、その豪華なゲストや充実のパフォーマンスから人気が高くなっています。昨年のNYCでの開催から数年ぶりにLAはNokiaシアターに舞台を移した2010年度、実に16年以来となる女性司会に大抜擢されたのは、自身の冠番組”Chelsea Lately (E!/原題)”を持つチェルシー・ハンドラー。お騒がせセレブリティ達を片っ端から一刀両断する辛口トークで著名なTVパーソナリティです。この日、イベント関連には欠かせないパリス・ヒルトンが欠席したのも、どうやら先日のコカイン所持逮捕をネタにされるのを恐れてとのこと。そんなハンドラーはオープニング・クリップにて今をときめくリンジー・ローハンと共演、一連の刑務所やリハビリ入りまでの騒ぎを自虐ネタにしたローハンには爆笑と拍手が起こりましたが、その後もハイテンションでFワードや下ネタを繰り広げたハンドラーには、終了後に方々から「品がない」と普段とは逆の立場となって辛口コメントを頂戴してしまったと報じられています。

オールドスクールな出で立ちでオープニング・アクトに登場したのは、最新ナンバー「Not Afraid」が好調、事前に8つのノミネートを受けていたエミネム。歌姫リアーナとのデュエットを終えると、ツアー準備の為にNYへと飛び立ってしまいましたが、しっかり2つの宇宙飛行士型トロフィーを獲得しています。またデビュー以来、母娘2世代からの人気を博しているジャスティン・ビーバーが、Nokiaプラザ前にて大勢のファンに囲まれながらヒット曲「Baby」と「Somebody to Love」を熱唱すると、更にはドラムの腕前までも披露。そんな彼が師匠と仰ぐアッシャーに至っては、ステージ狭しと「DJ Got Us Falling in Love Again」と「OMG」のメドレーをMJ顔負けのダンスとともに熱唱しています。その他にも昨年の「被害者」であり、ステージ・セットのテレビにあの日の映像を流したテイラー・スウィフトを始めとして、メアリー・J. ブライジやドレイク、B.o.Bやリンキン・パークら新旧の人気アーティスト達が、PVに勝るとも劣らないステージで観客を魅了。例年を凌ぐ勢いで、充実のパフォーマンスが続々と披露されました。そしてトリに登場は、昨年スウィフトの女性アーティスト・ビデオ受賞スピーチ時に乱入し、ビヨンセを推す…という非常識極まりない行動でヒンシュクを買ったカニエ・ウェスト。2時間放送の最後まで引っ張った割にはこれといったコメントもなく、ステージ終了時にはカニエ・コールとブーイングが入り乱れる事態となっておりました。

そして今回の主役となったのは、エミネムを凌ぐ最多13部門にノミネートを果たしていたレディ・ガガ。エレン・デジェネレスより女性アーティスト・ビデオ賞を受け取った際にはピーコックのようなヘッド・アクセサリーを合わせたゴールド基調のドレス、人気ミュージカル・ドラマ”Glee (FOX)”のキャストよりポップ・ビデオ賞を授与された時にはカラス並みのブラックドレス、そして御年64歳!にしてシースルーのボディ・スーツにビキニといったガガに並ぶ強烈なコスチュームで登場のシェールにアナウンスされた年間ビデオ賞では、全身にも頭にも真っ赤な「生肉」を模したドレスで、シルバーに輝くムーンマン・トロフィーを受け取っておりました。昨年の新人アーティスト賞に引き続き、この最も栄誉あるアワードを獲得したガガは、舞台にてニューアルバムのタイトル「Born This Way」を発表。すでに左の太腿には、このメッセージとユニコーンを模したタトゥーが入っているのだとか。いつも我々を驚かせてくれる彼女には、ピッタリのフレーズと言えます。

第27回MTV Video Music Awards: 主要部門受賞リスト
年間ビデオ賞: レディ・ガガ “Bad Romance”
男性アーティスト・ビデオ賞: エミネム “Not Afraid”
女性アーティスト・ビデオ賞: レディ・ガガ “Bad Romance”
新人アーティスト賞: ジャスティン・ビーバー “Baby”
ポップ・ビデオ賞: レディ・ガガ “Bad Romance”
ロック・ビデオ賞: サーティー・セカンズ・トゥー・マーズ “Kings and Queen”
ヒップホップ・ビデオ賞: エミネム “Not Afraid”


カニエとスウィフトのニアミス見たさか、はたまたガガ&シェールという新旧ディーバのコラボ見たさであったのか、本年度VMAsの視聴率は平均1140万人と、昨年比27%アップを記録。これは遡ること8年前、MJことマイケル・ジャクソンが出演した2002年以来のベストとなりました。音楽業界にも不況が叫ばれる中、以前はTV画面ではなかなかお目にかかれなかったアーティストが登場してくれるのは、ファンにとっては転じて嬉しいボーナスといったところ。今後も、彼らの幅広い活躍が期待したいと思います。



TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 10:33 | トラックバック

2010年09月09日

米リアリティ・ショーのトップに君臨!人気シリーズ「Top Chef」

8月28日に開催された第62回プライムタイム・エミー賞。本年度は、初のエミー像を持ち帰る「新参者」のオンパレードとなり、TVっ子ならずとも大満足の内容をもって幕を降ろしています。中でも「リアリティ/コンペティション部門」のカテゴリーが誕生して以来、過去7度に渡って作品賞を連続受賞していた「アメージング・レース (CBS)」の独壇場が、いよいよ終焉を迎えることに。そこで今回は、現在第7シーズン目に突入している「新王者」、一般シェフ達がお料理バトルを繰り広げる人気シリーズ「Top Chef (Bravo)」をご紹介したいと思います。


  ハリウッドのど真ん中に出現! 
    「Top Chef: Season7」巨大バナー

ケーブル局Bravoにて放映中の「Top Chef (原題)」は、今期で第7シーズン目を迎えた人気リアリティ・ショー。一般公募で選ばれたシェフ達が「トップ・シェフ」の称号をかけてしのぎを削る当番組は、2006年にスタートを切って以来、味と見た目とテクニックを競うというシンプルな内容が視聴者に大ウケして、右肩上がりに視聴率を伸ばしてきました。クッキング・シリーズとしては前代未聞の数字から、ネットワークを除く全ケーブル局において「ナンバーワン・フード番組」と称されることもしばしば。ちなみに、当番組に負けず劣らずの人気を誇るファッション・デザイナー発掘リアリティ・ショー「プロジェクト・ランウェイ/NYデザイナーズ・バトル (Lifetime)」と同一の製作会社である「マジカル・エルヴス・プロダクション」によってプロデュースされています。そして近年では、その人気の高さから数々のスピンオフ・シリーズも製作されており、昨年スタートした著名シェフ達によるコンペティション「Top Chef: Masters (Bravo)」などに引き続き、今後はパティシエ (=ペイストリー・シェフ) に焦点を絞った「Top Chef: Just Desserts (Bravo)」も開始する予定だとか。また新たなファン層の獲得に、期待が寄せられます。

世界を股に掛けたチーム・ゲーム番組「アメージング・レース (CBS)」の圧倒的な強さを前に、アメリカの2大リアリティ・ショーに数えられる”American Idol (FOX)”や”Dancing with the Stars (ABC)”さえ成し得なかった「エミー賞: リアリティ/コンペティション部門」作品賞を獲得した「Top Chef」人気の秘訣は、やはり一般シェフ達によるガチンコ対決。自身のレストランやケータリング・サービス会社を持つベテランから、調理師専門学校を卒業したてホヤホヤの若者まで、料理の腕に覚えのある老若男女が同じ土俵にて競い合う姿は、笑いあり涙ありド派手な喧嘩までありと、一度見始めたら病みつきになること必至です。また、番組のホステスを務めるモデル/TVパーソナリティのパドマ・ラクシュミの必要以上なセクシーさ、そのガチムチ体型から女性のみならずゲイ層にも絶大な人気を誇るレストラン・オーナーシェフのトム・コリッキオ、そして毎週ゲスト審査員として加わる世界各国の有名シェフなど、脇を固める豪華な面々見たさにチャンネルを合わせるファンも少なくないようです。

これまでにサンフランシスコ、LA、マイアミ、シカゴ、NYC、ラスベガスと開催都市を転々と移動している当番組ですが、現在の第7シーズンはいよいよアメリカの首都ワシントンDCを舞台に展開中。また今期は過去最高のキャリアを誇るシェフ、NYにミシュランガイド1つ星を受けたレストランを持つアンジェロ・ソーサが参戦しており、初回放送からテクニックを見せ付けるなど番組のスタンダードをグイグイと上げてくれています。そんな彼を師匠と仰ぐ者もいれば、敵対心を剥き出しにする共演者もおり、そんな人間模様も見どころのひとつ。そしてアメリカ各地はもちろん、アジア諸国、中近東やヨーロッパなどなど、出演者それぞれのバック・グラウンドが異なり、創作される料理に洋の東西を問わない地域性がある点もアメリカならではと言えます。ちなみに、ソーサが構えるレストラン「Xie Xie (=謝謝)」然り、番組内では東洋系の食材が頻繁にフィーチャーされ、アジアン風味を加えることがトレンドにもなっている模様。更には、「Tofu」はもちろん昨今では「Yuzu」「Miso」「Shiso」「Daikon」といった食材名に日本の単語が多く使われており、日本人として何だか誇らしくなってしまうポイントでもあります。

6月に開始され、9月に入っていよいよフィナーレ間近の佳境を迎えた「Top Chef」シーズン7。Emmys覇者の貫禄も相まって、今後もシリーズを重ねるごとに、ますますファンを増やしていきそうです。



TEXT BY アベマリコ

投稿者 eigafan : 10:10 | トラックバック

2010年09月02日

ニューカマー続々!第62回プライムタイム・エミー賞

去る28日、いよいよセレモニー当日を迎えたEmmysことプライムタイム・エミー賞。これまでは人気シリーズのリピート受賞が多いとされて来た本アワードですが、フタを開けてみれば2010年度のリストには沢山の「サプライズ」が並びました。そんな番狂わせアリの結果を含めて、当日の模様や視聴率などから今年のEmmysをおさらいしていきます。。


  こう見えて今年35歳のジミー・ファロン 
    Photo by MeganGregg on Flickr

昨年に引き続き、一大観光地となったダウンタウンLAはL.A. Live内に構えるNOKIAシアターを会場に開催された「アメリカンTVの最高栄誉」第62回プライムタイム・エミー賞。その模様はNBC局にて3時間余りに渡って全国放映され、昨年のCBS放送時に獲得した視聴者1347万人を上回る1350万人でゴールを切る結果となりました。去年末から今年にかけての「映画の祭典=アカデミー賞」「音楽の祭典=グラミー賞」など、「TVの祭典=Emmys」に並ぶ大型セレモニーはここのところ軒並み視聴率アップを記録しており、今回の数字も例に漏れずといったところ。そして、こちらの好成績にとりわけ一役買ったとの評価を受けているのが、初司会に大抜擢されたジミー・ファロンです。セレモニーのオープニングでは、彼の冠番組”Late Night with Jimmy Fallon (NBC/原題)”でも度々披露している人気シリーズ”Glee (FOX)”の爆笑パロディで登場。ブルース・スプリングスティーンの名曲”Born to Run”を引っ提げて、ジェーン・リンチら同作のキャストはもちろん、ファロンの出世番組”Saturday Night Live (NBC)”の元同僚であるティナ・フェイ、”American Idol (FOX)”のランディ・ジャクソン、「プロジェクト・ランウェイ (Lifetime/邦題)」よりティム・ガン、感動のフィナーレを迎えたばかりの「LOST (ABC)」からはホルゲ・ガルシア、直前予想の大本命シリーズ「マッドメン (AMC)」のジョン・ハム、そして昨今のイベントには欠かせない存在となった女優ベティ・ホワイトらとともに豪華なコラボレーションを実現させています。そんな音楽センスにも長けたファロンですが、特にセレモニー中盤に魅せてくれたエルトン・ジョンやGreen Dayのビリー・ジョー・アームストロングの物真似は、誰もが舌を巻いてしまうような圧巻の出来栄え。喋って良し、仕切って良し、歌って良しと3拍子揃った彼の株が急上昇したことは、言うまでもありません。

そして本年度の受賞リストを振り返ってみると、まず目を引くのが「初づくし」となったコメディ部門。デビュー・シーズンにて作品賞を含む計6つのトロフィーをさらった”Modern Family (ABC)”の大躍進を筆頭に、助演男優賞には同作の劇中にて養子を迎えたゲイカップルの父親を演じているエリック・ストーンストリート、主演男優賞に「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法 (CBS)」よりジム・パーソンズ、助演女優賞は前出”Glee (FOX)”のジェーン・リンチが、それぞれ初となるエミー像を持ち帰っています。そして「ナース・ジャッキー (Showtime)」で同じく初のコメディ部門主演女優賞に輝いたイーディー・ファルコに至っては、過去の出演作「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア (HBO)」の3冠を含めて、史上初のコメディ/ドラマ両部門での主演女優賞獲得を記録しました。

続いてのドラマ部門では、作品賞の「マッドメン (AMC)」と主演男優賞のブライアン・クランストン(「ブレイキング・バッド (AMC)」)が、それぞれ3年連続でトロフィーを受賞。その一方、助演男優・女優賞はともにアーロン・ポール (「ブレイキング・バッド (AMC)」)とアーチー・パンジャビ(「グッド・ワイフ (CBS)」)が、仲良く初のエミー賞獲得となりました。そして、こちらのドラマ部門で最も意外な結末を迎えた主演女優賞は、下馬評の高かった「グッド・ワイフ (CBS)」のジュリアナ・マルグリーズを抑えての受賞となったキーラ・セジウィック (「クローザー (TNT)」)。これまで本シリーズ開始当初より欠かさずノミネーションを重ねて来ましたが、これで5度目の正直!となる喜びもひとしおのトロフィー獲得です。


  黄金に輝くエミー賞は誰の手に? 
Photo by ReneeSilverman on Flickr

その他、アル・パチーノ (“You Don’t Know Jack (HBO)”)とクレア・デインズ (“Temple Grandin (HBO)”)がともに主演男優・女優賞を勝ち取ったTV映画/ミニシリーズ部門においては、全てのカテゴリーにおいて有料ケーブル局HBOが独占するという、ほぼ毎年おなじみの光景に。また、ミニシリーズ作品賞に輝いたトム・ハンクス&スティーブン・スピルバーグが製作総指揮に名を連ねる”The Pacific (HBO)”においては、今期最多となる8部門を獲得しています。そして、2003年より設けられているリアリティ/コンペティション部門においては、これまで7年連続で作品賞を獲得していた「アメージング・レース (CBS)」がとうとうトップの座を受け渡す結果に。現在「ケーブル局にて最も視聴者を集めるお料理番組」として人気を博しているリアリティ・ショー”Top Chef (Bravo)”が、エミー像をさらうという大どんでん返しが会場を沸かせました。かの”American Idol (FOX)”や”Dancing with the Stars (ABC)”でも果たせなかった快挙、エンタメ各誌では「リアリティ新時代の到来!」などと報じられています。

第62回プライムタイム・エミー賞<主要部門受賞リスト>
☆ドラマ部門
作品賞: 「マッドメン (AMC)」
主演男優賞: ブライアン・クランストン/「ブレイキング・バッド (AMC)」
主演女優賞: キーラ・セジウィック/「クローザー (TNT)」
助演男優賞: アーロン・ポール/「ブレイキング・バッド (AMC)」
助演女優賞: アーチー・パンジャビ/「グッド・ワイフ (CBS)」
☆コメディ部門
作品賞: “Modern Family (ABC)”
主演男優賞: ジム・パーソンズ/「ビッグバン★セオリー ギークなボクらの恋愛法 (CBS)」
主演女優賞: イーディー・ファルコ/「ナース・ジャッキー (Showtime)」
助演男優賞: エリック・ストーンストリート/“Modern Family (ABC)”
助演女優賞: ジェーン・リンチ/”Glee (FOX)”
☆TV映画/ミニシリーズ部門
TV映画作品賞: ”Temple Grandin (HBO)”
主演男優賞: アル・パチーノ/“You Don’t Know Jack (HBO)”
主演女優賞: クレア・デインズ/”Temple Grandin (HBO)”
助演男優賞: デヴィッド・ストラサーン/”Temple Grandin (HBO)”
助演女優賞: ジュリア・オーモンド/”Temple Grandin (HBO)”
ミニシリーズ作品賞: “The Pacific (HBO)”
☆リアリティ部門
作品賞: “Top Chef (Bravo)”
☆バラエティ/ミュージック/コメディ部門
作品賞: “The Daily Show with Jon Stewart (Comedy Central)”
☆ボブ・ホープ・ヒューマニタリアン賞: ジョージ・クルーニー


こうして主要部門を振り返って見ると、各シリーズ部門においては“Modern Family (ABC)”と「グッド・ワイフ (CBS)」のみがネットワーク局からの受賞となっており、改めてケーブル局の強さが浮き彫りとなるかたちとなりました。それでも「構成が命」とされるアメリカンTV界において、その祭典にふさわしい笑いと感動を届けてくれた第62回プライムタイム・エミー賞。今後、ますますのネットワーク各局の盛り返しとシリーズの充実に期待したいと思います。



TEXT BY アベマリコ

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