TEXT BY ミドリ・モール(弁護士・ライター)

 ハリウッド・フィルム・フェスティバル

 新人がハリウッドでデビューする方法にはいくつかある。フィルム・フェスティバルで賞をもらうこと。著名なフィルム・フェスティバルに限る。賞を逃しても、ハリウッドのスタジオの幹部から見出されるチャンスもありうる。今回は、数あるフィルム・フェスティバルの中からロサンゼルスで開催されるハリウッド・フィルム・フェスティバルを紹介しよう。
 ハリウッド・フィルム・フェスティバルは、映画産業のお膝元であるカリフォルニア州、ロサンゼルス市、ハリウッド商工会議所といった政府機関とハリウッドがスポンサーするフィルム・フェスティバル。今年は10月12日から18日までの間開催された。他のフィルム・フェスティバル同様、映画作品の試写会、セミナーそして、授賞式とパーティといったメニューだ。試写会とセミナーはハリウッドでも屈指のデジタル設備の映画館アークライトで行われる。
最新デジタル設備のあるアークライト・シネマ
 最終日に受賞式とパーティがビバリーヒルズ・ホテルで開催される。出席者はブラックタイの正装で登場する。今年の受賞者は、ジョン・トラボルタ、「パッション」で話題を呼んだメル・ギブソン、マイケル・マン監督、映画出演はないけどレオナルド・デカプリオ、アネット・ベニング、「コラテラル」で人気急上昇のジェイミー・フォックス、そしてキーラ・ナイトレイといった面々だ。
ジョン・トラボルタ、ケリー・プレストン夫妻 ウォーレン・ベイティ、アネット・ベニング夫妻
 セミナーではハリウッドの現役プロデューサーやスタジオ幹部たちが、新人にどうやって自分たちの映画を売り込むかの手ほどきを指導する。10月15日から17日までの3日間のセミナーでは、マーク・リトワック弁護士がモデレーターとなって、業界人のパネリストたちに様々なテーマで話しをしてもらった。聞き手からの質問にも答える。インディ系のフィルム・メーカーを対象としたセミナーでは、ハリウッドでの資金調達方法、どうやって自分の作品を売り込むか、マーケティングと宣伝広告について、といったテーマが人気だ。
 金はないが、パッションとアイデアは200倍という新人監督、脚本家、プロデューサー。どうやって自分の作品をハリウッドに売り込むか?壁は厚い。ハリウッドで作られている映画は、名の売れた映画の続編やリメイク傾向が強い。それはハリウッドの幹部が保身のためリスクをとりたくないから。オリジナルで新しいコンセプトの映画はハリウッドの方程式にはまらない。オリジナルのアイデアでこれはいけると信じているならば、予算は低く抑え、すばらしい脚本を準備し、ある程度知名度のあるタレントをパッケージすることが大切だという。脚本が良ければ、人と金は集まる。
 最初の作品は低予算で作り、フィルム・フェスティバルで認められること。そして新聞や業界誌で良い批評を得ることが必須だ。最初の一歩が肝心。作品が配給されればベストだが、作品のテーストが気に入られれば、スタジオからの資金調達で映画を作るチャンスもあるという。どういった作品を作ってきたかが、フィルム・メーカーの履歴書になり、次へのステップとなるそうだ。ハリウッド・フィルム・フェスティバルに作品を出展したいフィルム・メーカーはチャレンジしてみてはいかが。
モデレーターを務めたマーク・リトワック弁護士
 
ハリウッド・フィルム・フェスティバルのサイトは
http://www.hollywoodawards.com/festival.html


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