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「HEROES / ヒーローズ」
ケーブルテレビでも話題だったアメリカでも大人気のドラマシリーズがDVD化されました。春がもうすぐながら寒い日もあるので、そういう日には出来もしっかりした話題作を見るのをオススメします。
海外ドラマ専門チャンネルの「スーパー!ドラマTV」の放送でも人気のテレビドラマシリーズの待望のDVD化だ。アメリカのテレビドラマシリーズは厳しくて、視聴率が悪いと2006年にヘザー・グラハム主演でスタートした「Emily's Reasons Why Not」のように1話でも打ち切られる(去年の秋にもヒュー・ジャックマンがプロデュースした「Viva Laughlin」が2話で打ち切られた)。06年にアメリカで放送開始された「HEROES / ヒーローズ」はその激戦を制したドラマシリーズであるから、出来の良さも分かるだろう。第1シーズンはゴールデングローブ賞や第59回のエミー賞で、ドラマシリーズ部門で作品賞を含む8部門で候補になり、ピープルズ・チョイス・アワードでは「最も好きな新ドラマ部門」で最優秀作品賞を受賞しているほどだ。ストーリーは空中飛行、肉体再生、未来予知、時空操作などの超能力を持つ個人が集まることで、より能力を発揮するというもの。SFファンにはおなじみのシオドア・スタージョンの名作SF「人間以上」や映画シリーズにもなったアメコミの「X-Men」でも扱われてきたテーマだが、今作の面白さはストーリーテリングの見事さである。年齢・性別・国籍もさまざまな各キャラクターの描き方も魅力的で、敵である相手の能力を奪う殺人鬼「サイラー」との行く末もワクワクさせてくれる。
アメリカで最も人気のキャラクターは、時空を操って空間転移や時間旅行ができる日本人のマシ・オカが演じるヒロ・ナカムラだ(新作映画の「ジャンパー」は空間移動ことテレポーテーション能力を持つ者のストーリーだ)。ヒロが感極まると叫ぶ「ヤター!」の言葉は、アメリカで流行語にもなった。演じるマシ・オカは、東京都渋谷区出身の本名が岡政偉(おかまさより)氏だ。
6歳の時にロサンゼルスに移住して、名門のブラウン大学を卒業後すぐにジョージ・ルーカスが設立したインダストリアル・ライト&マジック ことILMに就職して、「スター・ウォーズ/エピソード1&2」、「ハルク」といった映画のCGのための画像描写アプリケーション開発に携わった。大学で、数学とコンピュータ・サイエンスを専攻したことから理系の技術者であることが分かるが、大学で舞台芸術を副専攻したように俳優への夢も持ち続けていた・そのマシ・オカの夢がかなって、俳優としてブレイクした作品が今作なのである。去年に放送されたシーズン2は、先日のアカデミー賞の開催にも影響を与えそうになった全米脚本家ストライキのために本来の予定の24話ではなく11話であった。今年、シーズン3が放送される予定だが、シーズン2の終了時点での最多登場の一人にヒロが入っているので、今後もマシ・オカの活躍が見られそうだ。
少し前まで「HEROES / ヒーローズ」と周りに言っても、木村拓哉主演の「HERO」と思われることが多かったが、スカパーでの放送での人気などもあって、日本でも今ではかなり知られてきた。今回のDVDの発売をきっかけに是非見てほしいドラマシリーズだ。
TEXT BY わたなべりんたろう
【著者プロフィール】
映画・音楽・ファションのライター。雑誌「Elle Japon」、「映画秘宝」、「TV Bros」、「ミュージック・マガジン」、「CDジャーナル」などで執筆中。
ここ数年の作品では「トゥモロー・ワールド」をこよなく愛す。
2008年03月12日 12:13
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