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2009年03月 アーカイブ

2009年03月05日

『チェンジリング』~クリスティンの敵と味方が実名で登場~

プロダクションノートをご紹介するこのコーナー、
今回も現在大ヒット上映中の『チェンジリング』から。
 
クリスティンの敵と味方が実名で登場

 1928年のロサンゼルス市は専制的な政治基盤に牛耳られていて、ジョージ・E・クライヤー市長がそれを率い、ジェームズ・E・デイヴィス警察本部長と拳銃を振り回す警官たちが力を振るい、街中をおびやかしていた。そんな中で、警察によって探し出された少年が「自分の息子ではない」と異議を唱えたクリスティン・コリンズは、本当の息子を追い求める長い旅路の中で、支援者と中傷者の双方のグループとめぐりあうことになった。

脚本のJ・マイケル・ストラジンスキーは、長老派教会のグスタヴ・ブリーグレブ牧師、著名な刑事訴訟弁護士のS・S・ハーン、クリスティンにとって最強の敵となったJ・J・ジョーンズ警部など、当時のクリスティンを取り巻いた人物をできるかぎり実名のまま登場させた。
 
 劇中でジョン・マルコヴィッチが演じるブリーグレブ牧師は、1928年当時、恐れを知らない地域活動家として名をはせていた。
自分のラジオ番組と説教を通じて、警察の腐敗を見過ごさないよう市民たちに訴え続けてきた彼は、クリスティン・コリンズの事件が起きたとき、彼女の弁護士と協力。

ウォルターの事件を埋もれさせず、さらに精神病棟におけるクリスティンへの非人間的な扱いを明らかにしようと尽力した。そのような努力が市の上層部たちの解任へつながり、蔓延していた腐敗を白日の下にさらす結果につながったのだ。
 
 ブリーグレブ牧師がクリスティンに与えた影響について、アンジェリーナ・ジョリーは、2人が「素晴らしい友人関係にあった」と語る。「当時の彼にはかなりの発言権があったから、彼女は牧師を頼ったし、彼のほうは彼女を教え導いたの。クリスティンは、ある種の自信を与えられたのだと思う。権威を持つ誰かによってしか与えられない種類の自信をね。
彼女が牧師から言われたのは、『君は狂っていないし、あの人たちは善人でもない。たとえ権威があったとしても、それに敬意を払うべきだということにはならない。君は彼らに疑問を突きつけるべきだ』ということよ。おかげで彼女は、自分自身の声を見つけられたの」
 
実名を使用したことで物語に一層深みが増し、
本作が“真実の物語”なのだということがリアルに感じられます。

映画を観た後、彼らの名前が頭に焼き付いて離れなくなっているかもしれません。


【チェンジリング 公式サイト】

TOHOシネマズ 日劇ほか全国大ヒット上映中!
(c) 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.  
※本作はPG-12指定です

2009年03月13日

『ワルキューレ』~ワルキューレ・ビギンズ~

プロダクションノートをご紹介するこのコーナー、
今回も現在大ヒット上映中の『ワルキューレ』から。
 
ワルキューレ・ビギンズ

 『ワルキューレ』で描かれるさまざまな事件は実話であり、キャラクターたちも実在の人物ではあるが、監督のブライアン・シンガーが映画で描いてきたストーリーや登場人物との共通点は多い。この映画の製作総指揮であり、シンガーとは長年にわたるパートナーであるクリス・リーはこう語る。
「昔からブライアンの映画が一味違うのは、白でも黒でもない登場人物や感情の複雑さであり、そういうものすべてが一定のペースやアクションで語られるところです。いろんなおもしろいキャラクターをバランスよく按配するブライアンの能力は、『ユージュアル・サスペクツ』に始まり、『X-メン』のシリーズでも受け継がれています。そして、それが『ワルキューレ』に登場するモザイクのようなすばらしい人物絵巻にも強力に生かされているのです」

ブライアン・シンガー、実話に挑戦
 
 シンガーにとって、『ワルキューレ』は初めての実話への挑戦というばかりでなく、ユダヤ人という生い立ちゆえに子供の頃からヒトラーやナチス・ドイツ政府が行なった恐怖政治に対して敏感に感じとっていた、歴史の中の暗黒の時期を掘り起こしたいという宿願への絶好のチャンスでもあった。
彼はこう言っている。「第三帝国を掘り下げてみたいという興味が昔からあったんだ。スティーブン・キングの中篇を原作にした『ゴールデンボーイ』という映画ではちょっぴりそれに触れて、1(ワン)のほうの『X-MEN』ではまた強制収容所のシーンがある。だけど、『ワルキューレ』は、ひとつの国家、ひいては世界の大部分を破壊してしまった指導者と、それを阻止しようと決断した男たちを描く驚愕の実話であり、ああいう世界をリアルに描く絶好のチャンスでもあったんだ」

1944年のベルリンを再現:ワルキューレの美術

 危険を承知で謀略に参加した人たちが経験した、不安や心の動きを浮き彫りにする映画だけに、撮影監督ニュートン・トーマス・シーゲルとシンガーは、独特であっても抑えた雰囲気にしようと話し合った。「かちっとしたフレーミングなのに、妙に斜(はす)に構えたアングル、つまり現代的なスリラーの要素に、あの時代の名作の雰囲気をブレンドしたんです。われわれとしては、一連の事件の全貌とか払った犠牲がいかに大きいかとか、そういうところをかなり重視したリアルなビジュアル・スタイルにしたかったんです。ライティングからもアングルからも、そしてカメラと被写体の関係からも、そのものズバリの真実性がかもしだせるようにです」

監督の細部にいたるまでのこだわりと、
それを支える多くのスタッフ・キャストの努力があったからこそ、
よりリアルに感じられる作品が仕上がりました。


【ワルキューレ 公式サイト】

3/20(金・祝)、TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー
(c)2008METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC. ALL RIGHTS RESERVED. 

2009年03月26日

『フロスト×ニクソン』~舞台から映画へ~

プロダクションノートをご紹介するこのコーナー、
今回は3/28(土)公開の『フロスト×ニクソン』から。
 
舞台から映画へ

 ピーター・モーガン作の「フロスト×ニクソン」は、2006年8月10日、マイケル・グランデージの演出によりロンドンのドンマー・ウェアハウスで開幕。その映画化への道のりは、ロン・ハワードとブライアン・グレイザーがこの芝居を観るためにウェスト・エンドへ足を運んだときに始まった。「2人とも即座にぴんと来たみたいだった」と、モーガンは証言する。「興味がどんどん湧いてきて、これが映画になると確信していたようだ」

 舞台を観たハワードが感銘を受けたのは、「2人だけで闘われる強烈な闘争を扱った心理性格劇」という点だった。 素材の素晴らしさに興奮して、ハワードは言う。「このインタビューは、世界中の何千万人が見たわけだけが、この出来事の本当のドラマは、2人の男の間のダイナミズムにある。それは知力を尽くした戦闘であり、どちらも職業的な人生を賭けて闘い、しかもどちらかいっぽうしか勝って立ち去ることができない。とどのつまりは、ニクソンの言い逃れの技術が勝つか、フロストの人に喋らせる能力が勝つかの勝負だ」

 当初、モーガンは、この舞台を決して映画に翻案できないと信じていた。「僕は、絶対に脚色できないように最善を尽くして戯曲を書いたんだ。舞台の上で生きることを運命づけられるように、非常に演劇的だと思えるようなものを書いたし、それが僕の望みだった」
 しかし、ハワードたちの説得によって映画の脚色を自身で手掛けることにしたモーガンは、
戯曲を書いたときよりも広範囲な調査を行うことになった。

「これまで僕は、一度も西海岸に行ったことがなかったんだ」と、モーガン。
「すべての物事が始まった場所――カリフォルニア州オレンジ郡に、実は行ったことがなかった。ニクソン博物館にも、ニクソン記念図書館にも、サンクレメンテにもね。あのヘリコプターさえ見たことがなかったし、彼の元で働いた人たちにも会ったことがなかった。これらの場所には、映画を作ると決まってからロンと一緒に行ったんだが、それはエキサイティングな体験だったよ」

 こうして出来上がったのが、かつてモーガンが不可能だと思っていた映画脚本だった。
「ピーター・モーガンが最初は戯曲の形で、今度は脚本の形で僕たちに与えてくれたものは、とても豊かで立体的な作品だ」とハワード。「とても面白くて、抜け目がない。さらに根底には、サスペンスと緊張感が満ちている」

2007年8月、『フロスト×ニクソン』の撮影は、ロンドンからニューヨークにムーブ・オーバーした
舞台公演の終幕の5日後に、クランク・インした。

映像化不可能といわれていた舞台版を見事スクリーンで再現し、
舞台では描ききれない物語の背景を加えたことで最高のエンターテイメント作品となった
映画『フロスト×ニクソン』。

2人の男の骨太なトークバトルをぜひ劇場でお楽しみください!

【フロスト×ニクソン 公式サイト】

3/28(土)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
(c)2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.

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