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2011年11月 アーカイブ

2011年11月15日

『インモータルズ -神々の戦い-』~圧倒的な映像美&壮大な世界観を支える石岡瑛子の衣装~

プロダクションノートをご紹介するこのコーナー、今回は11/11(金)公開の『インモータルズ -神々の戦い-』から。

本作の見どころのひとつである、イマジネーションの申し子ターセム・シンが創り上げたゴージャスな映像美と、『ザ・セル』『落下の王国』に続いて、ターセム・シン監督作品の衣装デザインを手がけた日本人ビジュアル・アーティストの石岡瑛子の衣装について、ご紹介します!。

■PRODUCTION DESIGN
250-design1.jpg本作の鮮やかで際立った冒険譚を創造するため、目を見張る視覚イメージを、大胆なアクションシーンと、力強いストーリーに結びつけました。監督がもっともインスピレーションを受けたのは、バロック時代の革命的なイタリア人画家カラヴァッジオ。光と闇を交錯させる技法を駆使し、キャンバス上に奥行きのある三次元世界を産み出した先駆者です。
ターセム・シン監督は撮影監督ブレンダン・ガルヴィンと一緒にドラマチックな照明と溢れる色彩を駆使し、息を呑むような官能的な画面を創り出しました。まさにそれはルネッサンス随一の個性的な芸術家が描いた驚異的な絵画を彷彿とさせます。「これこそ神の御手になる照明だ。あらゆるものに焦点が合って、すべてが発光している。この世でない世界から光が降り注いでくるようだ」とターセム・シン監督は絶賛しています。


■ART
250-design2.jpgこの映画の万華鏡のような多様な文化的表現は、古代ギリシャやローマだけでなく、チベット、ムーア、南アジア、アメリカインディアンの歴史や民間伝承の視覚的影響を受けています。伝説的な大波チョープーのような驚くべき自然現象、ボリビアの死の道などの人工的な驚異は、本作の夢の世界のようなセットや、荘厳な景観のインスピレーションとなりました。この映画のテーマである野望、欲望、復讐、混沌、狂気、勇壮を見事に視覚化した風景です。


■COSTUME
250-design3.jpg「石岡瑛子のような才能を雇って、たとえば『古典ギリシャの衣装でいこう』なんて、彼女の両手を縛るのは百害あって一利なしだ」とターセム・シン監督は言う。「それに『枠にとらわれずに』と言うのも的外れ。だって枠なんてないんだから。彼女はまったく異世界の住人だよ」

ハイぺリオンとその野蛮な軍隊のため、石岡瑛子は悪魔的な仮面をかぶせ、恐ろしく醜い顔を強調し、戦場で敵軍を脅かすために使わせました。一方でオリンポスの神々には、金色に輝く甲冑を身につけさせた。そして美しく繊細な巫女パイドラのためには、軽やかな真紅のシフォンドレスをまとわせ、若き乙女の強靱さと脆さを表現しています。
「瑛子の衣装は、映画を英雄的な王国へと昇らせるために欠かせないものだったわ」とパイドラ役のフリーダ・ピント。「自分のドレスを纏うと、それがしっとり素肌に馴染んで、すごく自信が湧いてきた。女性の官能性についての彼女の表現はとても素敵だわ」


なまめかしいほど美しく、艶やかで刺激的。これまでどんな映画も成し得なかった贅沢なギリシャ神話の映像体験を、ぜひご堪能ください!


【インモータルズ -神々の戦い- 公式サイト】

全国大ヒット上映中!

(C)2010 War of the Gods, LLC. All Rights Reserved.

2011年11月25日

『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』~真に迫る演技はいかにして生み出されたか?パフォーマンス・キャプチャーの舞台裏~

プロダクションノートをご紹介するこのコーナー、
今回は12/1(金)公開の『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』から。

原作の世界をパーフェクトに再現するために採用された、
パフォーマンス・キャプチャーと呼ばれる最新技術についてご紹介します!

真に迫る演技はいかにして生み出されたか?パフォーマンス・キャプチャーの舞台裏

2年間におよぶリサーチ、開発、デザイン、プリプロダクション、脚本執筆、キャスティングの過程を経て、遂に俳優とフィルムメーカーたち、そして200人を超えるスタッフらがエルジェの世界観を再現するべく、カリフォルニア州プラヤビスタに拠点を構えるジャイアント・スタジオズのパフォーマンス・キャプチャー用サウンドステージに集結しました。ここではジェイミー・ベル、アンディ・サーキス、ダニエル・クレイグをはじめとするキャスト陣による魂のこもった感情豊かな演技が余すところなく捉えられ、あたかも錬金術のごとくインクと水彩画で描き出されたエルジェの物語世界を忠実にデジタルで新たに創造していきます。

ひとたびサウンドステージに入ると、監督スピルバーグは日々革新を繰り返しながら、パフォーマンス・キャプチャー技術に語り手としての彼独自の直感を融合させ、視覚面での様々な難題を斬新な手法で解決するべくチームと共に創意工夫の限りを尽くしました。その結果、彼とジャクソンは、最終形となる3Dアニメーション映像を見ながら、従来の撮影のように監督がその場その場で俳優たちに指示を与えるというやり方を可能にする“バーチャル・カメラ”なる画期的システムを開発し、パフォーマンス・キャプチャーの分野に革命を起こしたのです。

「従来の撮影現場で大切にしている“ひらめきの瞬間”といったものを捨て去ることはしたくなかった。そこで現場での作業をよりスムーズにする新たな手法を考え出すことにしたんだ」とスピルバーグは語ります。

パフォーマンス・キャプチャーの場合、従来のセット撮影とは違い、360度のアングルから捉えた映像データをコンピュータに取り込み3次元空間に変換することが出来るよう、グリッドに沿って100個あまりのカメラが装備された天井を持つ“ボリューム”と呼ばれる白とグレーのステージで撮影が行われます。“ボリューム”では、すべての俳優(およびワイヤーで構成された小道具と装飾一式)が無数の反射ドットを身につけて演技することで、そのドットの動きが60分の1秒という速さでカメラに捉えられ、3D映像に変換されます。

加えてさらに8つのHDビデオカメラが生の演技を余すところなく捉えており、これは後にアニメーターらが俳優たちによる演技をデジタル映像として処理する際、恐怖や友情といった様々な感情を表現するしかめ面や微笑、身体の震えといった些細なニュアンスを確実に取り入れるための参照に使われます。

TVゲームのコントローラーより少し大きなサイズのモニター付き専用装置を使ってバーチャル・カメラを操作しながら、スピルバーグは“ボリューム”内を自由自在に動き回り、俳優たちのアバターが映像空間と絡み合う様子をモニター上で観察しつつ、リアルタイムでシーンを作り上げていきました。俳優たちもまた、スタジオ内の随所に置かれたモニターで仮想映像空間における自分たちの姿を実際の目で確認し、それに対しその場で反応することが出来るという仕組みです。「リアルタイムで映像を確認出来る機能は、監督にとっても俳優たちにとっても非常に有効なんだ」と視覚効果スーパーバイザーのジョー・レッテリは言います。

バーチャル・カメラはスピルバーグの創造力に火をつけ、彼にとって今までにはなかったやり方で光とイメージを駆使し、映像を描き出すのを助ける強力な新兵器となりました。

スピルバーグはこれに加えて、より深みのあるキャラクターを構築するため、『ロード・オブ・ザ・リング』におけるゴラムのリアルな感情表現や、ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』における浮世離れしたパンドラの住人たちを作り出すことを可能にしたWETA開発による“イメージベースド・フェイシャル・パフォーマンス・キャプチャー”と呼ばれるプロセスを採用することにしました。このシステムは俳優たちが小型カメラ搭載のヘルメットをかぶって演技することで、顔に向けられたカメラが目や口、表情筋などの細微な動きを間近でデジタル録画することが出来るというもので、スピルバーグが重点を置く「その瞬間の感情に忠実な演技」を逃さず捉えるのに貢献しました。

スピルバーグは「この映画に登場するすべての人物には、デジタル処理されたその姿を通して、それぞれを演じる俳優たちによるエモーショナルな渾身の演技が活き活きと見て取れる。エルジェのキャラクターたちが、感情あらわに魂をさらけ出す生身の人間として生まれ変わる様子を目の当たりにするのは、実に驚くべき体験だったよ」と語ります。

パフォーマンス・キャプチャーにかけては世界中の誰よりも経験豊富なアンディ・サーキスは、リーダー的存在としてキャスト仲間をサポートしました。長年様々な現場でこの特定のプロセスを体験してきたサーキスでしたが、そんな彼でもスピルバーグとジャクソンがお互いに変化をもたらしながら共同で仕事に取り組む様子には、大いに刺激を受けたと言います。「2人が創造性をぶつけ合ってお互いを高めていく姿を見るのは、すごく刺激的だったよ。2人とも映画作りに対する情熱が抑えきれないといった感じで、まるで初めての映画を撮っているかのようなエネルギーに包まれていた。次々とアイデアが溢れ出して来て、目が回るほどだったよ」

相当な時間を要するプロセスだという点でも、パフォーマンス・キャプチャーは俳優たちにとって新たなチャレンジとなりました。俳優たちは毎朝、撮影開始に先立ち顔と身体用に2回の“モーション・レンジ”スキャンを行わなければなりません。スキャンで動きを取り込むことにより、カメラが“ボリューム”内の俳優たちを認識してスケルトン・モデルに変換する。それをポストプロダクション段階でデジタル処理されたキャラクターに重ね合わせるというわけです。

“ボリューム”について、映画のセットというよりはむしろミニマルアートの舞台のように感じたと語るジェイミー・ベルは、そういった側面が逆に演技の質を高める結果となったと言います。「実際のセットが自分の頭の中にしか存在しないという点で、すごく面白い体験だったよ。演じている間はキャラクターに命を吹き込むことに集中するわけだけれど、ハートと魂を込めた演技や怒りなどといった感情表現が、3Dアニメーションの世界でも見事に再現されているのには驚いたね」

ベルは数々のシーンでワイヤーフレームからなるスノーウィ、スタント用のぬいぐるみスノーウィ、そして車輪つきの連結式スノーウィという3種類のスノーウィ相手に演じなければならなかったが、これらはすべて小道具主任を務めるブラッド・エリオットの手により操作されたもので、エリオットはジム・ヘンソンのもと長年パペットを扱ってきた実績を大いに活かし、リアルなパフォーマンスに貢献しました。「俳優たちにとっても、実際に絡むことが出来る相手がいる方がやりやすいだろうし、スノーウィは映画の中でも主役級ですから、そんな重要なキャラクターを任せられて光栄だったよ」とエリオットは語ります。

スピルバーグが撮影を通してパフォーマンス・キャプチャーの舞台では何でもあり、といった雰囲気を演出するよう努めたこともあり、キャスト陣はスピルバーグとジャクソンの両者が見守る中、“ボリューム”で自らスタントをこなしたり、飛行機や自動車、船といった乗り物をかたどった特注のジンバルに乗って演技したりと、のびのびと即興を繰り広げたのでした。

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