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「アビエイター」
今週、第80回アカデミー賞の授賞式が無事に行なわれました! 今回はあちこちのメディアで“混戦”と言われていたけれど、冷静に考えれば各映画賞を軒並み獲りまくっていた『ノーカントリー』が大本命だったのは明白で、作品のテーマ(原題:NO COUNTRY FOR OLD MEN)自体も年配層の多いアカデミー会員たちの心に響いたはず。
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のダニエル・デイ=ルイスも下馬評ではカタく、快挙となったのが『エディット・ピアフ~愛の讃歌~』のマリオン・コティヤール。“フランス映画のフランス語でフランス人女優”が主演女優賞を受賞したのはアカデミー賞史上初のことで、これにはサルコジ大統領も驚いていることだろう。が、そんななか非常に残念だったのがケイト・ブランシェット! 公開中の『エリザベス:ゴールデン・エイジ』で主演女優賞、『アイム・ノット・ゼア』で助演女優賞にダブルでノミネートされながらの悲しい結果となった。
という長い前置きを経て今回ご紹介するのは、そのアカデミー賞常連女優ケイト・ブランシェットがオスカー像をゲットした『アビエイター』(04)。巨匠マーティン・スコセッシ監督が“史上最強のワンマン社長”にして大富豪ハワード・ヒューズの波乱万丈の人生を描き上げた伝記ドラマ大作だ。ブランシェットはレオナルド・ディカプリオ扮するヒューズと恋に落ちる名女優キャサリン・ヘプバーンを好演。クラシカルな美貌と、見た目にはヤングなディカプリオを立てるかのような大人の演技で、見事アカデミー賞助演女優賞に輝いたのだ。映画はスコセッシ節全開の語り口で、カリスマ的なヒューズの栄光と凋落を両方描くことで人生の光と闇を浮き彫りに。個人的に『ディパーテッド』(06)ではなく、本作がオスカーの栄誉に浴すると思っていたが、まぁそれはそれ。
第80回アカデミー賞のプチ総括も兼ね、若くしてダブルノミネートまで果たす実力の持ち主ブランシェットの高い演技力を目の当たりにできる『アビエイター』(04)をご紹介。アカデミー賞の常連ってノミネートされるばっかりって印象も拭えないが、オスカー像を手にするのは本当に大変なこと。そして本来なら、アメリカ映画界最大の祭典で選ばれた作品たちをスクリーンで全部観たいところだが、それも現実問題ムリ。なので公開中の『エリザベス:ゴールデン・エイジ』をはじめ、映画館で観られるときにアカデミー賞関連作も観に行ってみては?
TEXT BY 鴇田崇
【著者プロフィール】
総合映画情報サイト「映画生活」の編集を経て、フリーのライター/エディター/WEBプロデューサーに。WEB…「Yahoo!映画」、「シネマトゥデイ」、「映画生活」、雑誌…「この映画がすごい!」、「Newtype」などで執筆中。映画の趣味はミーハーで特段の深い愛情もないが、『シベリア超特急』に象徴される、とりとめのない娯楽を好む。
2008年02月27日 18:46
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