« 2010年10月 | メイン | 2010年12月 »
2010年11月25日
大和撫子 in Hollywood!女優: 安藤美保さん
インタビューに答えて下さった安藤美保さん
三島由紀夫著「近代能楽集」では
「班女-Hanjo-」花子役を熱演
Q. まずは女優を目指されたきっかけ、そして渡米までのいきさつについて聞かせて下さい。
『幼稚園の時に人前でやった「ねずみのオペレッタ」というお芝居が私の人生の初パフォーマンスだったんですが、その時の喜びと感動が忘れられなかったんでしょうね(笑)。それ以来、幼稚園・小学校とお芝居が好きで、普段は小説を書いたり絵を描いたりばかりしている大人しいタイプだったんですけど、学芸会などでは「目立つ役をやりたい!」みたいな子でした。もちろん、中学校でも演劇部に入ろうと思ってはいたんですけど、そこから何をどうしてか、坂道を転がるようにグレていってしまい…(爆笑)。その後は、少しでも早く社会に出たかったので、ヘアメイクが好きだったというのと親の勧めもありまして、中学校を卒業してからは美容院で働き始めました。自分のイメージしたデザインが形になるという面白さで、色々なアルバイトをする傍ら、ヘアサロンでのお仕事は6年くらい続けましたね。渡米の経緯としては、ものすごい映画好きの父親の影響で洋画ばかり観て育ったので、漠然としながらもいずれ自分はアメリカに住むものだと思っていました。もちろんサロンでのお仕事は楽しかったんですけど、心のどこかでアクティングがしたい!という自分の声が消えなくて…。じゃあやろう!と思い立って、アクティング→洋画→ハリウッド!!という図式が私の頭の中で決定してからは、昼夜アルバイトをしながら渡米資金を貯めました。こうして振り返ってみると、かなりの単純思考ですよね(笑)。』
Q. その持ち前の行動力からでしょうか、渡米後はわずか数年の間に着々とクレジットを増やしていらっしゃるようですが?
『2006年12月に初めてアメリカに来て、当初は英語がほとんど喋れない状態だったので、語学学校と並行しつつ、ハリウッドにあるアクティング・スクールに通っていました。でも、そのスクールが半年ぐらいで潰れちゃって…(笑)。それからはEast West Playersというアジアン・アメリカン中心のシアターカンパニーで、1年余りお勉強させて頂きました。その他には、アクティングの先生による個人クラスを受けたりもしています。渡米後に初めて受けたオーディションは、LAで撮影されたサントリーの缶コーヒー”BOSS”のCMのエキストラだったんですが、受かった時はエキストラといえど、もう天にも昇る気持ちでしたね(笑)。それからはご縁がありまして、ハリウッドのサンセット大通り沿いにあるKey Clubというナイトクラブで、マイムのパフォーマンスをさせて頂く機会がありました。ダンサーさん達による大きな恒例イベントでしたので、すごい人だかりの前に立たせて頂いたことで度胸がつきました!ノミの心臓に少し毛が生えた、みたいな…。それからは、インディペンデント映画やウェビソード (インターネットで公開されるシリーズ)、East West Playersによる舞台、三島由紀夫さんの「近代能楽集」からのショート・ストーリーを英語で演じる舞台などに出演させて頂いています。こうした活動の中で地元紙LA Weeklyにも載せて頂くことが出来て、本当に嬉しかったですね。』
Q. 実際にアメリカのエンターテインメント業界に飛び込まれるに当たって、新鮮に映ったことや予想外であった点は? また、一口に俳優といっても活動されるフィールドはかなり幅広いかと思いますが、特に興味があったり力を入れていらっしゃるジャンルはありますか?
『今でも戸惑うことは多々ありますし、日々学習ですね。新鮮だったことは、多様性でしょうか。みんな自分がどうしたいのかをハッキリ言うし、こんなに好き勝手にしちゃっていいの!?っていうくらい、自由な姿が最初は衝撃でしたね。好き嫌いにも、まったく統一性が無い。まさに「十人十色」だと思いました。特に興味を持っているのは、やはり映画と舞台でしょうか。ドラマがやりたいです、ものすごく重い役とかで(笑)。私自身、実話を基にしたヒューマン・ドラマにすごく惹かれるので、そういった作品に出演できたらと思っています。映画は瞬間のエモーションがずっと映像として残りますし、舞台は観客の方々とその瞬間を共有するというまったく違った魅力があるので、どちらも力を入れてやっていきたいなぁと考えています。』
Q. 今週末に千秋楽を迎える「UTSUTSU –[現]– Genesis: Blind Swordsman」に出演されていますが、これまでの手ごたえはいかがですか?
『今ちょうど英語版を終えたばかりなんですが、観客の皆さんの反応がすごく良くて、逆にこちらが驚かされています(笑)。暗転のたびに拍手をくださったり、観終わった後に「思わず泣いてしまった」とか、わざわざ温かいコメントをしに来てくださったりで…。本当に嬉しいです!今週は日本語、つまり自分達の母国語での公演になりますし、また英語とは一味も二味も違った作品になると思いますので、心を尽くして演じたいですね。』
Q. それでは最後に、これからのスケジュールについて聞かせて下さい。
『インディペンデントのショートフィルム”Layla”の撮影と、中国出身の女優バイ・リンさん主演の”The Tunnel”というウェビソードに出演予定です。ちょっと悲しくも不思議なラブストーリー”Layla”では、タイトル・キャラクターでプロのソングライターを目指すLaylaを演じさせて頂くことになっています。もうひとつの”The Tunnel”では、少しキャスティングが変わっていて、ライターさんがキャストのイメージに合わせて各エピソードを書き下ろしていくというユニークな形をとっているので、まだ台本待ちの状態です。今のところはインターポールの役だと聞かされていますが、かなり楽しみです。まだまだ未熟者ですが、一歩一歩頑張りますので、よろしくお願いします!!』
「UTSUTSU –[現]– Genesis: Blind Swordsman」
劇中、あけの役を演じる安藤さん
Photo by Mao Asou
TEXT BY アベマリコ
2010年11月18日
映画配信の先進国: アメリカ人はレンタルがお好き?
インターネットの普及によって、今やすっかり我々の生活に溶け込んでいるオンライン・ショッピング。ここアメリカでも「買えない物は無い!」と言っても過言ではない普及率ですが、どうやら「デジタル版映画」のオンライン購入となると、その売り上げは滞りを見せている模様です。ゲーム機としてだけではなく映画などのコンテンツ視聴も可能なPS3。
Photo by dredemento on Flickr
ハリウッドを中心としたアメリカ映画界におけるセルDVD売り上げのピークは2006年の200億ドルで、当時その額は全体興行収入の2倍を超えていたとか。実際の販売用DVDの制作コストは約1ドルとされていますので、15ドル前後の販売価格を考慮しても、レンタルでの利潤をはるかにしのぐことになります。しかし近年の不況によって、消費者の家庭用映画の視聴はDVDの購入からレンタルへと移行。更にその動きは、郵送あるいはストリーミングによる映画配信を行なっているNetflixや自販機型のDVDレンタルRedboxなどといった安価で便利なレンタル・システムの台頭によって、さらなる拍車がかかりました。実際にNetflix社の本年度レンタル売り上げ予想は、米国内だけでDVD1枚3ドルから5ドルの料金でおよそ3770万枚に上るとか。この数字は3年前と比べて7倍近くの急成長を遂げていることになりますが、一方の平均価格10ドルから15ドルとされるセルDVDの売り上げとなると、年末までに2000万枚前後の売り上げに留まるとの予想が出されています。
今日ではこれまでの一般的なDVDよりも更に高額なBluRayディスクの売り上げが伸びているようですが、「DVD販売<レンタル」の差を埋めるには不十分な利益のようです。また長い目で見てみると、音楽と同様に家庭用の映画鑑賞はますますオンラインが中心となる見込みであり、映画スタジオとしては何としてでも「ウェブ購入」を促進する必要性があります。各スタジオ側は、この先数年のうちに一般消費者による家庭視聴用映画の購入媒体をDVDからウェブへと移行していく構えを見せていますが、彼らが理想とするシフトは、消費者は未だ躊躇しているようです。
「オンライン・デジタル・ロッカー」と称されるUVこと「UltraViolet」 (対応のDVD並びにBluRayを購入後、その購入記録をオンラインにて登録すると、映画をウェブ上に保管しながら自身のパソコンはもちろん、家族を含む携帯電話やウェブ機能搭載TVなどからのアクセス・視聴が可能となるシステム)の本格的な始動や、セルDVD発売日を前にした30ドル前後のVOD (Video on Demand) 形式でのプレミアム・レンタル構想など、2011年はデジタル版映画の分岐点となりそうな予感。ますます映画が身近になりそうなこの動き、今後ともデジタル版映画の動向を見守っていきたいと思います。
TEXT BY アベマリコ
2010年11月11日
来年1月5日開催: People’s Choice Awardsノミニー発表!
今週火曜日の早朝にアナウンスされたばかりのPeople’s Choice Awardsノミネート・リスト。いよいよスタートを切った本年度賞レースですが、当アワードの候補者/作品はまさに「ザ・エンターテインメント」といった趣です。一般視聴者の声が存分に響いている顔ぶれ、一挙にご紹介していきましょう。お気に入りのアクション映画にノミネートされた
12/10(金)公開『ロビン・フッド』
本年度のPCAノミネートリストにおいて、最多8部門に輝いたのは若者の絶大な人気を誇る「エクリプス/トワイライト・サーガ 」。作品部門に並び、アクティング部門にはクリステン・スチュワート&ロバート・パティンソン、テイラー・ロートナーといったアワード常連がその名を連ねています。同じくティム・バートン監督の「アリス・イン・ワンダーランド」も、主演のジョニー・デップを中心に複数のノミネートを獲得。その一方、本年度の賞レースの注目作品と称されている「ソーシャル・ネットワーク」においては、お気に入り映画部門からは洩れ、お気に入りドラマ部門へのノミネートに留まる結果となりました。
そして12月10日の日本全国公開が迫るラッセル・クロウ主演の「ロビン・フッド」は、人気カテゴリーのひとつである「お気に入りアクション映画」にランクイン。ビッグ・バジェット作品がしのぎを削りあうこの部門、トロフィーの行方に要注目です。また12月23日の全国公開が待たれる「きみがくれた未来」からは、主演のザック・エフロンが「お気に入りの25歳未満の俳優」に登場。次世代のハリウッドを背負って立つ若手アクターのひとり、当劇中にて演技派の実力を見せ付けたエフロンは、俳優として頭ひとつ分リードかも?。こちらのドラマ作品は、兄弟愛やロマンスといった涙なくしては観られない感動ストーリーがてんこ盛り、公開日のクリスマス・イヴ・イヴにピッタリの1本となっています。そして、現在絶賛公開中の「怪盗グルーの月泥棒 3D」は「お気に入りファミリー映画」に堂々のノミネート。同カテゴリーに並ぶ作品群を抑え、軒並み歴代の興収記録を叩き出している本作は、キッズのみならず大人も存分に楽しめる3Dムービーです。まだご覧になっていない方々は、ぜひともチェックしてみて下さい。
第37回People’s Choice Awards主要部門ノミネートリスト
・映画部門
☆お気に入りのアクション映画
『ロビン・フッド』
『アイアンマン2』
『キック・アス』
『ソルト』
『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』
お気に入りの25歳未満の俳優にノミネートした
ザック・エフロン主演 12/23(金)公開『きみがくれた未来』
ザック・エフロン
エマ・ワトソン
クリステン・スチュワート
ロバート・パティンソン
ヴァネッサ・ハジェンズ
お気に入りファミリー映画にノミネートした
大ヒット上映中『怪盗グルーの月泥棒 3D』
「怪盗グルーの月泥棒 3D」
「ヒックとドラゴン」
「ベスト・キッド」
「シュレック フォーエバー」
「トイ・ストーリー 3」
☆お気に入り映画:
「アリス・イン・ワンダーランド」
「インセプション」
「アイアンマン 2」
「エクリプス/トワイライト・サーガ」
「トイ・ストーリー 3」
☆お気に入り映画男優:
ジョニー・デップ
レオナルド・ディカプリオ
ロバート・ダウニー・Jr.
ロバート・パティンソン
テイラー・ロートナー
☆お気に入り映画女優:
アンジェリーナ・ジョリー
ジェニファー・アニストン
ジュリア・ロバーツ
キャサリン・ハイグル
クリステン・スチュワート
☆お気に入りのドラマ映画
『アリス・イン・ワンダーランド』
『ディア・ジョン』
『インセプション』
『ソーシャル・ネットワーク』
『エクリプス/トワイライト・サーガ』
しっとりとした各アワードとは対照的に、黄色い声援が飛び交うことになりそうなPeople’s Choice Awardsは、来年1月5日の開催。より詳しいノミネート作品/候補者の一覧は、下記の公式ウェブサイトよりご確認下さい。映画/TVのみならず音楽部門も併設されており、当日のパフォーマンスにも期待大。追って当日の模様をお伝えして参りますので、そちらもご期待下さい。
People’s Choice Awards全ノミネート・リスト
TEXT BY アベマリコ
2010年11月04日
日本屈指のスタント・コーディネイター: 田渕景也氏
来る11月19日より2週間に渡り、ハリウッドにて各週末3公演が予定されている本格時代劇「UTSUTSU-[現]-Genesis: Blind Swordsman」。当舞台のLA初公演を目前に控えて、総勢30余名を数える日本人キャスト達、そしてオープニングからクライマックスまでの随所に散りばめられた殺陣シーンが早くも話題となっています。そこで今回は、本作の殺陣師として現在ここLAに滞在されている田渕景也さんに密着インタビューを敢行。日本を代表するスタント・コーディネーターのこれまでと、残すところ2週間余りとなった本作への意気込みに迫りました。今回お話を伺ったStunt Japan/スタントチームGocoo
所属の田渕景也さん。Photo by Mao Asou
そして20歳でアメリカへ渡ると、念願のスタントマンとして半年間「パワーレンジャー」シリーズに参加。続く2ヶ月間はオーストラリアへと撮影地を移しますが、そこでワイヤーが切れ、頭から4メートル落下する事故に遭ってしまいます。大ケガに加え、責任を押し付けあう制作側とスタント・コーディネーターとの間に板ばさみとなり、後ろ髪を引かれながらも帰国を決意。そうした苦い経験もありながら、現在アメリカの第一線で活躍する著名スタントマンにもらった「ケイヤがナンバーワンだ」との言葉を胸に、帰路に着くこととなります。帰国後は、再び京都に戻って時代劇の撮影に明け暮れるも、東京出身である為に煙たがられることもしばしばだったとか。けれどもそんな逆境にもめげることなく、いかに自身をアピールするかを模索し続けたという田渕さん。「ワンカットで5度死ぬ」という気持ちで立ち回りに絡んで行ったところ、3年後には彼に眉をひそめていた先輩方も「シーンに映りたいなら田渕の対角線へ出ろ」と若手を叱咤するまでになっていったそうです。
Q. 海外と日本それぞれの経験はいかがでしたか?また、帰国後10年近くに及ぶ立ち回りと斬られ役のキャリアについてお聞かせ下さい。
「充実度で言えば、海外が断然ですね。週5日の撮影以外も、スカイダイビングやトレーニングで実践として動いていましたから。ただその時は、それまでやってきたアクロバットの技とスタントがうまく噛み合ってなかったんですけど(笑)。それから帰って5年位経ってから、やっと出来るようになったんです。それは何でかと言うと、人に教えるようになったからなんですよね、不思議なんですが。それと立ち回りや斬られ役に関しては、今でも一番ポリシーを持っています。いつも思うのは日常において死ぬこと以外、実際に経験が出来るんですよね。だから死ぬ芝居っていうものだけは完璧な想像である訳で、それを誰よりも多く経験出来るというのはすごく重みを感じますし、とても幸福なことだと思って演じていました。」
殺陣の稽古シーンより。右手が田渕さん、左はLA在住
アクターの県敏哉さん。Photo by Mao Asou
「20歳頃にはもうなりたかったですね。自分自身が出ることに、あんまり喜びを感じなくなったりもして。というのは自分でやると、当たり前ですけど自分が思った通りになってしまって限界がありますし、まずダメ出し出来ないじゃないですか(笑)。自分より上手いなって思う若手のスタントマンが出て来たっていうのもあって。要するに、自分で出るより更に良いものを作りたいし、無限の可能性を見てみたいんです。」
Q. 念願の殺陣師になられてから、その後はいかがでしたか?
「デビュー後に自信を失った時期もありまして、チームを離れて印刷屋さんでカリスマになりかけたこともありましたね(笑)。ほんの2週間位だったんですけど、その時に今の社長から『殺陣師は出来る人にしか出来ないけど、お前にはやれる』とのラブコールを頂きました。それから映画「ラストサムライ (2003/邦題)」にスタントマンとして参加して、帰国後1発目に3時間ドラマの「さとうきび畑の唄 (TBS)」でスタント・コーディネイターに就いたのですが、その功績を認めて頂きまして、それ以降は本当に多くのオファーを受けられるようになりましたね。」
Q. キャリアのほんの一部ですが、近年のドラマでは「逃亡者」、「輪舞曲―RONDO―」、「華麗なる一族」、「ブラッディ・マンデイ」や「ルーキーズ」、映画では「ゼブラーマン」、「クローズZERO」シリーズ、本年度ヴェネチア国際映画祭のコンペ出品作「十三人の刺客」や来年公開予定の「のぼうの城」や「マイ・バック・ページ」といった名立たる作品に参加されていますが、この度の「UTSUTSU-[現]-Genesis: Blind Swordsman」を含めた舞台作品の経験は?
「これまでにTVドラマと映画では100本以上お仕事させて頂いてるんですけど、撮影時間には制限があり、そうした場合にはアクションシーンがカットされやすいことがあって、お芝居って何だろうって悩んだ時期があったんです。そんな時に、もともと「殺陣師嫌い」で知られていて、お仕事したら意気投合しちゃったという(笑)監督さんに薦められて、その方の初舞台で殺陣を付けたんです。そこで、やったことが一切カットされない責任感とか、舞台では全てが見えていること、お客さんの反応と反響の早さというのをものすごく強く感じまして。そこでやっぱり、芝居の原点は舞台にあるんだなって、それを切り取って映像にしていけば良いんだなっていう新しい発見がありましたね。それから、舞台のお仕事としては15本前後に携わっています。」
田渕さんが殺陣師を務める
「UTSUTSU-[現]-
Genesis:Blind Swordsman」
ポスター
「まずは立ち回りですね。きっと日本の同じものよりも面白いですよ!(笑)そして、人間の持つ不自由さでしょうか。目が見えなくなる主人公の道蔵だったり、不自由さが無ければ自由って感じられないと思うんですけど、葛藤の中で大事なことを伝える為に、役者みんなが頑張っているんだと思います。あとは演劇をやるにあたって、殺陣だったり踊りって、役者としてやるべきものだと僕は思うんです。だから今回彼らは本当に大変だと思うんですけど、これをやり切った時の充実感を味わってもらいたいという気持ちもあります。役者には僕の持っている愛を全部あげるんですよ(笑)。本番までの残り2週間で彼らに魔法をかけて、そして僕は抜け殻になって日本に帰ります!」
少年の面影を残すやんちゃな笑顔から一転、殺陣を付けながらの鋭い眼差しが強く印象に残る田渕景也さん。木刀でありながらまるで閃光が走るかのような一太刀、斬られ役として瞬時に生気を失って崩れ落ちるさまなどは、まさに筆舌に尽くし難い迫力です。この度、田渕さんのプランに賛同して渡米を果たしたスタント仲間であり同志の後藤健さんが称する通り、「ルービックキューブのような」無限の動きが盛り込まれた「UTSUTSU-[現]-Genesis: Blind Swordsman」。英語公演は11月19・20・21日、残る26・27・28日は日本語での公演を予定しています。LA近郊にお住まいの方々は、ぜひとも下記のリンクより詳細とチケット情報をご確認下さい。今後、日本のスタント界を背負って立つこと必至の田渕さん渾身の殺陣アクション、くれぐれもお見逃しなく!
粋Company主催「UTSUTSU-[現]-Genesis: Blind Swordsman」公式HP
TEXT BY アベマリコ