TEXT BY 中条佳子(N.Y.在住) |
11月に入るとこちらはすでにホリデーシーズンに突入、サンクスギビングやクリスマスに向けて人々は浮き足立ってくる。この時期になると様々なコンサートやイベントが行なわれるが、その中で最も注目させているブロードウェイ・ミュージカル作品のひとつをご紹介しよう。70'Sのキャンプなテイスト満載のロックミュージカル「ロッキー・ホラー・ショー」のリバイバル公演だ。
最近では、映画『エバー・アフター』『ダークシティ』('98)などに出演しているリチャード・オブライエンが、ストーリーと作詞、作曲を手掛けたB級SF&ホラーのパロディ的倒錯ミュージカルは、当初ロンドンのウェストエンドにある小さな劇場でスタート。その後映画『ロッキー・ホラー・ショー』('75)となり、観客参加型のバーチャルムービーとして絶大な支持を得て世界的カルト映画となる。いまだ一部の劇場では公開され続けていることは、以前当コラム(バックナンバー2000年8月3日参照)でもお届けした通り。舞台版のニューヨーク公演はこれも同75年に上演されて以来25年ぶり。当時は3週間で上演が打ち切られたが、今回の舞台上演が映画のカルト人気をどのくらい反映出来るのか期待されるところ。 |
ストーリーは、純情なジャネットと超カタブツのブラッドが嵐の夜道に迷って古城に辿り着く所からはじまる。その夜から彼らの運命は思わぬところへ。道に迷ったカップルを迎えた館の主フランク博士は性的倒錯快楽主義者で執事のリフラフとメイドのマジェンダ、コロンビアらとともに館で奇妙な生活をしている。博士は理想とする男の人造人間ロッキーを作って彼との婚約発表を行う一方、ジャネットとブラッドを誘惑。無軌道な快楽に溺れていこうとする彼らを冷ややかに見つめるリフラフとマジェンダは、実はトランシルヴァニア星から秘密指令を受けてやってきた宇宙人で・・・。 キャスティングで注目されるのは「くたばれ!ヤンキース」でトニー賞を受賞したブラッド役のジャロード・エミック。そしてコロンビア役でブロードウェイ舞台デビューするロック界の大御所ジョーン・ジェットのステージアクトが期待されてる。そのほか話題となっているのは「W Hotel」「 Nobu」「 Ruby Foo’s」といったヒップなホテルやレストランのデザインを手掛けて脚光を浴びるデビッド・ロックウェルによる舞台装置デザイン。オープニングの凝った仕掛けで一気に別世界へと誘われる。 観に行く人は映画同様に登場人物のコスプレで行ってもいいし、劇場で販売している舞台参加グッズが入ってるお楽しみ袋をゲットして騒ぐのもいい。客席も盛り上がって楽しめる舞台に期待したい。それにしても上演当時は画期的で新しかったこの作品もすでに25周年、そのうち古典といわれる時代も来るのでしょうか。
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