TEXT BY 尾崎佳加

 授賞式シーズンです!! “ロード・トゥー・オスカー” その4
 黒人俳優が大健闘! 第11回SAG賞受賞式

今月5日、米映画俳優組合がSAG(Screen Actor Guild)賞を発表した。これでオスカーの行方を占うメジャー映画賞は全て公表!映画界最大の賞に向けてリードする俳優が徐々に明らかに…
昨年は大作に恵まれた年だった。『ロード・オブ・ザ・リング』のように3年越しで完結するようなマンモス大作もなく、超ヒット作と呼ぶにふさわしい映画がなかった今年は、少々物足りなさを感じる。だが、よく考えてみると、1作品に各映画賞を総ナメされてもかえって白けてしまうもの。候補作にばらつきがあるほうがかえってバランスが取れ、映画ファンとしても楽しめるというものだ。そしてなにより、今年は作品こそ控えめなものの、俳優たちの素晴らしい演技がきらめいていたことに注目したい。
今年はまた、黒人男優が大活躍した年でもあった。SAG主演男優賞でもドン・チードル(『ホテル ルワンダ』)とジェイミー・フォックス(『Ray/レイ』)の2人がノミネート入りを果たした。トロフィーを手にしたのは、米国の伝説的ミュージシャンを演じるという重いプレッシャーに耐え、見事な演技を見せたフォックスのほう。フォックスにとっては全米映画批評家協会賞、ゴールデングローブ賞に続き、3つめの受賞となった。
フォックスはまた、『コラテラル』でも助演男優として候補にあがっていたが、こちらは『ミリオン・ダラー・ベイビー』で元ボクサー役を好演したモーガン・フリーマンが持ち帰った。
2001年、デンゼル・ワシントンとハル・ベリーが黒人俳優初のオスカー受賞を果たして以来、ハリウッドは白人俳優以外のパフォーマンスを素直に称えるようになった。昨年はSAG、ゴールデン・グローブ、そしてオスカーの3大映画賞にノミネートされた渡辺謙がアジア人俳優のダサいイメージを一掃してくれた。鎖国を解いたハリウッド映画では今後、人種の垣根を越えて、さまざまな俳優たちが活躍を見せてくれることだろう。
主演女優賞は多くの予想通り、ヒラリー・スワンク(『ミリオンダラー ベイビー』)が余裕の受賞を果たし、助演女優賞 はケイト・ブランシェット(『アビエイター』)が選ばれた。これでいよいよ「ロード・トゥー・オスカー」レースでリードする候補者たちが明らかになってきた。
連載244( “ロード・トゥー・オスカー” その3 )で予想したオスカーウィナーたち。この中では、ヒラリー・スワンク(主演女優)、モーガン・フリーマン(助演男優)、ケイト・ブランシェット(『アビエーター』)の受賞はほぼ確定としていいだろう。でも、レオナルド・ディカプリオの主演男優賞はジェイミー・フォックスの大健闘ぶりに押され、暗雲がただよい始めた。監督賞も、クリント・イーストウッドが米監督組合賞(同賞受賞者56人中50人がアカデミー監督賞を獲得している)に選ばれたことから受賞する可能性がでてきたし…。
エイガファンの予想は的中するか、はたまた大どんでん返しの大ハズレに終わるか!?
授賞式は27日発表、乞うご期待!
次週、授賞式シーズンです!! “ロード・トゥー・オスカー” その5
嗚呼、レッドカーペット!! ベスト&ワーストなドレッサーたちにつづく…。


■米映画俳優組合 SAG(Screen Actor Guild)賞オフィシャルサイト> http://www.sagawards.com/
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