TEXT BY 尾崎佳加

 「ロード・トゥー・オスカー06」 Part. I  視聴者が選ぶもうひとつのオスカー、ベスト・オブ2005

米国の映画データベースサイトといえば、IMDb(The Internet Movie Database/インターネット・ムービー・データベース)の右に出るものはない。ハリウッドの超大作、独立系作品はもちろん、海外のショートフィルムやテレビシリーズなど「そんなものまで!」と驚くほど広範囲に渡ってモーションピクチャーのデータを網羅するマンモスサイトである。
IMDbはもともと、各国の映画好きがオンラインで集う場所として立ち上げたサイト。それぞれのユーザーが好きな映画にまつわる情報を持ち寄り、データベースを構築していくといういわばウィキの走りだが、その情報の細やかさは類をみない。出演者や監督といった作品の製作情報のみならず、撮影エピソードなどのトリビア、印象的なセリフの抜粋、ロケ現場情報などまでカバーするほど徹底した追っかけぶりが世界の映画ファンを呼び集め、月に数百万のビジターが訪れるメガサイトになった。
各国の観客の率直な意見を反映しているIMDbだが、授賞式シーズン一番の関心事はやはりオスカーの行方。現在「ロード・トゥー・オスカー06」という特集を設けているが、それと同時に注目をあつめているのが独自の映画賞。世界中の映画ファンの投票で決まるこの賞、IMDb's Bestは、実際のファンだけの意見を反映しているという点ではある意味オスカーよりも重要な賞である。以下はIMDbの登録メンバーの投票で決めるランキング「ベスト・オブ2005」の結果である。
【IMDb's Best of 2005】
作品賞:「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」
監督賞:ピーター・ジャクソン(「キング・コング」)

主演男優賞:ヒース・レジャー(「ブロークバック・マウンテン」)
主演女優賞:リース・ウィザースプーン(「ウォーク・ザ・ライン/君に続く道」)
助演男優賞:ジェイク・ギレンホール(「ブロークバック・マウンテン」)
助演女優賞:ミシェル・ウィリアムズ(「ブロークバック・マウンテン」)

コメディー作品賞:「ウェディング・クラッシャーズ(原題)」
ホラー作品賞:「ソウ2」
アクション作品賞:「バットマン・ビギンズ」
ファミリー作品賞:「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」
ドキュメンタリー作品賞:「皇帝ペンギン」
アニメ作品賞:「マダガスカル」
インディペンデント作品賞:「ブロークバック・マウンテン」
作品賞(外国映画部門):「カンフーハッスル」

ポップコーン賞(エンターテイメント作品賞):「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」
他の映画賞では社会問題や実話に基づいたドキュメンタリー色の強い作品が注目を集めるが、一般による投票で選出されるIMDb賞はピープルズ・チョイス賞と同様、エンタテインメント色の強い娯楽作品に票が集まった。俳優部門は「ブロークバック・マウンテン」が総なめ、複雑な役どころが評価された俳優陣の功績を表した。
ジャンル別部門には、昨年ボックスオフィスヒットを放った作品が同窓会のごとくわいわいと名を連ねている。ドラマ部門がないのは娯楽性を最重視するという傾向の表れなのか。それを裏付けるように、IMDbはポップコーン賞(ポップコーンをほおばりながらお気楽極楽に楽しめる娯楽性の高い作品)というユニークな部門を設けており、「ハリー・ポッター~」が他2部門とともに栄冠を持ち帰った。
ベストがあればワーストがあるのが世の常…。IMDbワースト・オブ2005は次週発表!
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