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「ザ・ロック主演 ギャングスターズ 明日へのタッチダウン」

ドルゴルスレンもとい、横綱朝青龍の騒動が、ようやく収束してきた夏の終わり。
皆様いかがお過ごしでしょうか。この一件で露呈したのは、師匠である高砂親方の指導力の欠如。
横綱が病気だったので親方を一方的に攻撃することはできないし、そこまで相撲に思い入れはないけど、リーダーシップとは何なのかを考えさせられた。

そんなリーダーシップ渇望論がオレ周辺でささやかれる今日この頃、今回ご紹介したい日本未公開映画は、『ザ・ロック主演 ギャングスターズ 明日へのタッチダウン』。


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ザ・ロック主演 ギャングスターズ -明日へのタッチダウン-

何が凄いかって、このタイトル。
主演の名前がそのまま冠されている映画は、そうそうない。正式には『ギャングスターズ 明日へのタッチダウン』みたいだけれど、それはさておき、この映画には強いリーダーが登場する。
彼こそが“ロック様”ことWWE所属の人気プロレスラーにして現在は肉体派アクターのザ・ロック演じる、少年院の保護監察官ショーン・ポーターなのである。

ストーリーは少年院に収監されている若者たちの悲惨な現状を悲観した少年院の保護監察官が、若者たちを絶望的な状況から救い出そうとする熱血青春ドラマ。
メーカーの資料によれば、現在少年院に暮らす若者は全米で12万人以上もおり、そのおよそ75%が再び犯罪を犯すか路上で命を落としてしまうのだという。
もはや少年院の中にいたほうが安全というパラドックスに矛盾と虚無感を感じたロック様演じる主人公が、囚人たちによるフットボールチームを結成する。アメフトを教えることをとおして責任感と規律の重要さを教え、物事に打ち込むことの幸せを感じてもらおうと試みるのだ。実話に基づいているそうで、ロック様の熱血指導の下、若者たちが強靱な肉体や精神を養い、一丸となって団結していく姿に感動を覚えずにはいられない。熱い、熱いドラマである。

貧困や犯罪問題などアメリカの実社会の歪みに言及した社会派ドラマの側面もあるが、バラバラだった若者たちが熱い指導者の導きで挫折を乗り越え、生まれ変わっていく姿を描くというお約束満載の脚本が何よりも魅力的。

はっきりいってアメリカ版「スクール☆ウォーズ」で、それ以上でも以下でもないが、安心して観賞できる折り目正しいストーリー展開は、映画的満足度を充たす。荒んだ若者を救うために立ち上がる熱血リーダー映画は、時代と国を越えて愛される。

スーパーマンは要らないが、リアルなヒーローはいつだって待たれているのだ!

TEXT BY 鴇田崇

【著者プロフィール】
総合映画情報サイト「映画生活」の編集を経て、フリーのライター/エディター/WEBプロデューサーに。WEB…「Yahoo!映画」「シネマトゥデイ」「映画生活」、雑誌…「この映画がすごい!」、「Newtype」などで執筆中。映画の趣味はミーハーで特段の深い愛情もないが、『シベリア超特急』に象徴される、とりとめのない娯楽を好む。

2007年08月29日 21:20

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