セット・ビジット
 前回“ジャンケット”という海外取材に関してお話致しましたが、今回はもうひとつの海外取材である“セット・ビジット”について触れたいと思います。
 “セット・ビジット”とは、その名の通り映画の撮影セットやロケ地などを訪れてする取材のことです。ジャンケットが全米での公開直前に行なわれる取材であるのに対して、セット・ビジットはまさに映画の撮影中に行なわれるので比較的時期の早いものとなり、公開の半年前~1年前ぐらいといったタイミングでの取材になります。

 当然、セット・ビジットを実施するような作品は話題作であり、大掛かりなセットを組んだり、大掛かりなロケを行なっているようなものになります。そこを取材させることで早い段階から話題を発信してするというのが取材の主旨になっています。映画ファンであれば、やはり話題作がどんな感じにで作られているのかということをいち早く知りたいというのが心理ですから、作品によっては結構大事な取材になることは間違いありません。

 最近の作品を例に挙げると『トゥームレイダー』(01)の場合は、全米公開が2001年6月でしたが2000年の11月にはカンボジアでのセット・ビジットの話があり(結局これは日本から取材者が行くことは無くなってしまったのですが)、12月にはロンドンのパインウッドスタジオ内に設営された非常に大掛かりなセットへの取材が行なわれました。また2002年公開予定の作品で言えば『ブラックホーク・ダウン』は2001年5月頃にはロケ地でのセット・ビジットが、『ローラーボール』は2000年10月にはセット・ビジットが、それぞれ既に行なわれています。
 取材する媒体に関しても、闇雲に連れて行けるものではなく、ジャンケットと同じように予め取材枠が決められています。人数はごく少数のグループで(多くでも10人くらい)行なわれます。撮影中の取材ということもあり、ジャンケットと違ってテレビ媒体の取材というものはまずほとんど出来ないので(それに必ずしも取材場所がアメリカとは限らず、仮に問題なくてもクルー手配が難しいというのも現実的な問題としてあります)、映画専門誌などの紙媒体がメインになって取材を進めていきます。単純にセットだけを取材するというのでは、よほどの作品やセットでない限り話題にはなりませんし、取材媒体もあまり魅力を感じませんので、大抵の場合には一部出演者のインタビューが併せて出来るようになっています。

 ただ、取材者がセットを見学することはもちろん問題ないのですが、多くの場合まだ撮影中の取材なので、セット部分の写真を撮ることは禁じられています。よって取材者は出演者のインタビュー記事をメインとして、それに取材者が感じたセットの感想などを盛り込み、セット・ビジット取材記事は構成していきます(つまり言葉ではセット・ビジットですが、先行インタビュー取材ともいえるのです)。

 この取材記事の露出は、比較的早い段階で映画誌に(他の情報誌という場合もありますが)露出していきますので、(毎号必ずではないですが、映画誌には何らかの作品のセット・ビジット取材記事が良く出ていますので)興味のある方は是非目を通して頂くと良いと思います。
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