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2012年06月 アーカイブ

2012年06月12日

『スノーホワイト』~ミラーマンと魔法の生き物たち:その他のVFX~

プロダクションノートをご紹介するこのコーナー、
今回は6/15(金)公開の『スノーホワイト』から。

『スノーホワイト』では、その斬新な映像を作り上げるため、
VFXのプロフェッショナル達がその技術を結集させています。


ミラーマンと魔法の生き物たち:その他のVFX

キャラクター描写やシーンを盛り上げるためには、視覚効果の魔法の手を借りる場面はある。『スノーホワイト』で見られるサンダースの作品世界のビジョンを実現するために、サンダースとプロデューサーたちは、世界中から8社の熟練したVFX会社の助けを求めた。

 VFXスーパーバイザーのニコラス=トロヤンとフィリップ・ブレナンの指揮の元、各VFX製作会社は、以下のように仕事を行った。リズム&ヒューズは、森の番人たちと黒い森の生き物たちに関するVFX と、妖精のCG、闇の妖精のCG、カササギのCG、カラスのCG。ダブル・ネガティブ・ビジュアル・エフェクツは、黒い森の生き物たち(闇の妖精を含む)の製作の補助、およびラヴェンナの影の軍隊が分裂する時の複雑なVFX。ピックス・モンドは、ラヴェンナの影の軍隊の製作をすると同時に、群衆の複製やCGセットエクステンションを補助。ザ・ミルは、ミラーマンの開発。ブルー・ボルトは、マグナス王の城を造るとともに、CGセットエクステンション、マットペイント、そして進行する軍に向けてラヴェンナが放つCGの炎の玉などの調整。ベース・ブラックは、 マットペイントとCGセットエクステンション。ローラVFXは森の番人たちのイメージ想像の補助と、ラヴェンナの顔の老化と顔の差し替えの調整、および凍った状態のスノーホワイトのVFX。ハイドラックスは、剣のCGとラヴェンナの変身シーンの仕事をした。

 ラヴェンナの鏡部屋には、白雪姫の物語を代表するアイコンである例の鏡が壁際に立てかけられている。人が欲しがるものであるが、呪われてもいるこの鏡は、時が過ぎゆくうちに身体を持つ存在になっている。ラヴェンナが自分の姿を気にしてばかりいる故に、彼女の魂と暗い無意識が鏡に映し出されるようになったのだ。実際、鏡はラヴェンナが、いかなるものになってしまったかを、映すことが出来る。鏡は、彼女が無意識下に気づいていることを暴き、彼女が決して誰にも見せてはならないと思う真実を明らかにするのである。

 サンダースのミラーマンのアイデアのヒントになったのは、ロンドンを本拠にする才能あるアイルランド人芸術家ケヴィン・フランシス・グレイの “Face-Off”という彫刻である。「鏡に映るラヴェンナをカメラで捉える必要があったので、ラヴェンナがそこに自分が映っているのを見るための相手として、立っている別のミラーマンも用意することになった」とニコラス=トロヤンが説明する。「 すべてザ・ミルのチームがCGで造ったものですが、このミラーマンはいつでも固体にも液体にもはっきりとはならない 。これは意図的なもので、必ずしも良い方向にではなく常に変わっていくラヴェンナのキャラを反映させたものです」

 ミラーマンとのシーンで、セロンは、実際にREDカメラを組み込んだフィギュアと向かい合って演技をした。これは、彼女の姿が現実のシーンでは鏡にはどう映って見えるかを録画するためである。この時、ミラーマンの声を担当するクリス・オビが、オフ・セットからセロンに対してミラーマンのセリフで応じていた。


VFXスタッフの魔法がかかった驚異の映像の数々をぜひお楽しみください!


【スノーホワイト 公式サイト】


6/15(金)、TOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー

(C)2012 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

2012年06月19日

『スノーホワイト』~マントと戦闘具:スノーホワイトの衣装~

プロダクションノートをご紹介するこのコーナー、
今回は6/15(金)より、全国大ヒット公開中の『スノーホワイト』から。

白雪姫の物語に 斬新な映像と予想外の新展開を注ぎ込んだ驚異のアクション・アドベンチャー超大作『スノーホワイト』。ドレスを脱ぎ捨て、武器を手にした“戦う白雪姫”の衣装とは?

マントと戦闘具:『スノーホワイト』の衣装

ルパート・サンダース監督とプロデューサーたちは、クリエイティブ部門の責任者たちを、それぞれの持つ専門技能を慎重に考慮して選んでいった。『アリス・イン・ワンダーランド』『シカゴ』『SAYURI』で
アカデミー賞を受賞している先見的な衣装デザイナーであるコリーン・アトウッドには、驚くほど複雑かつ注意深く組み立てたデザインの衣装を『スノーホワイト』のキャラクターたちの身にまとわせ、現代の観客に提示するという挑戦的な仕事が与えられた。

アトウッドは、サンダースと広告方面で、長らく一緒に仕事をしてきた経験があった。サンダース監督は、「彼女がこの映画の仕事を引き受けてくれた時には信じられない思いだったよ。この映画にとって衣装はとても重要だったからね。ファンタスティックでなければいけない一方で、十分リアルでもなくては、俳優たちが作品世界に溶け込む助けにならず、それでは却ってマイナスになる。彼女の衣装は、映画の世界に滑らかに溶け込んだだけでなく、この世界と登場人物たちについて多くを語ってくれた」と語る。
 映画の衣装を考えるにあたり、特に博物館で霊感を得るのが彼女の好みのやり方だ。ロンドンに
あるウォーレス・コレクションは、ヨーロッパ随一のコレクションを所蔵しており、この映画においてアトウッドを大いに助けた。彼女の調査旅行は、彼女をイスタンブールにも行かせた。彼女は、「数日かけて、織物や切れ端とかを買い込んだの。それによって、衣装のスタイルを映画全体としてどうまとめるか、見当がつけられた。そこで購入したものは、全部この映画の中でふさわしい形で使わせてもらった。むろん、まだその他に何百も大量生産の衣装素材が必要だったけれど、イスタンブールは手織りの素材を見つけるのにとても良い市場だった。見ているだけで様々なアイデアも浮かび、自然素材で染めた美しい羊毛などを見つけるには最高の場所でした」と説明する。

アトウッドは、サンダースの劇場映画初監督作品に参加できることに、大いに発奮し、主役のスノーホワイトに対する観客の共通イメージを大事にしながら、自分の世界観を加えることができると確信していた。「白雪姫はわたしが子どもの頃に最初に見た映画のひとつだった」と振り返る。「ディズニーのキャラクターには何か魔法があって、白雪姫の衣装は好きだったけれど、わたしたちの映画で赤、青、黄色の衣装を彼女に着せるわけにはとてもいかなかったわ」

スチュワートの演じるスノーホワイトは、とても活動的なキャラクターである。アトウッドは、現代的に見えながら、物語の進行に伴いカスタマイズできる衣装をデザインした。「映画の大半を通じてスノーホワイトが着る衣装は、クリステンの緑色の瞳に非常に良く似合う美しい緑色のスエードで出来ている。その衣装は幾つかのレイヤーを持っていて、下には脚部を覆うパンツもあって、活動的に動いても、スカートをブーツに固定するなどの、衣装の修正をしないで済むようにしたわ」とアトウッドは語る。「そのドレスは、最初は丈も長いのだけれど、旅の途中でハンターによって仕立て直されるの。そこではじめて、脚部のパンツも露わなドレスの短いバージョンを観客が見るのだけれど、これは元々の白雪姫の物語の世界に留まりながらも、今日の女の子たちが格好良いと思ってくれると期待しているの」

スノーホワイトは、彼女の旅の終盤、彼女の国民の未来のために戦うことになる。彼女のキャラクターの成長と共に、彼女の衣装も変わるのである。そのために、アトウッドは、スチュワートが馬上や戦場で着るのに適した甲冑一式をデザインした。「戦いに出るにあたって、スノーホワイトはちゃんとした甲冑を用意する余裕はないの」とアトウッドはコメントする。「そこで、いろいろな甲冑の部分を寄せ集めて甲冑一式にしたように見えるものを作ったの」さらに、「しっかりあつらえられた甲冑に見えないようにしたの。それを着て、馬に乗り戦うことは出来るが、それが慌てて寄せ集められた甲冑だと、観客にははっきり見て取れるように、脚部の甲冑は片方欠けているし、全体が左右対称になっていないわ」と付け加える。
アカデミー賞受賞衣装デザイナーにとって、白雪姫の衣装を手がけることは楽しかったようであり、「クリステンと同じような年齢の娘がわたしにはいるのだけれど、彼女たちの年齢世代がピンとくるものをデザインしたかった。ファンタジーの仕事がわたしは多いのだけれど、若い女性の服をデザインするのは大好きだわ」と振り返っている。

“衣装の魔術師”がビジュアルにおいても、これまでの白雪姫のイメージを一新させた
『スノーホワイト』。
ぜひスタッフのこだわりが詰まった衣装の数々にも注目して、お楽しみください!

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全国大ヒット公開中!

(C)2012 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

2012年06月26日

『スノーホワイト』~薄暗い城と樹齢800年のオークの木:セットのデザインとロケ地~

プロダクションノートをご紹介するこのコーナー、
今回も、6月15日(金)より全国大ヒット公開中の『スノーホワイト』から。

これまでの白雪姫のイメージを一新させ、破格かつ壮大なスケールで描かれた本作。ルパート・サンダース監督がこだわった撮影用セットの建設についてご紹介します!

薄暗い城と樹齢800年のオークの木:セットのデザインとロケ地

スノーホワイトが住む世界は『ボーン・スプレマシー』のドミニック・ワトキンスによってデザインされ、そのほとんどが、英国のバッキンバム州にあるパインウッド・スタジオにセットとして造られた。ルパート・サンダース監督にとって、撮影用に実際のセットがあることは重要で、これは大きいセットの代わりに大規模グリーン・スクリーンの前で仕事することの多い俳優陣や撮影クル―にとっても珍しいご褒美であった。
容易に想像されるように、そのセットの建造は大がかりなものとなった。サンダースは「週末ごとに、作らなければならないセットが3つか4つはあったから、上から見たらパインウッドはまるで迷路のようだったよ。ハモンドの城を抜けると、すぐラヴェンナの城に着くといった具合にね。さらにそれを抜けると、トロールの橋があった。そのトロールの橋が、氷で覆われた荒野に造りかえられている間に、傍に村が出来あがる。何もかもが、文字通りくっついている感じ。」と言う。

パインウッドに造られた23個ほどのセットのうち、もっとも大規模だったのは、ラヴェンナによって王国の支配を奪われて、自分は殺され、自分の王国は生命を吸い取られてしまったマグナス王の立派な王城である。不気味さを醸し出すこの城は、パインウッド・スタジオの入り口脇にある駐車場に造られ、建造に要した24週間と撮影に使われた4週間の間、周囲の地平線を圧倒的に占有した。「ひとつの項目としては、この映画最大の出費であり、わたしたちが最初にアイデアを固めなければならないセットでした。城の内部と外部というコンセプトがしっかり結び付けられたデザインでしたから」と美術総監督のデイヴ・ウォーレンが語る。「ドミニックとルパートは、この城には浜から続く敷石道路からだけ近づける、というコンセプトを持っていました。そうしたら、岩の多い峡部半島に美しい浜があり、これが島に続くという、そのイメージにぴったりの場所を発見したのです。それで、さらに城のデザインのアイデアが膨らんでいきました」

ウォーレンの言う浜とは、ウェールズのペンブルック州にあるマーローズ浜であり、ここでメイン撮影ユニットは1週間かけて、スチュワート演じるスノーホワイトとヘムズワース演じるハンツマンが結集した軍勢の大掛かりな戦闘シーンを撮影した。この浜辺のシーンは、素晴らしい地形を背景に撮影された。浜辺の岩はとても珍しい形に傾いていたが、美術班が岩のいくつかを「圧縮」することで「形」取りを行った。この技法により、パインウッドの城内部に、同じ景観を再現することができたのである。

「圧縮」するためには、必要な領域をシリコンの層および網細工に似た素材の層で覆い、これが固定するまで待つ。この「形」を石膏ないし泡状物質で補強し、それをパインウッド・スタジオまで運んだのである。そのシリコンの「形」から、欲しい形や肌合いが再現された。同じように「圧縮」で再現されたのは、トリタワーヴィレッジの石やスレート、アイヴァ―の教会の壁の肌合い、そしてロンドンの聖バーソロミュー教会の円柱である。 2000平方フィートを超えるポリスチレンと700枚もの各種の模様をした岩が、パインウッドの駐車場に、マグナス王の城とハモンド公爵の城、双方の城を造るために使われた。

王城は映画中の時の経過により、さまざまな変化が起こる。マグナスの治世の間には、壁を色とりどりの旗が飾り、宮廷の人々は明るい色の衣装に身を包み、花々が咲き誇っている。彼の不意の死後、城はラヴェンナの暗い嗜好に塗り替えられていく。黒一色で、邪悪な女王の心同様毒々しく、地面は死んだ蔓で覆われ、壁には破れ欠けてボロボロな、血のように赤い旗だけが飾られる。

製作スタッフ渾身のセットにも注目して、斬新な映像と予想外の新展開を注ぎ込んだ『スノーホワイト』の世界観をぜひ劇場でご堪能ください!

【スノーホワイト 公式サイト】

全国大ヒット公開中!

(C)2012 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

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