TEXT BY 尾崎佳加

 授賞式シーズン レッドカーペットファッショレポート

授賞式シーズンのもう一つの醍醐味といえばやはりレッドカーペットウォッチ。女優たちがその年最も注目を浴びる式典に選ぶドレスはどれもクチュール特製の逸品ばかりだ。今回は第63回ゴールデン・グローブ賞から注目の着こなしをレポート。
まずは、ハリウッドでも注目度が高まりつつある英国出身のレイチェル・ワイズ。今年「ナイロビの蜂」で女優助演賞を受賞したワイズはDonna Karan(ダナ・キャラン)のイブニングドレスで出席。監督のダーレン・アロノフスキーとの間に第一子を妊娠中で、ふくらんだ腹部から視線を奪うように絞り上げた胸元の結び目がほどよいアクセントになっている。肌の色と対照的なゴールドブラウンの落ち着いた発色が大女優の風格を醸し、上品な着こなしになっていた。

←レイチェル・ワイズ
(c)HFPA / 63rd Golden Globe Awards
続いて、目の覚めるような真紅のイブニングで登場したジーナ・デイビス(TVシリーズ「コマンダー・イン・チーフ」で主演女優賞受賞)。赤のドレスをチョイスした女優はスカーレット・ヨハンソン、エヴァ・ロンゴリアの他多数いたが、最も存在感を放っていたのはデイビスの選んだ「Escada(エスカーダ)」だった。胸元に無数に散りばめたクリスタルの輝きに、ひざ下から大きめのプリーツがつくるマーメード調のトレインがレッドカーペットに映えること。ともすればレッドカーペットの鮮やかな赤に溶け込んでしまいがちな着こなしの難しい赤のドレスだが、女性大統領役で培ったデイビスの貫禄があればこその成功例である。

                                  ジーナ・デイビス→
(c)HFPA / 63rd Golden Globe Awards
また、個性豊かなドレスで注目をさらったチャン・ツィイー(「SAYURI」で主演女優賞にノミネート)は「Giorgio Armani(ジョルジオ・アルマーニ)」をセレクト。幾層ものシフォンを折り重ねたトレインをカーペットに遊ばせたイブニングドレスを鮮やかなレモンライム色で統一していた。グラミー賞のグリーンカーペット(スポンサーのバドワイザーの意向でイメージカラーを採用)ではワーストドレッサーになりかねない際どい発色だが、ツィイーの黒髪と清楚な顔立ちで派手すぎないコーディネートに納まった。

←チャン・ツィイー
(c)HFPA / 63rd Golden Globe Awards
そして、色んな意味で今年最も話題になったドレスはリース・ウィザースプーンの「Chanel(シャネル)」のカクテルドレスだろう。シャンパンゴールドにひざもとにあしらったフリルが愛らしく、小柄なウィザースプーンにぴったりマッチしていたこのドレスだが、話題になったのはその着こなしではなく「着まわし」のほうだった。
というのもこのドレス、キルステン・ダンストが2003年のゴールデン・グローブで着用したドレスと同一のものだということが発覚。ウィザースプーンは「ウォーク・ザ・ライン/君へ続く道」で最優秀女優賞を受賞した晴れの舞台に他人の「お下がり」を着せられたというわけ
 
                              リース・ウィザースプーン→   
(c)HFPA / 63rd Golden Globe Awards
ウィザースプーン側のレップによると、シャネルからはドレスはヴィンテージだと聞かされていたが、実は3年前のコレクションで発表したばかりのデザインだったのだ。これじゃヴィンテージじゃなくてリサイクルだと怒ったウィザースプーンの広報は、他にもジェニファー・ロペスやレニー・ゼルウェガーをクライアントに持っており、今後は彼女たちにもシャネルは着せないと宣言してしまった。

大手ハウスの失態(連載264)が目立つ今日この頃、オスカーのレッドカーペットからシャネルの名が締め出される可能性も出てきた。この事はまた後日レポートしたいと思う。


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