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「ビリー・ブランクス in ヴィクトリィィーッ! キング・オブ・ドラゴン」

2007年話題の人といえば、ビリー・ブランクス。「ビリーズブートキャンプ」なる独自のフィットネスを開発、“ビリー隊長”の愛称で親しまれ、ダイエット大好きの日本人がいる日本へやってきて、ジャパン・マネーをガッポリ稼いでいった中年だよ。そんな隊長の主演映画があるという。食欲の秋、この映画を観ない理由はない!


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ビリー・ブランクス in ヴィクトリィィーッ! キング・オブ・ドラゴン
タイトルはその名もズバリ『ビリー・ブランクス in ヴィクトリィィーッ! キング・オブ・ドラゴン』。長い。ブレイクしてからテキトーに作られる人気便乗映画ではなく、隊長の髪の毛(参考:MCハマー)がまだフサフサしていた時代の主演映画なのだ。隊長って俳優だったらしく、調べるといろんな作品に出ていることが判明した。ここでの隊長の役は、NYの麻薬捜査官。もうこれだけで満腹モノだが、悪の組織への潜入捜査を命じられた隊長が、己の肉体を鍛えるためにカンフーの達人のもとへ修行にいく――という、話としての意外性はまるでない。

とはいえ、アクション映画として売り出していただけあり、隊長のモムチャンぶりは凄まじいものがある。が、カンフーをやるほどのキレはなく、むしろ「ビリーズブートキャンプ」の殺人的なメニューを自らナビゲートしている現在の隊長のほうが、数段スピーディーのように見える。ただ、年齢が若いだけあって、パワフルな男臭さはマッチョ好きの女性ならノックアウト確実! 殿方なら単に暑苦しいだけだが、若き日の隊長は眼差しまでギラギラしていて、雄の香りが漂っている。そのうえ、劇中では美女と“夜のエクササイズ”にまで励んじゃう始末で、僕らの隊長は下半身だってヴィクトリーだったんです! 「ビリーズブートキャンプ」では決して観ることができない(当たり前)、夜の隊長を拝めるのは、『ビリー・ブランクス(以下省略)』ぐらいなモンだろう。

肝心の作品としての全体評価であるが、“タイトルに主演の名前が入っているとほぼ駄作”のマイセオリーに反することなく、作品としては一生で出会わなかったとしても、まったく後悔しない低レベルなもの。が、“あのビリー隊長が主演!”というだけで一見の価値があると、うそぶきたい珍品ではある。というか、それがすべてだ。ちなみに、日本語吹替え版は「ビリーズブートキャンプ」のCMで妙な奇声をあげている小杉十郎太氏が、隊長の声を担当。吹替え版の隊長は筋肉とか腹筋などと連発しているので、本編なんかよりずっとおもしろいぞ!

TEXT BY 鴇田崇

【著者プロフィール】
総合映画情報サイト「映画生活」の編集を経て、フリーのライター/エディター/WEBプロデューサーに。WEB…「Yahoo!映画」「シネマトゥデイ」「映画生活」、雑誌…「この映画がすごい!」、「Newtype」などで執筆中。映画の趣味はミーハーで特段の深い愛情もないが、『シベリア超特急』に象徴される、とりとめのない娯楽を好む。

2007年10月30日 21:21

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